2019年9月23日月曜日

BBCの歴史歪曲と日本語版における意図的誤訳:9月20日の記事のコメントに対する回答

BBCの英語版記事と日本語版記事の比較:慰安婦問題や徴用工問題に関して、韓国の言い分を代弁するBBC

9月20に書いた記事「歴史とは糊塗された嘘の別名:金と力と悪が国家を繁栄させるという法則を学んだ人たち」の中で、BBCの日韓の外交問題に関する間違った記述を紹介した。それに対して、Chukaのブログさんからコメントがあった。英語版と日本語版の間にニュアンスの違いがあるが、両方とも歴史的には間違っていないとの内容であった。そのままコメントを以下に記載させていただく。

BBC英語版も読みましたが、歴史的には間違っていない。ただし日本語とのニュアンスの違いがある。例は強制連行とforcible enlistment等々。慰安婦のパートもほぼ歴史にそっている。歴史には政治的史観は含まれるが、政治的史観は部分しか見ていない。見ている部分は自分に都合のよい事です。

このコメントは意外だったので、英語版アドレスを検索して、記事を読んでみた。その結果を以下に詳細に記述する。先ず赤字で、問題部分の英語版と日本語版の記述を再録する。

問題部分の英語記述;

When World War Two began, tens of thousands of women - some say as many as 200,000 - from across Asia were sent to military brothels to service Japanese soldiers. Many of these victims, known as "comfort women", were Korean. Millions of Korean men were also forcibly enlisted as wartime laborers.

その日本語翻訳:

第2次世界大戦では、アジア各地の数万人とも20万人ともいわれる女性が、日本軍向けの売春婦として連行された。「慰安婦」と呼ばれるこの女性たちの多くは朝鮮人だった。また日韓併合の後、多くの朝鮮人男性が日本軍に強制的に徴用された。

私が間違いと認識した部分は、英語版の方がより明確である。日本語版では日本人への刺激を考慮して、表現が若干弱められている。以下それを説明する。

①慰安婦の部分:

最初の英語の文章中のwere sent to military brothels to service Japanese soldiersを、日本語版では「日本軍向けの売春婦として連行された」と訳している。この翻訳だけでは、英語の文章全体を見て翻訳されたとは言えない。

それは、次の文章「Many of these victims, known as "comfort women", were Korean.」にvictimsという単語が使われてこと、更に、その次の文章で徴用工に関する記述の文中にある、「also forcibly enlisted」の「also」を最初の文の翻訳に際して無視しているからである。

これら全てを考慮すれば、「women were sent to military brothels」は、「女性たちは慰安婦予定者リストに載せられて、時期がくれば戦地の売春宿に送られた」という意味になる。この赤字下線部分は、次の文章と次の次の文章に分散させて記述されているのである。

つまり、慰安婦というのは、徴兵制と同様に相応しい女性は予定者リストに記載され、必要な時に集められ戦地に送られた「特別な売春婦」であったと書いているのである。英語を母国語としている人には、自然と文章全体が頭に入るが、単語を置き換える方式で読む機械的翻訳者には、或いは、悪意を持った翻訳者には、上記のような日本語訳になってしまうのだろう。

BBCはcomfort womenを売春婦と呼びながら、victimsとすることで、実質的に性奴隷だったという持論を展開しているのである。それは、将校よりも多額の預金をする慰安婦の実態を繁栄していない。(ウイキペディアの従軍慰安婦の項参照;特に預金や給与の部分)

更に、慰安婦の構成について、BBCは大部分は韓国人であると書いている。これも事実に反する。何故なら、デジタル記念館:慰安婦問題とアジア女性基金では、慰安婦の人数とその構成を知ることは非常に困難であるとしながら、一応台湾経由で中国大陸に送られた慰安婦の数と構成を書いている。それが以下の表である。

上の表では、朝鮮人慰安婦の人数より遥かに日本人慰安婦の数が多い。(約2倍)BBCの慰安婦の構成に関する上の記述も、恐らくワザと間違えたのだろう。

②徴用工の部分:

徴用工部分の英語版記述 “forcibly enlisted as wartime laborers”だが、この翻訳「強制的に徴用された」は正しい。

ただし、仮に徴用工として動員されたとしても、それは当時の日本では徴用令という行政命令に基づいて行われた合法的なものであり、賃金が支払われていた。従って、朝鮮人に対する違法待遇ではないので、本来問題にならないことであるという記述が必要である。

従って、徴用工の問題を上記文章だけで済ませるのは、歴史歪曲である。ちょうど正当防衛による殺人が無罪であると法で定められた国での正当防衛殺人を、正当防衛が認められていない第三国が「殺人犯を無罪放免した」と記述するようなことに相当する。

歪曲には何通りもありえる。誤った記述もそうだが、書き足りない記述もその内の一つである。

追補:

更に、問題となっている韓国での徴用工裁判において、徴用工だったと主張している人たちは、その仕事に応募した人たちであった。従って、そもそも裁判にはなりえないケースであった。 http://agora-web.jp/archives/2035643-2.html

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