2015年12月5日土曜日

イスラム国追討の欧米連携は十字軍か?

パリでのテロから3週間ほどたち、現場の喫茶店が営業を再開した。一方、フランスはシリア追討のため、軍艦シャルルドゴールをペルシャ湾に派遣し、ドイツもシリアに向けた軍の派遣を決定した。

アサド政権に対する姿勢はそれぞれバラバラであっても、欧米&ロシアはイスラム国攻撃では一致している。イスラム国の出した十字軍という言葉が、よりリアルに感じられる。仮にイスラム国が殲滅されても、イスラム圏とキリスト教圏との間に大きなしこりが残らないか心配である。

パリでのテロの詳細は連日テレビ放送され、その恐怖は全世界に実感を持って紹介された。一方、イスラム国からの数百万人という避難民の陰には、それと同じ程度の数の死傷者があるだろうが、その恐怖はイスラム圏に封じ込まれているように見える。

漠然とシリア難民の大変さは理解しているが、その原因の全てをアサド政権の圧政に帰することはできない。直接的か間接的かは様々だろうが、欧米のシリアへの介入が原因になっていることなど、西欧諸国や日本人の頭の中にはないだろう。

最初にシリアの問題を我々が聞いたのは、米国によるアサド政権の化学兵器などを用いた非人権的な弾圧である。そして、米国の介入はそれに対抗する人たちを支援するという形でなされた。それを報じた2013年のイアン・ブレマー氏の記事を、今の時点で読むことはこの問題を考える上で参考になると思う。 http://jp.reuters.com/article/l4n0gt108-column-us-syria-bremmer-idJPTYE97R07820130831?pageNumber=3&sp=true

上記記事でイアン・ブレマー氏は、米国のシリア介入の動機は「化学兵器禁止」という“国際ルール”を維持するということであると語っている。それは、(先進国社会のリーダーとしての)米国の威信を守る為であり、シリア国民の為ではないと言っている。泥沼化というイアン・ブレマー氏の恐れが現実化したのが、今日のシリア情勢だろう。

アメリカの介入により、反アサド政権の一角にイスラム国が大きくなったのは事実である。http://blogs.yahoo.co.jp/mohkorigori/56807658.html http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42538885.html
国際ルールの中には、化学兵器禁止というのがあるだろうが、同時に内政不干渉というルールもある。この問題は更に、イスラム国シーア派(シリアアサド政権)とスンニ派(サウジアラビア、シリア反体制派、イスラム国)という対立も含んでいる。

歴史的な経緯に関する議論はいろいろあるだろうが、まずシリアの現状は国家としての統一前の状態とでも言えることを考えるべきであると思う。(歴史的な経緯はhttp://kamurai.itspy.com/nobunaga/tyuutou.htm に書かれている。) そこへ、政治経済の進んだ外国が強力な武器を手に、“国際ルール”を守るとか何とか言いつつ自国の利益を優先して介入すれば、混乱が益々ひどくなるだろう。

十字軍とイスラムの戦いというセリフに、イスラム教信者一般が少しでも影響されないように、“神”に祈っている。

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