2016年8月31日水曜日

娯楽としてのニュース:小池新知事のパーフォーマンスを見抜けないマスコミ

1)ニュースには二種類ある。娯楽としてのニュースと情報提供のためのニュースである。大衆は前者を好み、多少とも知的な者は後者を望む。商業主義が支配している放送の世界で、民間放送はどれを選ぶかは自明である。ポピュリズムが支配する国の公共放送(補足1)も同様である。

娯楽としてのニュースは、時として残忍な事件であったり、スリリングなスポーツであったり、人気者の結婚式や葬式だったりする。

小池新都知事が築地市場から豊洲への移転を、一旦止めたという政治ニュースも、娯楽番組風に悪者退治の序章風の脚色で流す。小池知事は、期待に違わず爽やかな口調で鮮やかにその理由を説明する。

情報提供のニュースとして流す場合、目的と決定の間の合理性を示さなければならない。オリンピックの円滑な開催のために、環状二号線工事の早期着工がどの程度大事なのか? 豊洲への移転完了が環状2号の着工には必須であるのなら、その工事を遅らせてまで、土壌処理を行った後の豊洲の地下水のベンゼン等含有量の確認を待つ理由は何か?公衆衛生法などの法的問題なのか?

2)最終チェックを待たないでの移転は、再度の土壌洗浄を要することになる確率と、最終チェックを待った場合にオリンピックの円滑開催が不可能となる確率にそれぞれの重要度を掛け合わせて比較し、後者の方が大きいと言う事ではないのか(補足2)。それなら、見切り発車的移転の決定を非難する理由はない。その辺りが、放送や記者会見を聞いていてもわからない。

時間が無限にあれば、あるいは単なる個人の問題なら、立ち止まるのは悪いことではない。しかし、政治の決断の前には、総合的な損得勘定が前もってなされていなくてはならない。小池知事の説明の場面をテレにで見る限り、そのようには見えなかった。

また、食の安全が大事というが、何故土壌の残余ベンゼン等が市場の食品を汚染するのか、そのメカニズムの定量的説明が必要だろう。運びこまれた魚と地下水が接触することがあるのか?普通に水道水を使い、普通に建てたビルのなかでの作業なら、魚がベンゼンで汚染する筈がないだろう。それにもかかわらず、食の安全の方が大事ですからと、言ってのける小池知事とそれを無批判に流す放送担当者の神経がわからない。

あのような新知事のパーフォーマンスを、カッコよく放送するのは、それが娯楽だからだ。

補足:
1)NHKが公共放送なら、国家が予算を出すべきだ。そうでなければ、郵政や国鉄同様、民営化すべきだ。
2)それに直前の日程変更は、市場関係者に混乱と損害を強いることになる。実際の損害でこれが大きいだろうが、それは日程を一月移転としておけば防げただろう。

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