2021年1月23日土曜日

ファイザー社の新型コロナ用ワクチンは効くのだろうか?

注意: 以下は専門外の者による分析であり、今後国が計画している新型コロナのワクチン接種に関する政治的意図は全くありません。また、ワクチン接種するかどうかの個人的決断の材料とされても、責任は持ちません。以上のことに同意される方のみ、お読みください。

 

日本政府は、新型コロナワクチンを米国ファイザー社から7000万人分購入して国民に摂取するようだ。そのワクチンは、現在流行している変異種に効くのだろうか? 壮大な無駄遣いにならないだろうか、心配である。

 

ワクチン接種の政策は、人口の大部分に免疫をつけ、その集団免疫でその後の流行を防止する感染症対策である。その集団免疫だが、その集団を構成する人の多くが実際に病気に感染して獲得した場合でも、同様或いはそれ以上の効果がある筈である。実際にそれを目指した国がある。北欧の国スウェーデンである。

 

老齢者と基礎疾患を持った人以外には活動を制限しないで経済への悪影響を避けただけでなく、他の西欧諸国のように都市封鎖やマスク義務化などの新型コロナ防止策をとらなかった。その方が短期に経済的損害もなく乗り切れると考えたのである。

 

昨年の晩春、スウェーデンの担当者は第一波の段階でほぼ集団免疫ができたと考えていた。2020424日のJIJICOMの記事によると、スウェーデン保健当局の疫学者、アンダース・テグネル博士は最近、地元メディアに「首都人口の多くが免疫を獲得し、感染抑止に効力を発揮し始めた。数理モデルは5月中の(集団免疫)達成を示している」と解説したと書かれている。https://www.jiji.com/jc/article?k=2020042300702&g=int

 

因みに、上記スウェーデンの対コロナ対策を、集団免疫を目指した訳ではないという意見もある。一応、感染は避けた方が良いという姿勢だったからである。つまり、テグネル博士の意見は、副産物として集団免疫が手に入るという考えであり、集団免疫獲得を主目的とした訳ではないというわけである。言葉の定義で、何とでも言い訳は可能である。

https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/3743

 

新型コロナ肺炎のデータをまとめたWorldmeterというサイトからデータを取得して、少し考えてみたところ、そのある程度出来た筈の集団免疫は、第三波(昨年10月ごろからの流行)の流行抑制にほとんど効果を示さなかった事がわかった。

 

つまり、データは、第一波で出来た筈の集団免疫が、第三波の時の変異ウイルスへの感染には効果がなかったということをサジェストしているのである。それは、第一波の際の病原ウイルス(SARS-C0V-2)を用いて製造したワクチンは第三波以降の変異株(SARS-Cov-2の変異株)の感染防止には効果がないことを示しているだろう。

 

2)データによる説明

 

下図は、集団免疫形成を目指したスウェーデンと、各個人の感染をできるだけ防止する対策をとった隣国ノルウェーでの毎日の感染者数と累積死者数の経過を示したグラフである。ここで、スウェーデンの人口は約1013万人、ノルウェーのそれは544万人で、約倍半分の関係にある。

感染者出現の時間プロファイルは、両国とも良くにている。しかし、絶対数に大きな差がある。

第三波が始まる前の930日までの(累積罹患者数、累積死者数)を両国で比較すると、スウェーデンとノルウェーの順で、(93838, 5852) 及び (14027, 274)であった。スウェーデンの人口当たりの被害は、ノルウェーの(12.46, 39.9) 倍だった。ノルウェーの40倍程度の死者数を出して、経済的被害を押さえつつ、集団免疫の獲得をまった。

 

そして、日本の第三波に相当する流行期間を昨年101日から2021120までとすると、この間の(累積罹患者数、累積死者数)は、スウェーデンで(4490005040)、ノルウェーで(45860269)であった。スウェーデンの第三波の人口当たりの罹患者数や死者数は、ノルウェーの (18.23, 34.9)倍である。

 

マークを付けた部分を見てもらうと分かるように、スウェーデンのノルウェーと比較しての第三波の相対的罹患率は18.23倍で、集団免疫の全くない第一波と第二波(非常に小さい;補足1)での12.46倍よりも大きい。つまり、スウェーデンが9月末までに付けた筈の集団免疫は、ノルウェーとの比較だが、全く第三波の感染防止には役立っていない。

 

同様の比較をフィンランドを対照国に選んでおこなってもほとんど同じである。もし、特別の事情がなければ、第一波のウイルスへの免疫は、第三波のウイルスの感染防止に役立たなかったということになると思う。(補足2)

 

もし、ファイザーからワクチンを購入するのなら、どの時点でのウイルスを原料に作ったのかを確認するなど、その効果のチェックを厳密に行うべきだと思う。もし、第一波の時のウイルスを培養して、作ったものなら、現在及び将来の流行防止には、役立たないことになる。

 

日本政府は、遠慮なくファイザーにその件を確認すべきだと、私は素人ながら思う。

 

日本のマスコミは、英国や南アフリカの変異株を特別視しているが、英国とフランスの流行プロファイル(図1のようなもの)は、ほとんど同じで、英国の変異株を特別視するのは不思議である。(

補足2)ウイルスは頻繁に変異を繰り返すので、インフルエンザでもA型のワクチンはB型には十分効かない。新型コロナのワクチンも、混合型のワクチンでなければ、大きな効果が期待できない可能性がある。

 

因みに、ファイザーの株価は11月下旬から10%以上急騰して12月初旬にピークを形成し、その後下落している。何を意味しているのかは、各自お考えください。;

 

追補:

 

最初のセクションの最後の文節で、「変異株に効果がない」を「変異株の感染防止に効果がない」に修正。Covid-19に感染しても80%は軽症または無症状である。それらのケースでも感染拡大には寄与する。従って、第一波のCovid-19に感染したひとで、軽症で治癒した人は、第三波に感染しても二度感染したと自覚或いは検出されるケースは稀かもしれない。

(20:00、追補し最終版とする。)

 

補足:

 

1)第一波で大きな被害を出した英仏伊西など各国では、8月の第二波は相対的に無視できる程度の流行しかしなかった。それは米国のニューヨーク州でも同じである。しかし、それらの国や州でも、第三波は第一波の大流行の有無とは無関係に、大流行している。

 

2)米国ニューヨーク州では、第一波で大きな被害を出したので、8月を中心とする第二波の流行はほとんど起こらなかった。しかし、第一波であまり大きな被害を出さなかったジョージア州では、第二波の流行は大きかった。(下図、12月3日の記事から再録)それは日本も同様である。このあたりは12月3日の記事で議論した。

 

 

(12:35 編集あり。補足2を追加)

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