2016年11月20日日曜日

コミュニティと個人の関係の新しい姿=ある夢想

1)地域社会(コミュニティ)は日本中で崩壊の危機にある。山村地帯では人口減少により、そして、都市部特に大規模団地では段階の世代が老齢化したことなどが原因と考えられている。

高齢化社会になり、団地などでの老人の孤独死(化)は他人ごとではなく、深刻な問題である。そこで、地域社会での人の繋がりを強めようとする試みが方々で行われている。しかし、新興住宅地での空疎な人間関係は、なかなか改善しない。

これまでの試みの多くは、人は本来群れで暮らす生物であるから、行事などを催して一ヶ所に集めれば、人間関係が自然に強くなるという考えでなされてきた。しかし、先日建物内では挨拶をしないように取り決めたマンションの管理組合があったことでもわかるように、その前提は再考すべきだと思う。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43058446.html

つまり、人が群れで暮らすのは、文化的行動であって、遺伝子的な行動ではないと考えるべきだと思う。(補足1)人は家族などの小規模の群れを作るが、それ以外はむしろ他人に干渉されたくないという、他の動物とほとんど同じ性質(遺伝子的には)ではないのだろうか。

2)昔の地域社会では「ゆい」などの日常的協力が生産上必須であったし、武士だけでなく農民も戦闘要員だったので(「乱取り」と「明治維新の過ち」参照)、非常時の協力は生死の問題であった。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42249167.html

現在観光資源となっている祭りなどの行事は、その生死を分ける協力体制を毎年神の前で確認する意味があったと私は思う。単なるコミュティの仲良し行事ではない。つまり、多くの地方公共団体が企画しているように、人を集めるだけでコミュニティの人間関係を昔のように回復することを企画しても、それは無駄だろう。行政はセイフティネットの役割をすれば良いだろうし、それ以上は無理だろう。(補足2)

一定の協力関係を復活するとしたら、構成員達が生活上必須の何かを共有しなければならないと思う。そんなものがあるだろうか?

現在の日本は豊かである。高級な医療は受けられなくとも、一応食っていける。エネルギーを得た液体が、バラバラの分子になって気化する現象に似て、富を得た人間の集団が心理的にバラバラとなるのはむしろ自然であると言える。

3)老齢化した人たちのコミュニケーションと生活環境の回復は、やはり近代的な方向で解決するのがむしろ簡単だろう。鍵は、インターネット、ロボット、そしてドローンである。 家族関係など密接な関係を持つ人の間では、ネットTVなどで必要に応じて連絡を取ることができる。生活物資はインターネットで発注し、ドローンで受け取り、ネット決済することが可能である。必要なのは既に書いたように、ドローンポートを作るだけである。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42686197.html  ドローンに全てパソコンのように識別番号を付与すれば、不審なドローンは官憲により捕獲できる。更に、物理的な介助はロボットでかなりのところまでできるようになるだろう。

日本人は人の世話になることを過剰に気にする文化を持つ。人に迷惑をかけることはいけないと、幼少期より教え込まれる。基本的なことを全て自分でできるようになれば、むしろ、地域社会での人との接触もスムースに行くのではないだろうか。話しかけられても何か努力を要することを頼まれるのではないかと警戒する必要はないし、また、相手がそのように考えるのではないかと思って、話しかけることを自制しなくても良いからである。

補足:
1)遺伝子的に協力して生きるように出来ている生物として、例えば、軍隊蟻がある。軍隊蟻は移動する際に、自発的に一部が起伏の激しいところで橋となって、他の移動を助けたりする。それは軍隊蟻の文化ではなく、遺伝子的な性質である。
2)行政の役割として、単独では生活できなくなった個人をギリギリのところで助ける、心理的肉体的介護などである。それは経済的な面での生活保護と同類の制度として整えるべきであると思う。

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