2023年1月15日日曜日

米国等の情報の独占と捏造による政治の支配

米国が平和裏に統一を保つには、民主主義の原則がなければならない。多民族共住で民主主義を実現するには、平等の原則とその論理的確認(公正性の確認)が必須である。前回の文章では、その政治の公正性確認にエネルギーを使う米国議会の姿を紹介した。

 

しかし、それら原則に反し、利益を得ようとする個人或いは特定の層が現れるのは人の世の常である。米国でもこれまで、特定のグループが論理は確保しつつ事実を誤魔化すことで国内国際を問わず政治をゆがめ、莫大な利益を蓄積して来たと私は思う。

 

それらの結果が、表向き公正で現実不公正と思われるような政治の継続と莫大な富の偏在である。そのような政治は、情報の独占と捏造による世論誘導でなされて来たのだろう。情報を操れば数日で億万長者になれることもあり得るのだ。(補足1)

 

世論誘導には大衆心理の操作も必要である。その緻密な作戦は、まず相手方の文化の研究からスタートするようだ。例えば、米国の対日政策の組み上げに際し、日本文化の研究が為された。「菊と刀」とか、「ひよわな国日本」などの日本に関係する書物は、その一端を現しているのだろう。

 

米国には、このような緻密な支配計画を行う「機能体」が存在する。最近、トランプ氏とその支持者が、それをDeepStateと呼ぶようになった。(補足2)現在の米国の内紛の深層に、トランプ等(MAGAと呼ぶ人もいる)とDeepState民主党の争いが存在する。似た構図の国際バージョンは、ウクライナ戦争の深層に、G7と欧州を含めた米国側とロシアの争いがある。

 

この現実を理解することは、米国だけでなく日本など米国の周辺国にとっても極めて大事だと思う。米国の支配層は、その手法でグローバルな覇権を実現し、それをより完璧なものにしようとしている。その支配層の中核には国境という概念はもともと重要ではない人たちがいる。(補足3)


 

2)事実は誤魔化せても論理の誤魔化しは難しい

 

殆どの出来事は、何時何分かにある国のある場所で発生する。つまりローカルである。一方、そのニュースはその出来事と言葉で論理的に組み上げられ、一瞬のうちに全世界に報じられる。事実は多くの人々にとって確認不可能だが、「出来上がったニュース」は簡単に伝えられる。
 

人は人の言葉を信じる様にできている。それは、人が社会的動物であることの必要条件である。その特性は、人間がグループを為し、言葉によって幾つもの事実を繋ぎ合わせ、ある大きな“真実”(彼らの真実)を含むモデルを共有するためである。

 

そのモデルが、そのグループにとっての善悪を決定し、その悪に向かって立ち向かう行動の動機とエネルギーを産む。集団での行動(戦い等の社会的活動)の背後にはこのような善と悪の創造が存在する。問題は、その前提となる事実も、結果である善悪も、グループ間で異なることである。
 

追補1)善悪は社会的概念である。19世紀の偉大な哲学者が神など存在しないことを明確にしたことで、人の本質をなすような善悪の基軸が消失したのである。その結果、社会の善悪の座標軸は、その社会の現在から未来にかけての繁栄に寄与することが善、それに反することが悪となった。

 

一定の大きな社会においては、ほとんどの人にとっては遠い現場における事実の確認は困難である。従って、支配層を為す側は、事実の選択と捏造によって、如何様にでもそのシナリオを創造することができる。論理を誤魔化すよりも事実を誤魔化し捏造する方がはるかに簡単だからである。
 

現場へのアクセスにおいて特別の能力を持つマスコミが、大衆の事実を知る唯一の手段であった場合、不公正に利益を得ようとする支配層が、その独占を狙うのは当然である。ただしそれには大きな経済的実力を必要とする。

 

近代以降現代までに、経済的に裕福な特別な人たちの固いグループが、上記手法で国々の政治支配をほぼ完成しているだろう。それらを統合する時期がいよいよ始まるのかもしれないし、既に始まっているのかもしれない。それがグローバルリセットと呼ばれるたくらみなのだろう。
 

以下に二つ程、事実の独占とそれによる支配の実例をあげてみる。

 

例1:

ウクライナ戦争を例に取り上げれば、ウクライナを含む西側諸国はロシアという悪を創造し、それと戦っている。その一方で、ロシアはウクライナのゼレンスキー政権と米国バイデン政権に悪のラベルを貼り付けて戦っている。

 

