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2016年8月14日日曜日

オバマ大統領の核廃絶宣言(2)

1)オバマ米国大統領が核兵器先制攻撃不使用宣言を見送るようだ。それは米国にとって当たり前だろう。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00000196-jij-n_ame  しかしその一方で、オバマ氏は核実験全面禁止を国連に提案する予定だという。これは米国自身に被害は及ばないので、米国政府や議会は無視している。http://mainichi.jp/articles/20160805/k00/00e/030/189000c 私にはこれらのオバマ氏の行動は、国際平和に寄与することを目指したものではなく、単にノーベル平和賞をもらったことを意識して、自分の行動との整合性をとるためと見える。 

核先制不使用を宣言することは、ある国が通常兵器で如何に邪悪な行動に出ても、米国は自国が対象でなければ放置することを意味している。それは、自国の若者を多数死に追いやるような通常兵器での”警察行動”は、直接米国の被害を防止する意味がないなら出来ないからである。

  また、自国が通常兵器での攻撃対象になっても、米国は通常兵器で応戦することになる。従って核兵器を一切先制攻撃に使用しないと宣言することは、核兵器はそのような通常兵器での攻撃を防止する抑止力にならないことになる。またその宣言は、直接米国への攻撃でなければ、同盟国を核攻撃しても核反撃しないと宣言することになる。つまり、友好国が頼りにするだろう米国の核の傘を廃止する宣言でもある。 

「このような宣言を真剣に考えるオバマという人は、なんという無責任な人だろうか。自国や友好国の国民の命よりも、自分のメンツの方が大事なのだろうか」そう思わざるを得ない。そもそも核兵器は拡散の方向にあったし、今後も拡散し続けるだろう。それは時計の針が逆周りをしない限り、止まることはない。文系の知性に欠ける人たちは、物理の拡散法則を無視して「人間の英知」とやらを信用するのか? 

2)そんなことを考えるより、自分の国でピストル保持の免許制度を導入したらどうか? ピストルを保持しない黒人青年が、白人警官に殺される場面が何度も世界に報道されている。「自分は核兵器廃絶を他国に強制する」とか「自分なら核兵器は先制使用しないことにする」という無責任な宣伝放送を世界に向けてするよりも、この自国の深刻な問題を、自分の”平和への強い思い”を力に解決したらどうか。 

国家という強い権力があるのだから、核廃絶よりも遥かに少ない覚悟とエネルギーで可能となる。とは言うものの、それでも相当の覚悟がなければで無理である。なぜなら、ピストルを持つ権利を主張することには、「ピストルを持ちそれを使う可能性のある荒くれ男と対峙するには、自分もピストルを持つこと以外に方法がない」という正当な理由があるからだ。 

核兵器の国家による保持も、個人を国家に読み替えれば同じ理屈で廃絶は困難である。しかも国家権力が個人に対して持つ権力よりも、国際的な枠組みが各国に対して持つ強制力は遥かに弱いのだ。 

3)日本は戦後十分平和的な行動をとってきたにも拘らず、核兵器を持った大国が力を背景に日本領である離島を奪い取ろうとしている。その現状をこのノーベル平和賞受賞者はどう考えているのだろうか。 

また、核兵器を最近保持することになった隣国は、ミサイルを日本の排他的経済水域に飛ばしている。一時期米国はこの国をテロ支援国家の指定をしたが、それを解除した。その国の核兵器保持を承認していない筈なのに、その核兵器を廃絶する努力も十分しないで、オバマ氏は何を言っているのか? 

国際平和 を深く祈念するという崇高な姿勢を、その粗野な核大国による国際法に反する略奪行為の防止にむけたらどうか。離島を略奪されようとしている国は、米国とこの60年以上友好国であり続け、軍事的困難な情況になれば共に戦うという、安全保障条約を締結している国なのだ。 

「米国は、尖閣に他国の公務員と思われる人間がその離島に上陸した時には、その友好国への侵略と見做し、その国の防衛軍と協力して直ちにその島の防衛あるいは奪還のための戦闘に参加する」と宣言してはどうか? その口先介入だけで、その島の紛争は未然に防げる。確実に一つの紛争を、口先だけで解消できるのだ。ちょっと思い切ればできる、確実に平和に寄与するこの効率的な宣言をしないで、出来もしない核兵器からみの宣言を模索するのは何かおかしいと思わないのか? 

  4)核兵器を持つことは、その国にとって得なことである。それが事実でなくなれば核廃絶は自然に達成されるだろう。そしてそれが唯一の核廃絶の道なのだ。

「9段線が地理学上如何に不自然な線であっても、その中の島も岩礁も太古の時代から自国の領土であり、それを埋め立てて自国の領土とし、そこに軍事基地を作る自由があるのだ」と核兵器を持つ大国だから宣言できるのである。おそらくその国は、「尖閣諸島なんて奪うことは容易だ、我々は核兵器を保持する大国なのだから。要は如何に損を最小限にできるタイミングを選ぶかだ」と思っているだろう。

核兵器保持が損な選択であるようにする方向は存在する。それは、世界政府(現在の国連ではない)を実現し、その平和維持軍が現状核兵器以上の強力な兵器を持って、世界を監視する体制を作るのである。そのような体制ができればどの国も他国の核攻撃を恐れなくなるだろう。そして維持費のかかる核兵器など無駄に持ちたくなくなるだろう。 

しかし、そのような世界の体制ができるまでは、核兵器廃絶はいくら叫んでみても出来ないだろう。要するに、核保持が国家にとって得な情況が続く限り核廃絶は原理的に不可能なのだ。 

オバマ大統領に聞きたい。核武力を背景にした上記のような国際法に反する行為を目の前にして、それに具体的に対応する能力を持ちながら、特に有効な手段を行使することなく、「核実験全面禁止宣言(条約)」とか「核兵器先制攻撃不使用宣言」とかを考えることは、あなたの本心ですか?

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