2015年10月8日木曜日

ハイパーカミオカンデの現時点での建設着手は愚挙

ノーベル賞を追い風にして、スーパーカミオカンデより巨大なハイパーカミオカンデの建設計画が進みそうな雰囲気だ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151007-00000005-jct-soci しかし、800億円(注釈1)という事業費に価する研究ができるのか疑問だ。また素粒子物理学が、今後人類に実際に役立つ知識をもたらすかどうかも非常に疑問である。

人類は、”知”特に科学の発展とともにより高度な文明を築き、より豊かで平和な世界を実現してきた。その文明発展と科学は、20世紀まではほぼ並行して進んできたが、20世紀後半その関係は崩れた。つまり、核物理学の誕生と発展は、原子爆弾や水素爆弾などの開発につながり、科学と文明の並行性は必ずしも真理ではなくなった。

核物理学の延長上にある素粒子物理学は、梶田東大教授のノーベル賞受賞決定後のインタビューでの言葉にあったように、知の地平線上の向こうにある様な分野であり、そこからは人類に向かって何が出てくるのか全くわからない。もちろん、自然な知の発展として、今後素粒子物理が発展していくことは、人類の先に発展をもたらすか破滅をもたらすかわからなくても、運命として受け入れるべきだろうし、受け入れるしかないだろう(注釈2)。

しかし、他の知の分野を置き去りにして、素粒子物理だけを特別に多額の予算で推進する理由はない。文科省や浜松ホトニクスという極めて狭い範囲の利益を推進することだけでは、人類の利益と比較して極めて小さい。さらに、ノーベル賞狙いだとすれば、バカバカしくて話にならない。

実際に利益を生まない分野への投資に関しては、ある分野の予算増は他の分野の予算減につながる。ただ漠然ともっと信号が強くなれば、良質のデータが得られるというだけでは、800億円と計算されている事業を始めるには動機不足である。素粒子物理学が知の地平線の向こうではなく、明確に見える角度に上がってくるまで、待つべきである。

注釈:
1)国立競技場のケースを考えれば実際は2000億になるかもしれない。
2)知恵の木の実を食べたイブとアダムは神に罰せられることになるという創世記の文章を思い出す。

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