2021年11月20日土曜日

「人間の本姓は試練に耐えられない」のか?:中国共産党政権の行方に関する予言

香港民主派系の「ニュース最前線」というyoutube動画サイトに、「人間性は試練に耐えられない」という表題の論説があった。副題:【冗談じゃないよ】中共 新たに「偉大な指導者」を導入しようとしていますが、これは中国人が一度通った道です。再び過ちを犯すのでしょうか?”

今日はこの記事を紹介します。

 

https://www.youtube.com/watch?v=KR8AT9vP9yY

 

1)「人間性は試練に耐えられない」のか?

 

デンマークのフィンセンという老齢のノーベル賞授賞の医学者が弟子選びのとき、ハリーという人を弟子にしようと考えたが、その候補がある意味退屈な医学研究に耐えられるか心配になった。そんなフィンセンの様子を見たアシスタントが、別の人に高額給与で彼に誘いをかけさせるテストをしたらどうかと持ちかけた。

 

しかし、フィンセンはその申し出を断り、「道徳的な高みにたって人間性を試すようなことはやめるべきだ」と言ったという。貧しい家庭に生まれたハリーがお金に対する欲望を持たない訳がないからである。結局、フィンセンの弟子になったハリーはその後デンマークでは有名な医学者になった。

 

その後のある時、自分の人間性を試そうとしなかったフィンセンの話を聞いて、老齢となったハリーは涙を流したという。そして「もし先生が私の性格をテストするための疑似餌として、高額報酬の別の話をされていたら、私は間違いなくその罠に嵌っただろう」「母は病気で治療が必要だったし、兄弟は私が学費を出してくれることを待っていたからだ。そのようなテストをされていたなら、先生の弟子になれず、これまでのような成果は得られなかっただろう」と語ったという。

 

その他にいくつかの同様の話を掲載し、「人間は、もともと“善と悪”“矛盾と複雑さ”を本質として持っている。良い結果を期待して人間性を試すと、ガッカリすることが多く、それが普通である」「人間性の本質はテストに耐えることができない。従って、わざわざテストなどしないで下さい」と結論する。

 

人間性を花瓶にたとえ、「花瓶の丈夫さをテストすると、最終的に花瓶の破片を手にすることになる」と結論する。ある人の人間性を前にして、それが良いものであれ悪いものであれ、高尚なものであれ下品なものであれ、先ずはそれを認めて向き合う(急には何もしない)ことが大事である。これは友人、リーダー、或いは国の機関の何れであっても、真実である。

 

この話は実に説得力がある。私は、イエス・キリストによる同じ内容のことばを思い出した。「人を裁くな、自分が裁かれないためである」

 

2)中国中全会と習近平政権の中国統治のあり方:

 

ここで話は、急にリアリスティクな方向に大きく転回する。中国共産党の六中全会の歴史決議と今後の習近平政権の中国統治についての話である。どんなに壮大で高尚なテーマを掲げても、人間性の本質に抵触するような方針は、最終的に挫折するだろうと予言している。

 

これまでの歴史決議(1945年のは毛沢東による、そして1981年のは鄧小平による)は内部闘争の結果として行われたが、それと比較して、今回の歴史決議は内部抗争が終わっておらず、その激化の始まりに過ぎないという大きな違いがある。もう一つの違いは、過去の二つの歴史決議は敗北から勝利へと向かう転換点で成されたが、今回はその逆である。

 

これまで中国の政治経済は、体制内のあらゆるレベルで、暗黙の了解の下でのレントシーキングにより動いて来た。つまり、これまでの政治は、民間が政府や官僚組織へ様々な形の働きかけを行い、それにより得られる超過利潤(レント)を民と官で分け合うことを駆動力として機能してきた。

 

しかし、習近平が政権を取ってからこれまで、悪を裁くという名目で多くの人が逮捕された。新華社によると、90万人の党員が除名され、40人以上の中央委員とその補欠が地位を失った。これまでの政治を動かす暗黙の了解が、習近平により破壊されたのである。

 

法治国家ではないので、その後新たな暗黙の了解が出来上がるまで、誰も何も出来ないというのが現在の状況である。各層の官僚は、自由な裁量に委ねられる部分から利益が得られるのだが、それが分からない今、多くは働かず決断せず他人を観察することで、問題解決を後回しにしている。

 

生じた問題は、いちいち北京に報告し、その指示を待って解決することが多くなった。官僚社会における“集団的横たわり主義”である。これは、過ちを最小限にする方法ではあるが、社会の効率は著しく低下させるのである。

 

習近平政権が目指す政治は上述のように法治主義ではない。高尚な人間をモデルにして、人間の本姓についてのテストに合格したものを採用し、壮大な図式を描いてそれを目標にしている。それは(鄧小平以降の)これまでの中国共産党政権のあり方とは完全に矛盾する。現在、中共のトップは毛沢東と同じ道を歩もうとしているのだろうか?

 

終わりに:

今回は、の上記動画の内容を、自分なりに整理して紹介しました。話の順序は動画のものとはすこし異なる可能性があります。その点ご了承ください。(終わり)

 

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