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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2017年10月11日水曜日

北朝鮮問題は、冷戦後の東アジアの秩序形成という視点で解決すべき:日本の与野党両方にその様な視点が感じられない

米国も日本もロシアも中国も、朝鮮半島の非核化には賛成である。しかし、北朝鮮が核兵器を放棄する方向に、中露は日米韓に協力しているのだろうか?どの様に交渉すれば、これら二つの強国は協力するのだろうか?

もし北朝鮮が中距離核ミサイルまで持ったまま和平の話が進み、更に韓国と統一朝鮮をつくったら、日本はどうなるのだろうか? もし、米国と北朝鮮が引くに引けずに衝突してしまったとき、自動的に参戦する日本では、一般市民多数が殺されるだろう。米国は日本を完全に防衛するというが、信頼できるのだろうか? 

問題はもっと深いところから考えないと、解くことはできないだろう。日本国民の安全を将来に亘って確保することはできないだろう。

1)今回の解散・総選挙は昨日のNHK夕方のニュース番組で言ったように、安倍総理が北朝鮮問題に対して世論の信任を得るためである。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43425617.html

従って、そこで議論すべきは、北朝鮮の脅威へどのように対処するかであり、希望の党の党首である小池氏の“消費税とその使い道”とか、立憲民主党の言う“政治を安倍独裁から取り戻そう”と言った議論は、今回の選挙のための議論としてはピント外れである。この最重要な点について積極的な議論の姿勢が感じられない両党には、その点で政権政党としての資格はないと思う。

共産党は現行憲法を守るという意見であり、それは米国との集団安全保障体制に反対であるという主張だが、具体的に北朝鮮問題をどう考えるかの議論はない。もちろん議論すれば、話し合いで解決するとしか言わないだろうから、どこか他所の国の利益を代表している印象をうける。

選挙で騒がしくなった日本では、北朝鮮問題を首相や防衛相が口にしても緊迫感はあまり感じられない。命がけで国境をまたぐ子供や女性の姿をテレビでみても、日本列島の住民は、平和は水と同様タダで手に入ると思い込んでいる。(補足1)

昨日も、北朝鮮に圧力をかけるべくB1爆撃機2機をグアム島から派遣し、韓国と合同演習を行い、その中で空対地ミサイルの発射訓練を実施した。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171011-00000005-yonh-kr

一方、朝鮮労働党創建72周年記念日の昨日、北朝鮮の党機関紙・労働新聞は1面トップに社説を掲げ、「国防工業部門では、(核開発と経済建設の)並進路線を貫徹し、核武力建設の歴史的大業を完遂しなければならない」と訴えた。しかし、その様なニュースはなぜかこの国ではもはや刺激的ではない。

現政権を担当する政党を始め、日本の政治家にはまともな知識と覚悟があるのだろうか、最近の選挙関連のニュースを見聞きして不安で一杯である。この問題に関係する政府の閣僚は、小野寺五典防衛相と河野太郎外相である。たまたまその二人が選挙応援演説する動画を見つけた。かなり長い話ができるのだが、具体的で説得力のある話はなかった。もちろん、選挙演説なので仕方がないだろう。本当はどう思っているのか、どこかで論文にできるくらいの知的準備をしてほしいものだ。https://www.youtube.com/watch?v=mtBvgFFjMzY

しかし、米朝の対立関係は益々厳しさを増しており、そのような国際環境の中で、日本国民の生命と財産を守るという点で頼りになる政治家と政党を選ばなければならない。短期的に考えざるを得ない状況なので、議論の余地などない。

2)北朝鮮問題の根幹にあるのは朝鮮戦争である:

北朝鮮が戦力増強に走る理由は朝鮮戦争が未だ終わっていないことである。毎年、米国はその戦争を念頭に韓国と合同軍事演習を行っている。その脅威が北朝鮮の金日成をして、核武装の計画に導いた。(武貞秀士氏)朝鮮戦争の休戦協定では、3ヶ月以内に関係国の政府により、外国軍の朝鮮半島からの撤収や平和条約の話し合いを進言している。(4章、項目60)https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43437466.html

実際、中国の人民軍はその進言に従って、半島から引き上げている。その進言に真摯に対応しなかったのは米国である。1975年に、国際連合総会は休戦協定を平和条約に置き換えることと国連軍を解散することが望ましく支持するとの決議案を採択した。それにも関わらず、6カ国協議という設立根拠はさっぱりわからない会議をつくって、国連の採択を無視したのは米国である。(補足2)その点を抜きにして、この問題の議論は成立し得ず、またその解決はあり得ない。

