2017年9月29日金曜日

日銀とFRBのバランスシート

(表題だけ変更した。2019年11月9日) 先ず、日銀のバランスシート(BS)を以下に示す。これは今年発表されたもので、昨年度と一昨年度のBSを示している。資産の部で国際が68.5兆円増加して、417.7兆円になっているのが最も大きな変化である。国債の半分近くを日銀が持っているということは、日銀を政府の機関とみればそれだけ国家の借金が減少したことを意味する。
ただし、それに対応して負債の部に、日銀への市中銀行からの預金(ほとんどは当座預金)が増加している。

以前は当座預金にも付利と称して、0.1%の金利が支払われていたが、現在では一部にマイナス0.1%の金利となり、預金する側の市中銀行が金利を支払うことになる。キャッシュを持てないのなら、それでも金利を支払うことになるが、マイナス金利の対象はそれほど大きくないのだろう。

現在長期の割引国債は発行されていないので、日本政府が消費税を上げて借金返済に充て負債軽減を目指すのは、国債の信用低下から借り換えができない危険性を考えるからだろう。しかし、その懸念は無いと言えると思う。何故なら、これだけの国債を抱えても円の信用は高く、国債の金利も上がっていないからである。
上の図は新規発行10年もの国債の設定金利である。低下傾向がようやくゼロ金利近辺で止まったところである。

日本の経済が回っていくためには、日本人の貯蓄性向が高いために、政府はその分を使わなければならない。もちろん、外国が代わりに使ってくれても良いのだが、その場合は日本の経常収支がプラスになり、円高になってしまう。円高は、日本人が自分で稼いだ分を使わないためである。

世界の物価を比較する指標として、ビッグマックの値段を用いるのが簡単である。ビッグマックの値段は、製造やサービスなど多くの要素を含み、その種の比較に便利だからである。例えば、日本と同じ工業立国のドイツでは、ビッグマック一個が日本円で500円であるが、日本では380円(2017年のデータ;http://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html)である。ノルウェーやスウェーデンでは660円ほどと非常に高い。つまり、安倍政権の円安政策実施後でもなお円高である。(実際には購買力平価で比較すべきである)

消費税を上げて、国民から消費意欲を失わせるのは非常にまずい政策であることは、以上の考察から明らかである。安倍総理は結局、消費税を上げることはしないだろう。

日銀のバランスシートでは、資産は日本国債が主であり、実際の信用は高い。それは米国のFRBの資産と比較しても明らかである。米国FRBの資産の大きな部分として、住宅ローン絡みの債券(かなり信用の低いものも含まれる)が半分くらいある。
上の図の赤の部分である。バーナンキ議長の時の金融緩和策の結果、実際にはそれほど信用の高くない債券溜め込むことになったので、現在FRBはその緩やかな売却を考えている。つまり、日本は国家(財務省)や中央銀行の状況は米国よりもかなり健全だと言っても良いと思う。

日本の弱点は政治である。例えば、高い「円」の信用も、日本からの資産逃避が始まれば、極めて短い時間で落ちてしまうだろう。日本政府は財政悪化を懸念して消費税の増税を考えるよりも、国家としての安定性を考えるべきである。それは、防衛であり、独自のしっかりした外交である。

長期的には政治家の質の向上が何よりも大事である。現在の自民党政治家の大半は(つまり、一部を除いて)はっきり言って、官僚の作文を読む能力しかない。もちろん、野党の政治家はそれ以下だと思う。従って、中途半端な知恵しかない大衆迎合的な野党の政治家が政権をとると、日本にとって致命的である。なぜなら、野党の政治家は、現在くだらない名前の政党を立ち上げた者たちを筆頭に、自分の無能さを自覚していないからである。

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