2022年12月30日金曜日

天皇制を利用しようとする右系保守の危険性

馬渕睦夫さんの天皇制に関する議論は、恐らく保守系右派に共通だろう。馬渕氏は、「天皇は日本国民をまとめる存在であり、統治すると言っても西欧の国王のような存在ではない。その原点に、ニニギノミコトが日本(豊葦原瑞穂の国)に降臨された時にアマテラスに授けられた神勅がある」と仰る。https://www.youtube.com/watch?v=76isINej6L8 (画面アップ出来ず)

 

アマテラスは、天壌無窮の神勅など三つの神勅を授けた(補足1)。その中の「就でまして知らせ」という言葉は、「日本に行って治めなさい」と言う意味である。この“やまと言葉”のシラスは、統治するというより、国の民をまとめるという意味である。

https://note.com/onoteru/n/nff122e981bd3

 

馬渕睦夫氏は国学(或いは水戸学というべきか)を高く評価する保守右派であることを自認されているのだろう。国学(ウィキペディア参照)が儒学や蘭学に対抗する為に発展したと言われるように、上記神勅が一般に議論されるようになったのは、明治以降、西欧の政治思想(共和制や共産主義)に対抗する為だったことをもっと重視すべきだと思う。

 

昭和の軍部の暴走やそれに平行する皇国史観において、この神勅が果たした役割を考えると、天皇制についての上記のような理解が広まれば、再びその惨禍を繰り返すことになるように思えてならない。

 

私は、江戸時代までの天皇制は、明治維新の際に消えたと考えて居る。つまり、「君臨すれども統治せず」という伝統的な天皇制は、「明治憲法第1条:大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス、第3条:天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」で明確に変更されたと思う。

 

薩長のクーデター政権が自分達の正統性を主張するために利用したのが天皇という存在である。錦の御旗の偽造が象徴するように、薩長ではなく徳川慶喜を評価する孝明天皇が死没した後、彼らは日本を乗っ取ったのだ。(補足2)

 

戦後、憲法において天皇を日本国の象徴とすることで、天皇の役割を変更した。GHQの指示ではあったが、今ではその天皇制は定着している。それにも拘らず、延々と2600年“天皇のシラス国”が続いていると考えるのは欺瞞である。

 

日本の政治の現状が問題だとしても、天皇制を利用して国民に国家への意識を強めようとするのは邪道だと思う。今の政治家の体たらくは、政治家に責任をとらせるべきである。

 

 

2)天皇制と国家有機体説

 

昨日、浜崎洋介氏と茂木誠氏の話合い(議論ではない)を聴いた。この話合いでは、西欧の個人主義と社会契約説の批判に始まり、国家有機体説を持ち上げている。そこでも天皇は日本国をシラス存在だという伊藤博文の言葉の高評価に至っている。

 

 https://www.youtube.com/watch?v=B0BCbH8wcSM

 

国家有機体説は、国家の様々な役割を分業的に受け持つ形で諸機関が形成され、国民はそれらと結合した形でしか存在し得ないと言う考えかたである。つまり、国家においてそれら諸機関と国民は不可分であり、独立した個人を前提に国家を考える社会契約説的な理解は誤りだというのである。

 

この社会契約説批判(動画の9分あたり)はおかしい。何故なら、社会契約説は歴史的なもので、現在社会のモデルではないからである。つまり絶対王制に対する“アンチテーゼ”としての役割を果たすことが社会契約説の歴史的役割だったと思うのである。

 

つまり、社会契約説を「変だ可笑しい」と批判するのは、弥生式土器をそんなもの使い物にならないと言って批判するようなものだろう。(補足3)

 

この後、彼らの話し合いは、社会契約説のルソーの背景にあったと思われるデカルトの思想批判に続く。デカルトの理性を信じる姿勢が社会を理解運営する方法となって、人類に幾多の悲劇をもたらしたと浜崎氏は仰る。これが変なのは、理性だけが世界の理解を受け持つのではないことを考えればわかる。

 

理性は自分が自分の外の世界を理解する為にあり、言葉が用いられる。一方、感性は自分と外界との接触で生じる感覚で、伴に世界を知る為の道具である。我々は、その二つの道具で世界を分析理解して生きているのである。デカルトもその片方だけで、自分を含めた世界(つまり国家)を理解しようとした訳ではない筈である。

 

国家を単に国民とその繋がりを要素とした有機体として考えるのも、当然一つのモデルであるが、それだけで国家のあるべき姿と考えるのは間違いである。もしそうなら、我々は国家が消滅するまで戦わなくてはならない。それまでに、個人の私権を制限され、兵役等でどれだけが死亡することだろうか。(追補)

 

その危険性を感じるのが、国家有機体説と天皇をシラス存在として考えるモデルを結合させて、近い将来の日本のあるべき姿と考える右翼の政治姿勢である。

 

今回はこれで終わる。次回は出来ればグローバリゼーションについて考えてみたい。

 

追補)最も大切なのは自分の命と暮らしであり、そして全ての国民の命と暮らしである。それが今後成立しそうにないなら、国民は革命を目指すべきである。そして、国家は再生しうる。しかし、有機体は全体としては再生しない。それが明確に国家有機体説の限界を示している。革命の時を説明できるのは、社会契約説の方である。

 

補足:

 

1)葦原の千五百秋の瑞穂の国は、是、吾が子孫の王(きみ)たるべき地なり。 爾皇孫(いましすめみま)、就でまして治(しら)せ。 行矣(さきくませ)。 寶祚の隆(さか)えまさむこと、當に天壌(あめつち)と窮り無けむ(きわまりなけむ)。

 

2)孝明天皇は暗殺されたという説がある。これについては、「孝明天皇を祀る官営神社がなかったのは何故なのか?:孝明天皇暗殺説と明治天皇すり替え説」に書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516110.html

 

3)二年半ほど前に私も本質的に同じ考え方を書いたことがあった。それらは「国と国家のあり方について考える:(1&2)国の動物モデルの詳細」である。

https://amehttps://ameblo.jp/polymorph86/entry-12588475327.html

blo.jp/polymorph86/entry-12588961158.html

 

(翌日早朝編集、追補追加して最終稿とする)

2022年12月19日月曜日

米国盲従の岸田政権:台湾侵攻で大量の日本国民の命が犠牲になる?

