2018年6月23日土曜日

米朝首脳会談は成功だったのだろうか?(II)

1) 前回の記事では、失敗だったと書いた。その評価が正しいことが証明されつつあるのではないだろうか。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2018/06/blog-post_15.html

トランプの対北朝鮮外交は、中朝関係を大きく前進させた。その責任の一端は安倍外交にもある。(補足1)その結果最近中国は、対北朝鮮経済制裁を緩めつつあると報道されている。金正恩による二度目の訪中以降、中朝国境を跨いだ密輸が活発化しているというのである。中朝国境は1400kmあるので、密輸の穴は塞ぐ強い意図が無くなれば自然と拡大するようだ。中朝関係は緊密になり、金正恩も習近平の懐から出る勇気はないだろう。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180621-00010001-asiap-kr

その一方、トランプ(Donald Trump)米大統領は22日、北朝鮮の核兵器は米国にとって「異常で並外れた脅威」だと指摘し、金正恩政権に対する制裁を1年延長すると米議会に伝えた。それを報じた記事では、トランプ大統領の言葉の調子が、米朝会談の翌日にツウィッターの「もはや北朝鮮の核の脅威はない」というコメントとは大きく異なっていると書いている。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180623-00000017-jij_afp-int

更にロシアと韓国の動きも気になる。強かな文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領はロシアを訪問し、プーチン露大統領とモスクワのクレムリンで会談し、北朝鮮を加えた3カ国の経済協力計画を将来的に検討していくことで合意した。この状況は、時代背景や軍事的技術などは大きくことなるものの、日清戦争が始まる前の朝鮮半島を巡る国際情況とそっくりである。

19世紀から20世紀前半の歴史の進行とはことなり、朝鮮半島が中国またはロシア、あるいは中国とロシアの両方と密接な関係となり、日本は孤立無援の状況に追い込まれる危険性大である。

日本はこの国際環境の中でどのように生きるのか、米国との同盟関係をこれまで以上に深めるのか? 深めるとして、それは孤立主義が高まりつつある米国を相手に可能なのか? 可能だったとしても、それは米国の属国として中国やロシア向けの盾として使われるだけではないのか? 

朝鮮半島問題は、日本にとってそのような大問題である。それを拉致問題に矮小化するような政権なら、一日も早く退陣すべきである。拉致問題はなんども書いてきたが、大きな部分は日本政府の失政の結果として、終わっている。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2018/04/blog-post_48.html

残った拉致被害者奪回という課題は、この東アジアでの日本の戦略的姿勢を考える中で解決すべきである。単独で解決を急ぐのは、国の将来を誤り1億3000万人の日本国民に苦難の将来を強いることになりかねない。

2)鍵は日露問題かもしれない。ロシアと中国は、反米という共通項で括られているものの、長い目で見た場合同盟関係を長く維持できないだろう。中露の長い国境線とそれを跨いだ大きな不均衡を、ロシアのトップは常に意識している筈だ。そこにテコを入れられるのは千島樺太での日露の経済協力から始まる日露連携にあると思っていると思う。

日露関係を深化する為には、日本はプーチンに匹敵する知性と判断力を持った政治家を必要としている。ロシアのプーチン大統領は、最近訪問した安倍総理と会談する際、約束の時間を45分遅れて現れた。それは、日本をロシアと本当の意味で連携させることができるレベルの政治家ではないと評価していることを示している。

朝鮮半島は自主独立した国家として統一したいだろう。そのためには、北朝鮮や韓国が中国一辺倒であるとの印象を与えるのは良くないと文在寅が考えたと想像する。それが今回の訪露の目的だろう。あるいは問題はもっと深刻かもしれない。つまり、北朝鮮が中国のバックアップで苦境を脱したため、北朝鮮に韓国が飲み込まれる形での半島統一が平和裡ではなく、もっと急激に起こる可能性がある。それを考えて訪露したのかもしれない。 米国による夏の米韓軍事演習の取りやめ決定が、韓国とどのような打ち合わせの後に決められたのかわからない。このまま韓国から米軍が引き上げるなどという手荒いことを米国はしないだろう。このような歴史の大きな、そして急激な流れに対して、テレビは沈黙している。(補足2) 政治、政治評論、マスコミ報道など全てにおいて、日本は貧困国家である。

(6月24日午前5時改訂)

補足:
1)安倍政権は米国のトランプ政権の前面にたって、その北朝鮮制裁に協力した。それは全くの愚行であった。日本がすべきことは、北朝鮮の核に対抗すべく、独自核武装の方向で動くことであったと思う。それにより、中国など近隣大国も北朝鮮の核廃絶に動いただろう。
2)現時点では、北朝鮮は中国の支援で安定し、核保持国として存在する。その核廃絶が不確かな状況では、韓国は消滅の危機にあることは確かである。改訂前の文章では統一朝鮮という視点から文在寅を評価したが、韓国の安定という視点から見た場合、オリンピックへの北朝鮮選手団招待を起点とする今回の流れを作った文在寅韓国大統領は”大うつけ”と評価すべきなのかもしれない。 

(本文章は日本の一有権者である素人がメモとして書いたものです。)

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