2015年3月23日月曜日

チュニジアでのテロ:テロは西欧的視点からの対策だけでは解決しない

チュニジアでの観光客を狙ったテロで、日本人の方3名を含め21名の犠牲者が出た。豪華客船での地中海クルーズで立ち寄ったチュニジアの首都での悲劇だった。イスラム過激派の仕業であることが明確になり、改めて地球上の広い地域でテロの危険性があることを世界に教えた。地中海の美しい景色を豪華客船の上から観賞しての楽しい旅行とのコントラストがあまりにも強く、日本にいる我々にも大きなショックを与えた出来事であった。(補足)

イスラム原理主義とかイスラム過激派とは何なのか?何故あのような行為をするのか?などという議論がテレビで盛んに行なわれている。その思想的なことや歴史的なことの理解は、事件のプロセスやメカニズムを知る上に大切かもしれない。しかし、もう一つの見方がある。それは事件をひき起すエネルギーである。

この過激派が出現する領域に共通しているのは、貧しさである。不公平とも感じられる国境を跨いだ富の大きな差は、この地域が西欧科学技術文明との経済的接触を持ったときより生じたものである。豊かなサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェート等の産油国とそれ以外で一人当たりのGDP(つまり一人当たり所得)は約一桁違う。http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html

2013年の統計によると、豊かなカタールの1人あたりGDPは約10万ドル、クウェートやアラブ首長国連邦で約4.5万ドル、サウジアラビアやバーレーンなどは約2.5万ドル程度である。一方、イラン、イラク、チュニジア、リビア、アルジェリア、エジプト等は約3-6千ドル、アフガニスタンは700ドル、ソマリアやシリアは統計に無かった。

日本の1人当りGDPは3万8千ドルだから、産油国は日本と同程度から世界トップレベルまでの豊かさである。一方、テロや国際紛争で新聞紙上にしばしば出てくる国々は、一桁低い所得であり、国家としての形が保てないシリアでは極貧状態である。

先進国でも貧富の差が問題になっているが、中東やアフリカの貧富の差は遥かに深刻だろう。そのような状況があるからこそ、命を捨てて怒りをぶちまける行為が可能なのだ。西側先進諸国の視点から警備強化や政治的安定性確保を対策と考えるだけでは、テロは解決しない。

そして、もう一つ気になることがある。それはテロにも金がかかるということである。自動小銃は数十万円する。その価格はテロが起こる地域の一人当たりGDPと同じレベルである。何か黒い影を感じるが、それについては既に書いた。

補足:犯人の内2人はその場で射殺されたという。テロ犯人の死と日本を含む西欧先進諸国から豪華客船で立ち寄った人たちの死。このコントラストも凄まじい。(書かないでおこうと思ったが、どうしても書きたかったので補足します。)


一足早く咲いた河津桜:原種に近い桜であり、花と同時に葉をつける。この方が自然であり、ソメイヨシノよりも私は好きである。

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