一昨日、バイデン政権に盲従する岸田政権が続けば、ウクライナのように日本が米国から代理戦争を請け合うことになる可能性が高いと書いた。

 

バイデンは「台湾を中国から守る」と何度も発言したが、その都度ホワイトハウス高官は「米政府の方針(一つの中国政策)に変更なし」とコメントした。この件、例えば9月19日のBBCの記事にも言及がある。https://web.fisco.jp/platform/market-news/0010840020220526001

 

大統領とホワイトハウス高官が、互いに異なる発言をすることは異常である。米国政府は、台湾防衛に関する曖昧な姿勢をむしろ強調している様に感じる。そして、行政側にいない下院議長ナンシー・ペロシや前国務長官マイク・ポンぺオの台湾訪問と発言が、米国政府の考えを代弁していると外側からは見える。

 

つまり中国は、(トランプ或いは彼に近い共和党政権以外の)米国はバイデン大統領の言葉の通りの対中戦略を採る可能性が高いと思っているだろう。

 

一昨日の文章で紹介したのは、この対中戦略を米国ネオコン系が目指す「グレートリセット」の一環と見る考え方である。そして、バイデン政権は、ロシア・プーチン政権を弱体化するウクライナ戦争の次に、中国・習近平政権を弱体化する台湾戦争を目論んでいる可能性が高いと思う。

 

彼らは、最終的にマルクス・レーニン・トロツキー以来の、世界統一政権(世界帝国)の樹立を目指しているのだろう。米国はものすごく大きな枠組みで戦略を展開していると思う。この理解が日本政府に殆どないのが心配である。

 

将来台湾戦争が起こるとすれば、そのシナリオは、既に対ロシア戦略として実行されているものと似ているだろう。つまり、不可分と認識していた国との間に楔を打ち込み、徐々に敵対する国に育て上げ、様々な敵対行為を実行させる。そしてその巨大な敵国を巧妙にその隣接する国との戦争に引きずり込むのである。

 

ウクライナの場合は、正統性のあるヤヌコビッチ大統領をクーデターで追い出し、傀儡政権と思われる政権を樹立させ、嫌がらせをロシア人の多い東部地域等で大規模に展開させた。その上で、米国はウクライナの軍備増強に最大限協力した。

 

その戦争の結果、大量のウクライナ国民の命とインフラが失われた。インフラは再建できても、命は元にもどらない。

 

数年の間に、今回のウクライナ戦争と似たシナリオで、台湾戦争が起こる可能性が高い。(補足1)その場合、ウクライナ戦争のシナリオにおいて、ロシアを中国に、クリミヤやドンパス地方を台湾に、そしてキエフ等ウクライナ西部を日本と韓国に替えた形のシナリオで戦争が始まる可能性が高いと思う。

 

米国は、台湾侵攻の切っ掛けとして、習近平政権に対して経済破綻と民衆の反乱を誘発するつもりだろう。今行われている対中制裁も、そのような見方で観測すべきだろうと思う。実際、あの「白紙革命」の背後に米国の影があると見る人もいる。(補足2)

 

前回の記事で警告的に書いたのは、現在自民党政府が進めている敵基地攻撃能力の獲得と軍事費の倍増計画は、その時(中国の台湾侵攻)のための準備だと考えられることである。つまり、何かにつけ実行力に欠ける岸田首相が、国家防衛戦略改定と大幅防衛費増を決定する背後に米国の指示があるのは確実である。

 

 

2)更に検討:

 

以上のシナリオは、中国に詳しい評論家の遠藤誉氏の考察を紹介した記事「キッシンジャーがバイデン発言を批判「台湾を米中交渉のカードにするな」」にも解説されている。

https://web.fisco.jp/platform/market-news/0010840020220526001

 

つまり、世界の大混乱を避け、平和を維持する気があるのなら、台湾と中国の関係を現状のままにしておく筈であり、米国は殊更その間を割くような行動をすべきではない。同じ関係はロシアとウクライナの関係においても成り立つ。

 

米国元国務長官のキッシンジャーは、その様な考えに基づき現実的なウクライナ戦争の和平案をダボス会議で公表した。つまり、「ウクライナは、ロシア侵攻の日以前に支配下に無かった領域をロシアに割譲すべきだ」と言ったのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12745583759.html

 

このように、ロシアによるウクライナ侵攻も、将来おこるであろう中国による台湾侵攻も、ともに米国の民主党政権(或いはネオコン政権)の長年の世界戦略(上記の大きな枠組みでの戦略)と密接に絡んでいると考えるべきである。

 

米国は、バイデンが大統領になって以来、ペロシ下院議長の台湾訪問などを含め、中国を台湾侵攻に向かわせる様に挑発し続けている。そして挑発の本命は、中国を経済的困難に陥らせることである。様々な制裁と新型コロナによる混乱(誘発?)は、中国に台湾侵攻を決断させる方向に働くだろう。

 

因みに、新型コロナウイルスの開発は、武漢P4研究所の石正麗博士らの研究を、米国NIH傘下の研究所所長のアンソニー・ファウチ博士(米国ネオコン)が支援する形でなされた。元々この研究所の安全性が疑われていたことも合わせ考えると、ウイルスの漏えいに関する未必の故意的責任が米国にもある。(補足3)https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/296.html

 

兎に角、中国は今後不動産不況とゼロコロナ策の失敗とにより、政治的混乱が生じる危険性が高い。その政治情況下での日本の形振り構わない形での軍事費増額と安保戦略変更は、中国を刺激する。それは、2014年から去年までの戦争前のウクライナとロシアの情況に似ている。

 

 

補足;

 

1)ロバートエルドリッチ元在沖縄海兵隊高官は、クリスマス休暇から正月休暇にも起こり得ると発言している。https://www.youtube.com/watch?v=MoUdNaipqY8

 

 

2)中国での白紙革命、つまり最近のゼロコロナ政策に反対するデモの背後に、米国の工作があったらしいという話がyoutubeで紹介されていた。確認する方法がないので、本文ではなく補足で引用する。

https://www.youtube.com/watch?v=bNJhB5BMH4E

この動画には、ジョージソロスの名前も出てくる。組織としては、national endowmento for democracy (NED)と言う香港の民主デモに関係していると思われる団体の名が引用されている。https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20221130-00326323

 

3)P4研究所の建設に協力したフランスは、その危険性に気付いていたといわれている。https://www.iza.ne.jp/article/20200428-WXK5GQ43FFKHDEUDDQPVHCKDQ4/ 尚、ファウチが蝙蝠起源のウイルスに人間感染性を持たせる実験を支援したことやその理由に関し、議論が殆どなされていないのは不思議である。米国の民主党を応援するメディアやyoutubeなどSNSは、その問題に触れた動画は削除するなど非常に神経質に対応している。彼らの世界戦略と密接に絡んでいるように感じるので、ここにエピソードを追加した。

 

(18:20 編集あり)

2022年12月17日土曜日

安保関連三文書の改訂は台湾戦争への参戦準備か?

