2018年3月7日水曜日

北朝鮮は本気で核放棄を取引の材料にしていると思う

   北朝鮮は核を放棄するか? 今日7日のNHKのニュース9(午後9時)において、慶応の准教授がこの質問に対して、「核兵器は、金正恩にとって(軍事的)抑止力だけでなく権威付けの意味を持ち、益々重要性をましている。従って簡単には放棄しないだろう。また、体制の維持が約束されるのなら、核を放棄するというが、それを約束する信頼性のあるシステムを作るというと、壮大な話になる。」と答えている。 

核兵器の重要性は言わなくても分かっている。体制の維持の約束は、単に米国との平和条約の締結位の意味だろう。つまり、米国の軍事的脅威に関する部分だけの話だと思う。北朝鮮が自律的に変化する部分は、約束の範囲外の筈である。 

兎に角、何らかの合意をしないで米国と正面衝突することは、金正恩は殺され、国家が崩壊することを意味している。何処かに着地点を探したいのは、金正恩(北朝鮮)の本音だと思う。この准教授はそれらのことをあまりにも軽視している。 

この問題、二人の首脳がマッドマンを演じてチキンレースをやっているとよく言われる。しかし、これは本当のチキンレースではない。何故なら、トランプ大統領には命の危険も国家崩壊の危険性もない。最後まで両者が降りなければ、多数の死者がでるとしても、それは日本と韓国の市民&軍人と米国等の軍人である。米国市民の死亡数はあまり大きくはないだろう。 

「これまで、北朝鮮は米国と水面下で交渉をしてきたが、核の放棄ということは一切言わなかった。そして、これまでの経緯を考えれば、この北朝鮮の言葉を信じるのは愚かである」という意見もある。確かにその通りだろうが、今回大きな違いがある。それは韓国が本気で仲介の労を取るという点である。金正恩にとって、文在寅は世界中を探して最も信頼できる最高の仲介者である。

  このチャンスを逃しては、これまで通りの片務的チキンレースを続ける必要がある。それには、自分が生き残るシナリオはない。金正恩はそのように考えるだろう。金日成のときや金正日のときと違って、緊急性&緊迫性は比べ物にならないほど高いレベルである。 

リビアのカダフィが、核放棄をした後に殺された。それと同じ危険性を金正恩は深刻に考えてきただろう。しかし、国家の中央集権体制はリビアよりもしっかりしていると思う。そして、核兵器開発で箔をつけた金正恩は、それを使って別の大きなものを手に入れれば、権威失墜にはならないだろう。 

それは、体制維持の約束とその後の朝鮮統一の道筋である。つまり、米国との平和条約締結である。韓国との条約では将来の統一を盛り込むが、実際には平和共存を目指す。米国と韓国とは、朝鮮戦争の再開に備えた米韓軍事演習は取りやめるだけで、同盟関係を維持する。 

北朝鮮は江沢民派との関係は崩れているが、習近平政権の支援を受けると言うかたちで、中国の面子も立てることができるのではないだろうか。 

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