2016年4月15日金曜日

地震予知法開発と運用における問題点

昨日の熊本地震は震度7を記録し、大きな被害を出した。東南海地震と根尾谷断層地震で被害を受ける地域に住むので、改めて地震予知の現状を考えた。下記サイトの記事を読み、現在地震予知の名目で予算をもらって研究の中心となっている人たちには予知は不可能であるが、それ以外の分野の人の知恵を集めれば、可能性大という結論に至った。 http://www.jiji.com/jc/v4?id=20130911_earthquake_prediction0001

上記記事は、地球物理学者の上田誠也東大名誉教授に対する取材記事である。地震学が専門の上田名誉教授によれば、実用的な地震予知法は地震学以外のところにあるという。つまり、これまで政府は地震予知に役立てるという名目で年間数百億円という大金を地震学の研究補助に使ってきたが、地震学者たちは地震予知よりも地震発生のメカニズムに専ら興味があったのである。そして、地震予知を真正面から研究する地震予知学を立ち上げて研究すれば、予知はかなりの精度で可能だろうと発言しておられる。

地震予知のための情報は、①測地学で地殻の微小な上下などを観測すること、②地殻での電気現象の異常を観測すること、などで得られるという。前者の方法を用いて地震予知をしている村井俊治東大名誉教授はすでに実績を上げておられる。http://dotounokensaku.org/earthquake_murai_0908 そのほかに、琉球大の木村教授の地震の目による予知http://kimuramasaaki.sakura.ne.jp/の方法もこの①に分類できるだろう(補足1)。両先生とも地震学が専門ではない。

この地殻の歪みの観測による地震予知は、すでに東海地震予知のために気象庁が利用しているという。「1944年の東南海地震の直前に御前崎周辺の地盤上昇を陸軍が観測したことを根拠に、大観測網を敷いている」(上田東大名誉教授)とのこと。

このほか、有力と思われるのが②の地殻における電気的異常の検出である。以前から、地震雲の発生、地を這う或いは地中の動物の異常行動、更に、電波の伝達異常など、地電流や地面の電位変化などと関連する現象が、地震の一週間程前に観測されている。この地電位や地電流の観測で地震予知が出来るという報告が、既にギリシャの物理学者から出されており、それをVAX法というらしい(上田東大名誉教授)。

尚、電気的現象の観測を地震予知に利用されている方に、電磁環境学が専門の早川正士電通大名誉教授が著名なようだ。http://dotounokensaku.org/earthquake_hayakawa_1201

これらの方法を総合して一定数の学者が集まって地震予知研究をすれば、地震予知は可能だろう。現在まで地震予知研究を邪魔してきたのは、地震予知をネタに数百億円の予算を継続的に受け取る“地震村”(上田名誉教授の言葉)とそれに丸投げして仕事を終わっていた政府官僚組織の怠慢だと思う。東日本大震災のあとも、内閣の調査部会、日本地震学会ともに地震予知は無理との見解を発表した(上田東大名誉教授の記事参照)。そのような経緯を考えると、政府にそのまま任せておけば次回の大地震に対する予知は期待できないだろう。

仮にかなりの確度で地震が起こるとの予知情報を得ても、政府がそれを元に警報を出すには一定の困難が伴う。例えば30% の確率程度で大地震が起こる可能性があるとのデータを得た場合、政府は電車を止め、銀行を閉め、学校も休みにし、病院も対応するよう指示しなければならない。警戒警報を出すだけでもその損害は相当なものであり、地震が起こらなかった場合には、地震予知など出来ないと言ってきた人たちや、それを信じてきた一般の人たちの非難を受ける。それを覚悟の上で早期に警戒警報を出すには、政府高官に高度な決断力が必要である。そうでない場合は、時計の針が予定時刻を過ぎるまで議論に時間を費やすことになるだろう(補足2)。 

兎も角、地震予知学会ができなければ、文科省はこれまで通り地震学会の有力者、つまり“地震村”、から出た”地震メカニズムの研究”に金をだすだろう。したがって、上田名誉教授など定年退官して視野が広がった人たちと現役研究者が協力し、市民のためにも地震予知学会を立ち上げるべきである。 

予知情報を得た時に、官に的確な警報発令などの措置が出せなければ、民がやれば良い。例えば、警備保障会社などが地震予知学研究者と連携して、地震予知情報を通常警備契約のオプションなどとして、提供するのも一つのアイデアだろう。現在すでに、地震科学探査機構という会社が、村井教授の地震予知情報を有料で配信している。http://www.jesea.co.jp/  この場合の有料配信は賢明である。何故なら、無料でネットで公開すれば、場合によってはデマを流したということで裁判沙汰になり兼ねないからである。一定の権威が伴って発表できるようにならなければ、自分の身を地震から守るには自分が情報を集めて自分で守るのが基本である。

補足:
1)地震の目は、毎日ほど起こる群小地震を地図に描いて、エネルギーの蓄積した位置を見出す方法だと理解する。
2)上田名誉教授も、「仮に気象庁が御前崎の地殻変動に異常発生をとらえたとしても、政府は警戒宣言を出さないでしょう。何かシグナルが出ても、これは何だと言っているうちに終わってしまうでしょうし、警戒宣言を出したのに、もし何も起こらなかったらどうなるかと誰でも考えてしまうでしょう」と仰っている。我国の政府官僚組織には無責任体制がはびこっており、結局は何もできないだろうというのである。

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