2016年9月30日金曜日

絶対安全を目指すのは愚かである:相対的安全と現実的な対応という知恵に挑戦する愚かな人たち

1)豊洲移転の中止とその地下を掘り返しての微量有害物質の無理やり検出は、無駄なことを大衆の拍手をあびながらやっているように見える。築地市場から引っ越すべきかどうかを環境基準で決めるのなら、平等に築地の地下もほって何か有害物質が検出されないかどうかチェックすべきではないのか。築地の地下に汚染が無いという確信があるのか? 豊洲もどこもかしこも、もっと深く掘って徹底的に調査しなくて良いのか?例えば微量の有機水銀が出るかもしれないではないか。

小池氏のパーフォーマンスのために連日テレビは非科学的な放送を行っている。地下の水を飲むわけでもないのに、リッターあたり10mg程度のベンゼンがふくまれていたとして、なにが問題なのだ。もちろん、検出されないに越したことはないが、現実的対応という政治の要諦を忘れているように思う。それで無知な都民を興奮させて、なにをしようというのか?

あんな量のベンゼンなど、深く掘ったところの地下水から検出されたとしても、現実問題として食の安全に無関係だ。我々は合成有機物の中で生きている。医薬、消毒薬、農薬など、微量ではあるが、環境基準に匹敵するくらいのそれら有機物がいたるところにスポット状にあるだろう。小池氏のやり方を正しいとすれば、現在人が住んでいる工業地帯の地下水を至るところでチェックすべきでは無いのか? 全国の全ての箇所で深く掘って地下水を徹底的にチェックせずに、日本国が安全だと言えるのか?

もちろん、そんなことは常識外れである。安全基準は何かをする上での目安と考えるべきで、現状安心して生活している場所を明確な理由なしに調査するのは、時間と経費の無駄だからである。そして、比較的な安全を目指すべきであり、絶対的な安全を目指すべきでは無い。そんなことはわかっている筈だ。環境基準の1.4倍のベンゼンを含む地下水が地中深く掘って出てきても、だまって蓋をすれば良いのだ。おそらく同程度のベンゼン水が地表に現れることはないだろうからである。

豊洲市場は、比較的安全、比較的便利に水産物市場の機能を果たすことを目的に作られたと思う。それは既に終わったことであり、改めて移転を中止したり、取りやめたりするには、新たに生じた相応の危険性の指摘が必要である。地下を8回も掘って環境基準の1.4倍のベンゼンが検出されたことなど、その理由にはならない。ベンゼンを甘く見るのはいけないが、何とかトキシンほど怖がる必要はない。冷静で他に迎合的でない専門家の意見を聞くべきである。

誰もその水を飲むわけではないし、市場で取り扱う品物にその地下水が触れることはない。ポピュリズムに走り、それに喝采を送る日本の世論に恐怖を感じる。第二次大戦の日本やドイツを見る思いだ。

2)現実的対応について、例を挙げる。
交通法規というのがある。それに従って、いたるところに最高速度が規定されている。しかし、その速度を守る人はほとんどいない(補足1)。もし、法定速度を守れば、朝夕のラッシュ時には渋滞が方々で起こるだろう。

名古屋の名古屋第二環状自動車道という道路がある。そこは、外見高速道であるが、最高速度は時速60kmである。しかし、インターチェンジ近くを除き、そして、渋滞していない場合には、60km/hで走っている車はない。普通に90km/h程度で走っている。数十回通ったが、一度も速度取り締まりのパトカーに出会ったことは無い。

道路は自動車をスムースに比較的安全に流すことを目的に作られている。法を守らせることを目的につくられているのではない。もちろん、守れない法定速度をそこに設定する行政の怠慢は攻撃されるべきであるが、そこを通行止にする必要はない

我々は体内に放射性元素も持っている。カリウム40や炭素14のような天然に存在する放射性同位体がある。体重60kgの人体で、カリウム40で4000ベクレル、炭素14で2500ベクレル、の天然の放射能があると言われている。http://www.yonago-kids.com/radio-3.html

そんな話は誰もしない。徒らに恐怖を煽ることになるからだという。しかし、それは知らせるべきである。なぜなら、原子力発電所から事故で放出された放射能を恐れるのなら、正しく恐れなければならないからである。上記内部被曝と比較して数値的に同程度の外部被曝なら、よほど害がないことをしるべきである。

この数年、原発からみの放射能の話がたくさんマスコミに流れたが、上記内部被曝の話やラジウム温泉の話などは、ほとんど聞かなかった。二三度専門の医師が、一定の放射能は体に良いという意見を述べていた。その際、ラジウム温泉の話をしたと思うが、まともに受け取る人はいないという雰囲気の中で放映されていた。空気の支配する日本国では、空気が情報を遮断するという恐ろしさがある。

一昨日のブログで、そんなことより、北朝鮮の核の脅威が日本全体を生活環境を「不適」にしている。その問題を考える方が先ではないのかと書いた。生物は多くの危険の中で生きている。生きるということは危険と日々戦っていると言っても良い。それらの危険と比較して、地中深くの地下水中にとけた14ppmのベンゼンは大きな危険だろうか? そう考えるべきなのだが、無知な人は日々危険と戦っているという自覚がないから恐ろしい。

補足:
1)時々速度取り締まりが行われている。その場合も20km/h以上の速度超過が取り締まりの基準のようだ。そのため、最高速度が40km程度のところが取り締まりの対象に選ばれる。渋滞を起こしてはいけないので、朝夕ラッシュ時には行われないだろう。法定速度というのがあるということを知らしめるために行っているようだ。

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