2018年7月4日水曜日

帝国にモラルは期待できない:中国の直線的行動

1)国際社会に善悪の基準(”モラル”)が生じたのは、其々の国家で個人が顔を出したからだと思う。つまり、それは18世紀のヨーロッパで生じた議会制民主主義の導入などの結果である。その歴史を共有しない国家が、世界の中の主要国に含まれることになり、国際社会は再び善悪の基準劣化の危険性に直面している。

国際社会には、元々構成する国家を“暴力装置”で従わせる超国家的権力やそれを正当化する権威もない。従って、本質は野生の支配する空間である。そこには従って、人間社会のようなモラルも法も、元来存在しない。(補足1)

しかし、現在個人のモラルに似た国家の“モラル”が、個人のモラルの投影として持ち込まれているように思える。そのモラルの投影の原動力は、繰り返しになるが、国家の運営に携わる人々を、個人としての権利を持った国民が選ぶというプロセスにある。

つまり、世界が独裁に向かうとしたら、同時に上記“モラル”も消え去ることになる。何故なら、モラルの役割は各個人が協力して社会を形成し、個人的利益追及を抑制することであり、そもそも独裁とは対極にあるからである。(補足2)

独裁国は“戦争あるいは紛争”において、勝利或いは解決に向かって個人を無視した戦術をとり、そこには配慮すべき個人の権利などは存在しない。また、軍事技術は高度に発展しており、従ってそのプロセスにおいて必然的に個人にとっては悲惨な場面を含むだろう。国際社会は益々文明社会から遠くなり、野生の世界に近くなる。

本質的に野生の支配にある「国際社会」での生存競争において、中途半端な“モラル”を持つ民主国は、それを持たない手足を縛られない独裁国と比較して不利である。その結果、民主国も生き残りのために独裁的国家に変貌するだろう。つまり、独裁は世界に伝搬する。世界から“モラル”は消失し、世界は混乱に向かう。それが、現在世界が向かっている方向だと思う。

2)現在世界の混乱は、全くことなった政治体制の国が覇権国と次席覇権国として存在することである。共産党独裁国家であった中国が、鄧小平の資本主義の導入という経済発展への近道を経て、その後スターリンや毛沢東の時代の独裁国の姿に変身した。

その巨大化した経済力を軍事力に転換し、世界制覇に向かって直線的に進んでいる。一帯一路およびAIIBにより、世界覇権を目指している様である。(補足3)それは、独裁国が運命的に持つ経済における非効率性を、発展途上国の支配や西欧先進国の経済力の吸収で補い、自分の体制維持を図っている様にも見える。

その危険性に気づいたのはオバマ政権末期の米国である。そこから高度な戦略的思考により中国封じ込めを行うべきところを、短絡的手法に切り替えてしまったのが、トランプ政権ではないのか。

北朝鮮の核兵器開発に対し、持たなくても良い恐怖を米国民に植え付けた。そして、それを取り除くと称して、朝鮮戦争そのものを解決するという歴史的偉業の主人公を目指した。そのために北朝鮮への経済制裁と米軍による軍事的圧力を稚拙に用いたため、結果として北朝鮮を中国の持ち駒としてプレゼントすることになった。

それだけでなく、将来韓国を含めた朝鮮半島全体を中国にプレゼントすることになり、日本も孤立の結果、このままでは最終的に中国圏となる可能性が大きいと思う。

実際、尖閣諸島は近々中国に侵略されるだろう。(補足4)最近特に危険性が増したのは、トランプの米国は北朝鮮に対して軍事オプションは取らないことを明確にしてしまったからである。米朝首脳会談の失敗により、そして、中国や北朝鮮のトップに比較して劣った米トップの能力により、東アジアは今後混乱し、“モラル”を持たない中国の直線的行動により支配される可能性が大きいと思う。

そのシナリオが成立しなくなるとすれば、中国経済の崩壊とそれに対する習近平政権のハンドルミスだと思うが、それに期待するのは情けない。

以上は、理系素人のメモとして書きました。(4日早朝三箇所語句修正あり)

補足:
1)国際秩序は、現在主に第一次大戦後整備されたパリ不戦条約や戦時国際法により保たれているようである。国連憲章などは、大戦後ということもあり理想論の方向に大きく展開している。(素人なのでこのあたりの知識はありません。)
2)独裁者は、常に自分の命の危険を感じている。そしていつかは命を失う。従って、独裁者の人間性(モラル)はその国家に投影されない。中国の大躍進運動や文化大革命のころの悲惨な光景は、ワイルドスワンズに書かれている。その本は、中国では発禁である。 民主政治の下での国民は、国家が続く限り存在する。従って、個人の生死を超えたモラルが存在し得る。(国民全体が命の危険を感じた時、その国家は全体主義という独裁制を採り、”モラル”を喪失する。)
3)中国は、バングラデシュやモルジブに独自に軍事基地を構築している。そのやり方は非常にスキャンダラスである。最近は、南太平洋のバヌアツに進出していて、オーストラリアも警戒しているという。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-11/P706NI6JTSE901
https://jp.reuters.com/article/possible-chinese-base-pacific-idJPKBN1HI0TS
4)現在、中国海警局の公船が領海侵犯を繰り返している。7月から、海警局公船の乗組員はこれまでの公務員扱いから、組織改編により、軍人に準ずる武装警察官に統一されたという。http://www.1242.com/lf/articles/112610/?cat=politics_economy&pg=cozy

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