ここ数日テレビのニュースで喧しい程に報じられてきたのは、防衛費をGDPの2%に上げることに関する議論だった。しかし、そんなことよりも遥かに重要で報じるべきだったのは、国家安全保障戦略など安保関連三文書の改訂に関する政界の議論や動きだろう。

 

高市議員の、防衛費GDP2%実現よりも防衛装備をどのようにすべきかを先に議論すべきだという反論は、自民党は全て真面目に議論しますという誤魔化しのためであり、国家防衛戦略として敵基地攻撃能力を持つという大きな変更を国民から出来るだけ隠すためだったのだろう。

 

日本が法治国家なら、これは行政の暴走であり、怒った国民十万人が国会へ乱入する位の混乱があって然るべきである。それにもかかわらず、日本は静かだ。屠殺される牛でも、もう少し騒ぐのではないだろうか。https://www.hokkaido-np.co.jp/article/776360?rct=n_major

 

日本がまともな法治国家なら、敵基地攻撃能力を持つ軍隊を保持するべきと内閣が明言するには、憲法の改正が必要である。(補足1)ただ、違憲だと裁判に訴えても最高裁判事という高給取りの碌でなしは、「統治行為論」(ウイキペディア参照)などという訳の分からない理論を盾に、自己保身を謀るだろう。

 

従って、国会が議論しなければならないのだが、今まで何をおしゃべりしていたのだ。この防衛戦略の改訂には、最低でも憲法9条全体の改訂が必要である。本来は、憲法前文の国際状況の把握を示した文章も替えなければならない筈である。それにもかかわらず、何の改正もせずに、このような大改訂を下級法令でするのは、クーデターである。

 

これには米国民主党政権からの強い指示があった筈である。この改訂は、中国の台湾侵攻の際に、日本が参戦する準備だろう。日本国民はそれを認めるのか? 戦争で米国ネオコンの企みのために戦って息子や旦那が死んでもいいのか? 

 

これには更に準備がある。それはロシアによる核兵器の使用である。(追補1)それに備えて、モスクワでも核シェルターの準備がされていると言う。https://www.youtube.com/watch?v=djN0gXG6y4o

 

 

プーチンが核兵器を使えば、他国がそれを使うのが容易になる。特に中国にとっては通常兵器並みになる筈である。何せ中共軍の将軍である朱成虎は、地球の人口削減のために核兵器を使うべきだと言ったが、それに共産党政府は昇進で答えたというのだから。

 

更に憎たらしいことに、朱成虎は「核使用の第一の目的地は人口密集地の日本とインドだと言ったそうな。以上朱成虎関連の文章の半分程度は、ウィキペディアにも載っている有名な話だ。つまり、最悪のシナリオでは、日本は核攻撃の的になるだろう。

 

日本の法整備が遅れれば、台湾有事も遅れるだろう。それは、米国グローバリストらは自分の血を流さないで目的を果たしたいからだ。つまり、東アジアの勢力を、中国と日本を戦わせて現在の1/10位にしたいのだろう。現在まで、そのために(トルーマンが言ったように)家畜の日本をここまで肥やしてきたのだ。

 

本来なら、ドイツやフランスが、ウクライナ戦争も将来の台湾侵攻も米国民主党が仕掛けていることであり、民主党政権とその背後の勢力が諦めれば問題は自然解決することを正直に告発すべきだ。欧州は、英米の企むグレートリセットにもう少し抵抗すべきだ。

 

2024年の選挙でトランプかディサンテスが米国の次期大統領になるかもしれない。そうなれば、米国ネオコン(=隠れ共産主義者)らは米国政界から一掃される可能性もある。あのマッカーシーが中心となったレッドパージ以来の二度目の赤狩りである。

 

最後に、この三人組が言っていることをどう思うか? 中国での白紙革命、最近のゼロコロナ政策に反対するデモの背後に、米国のオープンソサエティ財団(ジョージソロスの財団)の工作があったらしいという話である。

 

 

 

中国の白紙革命についてのこの解釈は、以下の記事に基づいている。https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20221130-00326323

 

一介の素人が、ここまで書いて良いのかと正直思う。しかし、止むにやまれず若干パニック的になって書いた。上記引用資料などで各個人が勉強して、自分の意見を固めてほしい。また、この大きな枠組みでの理解に間違いがあれば指摘してほしい。

 

追補:

 

1)今年4月の記事に「プーチンを核攻撃に追い込む米国」と題する記事を書いた。その中で以下のようにその理由を推測して書いている:

「米国の方針は、出来るだけロシアの責任という形で核兵器を使わせたいのではないと疑う。つまり、バイデン民主党政権は、今回のプーチン・ロシア潰しの戦争において、ロシアが核兵器の使用に踏み切っても、ロシア=悪の公式の信頼性が増加するので、そして、上記グレートリセット(第三次世界大戦)に向けて核兵器から「使えない兵器」という封印が外れるので、悪い話では無いと思っているのではないだろうか。」

 

2)肝心の私の安全保障戦略について全く書かないのは不誠実かもしれない。私は伊藤貫さんの考えと同じで、核兵器を保持し、米国から独立する方向で努力することである。現在、米国の配下であることは確かなので、米国の戦略の下での協力は出来るだけサボタージュする。それには秘密裡に動く必要があるので、兎に角、スパイ防止法とその関連法令の整備を今すぐにでも行うべきである。そう動けば総理は、安倍さんのようになるかもしれないが、一国のトップになる人はそれ位の覚悟があって然るべきだ。(11:10追加)

 

 

補足:

1)一つだけ補足をつける。日本と韓国は、台湾有事は共通の大問題である。この件での米国とどの様に交渉するかは、本来一緒になって考えるべきである。しかし、日本が憲法を改正するには韓国の承認が必要だと韓国高官が言ったそうだ。こんな安保相手には相談もできない。日本でも韓国でも、政治屋はどうしてこんなに安保なんだ。https://news.yahoo.co.jp/articles/089410ae8256312269e38a7d73331e4bccfd2309

 

(編集経緯:11:10、私の安保戦略について追補;18:50 ウクライナ戦争において米国がロシアを核使用に誘導する理由との関連を追補1として追加)

 

2022年12月14日水曜日

インターネットSNSが民主政治のインフラになる

インターネットが普及し、我々大衆の見聞きする空間は前世紀と比較して数桁大きくなっている。もし人間の社会性と知的レベルが前世紀までのレベルで保存されるなら、ネットの巨大空間は情報の浄化機能も併せ持つだろう。(追補1)

 

それを暗示する現象が今米国で起きている。それはイーロンマスクがツイッターを買収し、“まともな”ソーシャルメディアに矯正し始めたことである。米国は今後、左翼の文明破壊(追補2)に向けたチャレンジを退ける可能性が高くなる。

