2017年6月10日土曜日

キッシンジャーの日本観と日本が取るべき今後の対米姿勢

1)今日、北野幸伯さんの無料メルマガが届いたので、その中で紹介されている“アメリカ政界の怪物・キッシンジャーが語った「日本観」と「中国観」”を読んだ。ここで書かれているキッシンジャーの日本観は米中国交回復の時の話でよく知られている。つまり、キッシンジャーは日本を非常に低く評価し、米国の対アジア外交の中心として中国を置くだろうと言っているのだ。

そこに再録されたキッシンジャーの日本観と対日外交の考えの概略を記す。(情報公開され、産経新聞(2002/8/6)に紹介された)

日本は自国の社会があまりに異質なので、社会を適合させ国の本質を守ろうとする。日本は突然の大変化も可能で、三ヶ月で天皇崇拝から民主政へと移行した。日本人は自己中心的で他国に対する感受性に欠ける。日本が独自に国防を行えば、軍事拡張で周辺諸国の脅威となるだろう。現在の日米安保体制は日本を束縛する為にある。米国は日本に最低限の武装しかさせないし、核武装させない。(補足1)もし、日本が強力に再軍備拡張計画を開始すれば、米国は中国との嘗ての同盟関係でそれを阻止するだろう。

嘗ての同盟関係とは対中戦争での蒋介石支援だとメルマガに書かれている。しかし、大戦後中国共産党政権を誕生させたのはマーシャルとアチソンだという説が有力(補足2)なので、キッシンジャーが言及したのはこちらの可能性の方が強い。

この米中で世界を支配することを考えているキッシンジャーを顧問としてトランプ政権は抱えている。北野氏は続ける。

日本には「核武装すれば全て解決する」と安易に考える人がいます。しかし、日本が米国の許可なく核武装すれば、日米同盟は解消され、米中同盟が出来上がり、米中が協力して原油等の搬入ができない様にすることで叩き潰されるでしょう。

2)日本はどうすべきなのか。北野幸伯さんは、「日本は日米関係をますます強固にしていくことを最優先課題にすべきである」と提言する。北野さんの考えに一理はあるが、本当に更なる対米従属しか処方箋はないのか?素人の私がこのような意見を言うのは気がひけるのだが、北野さんの分析は浅すぎるように思う。

先ず考えるべきは、「キッシンジャーは何故トランプ大統領の顧問になったのか」ということである。トランプ大統領は選挙前には、「日本も韓国も核武装すれば良い」と言っていた。また、「アメリカが世界一の派遣国として、世界中を相手に警察官をすることなどない」という趣旨の発言をしていた。これらがトランプ大統領の本心だろう。従って、大統領になってからキッシンジャーを顧問にしたのは、恐らくトランプ大統領の意志ではないだろう。

キッシンジャーは民主党政権の顧問だった人である。米国には他にも有能な人はたくさんいるだろう。今更、93歳のボケが始まっている筈の男を顧問に迎える必要があるだろうか?私は、キッシンジャーは同じ考えを持つ影の支配者の補佐役ではないのかと思う。つまり、民主党とか共和党とか言うのは、米国政治の表の薄皮であり、中は影の支配者の指令によって大統領も国務長官も操縦されているのではないのか。

その支配者の意思がどこにあるか分からなければ、対米従属を続ける路線は破滅への道かもしれないのだ。米国は、過保護により子供をダメにする母親を手本にして、片務的軍事同盟を結んで日本を骨抜きにする戦略をとってきた。その路線を疑うことなく走る日本の自民党傀儡政権が日本国民から批判されないように、米国は経済的には寛容な政策を取ってきた。

日本の骨抜きのために寛容な政策をとってきたのなら、米国に一層献身的に協力する日本の新しい姿は、米国の目には急に距離を縮めてバカ(ブス)に見えるだけである。腹黒ボスの心に強力な反発力を誘起して、蹴飛ばされるのがオチだろう。

3)ひょっとして、影の支配者の中心にいた人は、この3月に亡くなった人ではないのか。何れにしても、時代は動いている。キッシンジャーが1971年頃に周恩来に対して発した言葉を、そのまま受け取るのが妥当かどうかを考えるべきである。また、キッシンジャーのトランプ政権の位置がどのようなものかそれも掴むべきである。キッシンジャーの発言とトランプ政権の動きとの相関を慎重に分析すべきである。

それに第一、1)に書いたような考えを主に周恩来などに披露したとしても、それがキッシンジャーの真意なのかどうかさえわからない。トランプ大統領もキッシンジャー氏も、それに裏にいるかもしれない黒幕も、巨大化した現在の中国を決して味方だなどと考えてはいないだろう。それに、アメリカンファーストという人が率いる国家が、世界中の国家を早々に敵と味方に分類するのは不自然である。

もちろん、中国の首脳の方は優秀なので、当時でもキッシンジャーの考えをそのまま受けていなかっただろう。どうせ、自分以外を分断して小粒化し互いに反目させ、自分の立場の強化を狙っているのだろうと思った筈である。

北野さんと違って、日本は中国ともっと対話すべきであると考える。また、米国の逆鱗に触れるのは賢明ではないので、米国にも従来通りの「ご指導とご支援賜ります様、お願い申し上げます」を続けるべきである。それが米国にとって、鬱陶しくならないように、米国と相談の上で自衛力の強化を図るべきだと思う。その路線を現在の安倍政権は歩んでいると思う。ただ、それを支援する取り巻きに優れた人材がいないのが残念である。

とにかく、時代は動いている。今や、共産中国を育てたりする考え方は米国にはないだろう。共産主義はすでに破綻しているのだから。

補足:
1)オバマ政権のバイデン副大統領がクリントン氏の応援演説(大統領選)の際、「日米安保は日本の軍国化を阻止するためにある」と発言した。
2)Joseph R. MacCarthy, “America’s Retreat from Victory”, The Devine-Adair Company, New York, 1952.

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