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2014年6月16日月曜日

STAP論文のインチキ処理に手間取る理研や文科省は、日本の評判を下げる張本人

 どのような分野であれ、一定の確率でインチキが暴露されて大騒ぎになるのは、名誉欲、金欲、愛欲その他諸々の欲と情に翻弄されがちな人間の作る社会だから、仕方の無いこと。さっさと首謀者を処分して、おしまいにするのが、最もノーマルで有効な対策である。文科省下村大臣の記者会見によると、理研は改革委員会を設置して、外部有識者委員会における報告を参考にして、文部科学省内に設置される理化学研究所研究不正防止改革タスクフォースの監視のもとで、研究不正をなくするための実行性あるアクションプランをつくると言う話である。(注1)笑わないで記事にするのか、記者のみなさん?
 研究というものが判っていないお偉方が、或いは判っていても、老後の楽しみに研究機関を弄くり回す様子こそ、世界の恥である。   また、文部大臣の意向としては、再現実験を、小保方さんを入れたチームで行なう方針だという。錬金術の再現実験を金と時間と人の力を使って、錬金術師を中心にするようなものである。
   一般に科学研究において、現在受け入れられている仮説(つまり理論)と観測結果を基に、「存在しないだろう」という主張をすることはできる。しかし、「存在しない」ことを示すことは出来ない。従って、何年やっても、今までは確認できなかったが、「存在するかもしれない」という疑問は無くならない。また、論文の実験の部(Experimental)で示した方法で、その分野での技術を持った者が作ることが出来なければ、その論文は学会に受け入れられないし、その発表者も作ったことにはならない。(注2)
   今回のSTAP細胞の件は、要約すると:スタップ現象の存在を示す為に、時間と多大な金を使っても研究したが、成功しなかった。そこで、その担当研究者がインチキをして論文にしたが、そのネタがバレてしまった。それだけのことである。そんなことに長々と有識者会議とかを設置し、不正防止アクションプランを作るとか、文科省内に不正防止改革タスクフォースを組織するとかいうのは、外国では笑い話の種にされるだけである。
 何故、日本と言う国は、個人の資質に原因を求めないのか? JR福知山線の脱線事故の時も、運転手の資質は一切問われなかった。(注3)この国は、全ての人を倫理的に及び能力的に平等(注4)に扱い、何か事件があっても、その責任は全てその人の置かれた情況の所為にする、”情況下倫理が支配する国”なのかもしれない。(注5)

注釈
1)http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1348588.htm
研究は自由な雰囲気の下で進み、優秀な研究者は多種多様な経歴、感覚、技術を持った高度に知的な集団の自由闊達な議論などにより生まれる。そこは、管理という言葉はもっとも相応しくない場所でもある。一律形式で実験ノートをつけ、管理者のチェックを一定期間事に受けるとか、研究環境の安全のため一律の基準で実験室をチェックするとかいうことを検討するとしたら、そんなところで、世界一流の研究は生まれず、トップレベルの研究者は育たないだろう。
2)今まで、それに反する現象を観測できなかった、つまり差し当たり正しいとされる、仮説の集積が科学である。従って、「真理」や「絶対」とは一線を画するのが、科学の文化。それが判っていない”偉い人”が多すぎる。真理を主張するのは宗教である。
  3)担当運転手は、事故の直前だけでなく、何度も停車位置を間違うなどのミスをしていた。運転手としての資質に問題が在ったと思うが、それは全く問題にされなかった。
4)平等でないことは承知の上だが、平等に扱わなければ”和が保てない”という建前論(山本七平氏の空体語に近い)が、本音との境界を越えて侵略する場合が屢々生じる。これを”山本學”では空気の支配という。 
5)つまり、「悪いのはその個人でなく、そのような情況では仕方なかった。従って、責任はそのような情況を作った側だ」と言う倫理基準。山本七平著、「空気の研究」文芸春秋1983年、第二章「水=通常性」の研究
(6/17補足修正)

1 件のコメント:

  1. おっしゃるとおりです。「改革委員会を設置して、外部有識者委員会における報告を参考にして、文部科学省内に設置される理化学研究所研究不正防止改革タスクフォースの監視のもとで、研究不正をなくするための実行性あるアクションプランをつくる]、なんて、噴飯物です。役職を増やして予算の無駄使いを上乗せする事になります。また、まともな研究者に対する侮辱でもあります。
    論文の記載に従って実験して、誰も再現できなければその論文は意味を持たない。不正を行った人は科学の世界から抹殺されると言うことで終わりです。
    唯、これだけの大がかりな捏造が、小保方氏一人で出来たのか疑問です。彼女が特別に優秀であったとしても。密着して論文作成をした笠井氏は、共犯以上の役割を演じておられたように思われてなりません。その点こそ、追求されべきでは無いでしょうか。

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