 

現代社会における政治体制の正常な姿は、民主主義を基本に持つシステムだろう。ただ、単純な民主主義体制は脆弱であるため、それを裏から支える何か別のシステムが無ければ、アラブの春で実証されたように、簡単に崩壊する。

 

最近思わぬ形でその脆弱な民主主義を補完する公正なシステムを人類が手に入れる可能性が明らかになったと思う。それは、インターネットで学びそのSNS(補足1)を通じて結集された大衆が、大きな政治力を持つことである。一例が、中国でゼロコロナ政策に対する“白色革命”である。

 

その結果、習近平政権は厳格なゼロコロナ政策を諦めることになった。そして中国の大衆は、デモで政治要求することを覚えたと思う。最近では医科大学数校で、同一賃金同一労働を求める研修医らによるデモが、youtubeで報道されている。https://www.youtube.com/watch?v=V9F5p-wIzGM

 

デモとそれによる政策変更は、本来民主主義世界の出来事である。中国は、共産党独裁の国家なので今後たいへん難しい政治的局面を迎える可能性が高い。全ての国民の利益に沿った政治が、中国においても実現するように期待したい。

 

それと同時にSNSが、米国など世界の全ての国において、正常に表現と言論の自由を保障するように社会に定着し、真に国民の利益を代表する安定な民主主義政治に貢献することを期待する。

 

勿論、SNSでの人々の連携は、粗悪な人気とり政策を要求することもあるだろう。しかし、文明の発展に伴って教育のレベルも向上しており、人類が論理と善意を捨てない限り、その副作用(危険性)を乗り越えると思う。

 

 

2) 通信品位法230条の問題

 

現在、ツイッターなどのSNSはプラットフォームと呼ばれている。それはインターネットを利用する人々に通信の利便性を供与する場所の意味である。インターネットにアクセスする人の割合が殆どになると、社会生活のインフラの一つとなる。現在の若い世代では既にそのようになっている。

 

この社会でのSNSの役割変化に対して、米国の法体系は十分に追随していない。これまで米国は、ディジタル産業の発展を助けるために、「不快な情報の民間による遮断および審査に関する保護」(通信品位法230)を制定したのだが、それが政治的にはマイノリティにすぎない人達に“悪用”されている。MIT Tech Review:

 

この法律によれば、SNSプロバイダー(twitterやyoutubeなどの会社)は、①投稿されたコンテンツの責任を問われないし、②コンテンツを削除しても、その責任も問われない。

 

これら①と②の規定は、夫々、「刑法犯的な投稿があってもその責任は、投稿者にありプロバイダーには無い」や、「わいせつな画像など反社会的な投稿を削除しても、プロバイダーはその責任を問われない」と言う意味だった。

 

しかし、この通信品位法230条のプロバイダ保護の規定が、政治的投稿の規制や削除に使われたのである。ここに至って、通信品位法230条の規定は、言論及び表現の自由(米国憲法修正第一条)と対立することが明らかになった。政治のプロパガンダ機関になり下がったのである。

 

話をツイッターに戻す。ツイッターを買収したイーロンマスクは、同社がこれまで行った検閲の履歴を第三者に調査依頼した。その結果、次々とツイッターの検閲の実態が明らかにされている。その最もショッキングな例は、FBI(米国連邦捜査局)の元高官を雇い入れ、FBIからの要請を受け入れる形で検閲していたことである。 https://www.youtube.com/watch?v=EpNrs796_mI

 

 

FBICIA(連邦の諜報機関)などには他の省庁と同様に、大勢の左翼主義者が幹部として雇用されている。それはSenior Executive Service (SES)という組織をなし、米国の政治において重要な役割をしている。因みに、SES(終身雇用的採用である)に左翼を大量任用したのはオバマである。

https://www.youtube.com/watch?v=EHeuNIQ9i68

 

彼らが、民主党グローバリストの為の政治を実現するように働いており、SNSの検閲でも大きな働きをしていたことが今回明らかになったのである。米国は自由主義圏のリーダーであるため、そのグローバリストの考えに沿った動きは、西側諸国の政治を歪めている。(補足2)

 

 

3)SNSは政治的議論の広場になり得る

 

現在、世界は混乱の際にある。世界経済フォーラム(WEF)のクラウス・シュワブは不思議な力を発揮して世界主要国首脳の会議G20に出席する権利を獲得し、各国首脳にグレートリセットの必要性を説いている。https://takahata521.livedoor.blog/archives/16592345.html

 

グレートリセットは、株主価値を最⼤化する企業経営から関係者全体の利益を最大化する企業経営に変更する為の経済体制への転換である。これは、資本の力を制限し労働者や消費者の権利を拡大する経済体制への転換を意味する。

 

このような体制に移行するには、世界の資本を思想的に一か所に集中しなければならない。その移行プロセスは、世界同時革命であり世界大戦を伴うだろう。つまり、トロツキーが目指した世界共産革命である。(追補3)リセットという軽い言葉で誤魔化すが、各国のかなりの市民にとっては死を意味するだろう。

 

現在の自由主義社会の延長上にあっては、SNSでのやり取りはグローバル化の動きと深刻に衝突する筈である。そのSNSでの反対する人々の連携を潰すために、米国左翼はSNSyoutube、嘗てのTwitter)において厳しい統制を行って来たのである。(補足3)

 

そこに立ち塞がったのが、テスラやスペースXの創業者のイーロン・マスク氏であり、トランプ前大統領やフロリダのロン・デサンティス州知事など共和党の人達である。ここで、社会インフラとなったツイッターの正常化は、グレートリセットの大きな障害になるだろうと思う。

 

上記WEFの考え方は、米国ネオコンの考え方と同じである。この政治運動の中心に居るのは、これまで2000年の歴史において、自分たちの民族文化を持つ国家を持ち得なかった人たちである。その人たちの集合と金融の力で世界政治に大きな影響力を持つ大富豪の集合との重なりが非常に大きい。

 

一方、世界人口の大多数は、独自の文化の下に独立国を形成する人達である。それらの国家を運営する人物が国民大多数の利益を軽視し、グローバリストらに与えられる個人的利益を優先して、彼らの配下のように動いているのが現在の世界の政治情況である。

 

国民が立ち上がるにはSNSで予め連携をする必要がある。SNSが正常に働く限り、大きな痛みを伴うグレートリセットの動きにブレーキをかけ、最終的に消滅させ得る筈である。インターネットのSNSは、現代の世界のおいて、ギリシャの民主主義の広場(アゴラ)のような機能を果たすと思われる。

 

民主主義という本質的に弱い構造を強化する補強材として、SNSは機能し得ると思う。最後にオーストラリアの小さい政党に所属する方の反グレートリセットの主張を紹介しておく。

