2017年8月25日金曜日

急上昇する日本のエンゲル係数と一人当たりGDPなどのデータ紹介

最近、日本のエンゲル係数(食費の消費支出に対する割合)が上がっている。株価やGDPの統計値と異なり、日本は豊かになっていないように思う。図にこの10年ほどの2人以上世帯のエンゲル係数を示す。
この変化は、食料品価格の上昇、高齢者世帯の増加など、説明はいろいろ考えられる。しかし、図中のサイトに紹介されている世代別のエンゲル係数では、30歳以下の世帯で急上昇していることから、やはり、日本は貧困化しているのではないだろうか。その他分析はそのサイトを見ていただきたい。

諸外国のエンゲル係数がどの程度なのかを次の図に示す。これは2011年のエンゲル係数とその中身、飲食料費、外食費、酒類費を示したものである。米国の低いエンゲル係数が目立つが、ヨーロッパの先進国は大体20%くらいであり、日本の23.6%と大差ない。米国の低い値は、近代産業とともに農業も強い国であると考えれば、理解できる。例えば、米国では牛肉などは非常に安いのだ。このグラフで、エンゲル係数が大きくなるに従い、比較的貧しい国が現れる。
ここで、注目すべきは日本の外食費比率の低さである。日本は豊かな国なのだろうかという疑問が生じる。その点を明らかにする目的で、一人当たりGDPとジニ係数を前のグラフと同じ国順で並べてみたグラフが下図である。これは世界経済ネタ帳などから数値をとり、今回グラフ化したものである。
大凡の傾向であるが、一人当たりGDP(青い棒グラフ)が小さくなるに従って、エンゲル係数が高くなっていることがわかる。この図の中で、周囲と比較してGDP/人の値が飛び出ている4カ国であるが、これらは食品価格あるいは物価全体の価格が高いことが予想される。例えば、ビッグマックの値段は日本では380円だが、ノルウエーでは669円、アイルランドで525円もするのだ。

ジニ係数富の分配の不公平性を表す指数であり、一般に開発途上国では大きな値になる。それは、資本家とその周辺が富を独占するからである。図中ではメキシコ、アメリカ、ポルトガル、日本、イスラエルの順で高く、日本は富の分配が不公平な国ということになる。

このグラフにない国で、ジニ係数が大きい主な国をあげると、南アフリカ(63%)、香港(54%)、ブラジル(52%)、中国(47%)などがある。一人当たりのGDPが小さくジニ係数が大きい国は、おそらく治安も悪いだろうと想像される。先進国では、数値だけの比較だが、イタリア、日本、イスラエル、スペインなどがその候補である。日本の最近時々起こるテロ的な行為は、経済データ的には十分予想される範囲の出来事だと思う。

経済的な豊かさのもっと広い範囲で、家計支出の比率を示した興味あるグラフを見つけたので最後に紹介したい。
一番右にある食料品と、次の飲酒、最後から二番目の外食・宿泊などを足せば、ほぼエンゲル係数が出ると思う。この図では、日本はまだまだ豊かな国であることがわかる。いろいろ面白いことがわかるが、その一例をあげる。先進国で被覆・履物への出費の割合が大き国をみると、英国、ドイツ、韓国、イタリアなどが5.0%を超えている。韓国の方がフランス(4.2%)よりずッと大きいのが印象的である。貧しい国で被覆費が大きいのは、単に必須品だからだろう。

以上、データを並べただけだが、参考になれば嬉しい。

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