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2014年11月21日金曜日

日本での貧富の差の拡大:これ以上の円安は恐ろしい

1) 円安が猛烈な勢いで進んでいる。下図に示したのは今年後半のドル/円レートである。これは言うまでもなく、日銀の金融緩和と称する円安政策にある。昔の金融政策は、経済界に通貨の需要が増した時に、緩和するという正常の姿であったが、現在の黒田氏の政策は全く日本の安売り政策だと思う。筈かしげもなく、中央銀行は政治から独立しているといっているが、安倍政権の無謀な経済政策の片棒を担いでいるとしか言い様が無いと思うが、私は間違っているのだろうか。  
10月31日以降のドル/円の急上昇は、黒田総裁の追加緩和発表によるものである。日本の円への信頼が揺らぎ、円の外国への逃亡を示しているのではないだろうか。もちろん、米国では金融緩和によるドルが溜まっており、日本には円が溜まっているので、口先でも相場は大きく変わるだろう。しかし、米国では10月で量的緩和は終了しており、また、下の図に示した様に、11月に入って国債利回りが上昇しており、国債価格の低下、つまり、市場で国債が売られていることを示していると思う。(もちろん、日銀が円安の進行をみて国債購入を控えている可能性もある。)また、同じ10月31日、年金資金の投資先として国内外の株への投資枠拡大が発表された。それに呼応して一時的に株価は上がったが、その後、円安は加速しても株価の上昇は非常に鈍い。
 従って、11月に入ってからの急激な円安の加速は、国債などの円債券は売られて、米国への投資などへ向かっているのではないだろうか。

2)円安が進むと、当然輸入価格が上昇して、国内需要を対象にした企業は不況となる。また、円安にも関わらず輸出が増加しておらず、海外での投資で産まれた金の日本に持ち込む際の円安差益で、辛うじて今まで経常収支を黒字に保っている。トヨタなどの多くの輸出産業は、グローバル企業であり、これ以上の円安は国内産業の復活にはあまり寄与しない筈である。輸出が順調といってトヨタは喜んでいるだろうが、円安によるコスト高を部品を生産している傘下の企業が負担しているからであり、一時的なものだと思う。そして最後まで残るのが賃金のドル換算での低下であり、これがGDPの伸び悩みの原因であると考えられる。
 月曜日に発表された第3期のGDP速報値は、消費税効果がほぼ無くなった筈にも関わらずマイナス1.6%という値であり、アベノミクスの失敗を裏付けた。つまり、円安政策は、単にグローバル企業のトヨタなどの大企業が海外で活躍するための応援にしかなっていないのだと思う。GDP速報値マイナス1.6%にも拘らず、日銀の名古屋支店長は中部では景気は良くなっているという判断を昨日示した。つまり、トヨタの名古屋は景気が良いが、その分、国内産業が中心の地方の景気の落ち込みは、上記数字マイナス1.6%より遥かに大きいことを示している。

 これは、富の配分が一層偏り韓国の様に、国民をサムソンやヒュンダイなどのグローバル企業に所属している一部富裕層とそれ以外の貧困層に別け、不満を国内に充満させる様になりつつあることを示しているのではないか。サムソンやLGなどの大企業が傾けば国全体が傾くという韓国の危険な情況を、ネットで配信している三橋貴明氏に「日本はこのままで大丈夫ですか」と聞いてみたい。

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