2020年4月18日土曜日

新型コロナ肺炎: BCGは有効か?地域差はどの程度か?  二つのタイプのウイルス?

追補: 比較をノルウェイ(実施)とフィンランド(現在非実施)で行うと、殆ど差がない。人口100万あたりの発生数と死者数(2020/6/10)は、ノルウェイで(1581、44)フィンランドで(1268、58)である。この両国の比較では、BCGの影響は見られない。 データ元=> https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries (6月10日追加)

 

 

1)BCG接種とCOVID-19への免疫との関連性:

 

BCG接種が新型コロナ肺炎(COVID-19)の免疫になっているという話がある。その根拠は、東アジア等のBCG接種国で感染の広がりと人的被害が少ない様に見えるからである。下に示したのは、BCGの接種をどの様に実施してきたかを示す世界地図である。

現在被害の大きい、米国や西洋諸国は非実施或いは嘗て実施現在非実施の国々である。

 

BCGの効果を比較するのに最適なペアとして、(ノルウェーとスウェーデン)、(アイルランドと英国)、及び(スペインとポルトガル)が考えられる。これらの100万人あたりの其々死者数、感染確認数、テスト数な、次表の通りである。

BCG接種国の方が100万人あたりの死者数はかなり少ない。ただ、BCG実施国の方がPCRテストを倍以上行うなど、対策の緻密さに差があるようだ。スペインは酷い医療崩壊の状態だというから、そのまま比較はできない。英国もスペインの次に2週間遅れで医療崩壊すると言われている。PCRテストもアイルランドの1/3以下であり、油断があったと言わざるを得ない。(補足1)

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/033000011/

 

BCGの接種をやめた国であるオーストラリアとニュージランドは、上図の数字の順で其々(2、248、13880)と(0.8、276、12684)である。少ない死者数、感染者数は、今まで夏だったからかもしれない。ただ、季節要因を解析に持ち出すのは時期尚早だろう。

 

兎に角、今までの結果では、BCG接種とCOVID-19への免疫との関連は、証明されそうにない。

 

2)地域差についての比較:

 

アジア諸国は一般にヨーロッパに比較して被害が少ない。そこで、感染テストなど対策に熱心な2つの国を比較してみる。具体的には、スイス(BCG中止国)と韓国(BCG実施国))である。下図は、2つの国の感染者数である。100万人あたりの検査数を図中に示したが、スイスが韓国の倍程度実施している。

スイスでは、1日あたり、1000件ほどの感染者を検出し続けている。グラフで表示データの右端が両国とも、4月12日である。注目されるのは、韓国の新規感染率が10日目(3月10日)ころから、1日100人程度に減少している点である。一方、スイスでは最初(3月18日)から、1日あたり1000人ほど新規感染者が続いている。

 

どう考えても、圧倒的にスイスの人たちはこのウイルスに弱い。スイスでこの曲線が水平に近くなるのには、もう少し時間がかかるようである。両国の致死率(変数:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590013940.html)を比較したのが下の図である。

 

どちらも拡大グラフの初めからは(スイスでは4月2日、韓国では3月25日)初期の高い致死率(1)が、致死率(2)の3−4倍程度に下がり、終息時点の予測が可能になっている。その最終的な致死率は、スイスで6-7%、韓国で2.5%程度と予想される。両国とも、各時点で取れる対応は取っているようだ。(補足2)

 

韓国もスイスも検査数も多く取りながら医療崩壊もなかったので、大きな致死率の差は本質的な何かを含んでいると思われる。日本の致死率の低さ(中国の半分、韓国の1/4)も、インチキで数字を数分の一程度に抑えているが、最終的な致死率は韓国程度だろう。

 

つまり、欧米のケースを参考に計算して、何もしなければ死者40万人、重篤85万人というのは、脅しであって、科学的根拠などないだろう。(補足3)

https://www.sankei.com/photo/story/news/200415/sty2004150011-n1.html

 

 

この地域差(欧州と東アジア)による大きな致死率、罹患率の差は、その一つには、ウイルスの変異があるが、それらは、今後の研究課題になるだろう。(既に、S型とL型があると研究発表がなされている。より攻撃性の強いL型がヨーロッパで広まっているという考えは有力である。二つの型については、On the origin and continuing evolution of SARS-CoV-2という表題の論文で北京の研究者により、今年3月3日発表されている。National Science Review, nwaa036, https://doi.org/10.1093/nsr/nwaa036

 

(最後の括弧に入れた文章は、4月18日早朝午前6時;午前10時50分に文章校正あり)

 

補足:

 

1)ジョンソン首相の「集団免疫」発言は、もろく崩れた。その姿勢の違いでもこの程度の差がアイルランドとの間に生じる可能性があると思う。https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000179507.html

 

2)イタリアやフランスなどは、医療崩壊或いはそれに近い情況になったと見えて、致死率(1)の数%程度のレベルへの急激な低下が見られない。

 

3)季節性のインフルエンザの感染者数は1000万人で、これに武漢での致死率4%を掛け算すれば死者40万人になる。医療崩壊がおこれば、もっと被害が増加するという計算だろう。https://www.sankei.com/photo/story/news/200415/sty2004150011-n1.html

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