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2015年3月22日日曜日

プーチンのクリミア併合時の核配備発言について考えたこと

ロシアのプーチン大統領が、15日のテレビ番組でクリミア併合の際、核兵器の臨戦配備の用意があったと発言したことに、日本のマスコミは過激に反応している。今朝のサンデーモーニングでも、寺島実朗氏のプーチンに対する憎々し気な発言を聞いた。読売新聞の社説は「世界の平和に責任を持つべき国連安全保障理事会の常任理事国としての見識が疑われよう。」と書いている。 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150317-OYT1T50184.html

  しかし、”国家の重大事には核兵器を使用する”と言う発言が不見識という裏に、”絶対に核兵器は使わないというのが見識ある発言だ”という考えが、社説を書いた人の頭にあるのだろう。その発言に現実性があるのなら、「米英仏露中らは何故核兵器を保持しているのか?」と聞きたい。また、現実性が無いのなら、新聞が現実離れした解説などを掲載する意味があるのか、と聞きたい。

それに続く文章で、「核拡散防止条約(NPT)は、ロシアを含む加盟国に、他国の領土保全を武力で脅かさないよう(注1)求めている。今回の発言がNPTの精神にも反するのは明らかだ。」というのは言葉の上ではその通りであり、それは「NPTがあるから、核兵器は封印されている」という考え方を基礎にしている。しかし、NPTを信じ、それを持出してプーチンを批判するのは、どう考えても幼稚である。もし、読売新聞の本社説担当が幼稚でないなら、読者から金をとりながら社説で読者を愚民化する新聞だということになる。

ここで、「NPTを大きな力にしていく以外に、日本のそして世界の外交に将来があるのか?」と問われれば、各国首脳のだれもが回答に困るだろう。核兵器を持った国の首脳は、終始冷静でない振りをしながら(注2)、心の中はプーチンの考えと殆ど変わらないだろう。一方、核兵器保持国以外の各国首脳は、終始冷静な振りをしながら、その心に持った複雑な何かは、夫々違うだろう(注3)。しかし、その何かを表に出さないで夫々が推測しながら、自国の安全を第一に考えて発言や行動をすることで、国際政治は動いていると思う。冷静に見える日本の首脳も、何かを持っているだろう。表の冷静さが本物でないことを、そして心の中に何かが実際に存在し、それが幼稚でないことを国民として祈るのみである(注4)。

イスラエルは核兵器保持国であると思われている。しかしイスラエル首相は、公式には当然核保持を否定するだろう。そして、イスラエル国民は核兵器を持っているかどうかは知らないだろう。イスラエルは背後に暗室を抱えることで、核抑止力を持っている。ドイツはEUの一員として、フランスなどの核保持国との間に強い政治的経済的関係を築いている。将来状況によっては政治的統合も可能性があると思う。

日本には何があるか?日米安全保障条約はあるものの、米国が覇権主義を放棄すればそれは自然に消滅するのではないだろうか。米国が覇権を維持している間に、独り立ち出来るように、近隣との関係を築くのが大切であると思う。それ以外にいろいろ考えることは可能だが、国民もマスコミも、貧乏人が資産公開するような愚かなまねを政府に強要すべきではないと思う。

注釈:
1)クリミヤ併合については、西側報道だけでは違法のものかどうかわからない。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2015/03/blog-post_14.html参照してください。
2)NPTは核保持国の特権を守る体制である。しかし、他国が核兵器を持つ様になったとしても、優位性は変わらない。しかし、他国と協調する姿勢が政治の上で大事である。
3)核兵器を保有しない弱点を、NPTだけで克服できないことは既に承知している。それに代わる条約や裏で用意する対策は、国によっていろいろであるが、万全であるとの姿勢はそのまま抑止力の大事な一角をなすだろう。
4)米国との安保条約の他に何もないのなら、中国などの核の脅威は将来国民に大きな不安を生じる時があるだろう。その他に、イザと言う時に短期間に核兵器を保持する能力を確保することが、大事だろう。オバマが日本が保有していたプルトニュームを返還させたことは、米国が日本に対しても尚警戒感を持っているということを示している。その警戒感を逆に利用して、米国に我国との核抑止力を含めた同盟関係強化を演出する様に要求すべきである。
(3/22 注釈2−4を追加)

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