2021年11月12日金曜日

バブル崩壊のメカニズムから世界の政治まで考える

1)バブルとは何か:

 

バブル経済とは、政府の放漫財政や中央銀行の金融拡大策等により、大きな余剰資金が特定の分野或いは経済全体での投資に向かった結果、資産価格が異常に上昇し、それらが将来不良化する可能性が高くなった状態である。経済格差の大きい国で、余剰資金もバブルも生じ易いだろう。

 

例えば中国では、民間からの投資の大きな部分が不動産業界へ向かった結果、不動産価格が異常に高くなった。一方米国では、株が異常に高く評価されている。これらの価格は、何れ崩壊するとの予測があり、夫々バブル状態だろう。

 

ダイヤモンド・オンライン(Diamond online)から借用 https://diamond.jp/articles/-/190362?page=3

 

ある分野がバブル経済的になった場合、それが広く認知されたとき、そのバブルは崩壊する。その分野の財貨にバブル期の価格を設定することで成立していた債権は、一部償還不能となり所謂不良債権化する。それが銀行などの経営悪化にまで及ぶと、金融危機となる可能性がある。サブプライムローンの破綻によるリーマン・ショックがその例である。

 

例えばビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の価格高騰は、最初の段階からバブル状態だろう。仮想通貨は、国家など権威ある主体の債務として発行されたものではないし、価格のゆらぎが大きいので、貨幣としての条件を欠いている。

 

貴金属などの様な希少価値もないので、高い価格での取引は海外送金など別の目的が関係しているのだろう。それらの使用が低調になれば、価値はなく成ると思う。(補足1)ただ、価格が上がることを信じる人が確実に増加すれば、投資目的としても一定期間存在するだろう。ビットコイン残高が企業などのバランスシートに記載されていることはあまりないだろうが、総価値がビットコインだけでも140兆円になっているので(2021/11/10、価値が崩落した場合には相当の経済的混乱が生じる可能性があると思う。

 

2)現在の米中のバブル

 

 中国の不動産バブル:中国では、結果的に人の住まない高層団地が大量に出来、「鬼城」と呼ばれている。不動産が値上がりするという信仰(補足2)から、業界は高層マンションをドンドン作り、多くの人々が住むわけでも無いのに値上がりを見込んで買い込んだ結果である。

 

不動産は今後有望ではないという話が何処かで生じ、それが説得力をもって国中に広まると、不良資産化する筈である。中国の不動産業界はバブルの中心にあることは間違いないだろうし、急激かゆっくり制御されたものかを別にすれば、その崩壊は確実だろう。

 

共産党独裁の国なので、政府は価格を凍結する力を持っているようだ。しかし、売買が止まり、その結果現金不足に陥り、止まった工事の再開も社債の返済も容易ではないようだ。恒大集団などの大手でも倒産は時間の問題で、中国経済全体でかなりの収縮(補足3)がおこるだろう。https://news.yahoo.co.jp/articles/2dcb3f074da550e16fe670b3f2e4651110530fa4

 

 米国での株式バブル:

 

米国では、株式に余剰資金が大量に投資され、ナスダック上場の株式では、平均の株価利益率(PER;年間純益を発行株式全体の時価で割った値)が30をかなり超えるまで値上がりしており、バブル的である。https://www.wsj.com/market-data/stocks/peyields 因みに、日本で上場されている225の代表的企業(日経225)の平均は、14.45119日)である。https://nikkei225jp.com/data/per.php (補足4)

 

ここで何か重要な国際関係に異常を生じたり、将来不安が大きくなったりすると、株価は暴落する。それにより破産する個人や法人が多くなれば、バブル崩壊である。

 

もし、非常に高いインフレからの防御として、資金が株投資に逃げた結果の株高なら、その他物資の高いインフレのあと、株価のバブル的上昇も関心を失うかもしれない。つまり、全ての物価上昇の先駆けとしての株高だったということになる。(この種の資金逃避を、業界ではインフレヘッジと呼ぶ。)

 

米国政府におけるバブル(国債)

 

米国は世界の基軸通貨発行国であるので、世界からの原材料などの輸入が自国通貨で出来る。米国政府は、予算の一部を国債で賄い、中央銀行(FRB)から手に入れたドルで給与を支払い買物も世界中からできる。そして、諸外国への様々な介入(支援、軍事介入など)にも使われている。その結果、米国は多額の赤字を抱えるようになった。