 

 

 

追補:

 

1)巨大空間では対立する意見が必ず現われ、その間で考え方の選択が可能となる。情報の浄化とは、真実と論理に基づく情報がネット空間で目立つポジションを得ることになるという意味。街のどぶ水も海に注がれて浄化される。

 

2)米国のキャンセルカルチャーやクリティカル人種理論は、これまで人類が築いてきた文化を破壊するものである。LGBTを過剰に厚遇する行政も同様である。

 

3)グレートリセットは世界革命の意味である。それがトロツキーの提唱した世界同時共産革命を意味する筈だが、それを大衆からは巧妙に隠している。米国ネオコンがトロツキーがスターリンに敗れた結果、大粛清を逃れるために米国に亘った人たち及びその末裔、共感者である。その中心はユダヤ人である。

 

 

補足:

 

1)中国ではSNSとして、WeChat(ウィーチャット)、Weibo(ウェイボー)、Baidu (バイドゥ) などが一般的。米国系のSNS(フェイスブック・ツィッター・インタグラム)等は、政治的理由により禁止されている。

 

2)ウクライナ戦争も米国ネオコングローバリストによるナショナリストの旗手プーチンの排除を目的としている。細かいことだが、岸田首相が「新しい資本主義」を看板にしているが、それはシュワブらグローバリストの「ステークホルダー資本主義」の受け売りだと私は思う。【全文】岸田首相 就任後初の所信表明演説「新しい資本主義」実現を強調 | NHK政治マガジン

 

3)よく視聴するNewyorkサバイバルというyoutuberの動画では、隠語を用いて検閲を避けている。バイデン大統領は梅爺(ウメジイ)、トランプ大統領は寅さん、パンデミックはニャンデミックなど。

 

(編集:17:25 追補1を追加;翌日早朝 全面的に編集、追補2,3の追加)

 

2022年12月9日金曜日

グローバリストによる新世界の創生活動が始まるのか?

米国ビジネスインサイダーの報道によると、ドイツ政府に対する暴力的な攻撃を企てたとして25人が逮捕された。「グループのメンバーは、ライヒスビュルガー(補足1)Qアノンのイデオロギーをなす陰謀神話に従っている」人達だと連邦検察庁は述べている。 https://www.businessinsider.jp/post-263034

 

MSNも、BBCの報道を引用して同様の情報を流している。ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕 議事堂襲撃を画策と (msn.com) 

 

それによると、貴族の末裔や極右関係者、元軍人、ロシア人女性、陰謀論「Qアノン」の信奉者などで構成されるグループが、連邦議会議事堂を襲撃し、政権を奪取するつもりだったという。更に、同様の捜索はドイツ国内のほか、オーストリアとイタリアでも行われたようだ。
 

上の下線部は、昨年1月6日の米国の議会襲撃事件と酷似している。昨年の米国での事件で熱狂的なトランプファンを演じたのも「Qアノン」という暴力的な人たちだった。それらを合わせ考えると、今回の件が世界的な政変のスタートを意味するように思う。以下は個人的な感想である。

 

20211月の米国議会襲撃事件を報じるTV映像のなかで、非常に目立った人物が「Qアノン・シャーマン」として知られたジェイコブ・アンソニー・チャンスリーである。暴徒とは言え国を憂う人達のなかで、何故あのような派手な姿をTV画面の中で晒したのか? それは逮捕されることを承知の上での演出ではないのか?

 

 

BBCの報道によると、彼は昨年9月に米司法省との司法取引に応じ、首都ワシントンの連邦地裁で公務執行妨害罪について有罪を認めた。「2020年米大統領選でジョー・バイデン氏が勝ったという選挙結果の認定を阻止するため、多くのトランプ支持者と共に連邦議会を襲撃した」という事件の筋書きを認めたのである。https://www.bbc.com/japanese/58445344

 

あの選挙が多くの不正の結果なら、彼らの行動は反クーデターの行動といえる。しかし、選挙結果を正しいと認めた時に、彼らは単なる暴徒となり、そのリーダーに自分がなる。あれだけのことをやりながら、正義を貫いたという言い分を簡単に捨てられるのだろうか?

 

繰り返しになるが: チャンスリーが簡単に司法取引に応じたことは、彼がバイデンの選挙勝利の正当性を認め、米国議会襲撃事件はトランプを応援する人達の狂信的な行動であったと認めたことを意味する。

 

当初から、あの議会襲撃は左翼グローバリストである米国ネオコンが関係した事件だと思う人が多かった。アンティファやQアノンの中核がグローバリストらに協力してトランプ支援者を含む人たちを煽り誘導する形で事件に発展させた。その中心人物の一人がチャンスリーだったのだろう。

 

しかし、アンティファ(反ファシストの左翼)の存在はいつの間にか検察の対象からは消えている様だ。左翼の人たちは罪をとわれてはならないのだろう。尚、この事件の直後に私も記事を書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12648935269.html

 

最初に書いたように、以上の類似点から今回のドイツなどでの逮捕劇に何やらきな臭い動きを感じる。それは神経質な私だけの感覚によるのだろうか? 今回の件は、グローバリストらによる新世界秩序に向けた暴力的展開のスタートかもしれないのだ。

 

今後あり得ると思うのは、米国での同様な動きである。その一つの山場は、米国のナショナリストの中心であるトランプの逮捕かもしれない。そして長い戦いの序曲が今回の逮捕劇なのかも。

 

ここまでの追補:ドイツは、このクーデター失敗の騒ぎで、自国のエネルギー危機や食糧危機を考慮しても、ウクライナをあくまで支援しロシアと敵対するNATOの既定路線から離脱できなくなったと考えられる。つまり、そのようにドイツを導くために、ある勢力が不満分子を緻密な計画なしにクーデター的行動に誘導したのではないかと疑う。その解釈が正しければ、2021年1月のQーアノンらの議会襲撃にそっくりである。

 

追加: Q-anonと「陰謀論」

 

ウィキペディアはQアノンについて以下のように記している:

 

「世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者・小児性愛者・人肉嗜食者による秘密結社が世界を裏で支配しており、ドナルド・トランプはこれと密かに戦っている」という主張が中心的であり、神に遣わされた救世主としてトランプが個人崇拝の対象となっている。

 

このエプスタイン事件を意識しての記述は、視聴者にQアノンに対する憎悪の感情を呼び起こすとともに、彼らを含めてトランプや本来の米国を取り戻そうとする民族主義者たちに、まとめて狂信的な人達という烙印を押すため、反トランプの既存メディアにより作られたのだろう。

 