もちろん、米国にはそのような外交戦略を取る理由が存在したのだろう。何故なら、冷戦は終わったものの、東アジアではその後新たな安定した国際的秩序は達成されていない。中国は依然として、共産党一党支配の国であり、その国内の政治は欧米や日本よりも流動的である。習近平政権が、中央政治局常務委員(チャイナ7)の集団指導体制から、独裁体制に移行すべく一帯一路構想と軍拡路線を採っているとの考えもある。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43388268.html

東アジアは、政治的に不安定さを残している。そこには、異文化の異なった政治体制を持つ大国である中国の存在が、そして、現在は同盟国だが第二次大戦では非常に手強い敵国であった日本が存在し、米国はそれらの国に対して十分な信頼感を持っていないのだろう。それが、米国をして朝鮮戦争を未決の状態に冷蔵させた理由だろう。実際、東アジアに足場を置く理由として朝鮮戦争を必要としてきたと明言する米国要人の言葉を、すでにブログで紹介した。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43411999.html

更に、中国の専門家である河添恵子氏が言う様に、北朝鮮との国境付近(北部戦区)で江沢民派の勢力が強く、人民軍の統制に関して習近平が完全な力を有していない可能性もある。

東アジアは依然不安定である。中国を味方にして、北朝鮮問題の解決を図るという米国の戦略にも限界がある。米国は、自国がどのように東アジアで振舞ってきたかを振り返り、その中で生じた同盟国を信頼して、その安全と自立に協力してほしい。主に東アジアを動かしてきたのは米国だから、米国にできないことは何もない筈である。

3)そんな中で、ロシア外相は9日米国国務長官と電話会談した。ロシア外務省によると、ラブロフ外相は「朝鮮半島におけるいかなる緊張の高まりも容認できない」と強調し、外交的な手段のみを通して対立を解決するよう呼び掛けた。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171010-00000003-reut-kr&pos=1

この様なロシアの発言は何を意味しているのか、ロシアとのパイプがあるのなら、その真意を確かめるべきである。北朝鮮は核開発を国家の中心的プロジェクトとして考えているが、①貴国は北朝鮮の核開発を支持されますか? ②支持されないのなら、どのような外交的交渉を貴国は提案されますか?

ロシアも北朝鮮問題を政治利用する可能性もあるし、逆に問題解決に貢献できる可能性もある。ロシアを後者に導くことを日本政府は考えるべきである。中国とロシアは戦略的パートナーシップを築いていると考える向きもあるが、世界一長い国境線を有する互いに相手を一定の緊張感で眺める関係でもある。その関係が、北朝鮮に対する姿勢の差として現れている様に思う。

その両国の関係を複雑化させるのではなくより安定化させることで、日本が対露関係や対中関係をより密接で建設的な関係にできる可能性がある。その過程で日本が北朝鮮問題解決への寄与だけでなく、経済的大国で政治的未熟国の看板を返上して、一人前の国家として自立するチャンスを得る可能性もある。

北朝鮮の問題の解決において、米国との関係のみで頭が一杯だとすれば、日本国民の安全など守れないだろう。日本の政治家が、北朝鮮問題を冷戦後の新しい東アジアの安定した秩序形成という視点で考え、米国及び近隣諸国と協力して解決するように努力すべきだと思う。

安倍総理、自民党の幹部の方々には是非、この問題を深く考えてもらいたい。野党も真剣に議論に参加してもらいたいものである。(最終編集は10/12/6:30)

補足:
1) 日本では歴史に学ぶことはしない。何故なら、その過程無能な人間、失敗をした人間などが表にでるからである。無能な人間、日本を破壊に導いた人間でも、日本政府で高い地位に居た人間は、尊敬されなければならないようだ。その結果なのか、現在の政府要人の多くは、未だに倒幕勢力の末裔である。”明治維新”などそんな立派なものはなかった(原田伊織著の本)といえば、白い目で見られるだろう。日本人にとっての歴史の基礎は、悪い過去を隠すことであり、気にしないことである。
2)国連は1975年の決議のあと、1996年にも休戦協定の重視を安全保障理事会議長声明という形で出している。6者協議の第一回開催は2003年である。(ウイキペディア)

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