 

その結果、世界の国々に米ドル建債権が(金以外の)外貨準備として蓄えられたが、米国の借金に返済を迫る(国債を売る)必要は無かったし、その様子も見せなかった。しかし、米国の覇権縮小により世界が多極化すると、米ドルの権威も低下し、世界経済は多くの決済通貨で廻ることになる。その場合、米国債保有国は、蓄積されてきた米国債の売却を考える様になる。米国にとっては悪夢のような事態である。

 

つまり、基軸通貨としての役割が終ると、世界での米ドルの必要量は減少し、米国債も安定資産ではなくなる。そして、多額の米ドルや米国債は、どれかの決済通貨の購入に使われるので、ドルの価値が暴落することになる。それを防ぐために、米国政府はデフォルト(破産)を計画している可能性がある。

 

実際、米国議会では債務上限の認可を渋っており、デフォルトの危険性が日々増している。そのような時、債務の一部放棄を世界中の債権国に求めるだろう。日本は米国の属国として、債権放棄の割合が高くなり、外貨準備の大半が紙くずになる可能性が高い。(補足5)https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/10/13e1e4fed3d39af6.html

 

その時、日本は代わりに大きなものをもらう必要がある。それは日本の核武装とそれによる本当の意味での独立国としての再出発である。その時が、核武装の唯一のチャンスである。それを逃せば、日本は米国が去った東アジアで、共産党政権下の中国の属国となるだろう。

 

 

 

中国に併合された場合は、うるさい日本人は世界へ臓器提供予定者として登録される可能性がある。法輪功信者より日本人が提供者として優先される可能性もあるだろう。https://www.afpbb.com/articles/-/3230764

 

 

3)日本ではバブルが起こらないのはなぜか?

 

日本でも放漫財政は相当なものである。テレビなどで「政府の借金が1200兆円にのぼり、GDP200%以上である」という話はよく聞く。日銀が国債を買い上げて民間に現金を放出しても、かなりの部分が銀行預金となり日銀の当座預金に積み上がっている。それをマスコミは報道しない。

 

日銀が預金準備率を超える当座預金にマイナス金利をつけても、預金金利をマイナスにしない”国民思いの銀行”のお陰で、お金は安心して銀行に眠る事ができ、「危険がゼロではない株式投資などに向かわなくてすむ」。(補足6)多額の剰余金を抱えた企業も、大損を怖れて投資はしない。日本郵や武田と同じ失敗をしたくないからである。

 

企業は、新規投資、従業員給与の引き上げ、更には株主への配当、全てに消極的である。銀行も安定志向で新規貸出よりも、国と大企業への債権の金利などで、経営しているのだろう。それらの結果、不良債権の出現は最小に抑えられている。国民と企業が”必死”でバブルを抑えている裏で、国家だけ放漫経営を満喫しているように見える。

 

最近の海運業界の代表的企業の株価利益率(PER;補足4)は、なんと1.7~1.8 (日本郵船が1.8、商船三井が1.7; 予想配当はおよそ株価の10%以上)である。鉄鋼業界でも、日本製鐵やJFEなどの大手のPER3−4倍(配当も夫々株価の6.68.2%とものすごく高い)である。それでも株価はこの指標が示すレベル以上には上がらないのだ。

 

個人は、不動産投資や株式投資に向かわない。米国や中国と違って、比較的貧富の差が大きくないのが理由の一つであるが、日本国民の現金への信頼がつよく、安全安心への信仰が出来上がっていることも大きな原因のようだ。そして、消費物資などでインフレが起こらないのは、製造業、運送業、小売業などが真面目に働いているので、経済全体で価値の粗密が発生していないからだと考える。

 

無駄に金を使わない清貧性、株式投資など博打的なことはやらないという堅実性、現金と預金の価値が揺らがないので、キョロキョロする必要がなく、みんなで協力してバブル発生を防止しているようにも見える。一つには、国民の間での価値観の均一性が高い結果だろう。しかし、米中の状況から考えて、もうすぐ大インフレを輸入するだろう。

 

4)近現代史と貨幣経済

 

ある商品を、本来の低価値を知りながら少しづつ買い取って値段を上げ、価格上昇を信じるように他人に暗示をかけた後、徐々に売る。人気が頂上に達した頃に、自分の資金を引き抜いて多額の利益を得る。その後、その価格が暴落して多くの人が大損をする。短期で大金持ちになるには、大抵、合法と違法の境目にあるこの種のやり方である。この手法は、資金力がある程成功率は高くなる。