エプスタイン事件とは、米大富豪の故ジェフリー・エプスタインが、世界の大物達を孤島に招待してそのような悪魔的パーティーを開いていたとの疑惑である。その大物の中には、英王室のメンバー、クリントンなどが含まれていたという。https://gendai.media/articles/-/66826

 

Q-anonの中心にいる人たちとは、「グローバリストの人脈が、米国を始め世界の政治を裏で支配している」という疑いを葬り去り、現在ナショナリストの中心になっているトランプを排斥する為に作り上げられた偽トランプ応援者だろう。

 

なお、エプスタインは、上記疑惑が広がった”大物たち”に都合よく若干早く逝去した。

 

 

補足:

 

1)「ライヒスビュルガー」とは、第2次世界大戦後のドイツを認めず、政府の権限を否定している極端な人たち。長年、ドイツ中の笑いもので、変わり者たちの集まりだと一蹴されていたが、急激に治安当局の懸念材料となった。当局は、「ライヒスビュルガー」がさらに過激で危険になっていると話している。【解説】 「ライヒスビュルガー」とは ドイツの「変わり者集団」が陰謀論の過激派に (BBC News) - Yahoo!ニュース

私は以下の様に考える。この極端な考えの人たちが、グローバリストの人たちに叩かれ役として育てられた。その役割は、米国のQ-アノンと同じである。

 

2022年12月6日火曜日

フラットな社会に安定国家は成立しない:多構造社会の必要性について

 
1)貴族は絶滅危惧種

 

現在の社会はフラットであると言われる。総理大臣も一介のサラリーマンも社会的には差はない様に見える。言葉も同じであり、趣味も何もかも大してかわらない。その傾向は今や世界でみられ、大統領の言葉と下町の言葉に大差ない時代のようだ。 

 

あるテレビ番組で、生まれながらの左翼と思われるある年配女性(YT)が、「天皇ってかわいそうだよね」と発言した。人権も自由もないという類のことをその理由として喋っていた。しかし、それは低俗な人間の天皇評価である。

 

その女性は、天皇のことを全く何も知らないし、ましてや天皇の仕事など死んでもできない癖に、あのような発言をしたのである。彼女は幼い思想(つまり世界史で活躍する邪悪な左翼思想ではない)に支配されているのであり、「理想的な国家」の視点からも完全に間違っている。

 

日本で天皇は特別な存在であり、その世界は我々庶民の世界とは最初から違うのである。ただ、YTのような考えが皇室周辺まで浸透しつつあるのが現実である。現在既に、日本の皇室は存続の危機にある。(補足1

 

西洋にはnoblesse obligeという言葉がある。このフランス語は、「高貴さは(XXを)強制する」と訳される。上記のYTの発言は、特別に高貴な方が自身に課される義務を「人権も自由もない状態」と感じる貧しい心が生んだのである。

 

自分の思考における貧困さがもたらした発言であることに気付かないのは、その女性が完全に左翼平民信仰に洗脳されているからである。その思想は、現在(2022年)の米国の支配層から、そしてスイスの田舎町から世界に発信されている。(補足2) 

 

そして現在、その“noblesse oblige”(高貴な者の義務、貴族の義務)を感じる人が、日本にも世界にも殆ど居なくなった。貴族は、人間世界の絶滅危惧種であり、現在の生存者は各国の皇室や王室の人達の一部を含め極少数だろう。

 

貴族は通常金持ちではあるが、金持ちであることは貴族であることを意味しない。金銭に支配されないという点で、経済的に豊かなことは貴族であることの必要条件である。“貴族階層”の中の貴族は、有史以来各種の俗な欲望以外を(も)考え追求してきた人たちである。

 

その階層は、貧困層が混沌の中に停滞している中で独特の文化を形成し、その中から近代文明が生まれた。 

 

しかし、現在の金持ちの殆ど全ては、俗世界の経済活動にむしろ積極的であり、金に支配されている。それは、現代の日本では、そして多分世界でも、単一の階層からなるフラットな社会が広がり、貴族と貴族文化が滅びようとしているからではないだろうか。(補足3) 

 

10数年前、新興金持ちの村上世彰氏が、「金儲けは悪いことですか」と喋ったテレビの画面が今でも目に浮かぶ。村上氏や同世代の堀江貴文氏(それぞれ当時の)は、貴族性が全く無くなった心の貧しい大金持ちの典型であった。 https://bunshun.jp/articles/-/11491?page=3

 

現在の金持ち達もその延長上にある。貴族階級を形成せずに巨大化し、世界の文化も何もかも破壊する最前線を担うことになっているように思える。そして、近代科学技術文明に相応しい、調和的な新しい社会を構築する処方箋を人類は未だみつけることが出来ていない。

 

米国には西欧に伝統的な貴族性を装う人達がかなりいるが、彼らとて貴族にはほど遠い。かれらは、自分達と異なる意見を持つ人の命と虫の命に差を感じない人達である。(補足4)


 

2)原点から考える

 

太古の昔、「ヒト」は野生の動物であった。そこから社会を造って生きる「人間」となった。習得する知識や技術の向上に伴って、社会は拡大・複雑化し、現在では巨大化し、国家と呼ばれる様になった。そのプロセスのシミュレーションは、社会の今後を考える上で参考になるだろう。 

 

ヒトが人間になるまでに得た最も偉大で本質的なものは、言葉である。(補足5)その言葉は、社会構造の複雑化(発展)に伴って、より複雑(高度)になっていく。つまり、社会と言語が密接に関連しながら発展し、そこで生きた人達の考えや伝統が文化と呼ばれる。

 

大きな社会は、様々な機能を分業でこなす必要があり、自ずと構造が出来る。構造のない社会は、少しの外的圧力と内的混乱で破壊される。例えば防衛専門の組織を持たなければ、近代化して敵軍に簡単に敗れ、その社会の全てを奪われるだろう。

 

生き残った社会は、自然と防衛軍を構造の一部として持つ。その他の様々な組織が効率よく機能するには、その運営方針の指示、各組織間の調整、などを受け持つ上部組織が必要である。社会全体の効率は、上部執行組織を含め、各専門の高い能力に依存する。

 

上部組織の業務は、各専門組織からの情報の分析と各組織間の調整など、かなり高度且つ複雑である。その結果、個人の人間の能力と社会全体がこなすべき仕事が要求する能力は社会の巨大化に伴って、大きく乖離してしまう。

 

それを埋め合わせるのが専門教育だが、そのカリキュラムを考えるだけでは、現状でも必要な人材の補給は無理である。それは一つの専門組織である政界を見ればわかる。現在補給されている人材は極めて劣悪である。

 

この30年ほどの日本の低迷は、人材起用や候補の人材そのもの、組織間の連携や組織内外での情報交換などが劣悪なことが原因だろう。今回の文章では、人材そのものに問題があるという視点で考察している。

 

人材そのものとは、専門教育以前の教育、人格形成から専門化が必要なのではないかと言う考えである。

 

例えば、芸能人に二世や三世が多いのは、頭角を表すのには所謂コネが必要かもしれないが、それと同時に芸能の才能は幼少期の人格形成の段階から磨く必要がある様だ。それは、政界、スポーツ界、医者や学者の世界でも同じではないのか?

