2015年7月26日日曜日

ドイツの狡賢さと日本の愚かさ

池上さんの番組(7/25;そもそも戦争とはSP)を観た。大戦で失ったドイツの信用回復への取り組みを紹介している。日本はこれまで、戦争についての責任追及をおこなってこなかったことを、私もブログで非難してきた。あの戦争の歴史を知らないままでは、大失敗のあの戦争から何も学べないし、周辺国との不要な摩擦に苦しむ可能性大だからである。

ドイツはその点ずる賢くやっている。ナチスを徹底して糾弾し、現在でも少しでもナチスに関係がある人を見つけ出して裁いている。ドイツ国民がつくった政府である、ヒトラー政権に協力することは、当時違法とは言えない筈である。先日も、93歳になるユダヤ人収容所の門番を逮捕して、裁判にかけたという。事後法で裁いている筈だが、そんなことはおかまいなしである。

狡さとは、つまり、ドイツ人全てが引き受けるべきことを、ヒットラーとその協力者にだけに事後法を用いて押し付けているからである。メルケル氏は先日来日した際に、その取り組みを自慢げに日本に勧めているが、日本はホロコーストの様なことをやって居ない(補足1)。

どっちもどっちだ。つまり、日本の様に何の検証もしないで、何の教育もしないで、近隣とトラブルの種を放置するのも問題だ。しかし、事後法で国民の一部を厳しく罰するのも、おおいに疑問である。

戦後70年、安倍総理が何か談話を発表したいそうである。その内容がどうなるか、国内外で注目されている。安倍総理は、積極的平和主義を看板に掲げて未来志向の演説をしたいようだが(補足2)、やり方を間違えば国益を著しく損なうだろう。国民の一人として、安倍総理もあの戦争を十分消化吸収していない可能性が高いと危惧するからである。つまり、ドイツは現在ヨーロッパに於いて殆ど脅威と看做されていないが、日本は未だに東アジアで脅威と看做されているのである。

未来志向は、現在の足場がしっかりしていることが条件(補足3)である。安倍さんは、そのことが十分解っているのか心配なのだ。

補足:

1)韓国メディアから日本に対する暴言が飛び出した。http://www.j-cast.com/2015/07/23240979.html
「日本だけは地球上で必ず絶滅させなければならない、唯一の人種」だそうである。韓国のニュースサイト「デイリー・ジャーナル」のコラムでこう書いたのは、以前も秋篠宮家の次女、佳子さまについて「慰安婦にするしかない」などと暴言を書いた記者だった。

2)積極的平和主義は、自由や正義といった人間にとっての普遍的な原則に基づいて、平和(世界的秩序)を構築するという、米国の理想主義者の政策に酷似している。しかし、それはジョンソン(息子)大統領の時に失敗が確定したことではなかったか。日本はそのような覇権国家のような真似をする地位にはない。国民の一人として言いたいのは、自国の国益と防衛に利する政策を、時にはずる賢く一歩一歩着実に進めて欲しいのだ。

3)集団的自衛権行使を可能にしたとしても、日本の足場(日米安保条約)は沼地のようなものだと思う。米国は、世界の警察官(覇権国)の地位を降りる予定であると言われている。中野剛志著「世界を戦争に導くグローバリズム」pp136-138参照。

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