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2016年6月26日日曜日

今朝の時事放談のレビュー

英国の国民投票の結果が出たので、今日は久しぶりに時事放談での議論を聞いた。ゲストは、武村正義氏と丹羽宇一郎氏である。司会は御厨貴氏。英国のEU離脱の件、すでに二度ブログに書いた。大事なことを国会ではなく、国民に直接聞くという愚かなことをキャメロン首相(保守党党首)が行ったという結論は二つとも同じである。
(以下、放送での発言等は普通の表示で、私の考えはイタリックで表示した。)

1)英国の国民投票の結果について:
丹羽氏は「若手が残留で老年層が離脱という分裂があった」こと、そして、「二年間の間に形が決まるのだから、世紀末のように狼狽してはいけない」とそれぞれ指摘した。

この若手と老年層の分裂は深刻であり、livedoor blogにとりあげられていたので、ここに引用する。http://blogos.com/article/180956/ 学歴で分布をとると大学卒の人は大部分が離脱反対で、それ以外低学歴の人は離脱派が多い。しかし進学率が、年齢が低くなるに従って高くなれば、年齢依存の焼き直しの可能性がある。この補正がないので、この依存性が学歴によるのか年齢に依存する何によるのかについての解釈はすぐにはできない。

武村氏は、「世界中にグローバリズムに対する嫌気が世界を覆っている。強い中国、強いロシアという習近平やプーチンの姿勢もそれと共通している」と発言した。

しかし、この問題をこれだけで終わる氏の発言には全く面白みがない。グローバリズムは世界の趨勢であり、それは差し当たり評価すべきである。ただ、グローバリズムを急ぎすぎたことに問題があったのだ。EUについては、2004年に東欧圏を含む10ケ国を加入させるときどのような議論がなされたのか。そこにどこか他の国などの力が働いていたのではないのか、そこが問題の核心であるが、そのような議論は皆無だった。

丹羽氏、「貿易はゼロサムであり、英国とEU間の貿易が減れば、中国と英国の貿易が増えるのでは。IMFが、英国のGDPが5%減ると予測しているが、英国などの大人の国は、そのマイナスを補填する知恵を出すので、そのようにはならないだろう。イタリアでの離脱議論が強まるのが、いやな雲行きである」と発言。同時に、円高に対する議論では丹羽氏から、「ポンドの狼狽売りの所為で乱高下するが、落ち着いて対処すべき。(離脱後の条件決めは)二年間の話なのだから」という指摘があった。

これはその通りで、いろんな形での他国への波及が今後の大きな問題であると思う。二年間で話がつかなければ、話し合いは延長となり、おそらく5年くらいの長期の話になるのではないかという予測もある。

保守党のキャメロン首相の責任に関する言及が全くなかったのは不思議であった。民主主義が衆愚政治に堕落する危険性についても議論がなかった。この件、昨日午前中のウエークでもあまり議論がなかった。唯一、橋下五郎氏が国民投票を約束して選挙に勝った保守党の手法について、おかしいという指摘があったのみである。短い時間なので、難しいかもしれないが、本質的な議論がなされないのが、いつもこの番組をみて残念に思うことである。


2)参議院選:
話はすぐに、参議院選に移った。武村氏は、「争点は経済政策や年金医療であり、憲法改正などは3-4番目の問題だろうと指摘した。その経済政策について、安倍政権の消費税増税延期は約束違反である。さしたる理由もないのに、消費税増税の信を問うというのはおかしい」と発言。

丹羽は、「何を目標に選挙をやるのか焦点が定まらない」とまず発言した。そして、「消費税の増税延期を二回もやめるというのはおかしい」と発言。それを受けて武村氏は「さしたる理由がないのに消費税の増税を再度延期するのは、リーダーの信用問題に関わる。アベノミクスが失敗したというのなら、そういうべき。肝心な経済構造改革は全く進んでいない」と発言した。

世界経済が、大混乱になろうとしている今、このような呑気なことをいう人たちに政治経済を語る資格があるのだろうかと思った。安倍総理のリーマンショック級のことが起これば、消費税増税延期はあり得るという発言は、前後するが英国のEU離脱の国民投票の結果が出た今、裏書きされたと思う。

消費税増税がなくなれば、社会保障の財源に困るだろう。現在、国と地方を合わせた借金は1062兆円に上り、社会補償費は1兆円/年で増加する。それをどうするのかは確かに大問題である。


武村氏は「消費税2%で5兆円程度の税金が減る。それでも社会保障を予定通りやるというが、その理屈はおかしいと思う。財政再建がめちゃくちゃになる。プライマリーバランスなどできっこない。消費税を議論してほしい。」というが、不景気になり法人税や所得税などの減少分が5兆円を越えれば元も子もない。そんなこと御構い無しである。

丹羽氏も続いて、「社会保障と国債費、国防費で税収と同じ。34兆円ほど新しい借金をやらないといけない。消費税増税を中止しては、財政はもたない」と発言した。

これらの発言については、消費税増税の経済へのマイナス効果をすこしは考えているのだろうかと不思議に思う。安全資産として何かあれば円が買われる。それは、多少国家が借金を新たに増加しても、通貨の信用が保たれるということである。その原点を全くお二人は意識していない。

かなり多くの人がヘリコプターマネーを議論しているのに、この種のクラシックな意見だけを開陳するのでは、日曜の朝から番組を見る人に失礼ではないのか。


最後に舛添都知事の件、新知事にどのような人を期待するかなどの話があったが、ここでは省略しヤフーブログを引用する。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42859296.html

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