2016年1月15日金曜日

国際標準の政治を政治家に要求すべき

1)最近、高島康司著「日本、残された方向と選拓」という本を読んだ。国際政治に関する国民向けの本で印象に残ったのは、この本と昨年読んだ北野幸伯著「クレムリンメソッド」である。どちらも、(“悪者”と評価の定まった)日本が中途半端な材料と覚悟で名誉回復(歴史変更)を図ることは危険であると述べている。それは、大戦の問題は国際的にはすでに評価済みと見なされているからだ。

クレムリンメソッドは表題だけを見ても参考になる。例えば第3章の表題、「国益のために国家はあらゆる嘘をつく」「世界の全ての情報は操作されている」を頭において、「日本、残された方向と選択」の中のジャパンハンドラーについての記述を見ると、日本政府のとるべき方向が定まるように思う。ジャパンハンドラーとは、米国で日本を操る脚本を書いている、知日派ジョセフ・ナイやリチャード・アーミテージらである。日本は彼らの書いた脚本通りに動いて(動かされて)いる。

日本の東北アジアでの外交は稚拙に見えるのは、日本が大きな力に継続的に操られていることと、国のトップ周辺や与党がその事実を十分認知していなかったからだろう。その流れの中で、安倍総理の年末の従軍慰安婦問題に対する決断もなされたのだろうと思う。結果として、この問題についても蛇行運転のようなことになってしまったが、今後はその合意に従って対応していくべきだと思う。

日本が世界の動きを的確に把握して諸問題に対処しておれば、この種の問題は数十年前に解決していたはずである。上記の本にあるように、世界の大きな流れを理解せずに、自国の比較的小さな事実や名誉に拘泥する人たちが国のトップ周辺を占めるようでは、国民が艱難辛苦に曝されることになる。(クレムリンメソッド、pp34-35; 補足1)つまり、政治の世界では、事実や真実は上手に使えば大きな味方になるが、下手に使えば自分の首を占めることにもなるということである。

2)従軍慰安婦問題については、終戦後多くの書類等が焼却されて証拠いん滅が行われた可能性もあることを考えると、(下位のレベルでの局所的な軍の方針としても)強制が無かったことの証明は非常に困難である。(歴史においても、無かったという証明は一般に非常に困難である。)世界が罪人を見る目で日本を見ている現状を認識せずに、“証拠が確定していないとみなされる事実”を政治的場面で主張することは、益々状況を悪くする。政治以外(歴史学)で日本に有利な諸項目についての証拠を確定する努力を継続すべきである。

日本の政治家でありながら、日本の政治的敗北をあざ笑う元衆議院議長や元社民党トップのような態度は、決して忘れず歴史の中に残すべきだろう(補足2)。

毎日の食も命も保証されない状況下の出来事を、豊かな時代になって過去の状況を完全無視し、今日的感覚で裁くような彼の国の態度は腹立たしい。実際、共に敵と戦うという姿勢でおられた女性の方も多かったし、また、報酬も支払われていたのも事実だろう(補足3)。しかし、そのようなことは学者の声として、国際社会で宣伝すべきであるが、政治では国際標準の外交を目指すべきであると思う。

マスコミで話題になることを予測しながら、「あれは単なる売春婦だった」とか、日韓合意の文書も読まないで「10億円の拠出は慰安婦撤去が条件だ」などとこの時点で発言することは、 (腹立たしい思いをしている一定数の)国民の票を得ようとする売名行為だろう。本当にそう思うのなら、資料を集めて自分の考察を加えて論文や本を書くべきである。そのような人に限って何も勉強せずに、国会議員を職業としているのである。

私自身は、今回のケースで再び非常に腹立たしい思いに駆られているが、どちらに向いて怒りを投げつけるのが“正しい怒り方”なのか分からない状況である。

このあたりで日本の全ての有権者は、これまでの常識を排してもう一度原点から考えるべきであると思う。米国と日本の政治をほぼ一貫して支配してきた親米派官僚と政治家が行ってきた日本人への刷り込みを取り除くことが、東北アジアで生き残る上に必須である。慰安婦を始め、尖閣問題、竹島問題、全て一から考えることが大事だろう。(補足4)

補足:

1)1939年8月、時の総理平沼麒一郎が、「欧州の天地(世界)は複雑怪奇」と言って辞職したという。全く大局が読めない人が総理を務めるのが日本国であったという。(クレムリンメソッド、p35)
2)河野談話の後でもこの問題が再燃したのは、この問題がなくなっては困る勢力が韓国にあったことと、日本人(+日系人)にもそれを利用して地位を確保しようとした人がいたことだろう。また当時、日本のトップに腹を決めるタイプの人がいなかったのも大きな原因であると思う(宮澤、細川、羽田、村山内閣)。
3)朴裕河著「帝国の慰安婦」にはこのあたりのことが詳しく書かれている。真実が知られることを恐れた韓国裁判所は著者に罰金支払いを命じた。(2015/1/13; ソウル東部地裁)
4)上記高島氏著の本には、1902年(日韓協約前)日本の漁師が竹島周辺で漁をするにあたって、税金を韓国側に納めたという資料が2012年に韓国より明らかにされているという(p60)。また、尖閣諸島については、1978年に福田総理と鄧小平の間で結ばれた福田密約の存在(p47)について触れられている。更に、ごく最近の出来事で、丹羽中国大使の後任で中国着任前に死亡した西宮大使の暗殺説についても述べている。「日中韓の東アジア共同体構想を破壊することが、米国の最優先課題である」という言葉を、頭の中に置くべきであると思う。

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