彼らが戦う善悪のモデルを組み立てる際の基礎となる事実が共通ではないことに注意すべきである。ただそれが日本のマスコミでは全く報道されていない。米国等西側諸国とゼレンスキーの側は、主として2021年の秋からの事実を用いている。一方、ロシアはソ連崩壊の1991年からの事実で論理を組み上げている。
 

その違いにより、善悪が逆転する。それぞれの論理展開はおおむね分かりやすいが、米国側はこの歴史的経緯を隠している。具体例的は、2014年のマイダン革命の際に、米国が民主的手法で選ばれたウクライナ大統領を国外に追い出す運動に深く関与した事を意図的に無視していること等である。

 

例2:

敢えて日本の出来事に触れる。これは必ずしも米国支配層が関係するかは未だ不明である。安部元首相暗殺事件では、日本政府は最初に救命医療に従事した奈良県立医大の福島教授の記者会見の内容を意図的に無視している。銃撃犯とされる山上徹也氏の異例の長期の鑑定留置を行った。
 

今月7日に鑑定留置を終えて、奈良県警に戻され、起訴がなされた。裁判への政府の介入は必至だろう。上記福島教授の発言内容から、死因の特定に関する議論が何らかの形で封じられる筈である。その算段の成果が二審以降に発揮されると思う。そして、山上氏の長期勾留の意味が明らかになる筈。
安倍元首相暗殺事件:山上は精神異常で無罪? | Social Chemistry (ameblo.jp)

 

 

3)おわりに:

 

21世紀になって、情報と捏造と独占という伝統的手法が徐々に通じなくなってきた。この30年間のデジタル技術の発展とその市民文化への展開が、この方法の万能性を排除したからである。つまり、スマホとパソコンの利用が一般的になって、事実を見る目が支配層が牛耳る巨大マスコミの独占ではなくなったからである。
 

そこで、かれらが新たな手法として用いているのが、ルールの大元にある人間の価値基準を混乱させる(或いは再構築する)手法である。それらが、例えばクリティカル人種理論でありそれを用いたBLM運動などである。この運動は、黒人の利益を守るように見えて、内実は米国の白人マジョリティに対するユダヤ人などマイノリティの権利拡大の運動である。(補足4)
 

尚、クリティカル人種理論とは、「白人は黒人を奴隷として使役した歴史を持つ。従って、現代に生きる白人はその債務を黒人に対して償う責任がある」と考える人種理論である。(補足5)この考え方では、過去の歴史をさかのぼって再評価する。それは近代的な価値とその論理を根底からの組み換えることを要求する。

 

以上は理系素人老人による言葉遊びかもしれません。議論などあれば是非お願いします。
(16日早朝大幅に修正)

 

補足:
 

1)英国ロスチャイルド家の第二代目ネイサンロスチャイルドは、英国がナポレオンに侵略されるだろうという噂の拡散を利用して、英国公債を空売りし、膨大な利益を得た。その手法の中心に、噂の利用と誰よりも早く情報を入手したことがあった。その膨大な資産で、英国の政治を支配することになった。今もロスチャイルドの力は国王より大きいという

人もいる。(写真左が英国ロスチャイルド家当主)

 

2)現実の政治では、上級公務員層が深層支配層の意向を汲んで動いているようである。この上級執行官はSenior Executive Service (SES)と呼ばれる選挙でえらばれないで雇用される人たちで、任期はない。 200505_26.pdf (lec-jp.com)

 

3)この世界支配の計画は、スイスに拠点を持つ世界経済フォーラム(WEF)の主張する世界革命グレートリセットと同一だろう。つまり、米国の多民族の民主主義は、グレートリセットで実現を考えている世界帝国のモデルなのだろう。ただ、中枢から少し離れたところには、その計画よりもそのプロセスで金儲けだけしたい人たちも群がっているように思う。なお、国境が重要な概念でない人たちとは、世界に散らばり多民族の中で生きる人たちである。

 

4)元大統領補佐官の故ブレジンスキーの言葉にある。ユダヤ人たちは、マイノリティ(少数派)の権利確保という名目で、黒人やヒスパニック等と連携して運動を組織化し、米国を牛耳ることに成功したというのである。 https://www.youtube.com/watch?v=Z85BnnOPmZ4&t=412s

 

5)この理論を批判が少なくなるように言い換えた場合、以下のようになるだろう:

米国には白人至上主義の遺産が現代もなお社会制度のなかに組み込まれている。その結果、米社会は白人に有利なので、人種間に制度的な逆差別を定めれば定めればばより公正な社会になると主張する。 米で議論沸騰 「批判的人種理論」とは何か - WSJ

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