 

つまり、本文章は「複雑で大きな国家というレベルの社会は、多重構造を伴うのだが、各構造毎の人材育成には、その構造毎に社会の形成が必要ではないのか?」という問題提言である。

 

政界の人材が劣悪なのは、政界での権力獲得と維持において、所謂俗界のリアルタイムでの支持が必須であるという民主主義を採用しているからではないのか。明治の頃の政治に活力があったのは、武士社会という部分社会が貴族階級という階層(つまり部分社会)を形成していたからではないのか?


 

3)江戸時代の階級社会

 

江戸時代迄の日本には、武士の社会には武士の言葉があり武士の文化があった。また、農民には農民の言葉があり、農民の文化があっただろう。勿論、互いに用事があれば話をするわけだから、言葉の構造や用法は殆ど共通だっただろう。

 

それらの部分社会の地位に自然と上下ができるが、それを階層と呼ぶことができる。階層は情報の流れる方向を意味する。その流れを作るのが権力であり、そのポテンシャルは階層に存在する権威の高低差である。(補足6)

 

例えば、武士の文化(武士道はその道徳に関する部分)は、国を守り統治するという武士(或いは武士社会という部分社会)の機能に適合している。国を守ることが、全ての民の生存に必須なので、上の階層(貴族社会)から武士階級に高い権威とそれに基づく権力が与えられた。そして、士農工商、それぞれの文化は、社会を分業して担うのに重要な役割を果たしただろう。

 

それぞれの階層で身につけた知識や価値観、つまり、武士階級で言えば戦士としての勇気や、対面した相手に対する端正さなどを、身に纏う服の様に考えがちである。しかし、その武士としての性質はその部分社会で幼少期に作られ、着替え不可能である。(補足7)

 

また、人間社会で育たなかった野生のヒト、例えば狼の群れの中で育ったヒトは、人間社会の基本を身につけることは最早不可能であり、いかに学習を重ねても服を着る様には人間にはなれない。例えば: http://karapaia.com/archives/52147667.html

 

上記の事実が示す重要なことは、「誕生間もないヒトは高度に可塑的な粘土のようなものであり、それを人或いは人間に成型するのは、社会の文化でありそれを身につけている両親や周囲の人達である」ということである。もし、適当な時期に相応しい形に成型されなければ、その社会で生きる人間にはなれない。


 

終わりに:

 

現在の日本は、国家を堅牢にする部分構造(社会)を持たない均一社会である。一方、米国を始め世界の国々は、潮流としては同じだが、未だに伝統的に貴族社会を持つ。社会が構造を持つということは、価値観も複数存在し、ある部分社会が受け持つ場面ではその価値感が表に現われる。

 

一方、日本は庶民一般の価値観が日本全体を覆っている。そして、戦争反対、核兵器反対、原発反対、環境破壊反対などが国是となっている。仮にルトワックが「戦争にもチャンスを与えよ」と言っても、「何を馬鹿な」で片づける。

 

そして、異なる文化圏では、価値観が異なり、厳密な意味で言葉が通じないことも理解できない。日本人は、諸外国も日本と同じように考える筈だと信じて疑わない。(補足8)

 

また、自国の歴史も正しく理解できない。何故なら、過去の歴史上の出来事を現在の言葉や感覚で理解することには、本質的な壁が存在することも理解できないからである。

 

ワールドカップサッカーで日本人サポーターのゴミ拾いが話題になった。最近その行為に好意的な文章を書いた。しかし、異なる文化圏ではあの行為は批判されることもあるという考えを心のどこかに持たない人は、馬鹿である。また、その様に批判した人を馬鹿にしたり忌避することはその上塗り行為である。

https://diamond.jp/articles/-/31373

https://www.sanspo.com/article/20221125-P3XO5F26MJFHTNA5IAJSKPEEEQ/?outputType=theme_qatar2022


 

補足:

 

1)秋篠宮家の親王、内親王の方々が、皇族であることを嫌がっておられると何かで読んだ。それは、恐らく幼少からの秋篠宮紀子妃からの平民教育が原因だと思う。その感情が本当なら、男系であるべき皇室は既に壊れている。

 

2)人間の創った壮大な文明における“noblesse oblige”を考えた時、obligeは下層或いは大多数からの視点での描写である。その義務という部分は、高貴な上層の言葉を用いれば、誇り高き世界における日常ということになる。上記YT氏の言葉は、例えば、「哲学者って可愛そうね。一生頭を使って苦しんでいる。」と言う粗野な人の発言と似ている。その“強制”が高貴な身分と同居することを知らず、下層の言葉で不自由として抽出したのに気がついていないのである。それは、下層と上層の間での、無益な言葉のやり取りである。その下層の視点で壮大な文明社会を体系化したのが、左翼思想である。その視点は既にその思想の限界を示唆している。

 

3)高貴さは、全体として貧困を感じる社会の中でのみ安定に維持される。経済的豊かさを温度の上昇と考えれば、現在の情況が分かり易く説明できる。つまり、現在の社会は、多くの分子(人間)が結合して有機体(社会)をつくっていても、温度上昇により分子がバラバラになり構造が破壊された情況に近いのである。更に温度が上昇すれば、原子状態から素粒子状態にまでなる。それは、人間社会に話を戻せば、人間社会の崩壊から個人の価値観の崩壊にあたる。

 

4)20世紀からの殆ど全ての戦争の背後に、彼ら貴族性を持たない金持ちとそのネットワークがあったと思う。そして、彼らの主な基地は英国と米国であり、活動エリアはグローバルである。そして彼らはグローバリストと呼ばれるようになった。

 

5)通常、日本語で「もの」は、物か者である。“言葉は喋るときにつかうもの”という「もの」の使い方に自信がない。

 

6)階層という言葉は、社会のサブユニット間に情報と権力の方向があることを示す。階層的に分割された各部分には、その中で閉じた社会的活動が存在することを考慮し、各階層を夫々部分社会と呼ぶことが可能である。

 

7)江戸時代はある意味で人間社会の一つの完成形なのだろう。その後明治になって、西欧文化との不適合が発生した。そして日本帝国の軍の強さは、江戸時代の階層社会構造に由来するだろう。

