2016年5月7日土曜日

日露関係改善は緊急且つ重要である

昨日、安倍首相とプーチン大統領の会談がロシアで行われた。NHKの6時のニュースによれば、新しい発想で領土問題を解決し、エネルギーなどでの経済協力の発展を考えるということである。今後事務方の交渉を行い、9月にロシアで再び会談が持たれるとのことである。現在の国際情況を考えると、日露の平和条約締結と相互経済協力は緊急の課題であり、是非解決して欲しい。

これまで日露の平和条約交渉で、話を進める上で障害になっていたのは、北方領土問題である。それは、ロシアの北方4島への投資が進む一方、北方4島の一括返還に日本がこだわる合理的理由が存在することである。しかし、安倍総理の言う新しい発想とは、北方4島の一括返還にはこだわらないということを意味していると思う。今日の情況から考えて、それは正しい選択だと思う。

もともと北方領土問題は、1945年1月のヤルタ会談で千島列島譲渡を対日参戦の条件として英米が約束し、1945年4月5日にソ連は翌年期限切れになる日ソ中立条約の延長をしない旨の通知を日本に送った。日ソ中立条約の有効期間内の同年8月8日にソ連が宣戦布告を行って対日参戦し、ポツダム宣言受諾表明後に千島を占領した。以上の経緯から、ソ連の対日参戦は日ソ中立条約に違反しているので、国際法が有効な近代の論理では、ロシアの千島占領は根拠がない。

当然、ヤルタ会談での密約を根拠にソ連が千島列島領有の正当性を主張することは、日ソ中立条約の有効期間内の対日参戦と同様、近代の論理では根拠はない。日本が受諾したポツダム宣言(補足1)には列島周辺の小島に関する詳細は書かれていないし、それに基づいたサンフランシスコ講和条約で放棄した領土に北方4島が含まれるとする根拠はない(補足2)。

しかし、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏がどこか(多分youtubeだったと思う)で言ったように、近い未来は新しい中世であるのなら、近代の論理に拘泥していては、日本の将来はないだろう。現代は原点に戻って、0から考えるべき時である(補足3)。例えば、二島返還と国後と択捉には軍事基地を置かないなどの条件で平和条約を締結し、シベリアの天然ガス開発とその一部を日本が長期間輸入するなどの経済協定が結ばれれば良いと私は思う。

補足:
1)ベルリン郊外ポツダムにおいて、米英ソの首脳があつまり戦後処理が話され、その宣言文書(ポツダム宣言)の8項に、“日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに我々の決定する諸小島に限られる”とある。
2)千島列島の領有権移動の経緯は次の通りである。
1855年の日露通好条約で、択捉島の北に両国の国境を確認し、1975年の千島樺太交換条約でそれ以北の千島を日本が得る代わりに、日本はロシアに対して樺太を放棄した。また、サンフランシスコ講和条約(ソ連は不参加)で署名各国に対して放棄を約束した領土として、「千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」とある(第2条(C))が、この文の中の“近接する諸島”には、通常の言語感覚では北方4島も千島列島全体もその中に入らない。
以上から、ロシアが北方4島領有を主張する根拠は、条約を一方的に破棄して対日参戦し、奪い取り実効支配しているということ以外にはない。
3)直前のブログ参照

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