2015年5月4日月曜日

安倍総理の米国議会での演説は、自己破産的手法か?

安倍総理の米国議会での演説は、幾つかの問題を含むものの成功であったと思う。新聞紙上で全文を読んだが、話の筋は非常に良く出来ていて感心した。英語は下手だが、それでも堂々と45分間演説する姿には、政治家岸信介の家系の重みを感じる(注1)。

問題点は言うまでもなく枝野氏など民主党の方々が非難している通り、自衛隊法の改正はおろか国会で議論もせずに、地球規模で米国軍と自衛隊の連携を約束した点である。この点についてのみ、以下に書く。歴史問題などについてふれた部分の感想は、既に、時事放談の感想として他のブログに書いた。 この集団的自衛権行使を地球規模で行なうことは、憲法や自衛隊法上問題があると思う。そして元々、自衛隊を持つこと自体も憲法9条に違反する。そのことは、既に議論した様に憲法の条文を読めば明白である。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2013/10/blog-post_9.html

ただ、外交も財政も、法律無視のやり方は今に始まったことではない。日本国が隣国の軍事的脅威から領土保全を果たして来たのは、日米安全保障条約と軍隊でないと政治家が言い張る自衛隊(self defense force:自衛軍)があったからである。そして、貯金癖の強い国民と企業が大半の日本で、健全な経済を維持するのに必要な金(かね)の流通は、日銀の国債引き受けしかないのかもしれない(注2)。

借金を貯め込んだあとに、徐々に返済するように、法律も徐々に実態に合わせていくという方法では、最早手遅れだろう(注3)。その“付け”は、自己破産に似た、強引な安倍総理の様な手法でしか支払うことが出来ないのかもしれない。米国議会での演説でその決意を表明するのは、まさに米国が債権者(日本防衛の話)だという発言を強めたことが原因か、或いは、安倍首相が米国を債権者に仕立てる方法を思い付いたからだろう。

新聞紙上(中日新聞5/4、23面)には、ノーベル賞作家の大江健三郎氏、落合恵子氏、澤地久枝氏など参加した、横浜市で開かれた「憲法集会」の様子が記載されている。落合恵子氏の「集団的自衛権は、他国の人々と殺し合う権利でしかない」という発言が紹介されている。彼らは。憲法9条と日本の戦後平和主義が、日本を護って来たと本気で考えているらしい。

日本を代表する知性(に含まれる)と新聞などで紹介されている彼らが、そして、日本を代表する新聞など、更に、日本のテレビ(時事放談、サンデーモーニング)などが、同じ様な台詞をこの半世紀吐いて来たのだから、議論しても時間の無駄だろう。英米と違って、日本は民主主義という仮面を下手にかぶっている。

日本の戦後政治は、韓国と違って、政治家の身の安全保障には万全であったが、国家の安全保障は放置されたままだった。

注釈:
1)これは、政治家の二世にはろくなのはいないという、持論に反する文章に見えるかもしれない。しかし、安倍総理の政治家としての評価は、あの演説では定まらない。
2)日銀による市中銀行からの国債はぎ取り行為は、実質的に財政法で禁止された国債の直接引き受けである。日銀当座預金の大半に利子(0.1%の付利)がついていることは、銀行が国債を手放し易くするためだと思う。専門家の意見を聞きたいのだが。。。
3)強大になりつつある中国とは、友好関係を築く努力をすべきである。そして、同時に防衛努力も進めなければならないが、その為には憲法や自衛隊法の改訂を急ぐ必要がある。民主党と長々と議論していては、中韓に直接非難とそれによる日本国民洗脳の時間的余裕を与えてしまうのだろう。中曽根元首相も先日のテレビの画面上で、憲法改正をしなかった歴代政権の責任にふれていた(自分もふくめてだろう)。

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