2017年6月25日日曜日

韓国と北朝鮮の今後について:米中の干渉と半島統合のプロセス

1)文在寅氏が韓国大統領になり、一部の政治評論家は南北朝鮮の統一を予想している。大統領に当選直後の文在寅には、日米との関係を正常に保つような姿勢があったが、徐々に本来の方向に進みつつある。統一の具体的な動きがあったとしても、そのプロセスについては、予想困難である。

そのような中で、先月末に米軍によるTHAADミサイルの追加搬入が行われたが、それが国防省から大統領府に報告がなかったとして、文在寅大統領は調査を指示した。http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H6Z_Q7A530C1FF1000/

また、昨日(6/24)ソウル都心において、THAAD反対集会が開かれた。全国から3000人があつまり、米国大使館前をデモ行進した。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170625-00027732-hankyoreh-kr これらの動きは、文在寅大統領の思惑通りだろう。

同じく昨日のニュースだが、テコンドーの世界選手権の開幕式に出席した文在寅大統領が、来年2月に開催される平昌五輪で南北統一チームをいくつかの種目で結成することを呼びかけた。

また、国際オリンピック委員会(IOC)の北朝鮮代表委員を務める張雄氏が23日、2018年平昌冬季五輪の南北共同開催案について、IOC会長と話し合うと明かした。この点については、韓国側はその動きを否定している。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170624-00000015-jij_afp-spo

このオリンピックを巡る動きは、韓国と北朝鮮との接近をどのように世界が捉えるかについての観測気球的なものだろう。

2)先月末のチャネル桜で、朝鮮半島情勢と日本を考える討論が放映された。その席で西岡力氏が、南北朝鮮の両方でレジームチェンジが起こりつつあると言う話をした。以下にその話を取り入れて、私の考えを紹介する。https://www.youtube.com/watch?v=i2HCA2ay4mE

北朝鮮の金日成はチリのアジェンデ政権(1970)の成立を見て、選挙でも革命が可能だと考えて韓国で工作を開始した。朴槿恵政権は、それらの勢力が浸透した韓国の中で孤島の様に浮いた存在であった。朴槿恵は、いくつかの具体的対応を行なったが、最終的に破れた。これが、朴槿恵大統領弾劾の真相だという。(補足1)

つまり、朴槿恵元大統領が一民間人である崔順実氏に国家機密を漏洩したと言う疑惑で逮捕収監された事件は、実は北朝鮮の勢力が浸透した韓国で、革命が始まろうとする(深層での大きなうねり)際の序曲的な現象だというのである。つまり、文在寅政権誕生はその大きなうねりの第一波ということになる。

また西岡氏は、脱北者で現在韓国情報関係の幹部職員をしている人の話として、現在の北朝鮮一般民における金正恩の支持率は30%程度であるという推測を紹介した。因みに、金日成時代は100%であり、次の 金正日時代は70%位の支持率だったという。

金正恩はトップではあるが、若くて専門的知識にも欠けるという劣等感を持っているという。幹部たちもそれを知っていて、専門的知識を披露して金正恩に何か進言することが、命の危険に繋がると考えているという。金正恩は未だに国家のトップの席に余裕をもって座っている状態ではないのである。

つまり、金日成の計画がまさに成就すると言う段階になったにも拘らず、金正恩は北朝鮮を崩壊の危機に落としいれようとしているというのである。現在、北朝鮮の幹部たちは、やがて改革開放の時代がくるので、それに備えて外貨を持っておこうと考えているという。従って、金正恩が文在寅の信号を上手く利用して、韓国を飲み込む形での統一達成は困難だろう。

一方、文在寅が目指すのは、韓国を米国の軛から解放すると同時に半島統一を韓国主導で行うことだろう。しかし、全ての準備を米国にも漏れないように行い、半島統一のシンボル的現象:ベルリンの壁崩壊のような象徴的な出来事を一晩でやり遂げる位のスピードがなければ、米国の干渉で実現しないだろう。ただ、大国の干渉を除けば、統一の壁は両方の歩み寄りが起こるレベルまで下がっていると思う。それを暗示しているのが、オリンピックを巡って揃ってきた両国の歩調だろう。

通常の遅いプロセスでことが進むのなら、朝鮮半島のことでありながら、実質的に決定権をもっているのは米国と中国だと思う。トランプは一定期間のモラトリアムを習近平に与えたが、一向に半島情勢に改善(米国の視点からの)がないので、再度米中の首脳会談が行われると思う。

川添恵子氏が言っているように、中国では未だに(水面下での)習近平と江沢民派の抗争があるとすれば、この秋のチャイナセブンの入れ替えなどで今後どの様に習近平の勢力基盤が変化するかが、朝鮮半島情勢を考える上で非常に重要だと思う。もし、北朝鮮と接する北部戦区も完全に習近平の支配下になれば、文在寅の思惑と違って北朝鮮がしっかりとした反韓国の国家として再出発することになると考えられる。(補足2)その場合、文在寅政権は短命に終わるのではないだろうか。

この遅いプロセスで事が運べば、日本もそれほど大きな被害はない。しかし、上で述べた電光石火の三十八度線消滅が起これば、核保持国としての統一朝鮮ができる。これは日本にとって悪夢の始まりだろう。

(以上は素人のメモです;20:30編集あり)

補足:
1)統合進歩党を解散させたり、全教組の非合法化、国定教科書を再開したりしたということが、その戦いの具体例として紹介された。全教祖については以下の記事を参照:http://japanese.donga.com/List/3/all/27/294395/1
2)川添恵子氏によれば、北部戦区は江沢民派の牙城だということである。

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