2016年6月9日木曜日

喜びも 中ぐらいかな ニホニュウム:新元素の命名について

1)理化学研究所などが発見した原子番号113の元素に、ニホニュウムの名前が付けられるらしい。日本人研究者の発見した元素の名前が、「日本」に因んだ名前で周期表に載るのは、喜ばしいことである。この元素は、原子番号30の亜鉛のイオンを加速器を用いて高速にして、原子番号83のビスマスの原子にぶつけ融合させて作るという。

そのニホニウムだが、生成確率は1700京回の衝突で、ようやく1回だという。しかも、ニホニウム原子は生成しても1ミリ秒以下の時間で崩壊するのだそうだ。http://www.org-chem.org/yuuki/SMS/113.html

従って、原子一個がイオンの状態で生成するのみであり、金属のような巨視的物質にはなり得ない。「そんな物、元素と言えるのか?」という疑問が化学専門の者には起こる。従って、科学的には大きな成果だが、現実的には日本の国威発揚あるいは国際的存在感を高めること以外には役にたたないだろう。

2)元素とは、万物の元となる素物質というくらいの意味だろうが、原子番号113の元素は地球上だけでなく宇宙にも存在しないだろう。天然に存在する原子番号の大きい元素のトップスリーは、原子番号92のウランや、ウラン鉱石に同時に含まれる原子番号93のネプツニュームと同94番のプルトニュームだという。それ以外は理研の方法と同じく、原子核(より正確にはイオン)を衝突させて作られた。

それらの名前は地名や人名を捩って付けられている。原子番号96番がキュリウム(キュリー夫妻に因む)、99番はアインシュタイニウム(アインシュタインに因む)、100番はフェルミウム(フェルミに因む)などである。(補足1)

これらの名前などと比較して、ニホニウムという名前は新元素にふさわしいのだろうか?  他国に対しては誇示的であり、すこし疑問が残る。例えば、核兵器に反対なら非核を捩ってヒカクニウムや、平和を捩ってヘイワニウムくらいの名前をつけた方が面白いと思う。短寿命の平和は困るというのなら、湯川秀樹の名前を入れて、例えば、ユカワニウムにしたらどうだろうか。

補足:
1)原子番号95番はアメリシウムであり、アメリカ大陸に因んで付けられた。97番はバークリウムであり、これはカリフォルニア大学バークレー校の地名による。98番はカリフォルニウムで、名前の由来はいうまでもない。

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