2016年1月31日日曜日

日銀の危険なマイナス金利策

現在日銀当座預金には昨年12月末で250兆円のほどのお金が預けられており、法に定められた準備金以上の当座残高にたいして、0.1%の利息(附利)が支払われていた。これは日銀が市場経由で国債などを購入して、その代金が市中銀行を経由して日銀に預けられたのである。当座預金に、0.1%という銀行の定期預金よりも高い利息をつけるというのは常識的ではないが、国債の値上がりを防ぎスムースに買い上げる為に付けたのではないだろうか。

日銀は29日、一定以上の当座預金額に対してゼロ金利とマイナス金利を導入することにした。http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/ このマイナス金利は、物価上昇率年2%を達成する目的という。資金が市中に出回り、企業などに投資される額が増加して、景気刺激になるというが何かおかしい。

もし、貸出先があるのなら、既に当座にはそのような多額なお金が積み重なっていないはずです。そうすると、限度を超えた分にマイナス金利をつけると、銀行はわざわざ危険な企業に貸出をするよりも、日銀に返却して利払いを避けた方が良い。しかしそれでは、銀行の利益が一方的に減少することになる。おそらく、それらの金は海外への投資や外貨建ての債権などに向かうのではないだろうか。その結果円安に動くのである。つまり、単なる円安誘導策なのではと思う。

米国の中央銀行であるFRBは、多額発行したドルの回収を始めているが、それはかなり困難なプロセスである。膨らんだ円の発行残高を元の健全な形に戻すにはそれ以上の困難があるような気がする。円の信用が落ちるのが心配である。

金(マネー)が金(ゴールド)から離れたニクソンショックから、既に40年以上になる。それ以来マネーの価値は、それを発行する中央銀行とその国家の信用が維持してきたと思う。中でも米ドルは、最も安定した地位を保持し、基軸通貨として機能してきた。米国が強力な軍事力を持ち、国際政治の中で安定した地位を保つことと、安定な食料生産と資源調達力及び高い産業開発能力を持つ世界一の経済力とが、米ドルの価値を裏書きしている。

それに比べて、軍事小国であり、エネルギーと資源それに食料を海外に頼っている日本の政治と経済の安定性は、米国との政治的連携という形が崩れれば確保できない。(補足1)また、対外純資産残高が世界一であることで、通貨である円は短期では“有事の円”と言われるが、マネタリーベース(通貨発行高+日銀当座預金残高)が350兆円と大きくなった上に、当座預金(250兆円)からかなりの額が無理に追い出されれば、円の信用は大きく揺らぐのではないだろうか。素人考えかもしれないが、円に対する信用の急低下が、例えば国債の組織的売りなど、何かの切掛けで起こる可能性を恐れる。

1)米国がモンロー主義的な方向に進んだ場合、日本は極東で孤立する可能性が高くなる。世界政治と経済が混乱した時、世界にばら撒かれた円は暴落するのではないだろうか。

==素人の考えですから、間違いの指摘などコメント期待します。==

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