2022年12月1日木曜日

激動の世界の幕開:中国共産党政権とバイデン政権の今後


中国共産党政権の荒っぽいゼロコロナ政策に対する国民の反感が、24日のウイグルの火災で爆発した。上海のウルムチ街で、(中国では他の大都市の名前を通りの名称とする習慣がある)ある女性が白紙を掲げて抗議したことに端を発し、多くのメガシティのウルムチ街で同様のデモが行われた。

 

上海では「習近平は退陣しろ」「共産党は退陣しろ」というシュプレヒコールが聞かれた。このような根本からの政権批判は共産党革命以来初めてであり、それは抗議者が政府により生存権まで脅かされていることの実感を示している。https://www.youtube.com/watch?v=rMOuRil1s8E

 

昨日の看中国youtube動画によれば、武漢で警察がデモ隊へ発砲したようである。今後、中国全土での武力弾圧も考えられるが、それは新たな怒りを沸き起こる可能性が大きい。

 

1989年の天安門事件とよく比較されるが、今回のデモは層の厚さや規模がはるかに大きく、比較にならない。中国共産党政権の崩壊のプロセスが始まったと考えられる。https://www.youtube.com/watch?v=OcVq5JD9go8

 

天安門事件の指導者であり、現在も民主化運動のシンボル的存在である王丹氏は27日フェイスブックで、「中国共産党が再び軍隊を動員して発砲すれば、必ず倒される」と指摘したと動画の中で紹介されている。

 

もしデモ隊の要求に屈すれば一旦は収まるだろうが、それは新たな要求を掲げたデモを誘発し、最終的には収拾がつかないことになる。一方、デモ隊を警察力や軍事力で弾圧すれば、新たな怒りの渦を引き起こすだろう。

 

何れにしても、現在、民衆の不満のエネルギーが沸点を超えた情況にあり、ここまで民衆の考えや感情を汲み取らず無視して、鈍感或いは強権政治で乗り切ることは最早不可能である。会社で言えば、純資産がマイナスの状態、倒産状態である。

 

ネットでは習近平の父親のことば「国民の発言を許可すべき、国民は国家の大事に関心を持つよう奨励する」などが伝搬しているという。このころには、共産党は民衆から離れないように注意するという姿勢があった。

 

https://www.youtube.com/watch?v=uaR7il-12WE

 

その言葉のネットでの拡散は、息子の習近平が政権を私有財産のようにしてしまったことへの民衆による告発を意味する。ただし政権私有を最初に目指したのは、党内で弱い立場にあった習近平を胡錦涛の後任に指名することで達成しようとした江沢民である。

 

習近平政権は、その江沢民のくびきから自由になるために、薄熙来の腐敗追放で人気取りをして政権の安定化を謀る方法を横取りし、次に国政を握るべき有力者を全て追放した結果である。江沢民の死去は共産党政権の終わりの始まりを象徴するニュースである。


 

2)米国へ飛び火、そして世界に飛び火か?

 

今回の大規模なデモに対して米国バイデン大統領は及び腰で、まともな声明を出していない。共和党議員らは「今回のゼロコロナ政策に対する抗議デモは、幅広く自由を渇望するデモであり、自由を看板にする米国は強く支持すべき。この習近平政権の愚策を明確に批難すべき」と攻撃している。

 

共和党下院議員らは、習近平政権の批判ができないのは、バイデンが中国共産党政権に取り込まれているからだと考えている。そして、大統領と息子のハンターバイデンの中国政府関連企業との取引関係について調査を開始すると述べている。

 

ハンター・バイデンは、今なお中国の国営プライベート エクイティ会社の 10% の株式を所有していると伝えられている。https://nypost.com/2022/11/29/republicans-press-biden-on-response-to-chinese-protests/

 

この件を含めて中国との黒い関係が噂されるバイデンの家族だが、まともに習近平政権の批判ができないのは黒い噂の証拠が暴露されるのを怖れてのことだと、英国のデイリーメイルも報じているようだ。https://www.youtube.com/watch?v=kH60P5YeQOg

 

この中国と大統領との黒い関係が国民の間で衆知されるのは、今や時間の問題である。来年一月には、共和党が下院でのメジャー勢力となるが、下院議長になると思われるマッカーシー院内総務は、中国問題を採り上げることを言明しているからである。https://jp.reuters.com/article/usa-congress-mccarthy-idJPKBN2SA0IV

 

ハンターバイデンなどバイデンファミリーと中国との話が表に出れば、それで終わりではない。次にバイデンファミリーとウクライナとの黒い噂が控えている。

 

オバマ政権の副大統領だったとき、ウクライナを担当していたのはバイデン(当時)副大統領だった。息子のハンターがウクライナのガス会社ブリスマの取締役になって、高給を(わいろ的に)貰っていたことなどは知られている。(補足1)

 

来年、ウクライナのゼレンスキー政権は、米国そしてNATOからの強い支援が無くなる可能性が高いと思う。そうなればウクライナは、ロシアに屈せざるを得ない。その場合、ゼレンスキーのこれまでの姿勢がウクライナ国内でも批判されることになるだろう。

 

今後ロシアはユダヤ勢力が世界に広げた価値観と対立する姿勢を強める。例えば、ユダヤ人たちが米国を牛耳るために用いたマイノリティの(行き過ぎた)権利拡大という戦術は、マジョリティを軽視する文化として、力を失うだろう。

 

その一例が性的マイノリティの権利拡大などである。同性間の結婚禁止は違憲状態という阿保な判断が東京地裁でなされた。(補足2)こんな愚かなことも上記運動が大きくなれば無くなるだろう。更に、グレートリセットすべきという声も小さくなるだろう。https://www.tokyo-np.co.jp/article/217005


 

終わりに:

今はネット社会。何か悪事を隠しても隠し通すことは出来ない。インターネットのSNSを甘くみれば、中国習近平政権も、米国ネオコンも、スイスの世界経済フォーラムの企みも失敗することになる。何とか、日本も中国の支配下に入らずに済むかもしれない。


 

補足:

 

1)ゼレンスキーが大統領になったとき、トランプ(当時)大統領は、是非バイデンファミリーのウクライナでの黒い噂を調査してほしいと、お祝いのメッセージにつけて依頼した。しかし、ゼレンスキーが民主党政権と強いつながりをもっているので、そんなことに同意する筈などないと知ってのことだったと思う。

 

2)憲法24条の条文は誰でもネットで読める。第一項には婚姻は両性の合意に基づくとあるのを意図的に無視して、このような判決をだすのは非常に愚かである。憲法における結婚の規定は、社会の安定的継承のために次世代の育成が大事であることを念頭に書かれている。それを抜きにして議論するという愚かな裁判官は、小学校から学びなおすべきだ。