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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

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2017年5月30日火曜日

日本の対中国&対米戦略:百田さんのカエルの楽園論議に思う。

1)百田さんが中心の以下の動画を見た。https://www.youtube.com/watch?v=eZac-l-C5-U 日本の脆弱な防衛体制とそれをかえるべく憲法改訂の話がでている。憲法改訂は当然必要であるから、公明党への配慮とか最初から小さく目標設定するのではなく、本来がこうあるべきだと線でまとめて一度国民の前に出すべきだと思う。否決されたときに、再び対策を考えれば良い。

その中で、このままでは日本が消滅の危機を迎えるとして、百田尚樹&石平のコンビが考えたシミュレーションが紹介されている。中国の尖閣侵略が始まったものの、自衛隊が憲法9条を意識して俊敏に動かないので(補足1)、米軍の支援が得られずにあっというまに尖閣諸島を完全支配される。そこに2、3年で中国の大軍事基地ができる。中国軍との万が一の衝突を避けるべく米軍はガム島に全面的に退却する。そして、沖縄は中国の傘下にはいり、日米安保は、(役に立たないという日本側の考えと、世界の警察官ではないという米国のもともとの考えにより:この部分追加)解消される。

その後、自衛隊の解体へと百田さんの話はすすむ。兎に角その時点では、日本の中国支配は中国の裁量の範囲にあるだろう。現在の日本人には戦う気概などないからである。この日本崩壊のシナリオは一つの筋が通った話だが、それに完全には囚われてはいけないと思う。

2)この動画の中の日米関係に対する考え方が基本的におかしいと思う。従来の米国の路線を単純に、日米同盟関係と米中対立関係と捉えるのは正しくないと思う。本当は:中国と米国の対立はそんなに続かない。中国は米国の本来の敵であっても、米国が最初に滅ぶ国と考えているのは日本ではないだろうか。勿論、中国に滅させるのである。日本人は中国を恨みながら、米国に恩義を感じながら滅びるだろう。(補足2)

単純に考えても、中国か日本かという選択の問題になったとき、米国にとって簡単で且つ損害が少ないのは日本を切り捨てることである。日中国交回復の時のこと、キッシンジャーが言ったというセリフを忘れてはならないと思う。

日本の人たちは馬渕睦夫さんの考え方をもっと勉強すべきだと思う。それによれば、戦後の米国の戦略は、日本を非軍事化するかわりに安保条約で米国の軍事力依存症にして、日本を弱体化するものであった。そして、中国、北朝鮮、韓国、日本をバラバラにすることが、米国の基本戦略だろう。慰安婦問題で日韓がお互いに腹を立てているのも、そもそも米国が李承晩をアメリカから韓国大統領に据えたからである。朝鮮戦争の不思議も、半島の分割がもともとの米国の戦略であると考えると分かる。

中国の脅威が迫っているが、その対策を従来の日米安保を強化する路線で行おうというのでは、日本は米軍依存症から脱却はできない。それでは滅びまでの時間を多少のばすことはできても、命を救うことにはならないだろう。問題設定を、中国の脅威から日本をどう守るかではなく、どうやって中国や米国の強い反対を押し切って、日本が再軍備を実現するかに切り替えるべきである。そう考えると、中国、日本、米国の関係をどう考えるかは、前者の問題意識の場合とは異なる筈である。

米国からの独立と独自軍の保持は簡単ではない。しかし、トランプ大統領の時ならできるかもしれない。米国との信頼関係を保ちながら、中国に「日本は、本当はアジアの国なのだ」と思わせることが、独自軍の保持と拡大には大事であると思う。チャンスを逃さず、核武装(独自核開発、あるいは米国の核兵器の日本国内移送)までやってしまうべきだと思う(極秘でもなんでも構わない)。

3)憲法改正について、国民の合意を得るまでには、間に合わないかもしれないが、歴史教育から日本改造を始めるべきである。その中心を明治以降の歴史に置く。しかも、薩長が陰惨なクーデターを天皇の政治利用により成功させたという、真実にそって教育すべきである(補足3)。昭和史も、自分に都合の良いところだけ取るのではなく、あくまで史実にそって教えるべきである。

トランプ大統領は米国が世界を設計するという考え方をとらないので、彼との信頼関係を強力にすることが大事であると思う。その信頼関係を用いて、米国の犬でなくなった時、正常な対中国関係を作れるだろう。日本の軍備増強は、日本が(米国の犬ではなく)独自の国家であると見えれば、それほど中国の脅威ではないだろう。その結果、憲法改正と独自軍保持が国際的な波風をあまり大きくすることなく可能になると思う。日本が成長すれば、米国と中国の政治的距離は日本というバッファを挟んで遠くなり、本当の意味での米国の国益にも繋がる。このくらいのことができなければ、日本には22世紀を繁栄のうちに迎えることはできないだろう。天才的なリーダーが望まれる。

因みに、北朝鮮を非難している連中はバカである。なぜなら、北朝鮮は危ない橋を渡ってはいるが、米国と中国の両方から独立した国家を建設しつつあるのだから。(もちろん、日本にとっては手本にはならないだろう)

北朝鮮問題を考える時に、同時に考えるべきことは、未だに米国(国連軍の名目)と戦争中であるということである。米国が休戦協定を先に破り韓国に兵を常駐させ、年に一度戦争再開に備えて大規模な米韓軍事演習を行っている事実を、忘れてはいけない。日本のテレビに出る評論家たちは、そのことを忘れているのか、米国のスパイなのか知らないが、そのことをほとんど言わない。日本には大勢の米国のスパイがいることを忘れてはいけないと思う。

補足:

1)よく考えられているモデルでは、先ず漁民を装った兵士が暴風を避けて島に避難する。その次に正規軍が漁民の救助ということで尖閣に停泊し、そのまま実効支配するというプロセスである。この時、憲法9条になれた自衛隊は戦う機会をみつけられないままに実効支配されてしまう危険性が極めて高い。つまり、漁民漂着の段階で銃撃することが、今の憲法下で自衛隊にできるかというと、普通の感覚では疑いが生じる。
2)このような戦略も、米国全体というより支配する一部の考え方だと思う。複雑な米国だからいろんな勢力があると思うし、更に国民となるとあまり多くを知らないと思う。
3)薩長は天皇を利用したのであって、天皇の下に集合したのではない。過度な右翼的姿勢は道を誤る。我々すべてが天照大神の子孫ではない。単一民族思想は国も硬くするかもしれないが、脆くする。

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