2018年4月4日水曜日

北朝鮮と現時点で情緒的付き合いをすべきでない:韓国芸術団とIOC会長の愚かな訪問

北朝鮮の非核化問題から、米朝戦争や第三次世界大戦の勃発が危惧されて久しい。しかし、韓国文在寅大統領のオリンピックを利用した宥和作戦で、南北朝鮮トップ会談から米朝トップ会談までがスケジュール化されており、朝鮮半島の核排除と和平への期待が高まっている。実現すれば、文在寅のノーベル平和賞の声も聞かれる。http://www.sankei.com/world/news/180320/wor1803200044-n1.html

この動きに対して、一条の光がさしたように感じる人は多いだろう。ただ、この延長上に北朝鮮の非核化があるとは到底思えないことは、多くの専門家が語っている通りだろう。そして米朝トップ会談が5月中という準備期間をあまり置かないでスケジュール表に乗せられたことは、軽挙妄動だと考える人も多い。http://www.hochi.co.jp/topics/20180309-OHT1T50043.html

最近のトランプ大統領の政策を見て、彼を評価してきた日本の政治評論家の一部(補足1)は、淡い希望を見出してトランプに飛びついただけで、本当はテレビでデーブ・スペクター氏らのこれまでのトランプ批判が正しかったのかもしれないと思う。(3/30; 4/1の記事参照)

そうは言いながら、”瓢箪から駒”という言葉もあるので、これらのトップ会談から北朝鮮の非核化と米朝和平の実現に期待している人が殆どだろう。それを望むのなら国際社会が忘れてはならないことある。それは、北朝鮮の金正恩がこれらの会談に向けて、非核化の意志を表明したのは国際的圧力で疲弊した結果であり、その圧力を国際社会が一致して継続するのが平和への唯一の道だということである。

歴史的経緯はともかくとして、現在世界の秩序を破壊する方向に進んでいるのは北朝鮮の金正恩政権である。(補足2)それを止めさせる難しい交渉に向かうのは、米国のトランプ大統領である。その両者の“会談という戦い”の背景にあるのは、北朝鮮の核兵器と米国の武力及び経済力である。中でも、北朝鮮への圧力の本体は、米国の武力攻撃の可能性である。

その米国の武力攻撃の可能性という「刀」に対して、それが鋭利な光を保つように、当事者だけでなく国際社会は一致して協力しなければならないと思う。

それに反する行為が、表題に挙げた韓国芸術団とIOCバッハ会長の北朝鮮訪問である。韓国芸術団の北朝鮮公演を止めることが文在寅に出来たのなら、何故止めなかったのだろう。バッハ会長は何故、あのような会談を行ったのだろう。おそらく彼ら、特に後者は、ノーベル賞狙い(文在寅氏と共同受賞?)の気持ちが強いのだろう。愚かな行為だ。

付録:殆ど全ての賞には、嘘が伴う。その中でもノーベル平和賞ほど、馬鹿げた賞はない。ノーベル賞は諸分野の歴史教科書に付けられた付箋紙のようなものかもしれない。しかし、それは選考委員が私的な判断でつけたものである。その付箋紙だけで歴史を勉強したような気になる人が多いと私は危惧する。

付箋紙をつけることや、重要箇所に線を引くのは教科書を持つ人の自由だが、それは教科書を汚すことになる。他の人も利用する図書館の本なら、付箋紙をつけたり線を引いたりすべきでない。付箋紙には本来価値などないことを人は知るべきだ。 (なお、日本の褒賞制度や国民栄誉賞は、もっと悪質である。)

補足:

1)米国の金融資本家がグローバル世界の成立を目指して、米国の政治を支配してきたというモデルで、世界政治を考える人たちである。ロックフェラーの回顧録に、そのようなグローバル化の活動を誇りに思うという言葉が書かれていると、政治評論家の馬渕睦夫氏は言っている。
2)朝鮮戦争の休戦協定にあるように、早期に和平の話し合いを始めなかった米国に、これまでの朝鮮半島の混乱の責任がある。それについては何度も書いてきた。

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