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2018年9月14日金曜日

プーチン大統領の領土問題は積み残して平和条約を締結しようという提案について

1)12日夜のNHKニュースで、東方経済フォーラムの全体会合において、ロシアプーチン大統領が標記提案をする様子が放映されていた。領土問題の交渉を行うと条文に明記し、今年中にも平和条約を締結するという案である。

安倍総理は、習近平を挟んで向かって左に座っていた。その全体会議において、世界に公開した形で、プーチン大統領は提案したのである。本来二国の首脳間で行うべき条約交渉が進展しない状況を考えて、本音を自国ロシアを含む世界へ公表したのである。

官邸の菅官房長官は、同じニュースで日本の方針はあくまでも領土問題解決したのちの平和条約締結であるが、全体会合でのプーチン発言に抗議する予定は無いと発表した。(中日新聞13日一面)

このプーチン提案に対して、自民党総裁に立候補している石破茂氏も、領土問題の解決を抜きにして平和条約を締結すれば禍根を残すことになると発言している。そして、「私は経済協力が進めば、領土問題が解決するという考えは持たない」と指摘した。(中日新聞13日二面)

このプーチン提案、多くの人が議論している。例えば、内閣参与の藤井聡氏は、盗人猛々しい的な発言で、プーチン提案を批判し攻撃している。 https://www.youtube.com/watch?v=k4KpVuSkpgE(補足1)

彼ら(官房長官、石破茂、藤井内閣参与)は何も解っていない。

また、昨夜のBSプライムニュースでこの問題が話し合われたようだ。https://www.youtube.com/watch?v=PHc3KTUNTgs

全体会議の傍聴側(客席)に居た片山氏は、プーチン発言をとんでもないと捉えているようだが、東郷元外務次官は、あの発言は思いつき発言ではないとの証拠にも言及して、平和条約の締結のチャンスであると言っている。ただし、プーチン発言を支持している訳ではなさそうである。

それを10分ほど聞いてコメントを投稿した。それを以下に引用する。

2)最初の10分までですが、感想を書きます。(以下編集あり)

私はプーチンの”思いつき案”に賛成である。歯舞色丹が返還された場合、日米安保条約に基づいて、沖縄と同様に(ロシアにとって仮想敵国の米軍が)米国が基地を設営したいと言ってくる可能性が危惧されるのは当然である。その目的は、対露作戦と対日作戦の両方が考えられる。

それらの島に米軍基地を置かないという日米合意を、日米安保条約に書き込むことは不可能である。また重要なことは、「平和条約締結を本来強く進めるべきは、敗戦国の日本である」という点である。強力な軍事力、核攻撃能力を持つロシアと、日本は戦争を再開出来ますか? ロシアは、日本の同盟国である米国と何時更に関係が更に悪くなる可能性があります。その事を考えていますか? 石破さんらに、そう私は言いたい。

平和条約という言葉の原点を、強力な米国の影に居て、日本の人たちは忘れている。戦勝国と敗戦国の関係と現在日露間に大差がある軍事力を考え、戦後賠償金という言葉さえプーチンの頭には在る筈である。賠償金?と疑問に思う人はいるだろう。それは、何か悪事を成したことに対する賠償金ではない。戦争をここで終結するために敗戦国側が支払う一時金である。

国家と国家の関係は、野生の原理が基本である。現在、米国が世界に君臨しているので、一応法と権威が存在する疑似社会のようは様相を示している。しかし、トランプは世界を混乱に導く方向に走っている。中国は、国際社会という言葉を都合の良い時だけ用いている。

中露の同盟が一層強くなれば、トランプは東アジアから撤退するだろう。実際、先日のロシアの極東軍事演習では中国軍の参加もあった。残された日本は、ロシア、中国、朝鮮の核保持国の同盟に囲まれて、窒息するだろう。

繰り返すが、日本人は平和条約という言葉の意味をもう一度考えるべきである。今の時期を逃せば、禍根を残すのは、日本である。 20回以上会談をして、議論の余地は残されていない。それでも決着がつかない平和条約交渉である。これ以上の話し合いは無駄であると気づくべきだ。それがあの全体会議というオープンな場でのプーチン発言に繋がったのだろう。

片山氏は、国内問題を意識した発言だというが、外交も当然国内を意識して考える問題である。また、安倍総理の朝鮮問題での素晴らしいパーフォーマンスについて、世界の通信社が「日本の総理が、北朝鮮の非核問題等でアイスブレイクした」と報道したと“よいしょ”しているが、それは無意味な発言である。

世界の通信社など、国連人権委員会、ノーベル財団平和賞選考委員などと同様、無責任な大衆の声である。片山氏が日本の国民の福祉と安全を第一に考える政治家ではなく、今後の党内での位置を考える政治屋であることを示しているだけである。

3)ここで、繰り返しになるが、一言追加しておきたい。
有史以来、国家間の戦争には、自然界の命を懸けた戦いと同様に、ルールも何も無かった。単に、国家が互いに他国民の命を奪い合って、領土や利権を争うことであった。その本質が、20世紀前半には戦争論の教科書にあるように、戦争が外交の延長になった。国家をメンバーとする社会が部分的に出来たのである。

その社会化は、国際連盟などの国際機関の設立で、いわば頂点に達した。しかし、兵器の飛躍的発展と、中国を始めイスラム圏やアフリカが国際社会の重要なメンバーになることにより、再び野生の世界に戻りつつあると思う。

それは、資源枯渇、食料不足、環境汚染などで加速されるだろう。本格的戦争にならなくても、局地的だがその民族にとって致命的な戦争や、全く新しい植民地化が起こるだろう。そこで、核武力の有無によって、世界は水と油のように二分されるだろう。世界政府樹立と万国公法による世界支配は、夢幻であったと思う。

そのような視点で、もう一度平和条約の意味を考えるべきだと思う。

補足:

1)日ソ共同宣言の6項目に、「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する」と書かれている。「日本国に対し」と書かれている点に注目してほしい。

また、9項目に「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。ここも「日本国の要望に答え」と書かれていることに注意すべきである。

この後者の同意点或いはその変形を、ロシアは現時点で平和条約に書き込め無いと言っている。また、共同宣言はソ連との間のもので、日露間のものではない。簡単にこれから建設する日露平和条約の基礎工事が完全に出来ているとは考えない方が良いと思う。

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