2016年7月27日水曜日

相模原事件:類似事件を防ぐ工夫をすべき

1)相模原で起こった重度な障害者を狙った大量殺害事件には明確な特徴がある。犯行後のSNSへの書き込み“Beautiful Japan”や衆議院議長に出された手紙などから、醜いと感じたものを抹殺するホロコースト的な犯罪であるという点である。その手紙を見て驚いたのは、犯人は腹立たしいことに心神喪失で有期刑を想定していたようである。

類似の事件が伝染的に起こる可能性があり、対策を急ぐべきである。差し当たり、全国の類似施設のほか、老人介護施設などは厳戒体制を敷くべきである。また、現場には虚しく民間警備会社のマークが貼られていたが、各警備会社は自分たちも存続の危機にあると自覚して対策を強化すべきであると思う。

長期的な対策として、幾つか考えられる。一つは、しっかりと罰するということである。犯人は日常的には礼儀正しいノーマルな人間に見えていたようなので、心神喪失と医者が診断したとしても、大幅減刑するのは妥当でないということである。死刑と懲役の差が理解できる人間にたいしては、精神構造に異常が見出されると医者が診断しても、減刑の対象にすべきでないと思う。また、予防や報復としての刑罰が現代ではタブー視されているが、刑罰の原点は報復である。

2)ここからは異論が予想されることを書く。長期的対策として、教育の問題をとりあげたい。政府は命を大切にする教育を道徳教育の一環として行うというが、どのような命を大切にするのか明確に言えないのなら、意味がない。これについては昨日のブログを参照いただきたい。綺麗ごとを並べて表面だけを繕うような教育では、この種の犯行にたいして効果がないだろう。それは、政府自ら死刑という殺人を行っているし、諸外国は中東で空爆を行い無辜の民を大量に殺戮しているからである。

ここでは更に、青少年の教育に悪影響を及ぼすと考えられるものとして、擬似的な殺人を連想させるゲームの存在を指摘したい。それはモンスターを退治するゲームである。相模原事件の犯人は、罪のない障害者をモンスターと見なしたと私は考えるからである。上記の至急取るべき対策の中に、老人介護施設の警備を入れたのは、要介護老人も若者や健常者にはモンスターと見える可能性があるからである。

もちろん、多くの人はそのような感覚を否定するだろう。しかしその感覚は、子供には明確に存在しており、障害者やなんらかの違いを持った子供に対する虐めの動機でもある。そして、その残渣を正常な成人でも確認できる筈である。(補足1)その感覚が成人しても大きく残り、障害者施設で働くことで更に大きくなって爆発したのが、相模原事件の犯人だと思う。

この感覚は、生物が生き残る本能の中にあると思う。だれでも美しく健康で逞しい人に憧れ、自分もそうありたいと思う。しかし、人間は生物一般とは大きく異なる筈である。多様な人間が互いに多様性を認めることで、高度な文明社会を築いてきたのが人類の歴史である。そのために、成人するまでに広いスペクトルの人間を受け入れる準備を済ませ、自分の周囲から異質な人を排除したいという感情を制御できる様になっている筈である。それは重要な教育としてなされてきた筈である。(補足2)その教育を台無しにする企みが、モンスターを捕獲するゲームである。モンスターとは、異教徒であり異国人であり、自分がその人から不利益を被る可能性のある人であり、自分の好みに合わない人である。この最後の文には異論のある人は多いだろう。

ゲームを行っている子供や青年で、抹殺されるモンスターの心を一瞬でも考える人は殆ど居ないだろう。(補足3)どのような人間でも醜悪に見えるときがある。ましてや、障害者や介護を要する老人を醜悪に見る人は多いだろう。障害を乗り越えて生きる姿を美しく感じ、若いころからの実績が作り出す老年の美を湛える人に気づく感性を、ほとんどの人が持つほど人間はできの良い生き物ではない。(17:00改訂)

補足:
1)この感覚の残渣を自分の内部にも確認できると感じた人の方が、この種の犯罪に走る危険性は少ないと思う。それは警戒すべき感覚として、その人は意識しているからである。
2)思想や信仰の自由などもこの教育の一つである。
3)この種のゲームが子供たちに与える影響として、例えば問題が生じたとき問題を消し去ることで解決可能だと短絡的に考える傾向を助長するだろう。その結果、新たなもっと大きな問題を生じさせることになるかもしれない。例えばトカゲが嫌いな者が、トカゲの抹殺を考えるのは非常におろかである。トカゲの姿にも可愛さ(害虫退治の役割)を見出すのが人間の知恵であり文化である。

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