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2018年4月22日日曜日

北朝鮮は核放棄しないという意見とその信憑性:日曜討論について

1)フジテレビ系の番組で北朝鮮問題を議論していた。ゲストは宮家邦彦、武貞秀士、有本香の三氏である。武貞氏は、「北朝鮮は核保持を憲法に唄っているので、廃棄は困難である。従って、米朝交渉の入り口で核を捨てさせるという戦術は取りえない。北朝鮮は核兵器を朝鮮半島統一のために持っているのだから、出口で捨てさせるようにするしかない」と言っている。更に、「統一のための核兵器だから、統一してしまえば役立たない」という発言は、日本人とは思えないものである。

私には、武貞氏が何人でどこの国の利益を考えてこのようなことを言っているのかわからない。武貞氏は拉致問題の解決を最大の成果として、今回の北朝鮮問題の幕引きを受け入れる考えのようである。それは、韓国の意見の代弁のように聞こえる。武貞氏に対する似たコメントがあったので引用する:https://snjpn.net/archives/31057

武貞氏、そして、ホスト側のパックンが言うように、トランプは北朝鮮の核放棄を諦める路線を取る可能性が高い。一方、宮家氏は米国の利益を代表するかのように(日本国民を騙すことになると思われる)、米国の強硬姿勢を宣伝している。両者の意見は対立するように見えるが、実は同じ将来を違う角度から見ているに過ぎないと思う。呉越同舟とはこのような時に使うのだろうか?

チャンネルを替えた時、毎日テレビ系の放送で寺島実郎氏が、日米首脳会談の中身を議論していた。そこで、「安倍総理とトランプ大統領は蜜月関係を演じているが、外交関係で重要な問題の議論はほとんどしていない。朝鮮半島問題では、日本側を納得させるために拉致問題解決と貿易問題での譲歩で終わるのではないか」と言っていた。

これらの番組出演者の姿勢で共通しているのは、核兵器を持つ統一朝鮮の出現を(渋々か積極的かは別にして)認め、日本から独自核武装の議論を排除するという、米国並びに日本以外の極東アジア諸国の戦略に沿っている点である。

その為の有効な日本国民を対象にした目くらまし手段は、拉致問題である。つまり、拉致問題を、これらの問題と同じかそれ以上に大きく見せかけて、その解決を日本国民に見せるのである。つまり、日本もこの朝鮮半島問題の解決に関して、蚊帳の外ではなかったと、日本国民を騙すのである。

拉致問題(拉致被害者救出問題)は比較的小さい問題であることは、既になんども書いてきた。4月9日、4月18日のブログ記事もその趣旨で書いた。(補足1)

2)米国のトランプ大統領は、朝鮮半島統一の時に、完全、検証可能、且つ、不可逆的に除去する(complete, verifiable, and irreversible dismantlement; CVID)形で核兵器を放棄するという類の約束を例によってするだろう。しかし、その約束は、完全で検証可能な形で後々テーブルの上に置かれないだろう。そして、その約束は単に幻の出口に置かれたゴミ箱の近くの紙テープに過ぎないだろう。

これまでごまかし外交を常としてきた北朝鮮と米国の歴史を考えれば、数年後の約束など風化消滅する可能性大である。宮家氏や有本香氏の言う通り、二度あることは三度あるだろう。これまでの北朝鮮の約束反故は、北朝鮮だけの責任ではない。それを許した米国の責任も同程度非難されるべきであると言う人も、トランプ大統領を含めて多いだろう。それを攻撃しながら、これだけのパーフォーマンスをしながら、同じことをトランプ大統領はするだろう。これまでを非難して、脅しの格好をして、新たな約束をするだけなら、誰でもできる。実行は他人任せなのだから。

そこまでは、共演者としての日本のトップが安倍総理であってほしいというが、本音だろう。安倍氏との外交なら、なんとなく格好がつくのである。野田聖子氏や石破茂氏が仮に俄か総理になったとしても、この演技は無理であり、米国が日本に押し付けたという印象を四方八方に与えてしまう。

これらの放送で、日本の防衛をどうするかの議論が欠けているが、それは元々これらの放送局は日本の自立など視野にないから当たり前かもしれない。日本は朝鮮戦争の当事国ではないので、この北朝鮮問題について直接的に拘らない。宮家氏が言ったように、本来蚊帳の外で良いのである。しかし、事が東アジアの政治的安定性、そして、日本国の防衛問題にまで影響するのなら、日本も積極的にその部分で関与すべきだろう。 それと同時に、事の成り行きを睨みながら、日本の防衛体制を独自に考えなければならない。その話を今回首脳会談で、安倍総理とトランプ大統領がしたのなら、評価されるべきである。従って、いつも政治の問題と同様、安倍外交の評価は歴史がするだろう。兎に角、憲法9条第二項を変えるべきではないという意見の政党が、与党に加わっている現状では、日本の将来はないし、その日本の現実を金正恩の所為にするのは、迷惑な話だとキム氏は言うだろう。

補足:

1)この拉致被害者救出問題を、一般に呼ばれるように単に拉致問題と言及するのは非常におかしい。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43631245.html それは、この問題は既に終わった「北朝鮮国家による日本人拉致事件」と、これから日本政府がやらなくてはいけない「日本人拉致被害者救出問題」の二つを一緒にしているからである。前者の責任は日本政府にあるのだが、不思議なことにその追求をだれもしない。(上に引用の記事参照)後の問題は、日本の防衛力の問題であり、防衛軍を背景にして北朝鮮と交渉すべき問題である。憲法9条第二項の廃止に反対する与党の一部と野党の連中が、拉致被害者救出を大問題のように言うのは、論理的におかしい。西部邁さんの、彼ら等を非難するジャップドットコムという声が無くなったことが、非常に悔しい。

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