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2014年8月12日火曜日

笹井氏が小保方氏に宛てた遺書を読む;

 夕刊フジのネット版解説(8月8日)に、“笹井氏遺書から読み解く・・・小保方さんへの思い:精神科医ら分析と題する記事が掲載された(1)。しかし私には、彼ら精神科医らもほとんど中身が読めていないと思った。この遺書の内容は、“たかじんのそこまで言って委員会”でも議論されていたが、金美麗氏を除いて、レギュラー評論家達も殆ど読めていなかった。(2)

  私は、STAP細胞の件は、最初の発表からブログ等で意見を書いて来た(3)。図の不正などで論文が撤回されるべきだとの意見が共著者である山梨大の若山氏から出された時には、直ちにSTAP細胞論文は捏造データによるものだと思った。笹井氏が理研のバッジをつけて会見した時には、彼もSTAP細胞は小保方氏の方法では出来ないことが解っていたと思う。その際の笹井氏発言内容は、”データの真偽が見抜ける立場に無かったため、そのまま論文に仕上げて発表してしまったのである”であった。その場面をテレビで観て、共著者にあるまじき発言であるとコメントした。 

 あの論文は、何度かネーチャー誌などから掲載を断られたものを、何とか掲載されるレベルに改訂できないかと、理研が組織として笹井氏に依頼したと聞く。それなら、取り下げを含む再評価は、若山氏単独でマスコミに漏らすのではなく、発表の記者会見に参加したもの全てが揃って記者会見などで行なうべきであったと思う。若山氏が、論文の取り下げを言いだした際に、笹井氏と綿密な打ち合わせがあったかどうかが笹井氏の自殺を分析する際には重要なポイントだと思う。笹井氏に頭を下げて依頼した関係上、データが怪しいのであの論文を取り下げたいと言い難いのは解るが、もしその打ち合わせへの参加依頼が無かったのなら、論文完成に参加するよう依頼した理研の幹部と若山氏の無責任は責められるべきであり、場合によっては、笹井氏は罠に嵌められたとおもったかもしれない。「(私が先立つのは)あなたのせいではありません、自分をそのことで責めないでください」という文章が、その気持ちを表わしていると解釈できる。
   
 また、「夢みたいなデータを本物だとして自分の前に持って来て、一流誌の審査に通るまで協力してくれと言った人達が、捏造を疑うネット記事が出ると直ぐに、沈没船を真っ先に降りたセウォル号の船長のように、疑惑解明側にまわった」と思っているかもしれない。笹井氏が小保方氏を攻撃して“船”を降りてしまっては、女子供を残して、船長以下の男どもが皆逃げてしまうようなことになる。それに加えて、あのような論文を書いてしまった自分を、ありのままに受け入れることは彼のプライドが許さなかっただろう。

 「スタップ細胞を再現して下さい」は科学者としては子供である小保方氏への「夢は捨てないで下さい」レベルの励ましである。そのことは、それに続く「それが済んだら、新しい人生を一歩ずつ歩みなおして下さい」にしっかりと書かれている。“それ(理研の再現実験)が済んだら”は“それが不可能とわかったなら”であり、“今度こそ新しい人生を一歩ずつ歩み直して下さい”は、“あのような一足飛びに大発見しようなどと思わず、地に足をつけて一歩ずつ人生を再構築してください”である。つまり、もしそれ(スタップ細胞作成)に成功したのなら、新しい人生を歩み直す必要はない。大人の優秀な研究者として、今までの人生の延長上を堂々と歩むべきである。小保方さんを自分も責める側に廻るとしたら、自分を二流以下の科学者にしてしまう。科学者を画家に喩えれば、二流以下の画家はまがい物の絵を、ピカソの絵と鑑定してしまうかもしれないからである(4)。

   このスタップ捏造疑惑は、世界三大捏造事件として残るだろうと言われる。その責任は、1)集中して金をつぎ込めば、良い研究が出来るという政府の全く愚かな考えと、それをアベノミクスとやらの中で具体化した 2)“特定国立研究開発法人”として、理研と産総研を指定すると言う官僚の利権がらみの政策、3)それを目指した理研幹部のスタップ論文を看板に押し出そうとした浅はかな考え、それに、4)研究者として今一つの感性しか持ち合わせていないが、女性としての魅力だけは人一倍あった夢見る女性研究者などに分散して存在する。その渦の中に消えたのが、世界有数の知性であった。
   
注釈: 
1)http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140808/dms1408081538017-n2.htm 
2)10日の「たかじんのそこまで言って委員会」:小保方氏あて遺書の内容をどう思うかについて議論されていたが、レギュラーの宮崎、長谷川、加藤、竹田氏は全く理解出来ていなかった。金美麗氏が「小保方さんを庇うため」と回答されていた。「STAP細胞が再現できると思っているのなら、死ぬ必要性がない」と明確にその根拠を述べておられた。不十分だと思うが、確かな理解だと思う。兎に角、三宅さんの死後、レギュラーの質が低下して、この番組の面白みも急降下したと思う。 
3)http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2014/06/stap.html
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2014/04/stap_16.html
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2014/03/stap.html
http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2014/01/stap.html
4)私もこの遺書を見るまでは、笹井氏の死の原因が今一つ解らなかった。また、笹井氏の会見の意味も十分解らなかった。小保方さんを全く責めない姿勢は、金美麗さんが(注釈2)のテレビ番組で指摘した通りだと思う。一流の画家が、偽物を売る画商の訪問を受けたら、それが付き合いの深い画商や画家の紹介だったとしても、決して庇いはしないだろう。しかし、深く腹を立てるのは、その紹介者である画商や画家の方である。
(8/12夜投稿、8/13/6:30改訂)

2 件のコメント:

  1. この論説は、テレビを見ていない人間には若干理解しがたいところがあるが、笹井氏の遺書(それをやり遂げて、別の人生を)の解釈は同感です。
    また、結語、理研幹部の意図、も同感です。
    今朝の産経によれば、笹井氏は3月の時点で、辞職願いを出していたが、許されなかったとのことです。
    たとえ、辞職でなく免職であったとしても、早急な幕引きを理研幹部がしていれば、彼は死ななくてもよかったのではないでしょうか。
     なお、ささいなミスとはおもいますが、若山氏は山梨大学です。

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  2. K-Kasanさんへ:
    コメント有り難うございます。山梨大に直しました。

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