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2014年10月8日水曜日

日本人3学者のノーベル賞について:

青色発光ダイオードで赤崎、天野、中村の3教授がノーベル賞を受賞:

 青色発光ダイオードの完成及び商品化で、名古屋大の赤崎元教授(名城大終身教授)、その大学院生だった現在名古屋大の天野教授、そして元日亜化学工業の研究者で現在米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授の3氏に、ノーベル物理学賞が授けられることになった。ノーベル物理学賞では、基礎でなくて応用の分野に与えられることは少ない。(注釈1) 青色LEDの商品化が、世界に与える影響はそれ程大きな出来事であると、ノーベル賞委員会が評価したのだろう。実際、現在どの家にも使われている白色LEDライトにも、主なる部品として使われていることでも解る様に(注釈2)、世界の省エネ技術としても偉大である。日本人として、日本国のブランドが上がり、大変良かったと思う。

ただ不思議なのは、最初にLEDを発明したNick Holonyak, Jr.博士(昨年までイリノイ大教授、83歳で存命)が受賞できなかったことである。Wikipedeaによると、此の人はダイオードレーザーなども開発しており、米国応用物理の分野では非常に有名らしい。またHolonyak元教授は、物性物理の分野で著名なJohn Bardeen博士(ノーベル物理学賞を超伝導理論とトランジスターの発明で二度受賞(注釈3)した)の最初の博士課程の学生であったという。もちろん、授ける側が決めることであり、文句を言う筋合いはだれにもないが、愚痴ともとれる文章がネットに見られる。 (http://bigstory.ap.org/article/e48f1b28d0614585ac46d2ce7df43c3f/led-inventor-feels-work-bypassed-nobel) 

 科学技術文明は無数の研究者の努力により現在の形になっている。そして、応用研究では特に膨大な数の研究者や投資者の努力(注釈4)で、商品にまで至る。そして、その中でたまたま一里塚的な位置にあった研究者をノーベル賞委員会が選び授賞する。
 別の喩え話を用いると: ある技術を取り上げた時に、その系図を辿ると1本の樹の様な形をしている。その木になった一つの美しい実にノーベル賞が与えられるのだが、その実は、根っこや茎や葉がなければ、そして、地中に栄養と水分がなければ決してならない。そして、その樹には多くの実がなっており、どれを選ぶかは委員会の主観による。この喩え話は、特に応用研究の場合にぴったり当てはまる。

 基礎研究では、例えば物理の分野で、アルバートアインシュタインを例にとっても、ハイゼンベルグを例にとっても、一里塚に居た人とは決して言えない。しかし、それらの天才的な学者も、科学の伝統の中に居なければ、何もできなかったことは確かである。

注釈:
  1)応用物理では、例えば、CCD(charge coupled device)という受光素子の発明でノーベル賞があたえられている他、核磁気共鳴を利用した、MRIの発明にもノーベル賞が与えられている。
2)紫外線LEDも開発されており、それと蛍光材料を用いた方式も有力である。
3)ノーベル物理学賞を二度受賞したのはこの人1人である。
4)中村氏は日亜化学という小さい会社の創業者から5億円の投資を受け、留学などを経て、この技術を完成した。

3 件のコメント:

  1. 受賞の3人に何となく落ち着かない感じがしていました。
    LED自体の発明者が未だ受賞していないのはおかしいです。赤色LEDが無ければ,青色も無かった。LEDの発明から実用化までの寄与として、Holonyac、赤崎、中村の共同受賞でも良かった気がします。三人に限られるのであれば。
    それにしても、Holonyac博士は何故、斯くも無視されてきたのでしょうか。
    また、中村博士に対する日亜創業者からの先行投資の話は、初めて知りました。

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  2. コメントありがとうございます。私は、Holpmyac氏と赤崎氏の二人の授賞がもっとも相応しいと思います。質の向上や量産化が授賞対象になるのが不思議です。何故なら、その研究は実業分野に属し、成果は直ちに利益として社会が評価するからです。「ノーベル賞の勝手でしょう」と言うのなら、確かに勝手です。南部陽一郎さんが授賞の時に、「これで、ノーベル賞の信用(格)が上がった」と言った人がいたと、南部さんご本人が発言されいたのを思い出します。

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  3. そうかもしれません。
    化学賞では,応用に寄与の日本人では無く、基礎原理の開発者が受賞したと今朝の新聞で読みました。

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