2017年10月30日月曜日

安倍総理による衆議院解散は憲法違反である:日本の政治における最高裁判所の責任(2)

(追記13:00)以下は、安倍総理による衆議院解散を批判するためではなく、そのような解散に対する判断を避けてきた最高裁を批判するために書いた。

1)憲法第41条には、「国会は国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」と書かれて居る。しかし、先日の安倍総理による衆議院解散は、内閣不信任案の可決などがなかったにもかかわらず行われた。従って、国権の最高機関をより下位にある内閣が、天皇を利用して(憲法7条)正当な理由もなく解散したことになり、憲法違反であると思う。

この件、理由なき解散と言われてきた。内閣に如何なる理由があったとしても、総理大臣の一存で衆議院の解散など憲法の規定によればできない。解散権は総理の大権だという与党議員の声をしばしば聞くが全くのインチキ発言である。もし、内閣が前回選挙の時に現在のような国難というべき事態を国民が考慮していないと考えて、内閣への信任を確認したいのなら、内閣信任案を与党(総理は与党の総裁である)から国会に提出し、国会の決議でそれは行われるべきだと思う。

その件についての指摘が憲法に戻って詳細に報道されないのは、この国のマスコミのレベルの低さだと思う。確かに慣例として総理大臣は衆議院を解散する権利を有するとされてきた。小泉首相のときの郵政解散も同種の解散であった。しかし、この慣例にたいして批判が強くないのは、野党議員の無知と日本の法律学者のレベルが異常に低いことが原因だろう。(補足1)

この件を憲法の条文に従って、以下復習する。衆議院の解散について記述した憲法の条文は、憲法7条と69条である。憲法7条には、天皇の国事行為に関して次のように書かれて居る。

憲法7条:天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 1。憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること;2。国会を召集すること;3。衆議院を解散すること;以下省略(他に、国務大臣の任免、栄典授与等が含まれて居る)

憲法69条には次のように書かれて居る。「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」

憲法7条によれば、解散を決定するのは、内閣である。その決定には、69条記載の国会による内閣不信任がなければならない。内閣不信任案の可決や、内閣の信任案の否決がないにもかかわらず、内閣総理大臣が天皇の国事行為の一つとして、衆議院解散を行うように助言と承認を行うのは、明らかに憲法69条に違反する。

2)内閣による衆議院の解散が、憲法69条により衆議院で内閣不信任案が可決された場合に限られるのか、それ以外の場合でも認められるのかは、古くから、憲法上の論点とされてきた。その点について議論しているブログがあった。http://ironna.jp/article/620

この衆議院で内閣の信任が否定されたことを理由にする解散(憲法69条による解散)ではなく、内閣が一方的に憲法7条を根拠に解散したことは違憲であると主張する裁判が1952年に起こされた。

その裁判は、高裁で合憲の判決が出された。その上告審で、最高裁でいわゆる統治行為論を採用し、高度に政治性のある国家行為については法律上の判断が可能であっても裁判所は審査権のそとにあるとし、違憲判断をせずに上告を棄却した。その後、憲法7条による衆議院解散が慣例化したと書かれて居る。ここでも最高裁が屁理屈を担ぎ出して責任を放棄し、日本の政治を悪くしているのである。

この国は最高裁の所為でガタガタである。以下のある法律家のブログ記事も参考になる。 http://www.seirogan.co.jp/blog/2012/11/post-47.html

(12:00編集あり)

補足:
1)以前から書いて居るが、日本の大学における文系諸学部のレベルは異常に低い。それは、文系学問での国際交流が活発ではないからだろう。日本の情実人事が無能な人間を大学教授にしているのだろう。「一級の人間は一級の人間を雇う。二級の人間は三級の人間を雇う」という法則の通りである。

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