2020年3月14日土曜日

新型コロナ肺炎の中国での再流行の可能性

WHOが11日、新型コロナ肺炎(COVID-19)のパンデミック宣言を出した。このパンデミック宣言は、WHOがこの病気が南米やアフリカでも猛威を振るうようになることを予測したから出したのだろう。基礎的医療環境が整っていない地域での感染拡大は、大きな人的被害をだすと予想される。現在すでに感染が進んでいる可能性が高い。

 

これから北半球は夏に向かうが、それまで出来るだけ多くの箇所で、隔離政策等を続けることができるかどうかに、今後のこの病気の蔓延の程度が大きく依存すると思う。感染拡大の中心は今やヨーロッパに移ったと見る向きが多いが、果たしてそうだろうか? 私はこの新型肺炎ウイルスが、東アジア全体、日本、韓国、北朝鮮、中国で更に猛威を振るうのではないかと心配している。(補足1)

 

1)10日、習近平主席が武漢を訪問し、「基本的に抑え込んだ」と発言した。中国は、新型コロナ肺炎の終息宣言を出して、経済活動の再開へ向かったようだ。しかし、経済活動再開による人や物の移動により、今後再度の爆発的流行を引き起こす可能性がある。(2月23日の記事参照;補足2)

 

習近平の勝利宣言とは裏腹に、北米に根拠を持つ中国情報を配信するNTDTVが、この新型肺炎は武漢で依然猛威を振るっていると報道している。この情報は、鳴霞さんのyoutube動画でも配信されており、信頼性が高い。https://www.ntdtv.jp/2020/03/42764/ 

 

中国経済は、現在非常に困難な情況にある。中国政府は、経済活動再開にむけて、それが可能なように新型コロナ肺炎関連のデータを改変した可能性があると思う。JOHN HOPKINS大がまとめたCOVID-19発症者の統計を詳細に見ると、中国のデータには疑問点がある。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

例えば、3月8日6時から、3月13日6時までの5日間に中国湖北省で発生したとされる新しい感染者数は、僅か115人である。(補足3)イタリアでは7000人程度、ドイツでも1300人程度である。このデータだけでは、完全に抑え込んだようにも見える。

 

しかし、更にデータを分析すると、中国は「肺炎との戦いの終盤近く(中国政府の見解)」で、高い治癒率を達成したことになっている。新たな感染が殆ど出ない中、長期療養者ほど治癒率が高いのは普通の感覚ではおかしい。同じ病気に罹患している人で比較した場合、長期に入院している人ほど重症者の筈である。

 

上記データによると、3月3日午後6時までの退院者と死亡者から出した、死亡率=(死亡者/(死亡者+治癒者))は、7.2%である。(補足4)一方、その後10日間(13日夕まで)の同様の比率は、1.46%である。新たな患者がほとんど出ない中、病気が長引いた人ほど治癒率が高いのである。多くの治療中の人を強引に治癒者として数えた可能性が高いと思う。

 

下にその計算の詳細を示した。日本の場合も後の方で死亡率が小さくなっているが、日本では感染が広がりつつあるので、自然なことである。新たな感染者が急激に増加して、分母を大きくするからである。尚、日本で大きな値となっているのは、発病者の中で初期の鼻風邪レベルの患者を多く見逃していることによる。(ここでの流行途中での死亡率の評価方法は、オーソライズされていないかもしれない。)

 

勿論、非常に良い新しい治療法が見つかり、実施しているのなら、上記のようなデータもあり得ると思う。しかし、そのような治療法が見つかれば、何らかの形で西側にも漏れている筈である。治癒した患者から血清をとりそれで治療するとか、一昨日書いたようなマラリヤの薬を用いている話などはあるが、それらが大々的に行われて著しい効果を挙げたという類の話は、中国から発信されていない。

 

2)このようなデータ歪曲があったとしたら、経済活動の再開を目指したものだろう。新型コロナ肺炎が始まる前に、既に米中経済戦争と中国に累積された不良債権により、中国経済の破綻が予測されてきた。その事情はここ3ヶ月ほど、一層悪化しているだろう。

 

これは習近平政権のギリギリの決断だろう。もし、武漢のような都市が人の移動を解禁し、通常の経済活動を再開した場合、再び病気が蔓延する可能性大である。非常に心配だが、上手くいくことを願うしかない。それは、中国だけではなく、世界の問題である。

 

武漢市民は1100万人を超える。そのうち僅かに68000人が感染したというのが事実なら、1100万人の殆どはこのウイルスの抗体を持たない。しかも、感染し隔離されていない人が数千人(既感染者の数%)くらいは居るだろうから、世界の他のどの地域よりも、このウイルス蔓延の条件が揃っているのである。

 

尚、同じ趣旨の政治的側面からの議論は、妙佛 DEEP MAXさんによりなされている。

https://www.youtube.com/watch?v=BzF7nsPlWZE

 

補足:

 

1)これにより、この肺炎が世界で収束したという宣言がなければ、オリンピックは開催不可能だろう。

2)この1ヶ月余りの都市封鎖などで、感染を防ぐための訓練は相当厳しく行われた。それは、幾つかの動画で見せてもらった。その効果に期待したい。https://www.youtube.com/watch?v=3Y-mC0wvonwhttps://www.youtube.com/watch?v=i5afOwgKECg など

3)John Hopkins大のデータを私的に記録したものから計算した。

4)John Hopkins大のデータに繁栄される際に、時間的遅れが無いとして、日時を記述している。

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