2021年11月30日火曜日

中国という恐ろしい国家の矢面に日本はできれば立つべきではない

11月に入って複数の欧米からの議員団が台湾を訪問して蔡英文総統と会談し、民主主義を守るための連携強化を世界に示している。112526日には米国下院議員団6名が台湾を訪問した。この米国議員団の台湾訪問は今月2度目で、今年3度目である。Taiwan Today の記事参照

 

これに強く反発した中国は、戦闘準備パトロール(combat readiness patrol)を行ったとロイターは報じている。戦闘準備パトロールとは、恐らく、具体的に部隊を組織して戦闘準備を行ったという意味だろう。https://www.reuters.com/world/asia-pacific/taiwan-is-force-good-senior-us-lawmaker-says-trip-taipei-2021-11-26/

 

そして28日からは、バルト三国の議員団が台湾を訪問した。三国の中でもリトアニアが注目される。「駐リトアニア台湾代表処」を開設するなど、台湾との外交関係を大きく前進させているからである。(補足1)

 

その勇気あるリトアニアの姿勢を応援する"声”が大きくなっているようだ。これに対して中国は反発し、リトアニアとの外交関係を大使級から代理大使級に格下げすると発表した。両国は89月、大使を互いに召喚している。https://www.yomiuri.co.jp/world/20211121-OYT1T50104/

 

何時も見ている及川幸久氏のyoutube動画も、これらの議員外交を紹介している。そして、日本の国会議員団も勇気を持って台湾を訪問すべきと言っている。それは、国会議員団なら日本の政治主体ではあるが、行政府の訪問ではないので、大きな問題になり難いと考えてのことである。及川氏は、「バルト三国もやっているのだから、それ位のことは出来ない筈はない」と言っている。

 

 

 

 

この動画に私は以下のような主旨のコメントを書いた。(すこし変形しました。括弧内はここで挿入したもの)

 

日本の議員団は訪台すべきではない。何故なら、日本に(国民の総意を背景にした)軍隊も核兵器もないからだ。先ず、憲法を改正し軍隊をもち、米国から核武装に同意を得ることだ。しかし、米国(トランプ以外)は日本の核武装に決して同意しないだろう。(補注:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516141.html; )

 

現状のままでは(吠えるだけで)身動きが取れない中国は、日本の与党議員を含む議員団が訪台すれば、それを口実に日本を第一の攻撃目標に設定する事ができる。そして、最初に尖閣をとるだろう。そこで、日米安保条約が幻だったことを日本は知ることになる。日本は議員内閣制であることも忘れるべきではない。

 

日本人は戦争というものを完璧に忘れている。その緊迫感の欠如が、上記及川氏のような発言を誘発するのだろう。

 

戦争は恐ろしい、特に超限戦を唱える大国に向かう際には、想像力も働かして十分シミュレーションすべきである。日本には現状十分な対抗能力が無いのだから、国民を含めて意思統一して準備をし、その上で避けられなければ命がけで戦うしかないだろう。それだけの覚悟をして、最初の一歩を踏み出すべきだと思う。

 

そのためには先ず、ウイグルの人たちの話や法輪功の人たちの話を聞いて、中国の属国となった場合の悲劇を知り、広く国民が議論すべきである。https://www.youtube.com/watch?v=wamQ2Zvn5VM

 

2)もう少し広い視野での議論

 

リトアニアの勇気ある強い対中姿勢は称賛に値する。しかし、リトアニアは小さい国であり、中国が対抗手段をとるとしても、国際社会から非難を受けるだけで、得るものはあまり無いだろう。それにNATOとEUの両方に加盟しているので、背後の勢力は大きい。それらを前提にして計算の上での行動だと思う。(補足1も参照)

 

一方日本国だが、中国政府は歴史的な敵対国として国民に教育しており、中国の砲身が常に向けられている国である。リトアニアの行動と本質的には同じでも、日本がそれを行えば中国の反応は数十倍以上大きいだろう。

 

更に、日本は明治維新以降の新興先進国であり、英米とは対等な同盟国であったことはない。(補足2)韓国同様、西側からのスケープゴートとなり得る民主国である。西側民主国にとっても、中国にとっても、問題の擬似的解決が日本の犠牲で可能になるかもしれない。そのシナリオ(補足3)を日本人は想像するべきだと思う。

 

尚、中国共産党政権をここまで大きな存在に育てたのは、米国(トランプ以外)である。中国が危険な龍となったのなら、その対策は米国が中心になって行うべきである。日本は、相当の準備と覚悟を持って、具体的行動として、反民主主義と人権無視政策を批判する民主国側の反中国の戦略に参加協力すべきだと思う。

 

及川氏が、日本の国会議員団も勇気を持って台湾を訪問すべきと言っているが、国会議員は余分な勇気など持つべきではない。国会議員がすべきは、第一に日本国民に現在の流動的な国際関係について知らしむること、第二に日本国の21世紀を通しての存立確保の手段を、国民が事実と論理で組み上げるまで、その作業のリーダーとなって働くことである。

 

リトアニアなどがとったのと同じ類の勇気ある行動は、日本国民の場合は命がけで行わなければならない。勇気ある行動は、それに伴う危険を熟知して、成功するとの目論見をもってこそ発動すべきものである。

 

(12月1日午前6時;最終稿とします。)

 

補足:

 

1)リトアニアのこの行動は、英米、フランス、ドイツなどと申し合わせて行っている可能性が高い。その背景を読むことをしないで、”リトアニアの勇気ある行動”という具合に単独行動のように考えるのは単純だと思う。

 

2)明治維新は、薩長が英国の支援(或いは指示)で、フランスをコンサルタントとする幕府と戦った内戦である。太平洋戦争での日本の没落は、米国の支援でロシアの脅威を退けたにも拘らず、満州利権で米国を無視したことなども主原因の一つである。日本は、欧米の近代史の発展の中で迷った家畜のような存在といえば言い過ぎだろうか? 大日本帝国はその歴史を隠している内に、日本国民も日本政府も殆ど自国(主権国家、民主主義などを含めて、西欧の政治文化の全て)を本質的に理解せずに、現代に至っていると思う。欧米民主国は、極東の民主主義を12歳以下であり(マッカーサーの言った通り)、道に迷って犠牲になる”切りしろ”(或いは、生贄の羊)と考えているだろう。

 

3)米中双方は、軍事的に衝突をした場合、短時間で(犠牲に耐えられず)問題の根本的解決を諦め、準安定状態(二極構造の世界)を受け入れるだろう。欧米の中国に対する人権尊重の主張もその時点で無くなり、中国の一帯一路構想も消滅する。そこで漸く、冷戦時代の米ソ関係のような準安定な世界が出来上がるのではないだろうか。

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