 

世界経済のレベルでこの手の経済危機が生じたのが、リーマンショックではなかったのか? 何もかも承知の上で、サブプライムローンに高い信用評価を着けて、大損と大儲けの人を対で作ったのでは無かったのか。そして、この類推で話を延長すれば、経済が浮き沈みを繰り返す度に、同じ巨大資本グループがポンプでお金を吸い上げるように富を築き上げて来たのが、近現代の経済危機の実態ではないのか。

 

この逆のパターンも歴史的に有名な話として定着している。ナポレオンがドーバー海峡に近づいた頃、公債を売り続けて“英国は彼に支配されることになるだろう”と(噂をばら撒いて衆人に)思わしめ、多くの人が売り急ぐように仕向けた。そして、底値付近で静かに買い戻して巨万の富を得たのがネイサン・ロスチャイルドである。そして英国ロスチャイルド家が、英国での貨幣発行券を得るようになる。スエズ運河の買収にも協力して、覇権国時代の英国に貢献したのも事実だろう。

 

その後米国で金融と政治で力を得た彼ら一族は、ウイルソン大統領の時代にFRB(米中央銀行)を設立させ、米国の貨幣発行権を得る。そして、米国の近現代における世界覇権が築き上げられた。日本の隆盛と敗北も、英米両国における彼ら一族の資金活動の中で生じたことである。この近現代史を知らずして、日本人は彼らの手先となった人たちに未だに日本の政治を任せているのである。

 

(13日6:00am、全体を再編集しました。既に読んで頂いた方にお詫び申し上げます)

 

 

補足:

 

1)例えばビットコインは、世界の国々で売買可能であり送金に便利である。中国でBCを買って在外家族に譲渡すると、家族はその国のマーケットで売れば、瞬時の送金となる。そのような利用が盛んになると、当然ビットコインを買う人が増えて、価格が上昇する。更に、ビットコインを受け入れる店があれば、それを使って買い物も可能となる。価格が上がることを信じる人が確実に増加すれば、投資としても一定期間成立するだろう。

 

2)恐らく、そのような実体を放置したのは、その地方を管轄する地方政府だろう。中央に大きな経済発展のデータを報告して、自分の地位向上に繋げたいという利己主義が働いた結果だろう。人の住まない団地でも、大量に作って売れれば、GDPは増加するからである。

 

3) 経済主体の資産の単純合計が縮小するという意味である。①ある会社Aが持っている資産が不良資産で価値ゼロだと分かると、その資産額とそれに対応する金額がバランスシート(BS)の左右から消えることになる。会社の自己資金がプラスならその会社のBSの縮小という形で治まる。しかし会社Aの自己資金でも不足となると、会社は倒産し債権者により切り売りされる。そして、出資者や社債を買っていた人に被害が及ぶ。そのような繰り返しで、(債権、債務)の対で何社かのBSの縮小が起こるだろう。因みに、それが銀行の倒産にまで及ぶと、金融危機と呼ばれる事態となる。

 

4)株価利益率は、発行済株数と株価の積と会社が得た純益1年分の比である。(国によって定義が多少異なる可能性がある)企業の運営評価の一つの指標である。尚、株価に対する配当の割合は、預金の場合の金利に相当する。定期預金金利が0.1%以下の日本では、株価が安定であれば株式投資の収益率は、預金の数十倍から数百倍になる。

 

5)日本が米国債の一部放棄を求められるのは理不尽だと怒る人が大半かもしれない。しかし、「払えないものは払えん」と米国は云うだろう。日本はこれに対抗する手段がないので、核武装の認可と技術支援のいくつかをもらうのが最善である。その一方、国によっては「腕尽くでも取ってやる」というだろう。その場合、戦争を始めるのは愚かなので、債権放棄の割合を小さくすることで折り合いを着けるだろう。国際関係とは、本質的に野生の関係なのだ。

 

6)危険性ゼロの追求は、この国と国民が米国制の育児籠の中にいたからなのだろうか?非常に美しく見え、病気のようにも見える。それは新型コロナ肺炎の流行に対しても、同様である。感染ゼロを目指す神経症のような努力は、少女のように美しくもあり、COP26に現れたスウェーデンの女性のように醜くもある。

 

 

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