2016年3月28日月曜日

日本国が消滅しない様に、日本人は核アレルギーを克服しなければならない

以下は、日本の核抑止力と日本の将来について書いた私的メモです。

核兵器対策は国家戦略の基本であることを我々国民は理解しなければならない。現在、米国の核の傘の下にあると言われているが、米国の核の傘は中国の核には無力であることは、伊藤貫氏の「中国の核戦力に日本は屈服する」(小学館新書、2011、96-100頁&181-186頁)に書かれている。その理由は、米国民の命を日本のために犠牲にする気持ちなど更々ない上に、複数の弾道核ミサイルや巡航核ミサイルはミサイル防衛システムでは撃ち落せないからである。

1)中国の脅威:
国際関係を善意と信頼で組み立てることができないと教えてくれたのが、中国共産党政権である。あの尖閣諸島での漁船の体当たり事件、南沙諸島の岩礁を違法に埋め立てて軍事基地を作りつつあること、過去に潜水艦が日本領海を潜水したまま通過するなどの違法行為を重ねていること、小笠原近海でのサンゴの集団での密漁(https://ja.wikipedia.org/wiki/中国漁船サンゴ密漁問題)など、共産党政府支配の中国は、国際法や慣習を無視してきた。上記は米国の強力な覇権存在下での出来事である。世界が多極化して、米国が孤立化の方向に向かえば、中国の変化の方向は明らかだろう。中国は共産党という名の貴族が支配する帝国主義の国である(補足1)。

3月18日のBSプライムニュースの中で、中国出身の凌星光氏(福井県立大名誉教授)は、「現在太平洋は米国が一方的に抑えており中国にとって支障があるが、今後中国は米国に変わって支配するようになる」という趣旨の、中国政府の計画を代弁していた。中国が、太平洋を米国と東西に二分割し、西太平洋を中国が支配することを提案していることは既に有名である。

そうなれば、日本のタンカーなど船舶がマラッカ海峡やバシー海峡を自由に通れなくなる可能性が高くなり、日本は生存のために中国の思い通りに操縦されるだろう。それはどういう意味なのかについては、ウイグルやチベットの情況を思い出すとか、既に良く知られているが、1993年にオーストラリア首相が中国を訪問した際、「日本などという国は20-30年後には消えてなくなる」と時の首相である李鵬が言った言葉を思い出して、想像すればわかる。それは、日本が満州を支配し、南京に攻め込んだ報復である。

中国の国家戦略は過去中国の領土であったが、戦争などで奪い取られたところを取り返すことである。その中には台湾や沖縄も含まれている。その戦略については、やはり3月18日のBSプライムニュースで、中国出身の韓暁清氏(日中新聞社社長)が、正直に発言をしている。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42708818.html それはまた、上記伊藤 貫著の本に、「中国の国家目標は、2020年代以降にアジアの最強覇権国家となり、19世紀初頭に支配していた中華勢力圏を回復するというものである」と書かれている(134頁)。

2)安保条約と日本の自主的核武装放棄の関係
このような中国の覇権主義の餌食にならないためには、核武装が必須である。米国大統領予備選で共和党のトランプ候補が、「日本や韓国との安保条約は米国には負担であり、廃止すべきである。その場合、日本と韓国の核武装を容認する」という趣旨の発言をしている。この発言は画期的である。

ニクソンとキッシンジャーが1972年に中国を訪問した際、周恩来と交わした密約がある。その内容は「日本に自主的な核抑止力を持たさない。そのために米軍が日本に駐留させておく」である。トランプ候補の発言が画期的なのは、米中密約の解消を意味しているからである。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、残念ながら密約の解消はないだろう。彼らの密約を守るために、毎年2000億円もの“思いやり予算”を献上しなければならないのである。http://www.asahi.com/topics/word/思いやり予算.html

この安保条約と核武装の関係に言及した上記トランプ発言を、異様に思う日本人は多いかもしれない。しかし、安保条約の重要な目的の一つは、上記密約にあるように、日本に核武装をさせないこと(日本が核武装しなくても良いこと)であり、それは今も変わっていない。そのことは、政治には素人であるトランプ氏にとっても、常識なのだ。例えば、日米安保改定50周年セミナーで、米国の政治家であり米日財団理事長のジョージ・パッカード氏が講演で述べている。安保条約は独自核装備をしなくても良いことを一つの目的に締結された。しかし、安保条約は永遠には続かないと。(補足2)

3)日本人の核アレルギー 日本国民はこの現実を理解すべきであるが、根強い核アレルギーと平和ボケが災いして核兵器保持への覚悟はできない可能性が高い。つまり、国際政治に関しては12歳の子供であると自覚して、護身用のナイフが持てないのである。その日本人という子供は、以下のようにして作られた。

朝鮮戦争が勃発して米国は再軍備を要求するようになったが、時の首相の吉田茂は再軍備など経済的に出来ないと、日本国憲法を逆手にとり避けていた。それに対して、米国極東司令部のマグルーダー中将は、「日本をまず富裕にしてから軍事的に強化するという概念は、日本人の倫理的体質を弱め、日本が自衛能力を獲得することを無期限に延期するだろう」と発言した。(日本永久占領301頁)( http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42715238.html で議論した。)吉田茂の姿勢はその後の吉田学校の生徒たちが作った池田内閣や佐藤内閣でも堅持されたのである。最後の生徒(池田勇人の秘書)である宮澤喜一に至っては、「憲法改正を誰かがやれば阻止しようと思う」という始末である。(日本永久占領、473頁)

イスラムの自爆テロを連日テレビニュースで見ていても、不思議なことに「平和は誰かが守ってくれる」「この時代、そんな無茶はしないだろう」と日本人の誰もが考えている。それが、マグリーダー中将の言う“倫理的体質が弱くなった”極限の姿である。自爆テロを極悪犯罪として捉えるのは、テロを仕掛けられる側の考えである。仕かける側にとっては言うまでもないが聖戦である。彼らは命を賭けて自分達の存在根拠をこの地球上において守ろうとしているのである。それが明日の日本の姿かもしれないことを知るべきであると思う。

近現代史の勉強と国民的議論を通して、日本が12歳の子供から成人になるまで、独自防衛の意思を高める様に国民は努力すべきであると思う。テレビ局も、不倫騒動、学歴詐称、女子学生の拉致監禁などの事件を娯楽として報道する醜い姿勢を反省して、今後の日本の生き残る狭い道を議論するのに公共の電波を使うべきである。

核兵器にたいしてアレルギーを持つのではなく、核兵器を向けられて自分達の権利を侵害される可能性にたいして、もっと敏感になるべきである。

補足:
1)シカゴ大学のモーゲンソー元教授は、「戦後の米国、中国、ソ連は、道徳的で反帝国主義的スローガンを唱えながら、実際には帝国主義外交を実践してきた」と、これら3国の偽善的な外交政策を描写した。(p30)
2)防衛省防衛研究所のホームページに日米安保条約改定50周年記念セミナーの講演要旨集が掲載されている。http://www.nids.go.jp/event/other/just/ その中にジョージ・パッカード氏の講演要旨もある。条約改定までの経緯について千々和泰明氏の解説に詳細に書かれている。

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