2023年4月19日水曜日

UH60ブラックホークの安全性:宮古島事故のヘリコプター

自衛隊機の宮古での事故で10人が死亡した件で、中国の仕業の可能性を含めて様々な憶測が飛んでいる。それらの疑惑が出るのは、事故機が非常に安全性の高いヘリコプターで、入念に整備されテスト飛行を行った後の事故であったと報道されたこと、そして、日本政府の隠ぺい体質やそれに従属したマスコミの報道の在り方が大きな原因である。https://www.youtube.com/watch?v=66JCmasnrAA

 

 


この河添恵子さんのyoutube動画にあるように、3月29日にも米軍のUH60ブラックホークが空中衝突して9人が亡くなっている。これらの連続した事故は(a)「事故機が非常に安全性が高い」か、(b)「誰かの企みの可能性など存在しない」のどちらかを否定すると考えてもよいだろう。

 

河添恵子さんは、どちらかというと(b)を否定するニュアンスでこの事故に言及している。私の前回記事でも、不思議なケースとしてこの事故に触れたが、中国の関与を想像しながら記したのは事実である。

ところが、ネットで調べてみると、このヘリコプター(ブラックホーク)は使用頻度が高いからだろうか、米国では度々事故を起こしており、否定すべきは上記(a)であることを示唆する。(補足1)この型のヘリコプターは上記3月の事故の約1か月前にも、アラバマ州で墜落している。https://abcnews.go.com/US/survivors-after-black-hawk-helicopter-crashes-alabama-highway/story?id=97237264

宮古島での事故の原因だが、最初にパイロットが機体の方向などを見失うことが、頻繁におこる事故原因として可能性の一つとして言及された。しかし、当日の天候からそれは考えにくいとされた。救難信号の何もない突然の事故だったことから、次の可能性として、元自衛隊の将軍は主ローターの故障に言及している。ただ、それも今回の任務に向けて入念な点検やテスト飛行が行われており、考えにくい。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230412/k10014036321000.html

これら日本の専門家の議論を聞く限り、ほかに原因を探したくなるのは素人としては当然であり、その一つとして、米中対立が激しくなっていることとの関連で上記第三国の関与説がネットに浮上した。陸自ヘリ不明「中国に撃墜された」は根拠不明 防衛省幹部も否定【ファクトチェック】 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス (okinawatimes.co.jp)

日本では、事故原因究明という視点で、米国での3月29日の空中衝突事故を取り上げた例はほとんどない。当日の天候は悪くなく、浮揚と言う点では問題なかったのだから、今回の事故原因と共通している可能性がある。フライトレコーダー二つは回収されており、現在調査中の筈であるので、暫くすれば原因が公表されるだろう。

 

この空中衝突事故では、少なくとも一方のヘリコプターに方向や位置の制御装置に何らかの故障があっただろう。そのように考えて検索を続けると、過去のブラックホークの事故に位置制御装置の不良による事故があった。

例えば、2020年11月のシナイ半島での“平和維持活動”中、7人の活動家の命が失われた墜落事故だが、ホバリングして荷物を目的地に降ろした後の帰還フライトで突然墜落したのである。ヘリコプターのstabilator(尾翼などの安定化装置)が度々異常を起こし、事故の前に手動に変更されていたという。今回も事故なら、尾翼のstabilator異常があったのだろ。(補足2)

終わりに:

今回のケースで非常に不満に思ったことは、マスコミや自衛隊関係の人たちは、事件の詳細が明らかになる前に、この件の原因調査の枠から中国軍の関与を強く否定し、除外したことである。事件の詳細が明らかになっていないのなら、あらゆる角度から仮説を立てて、その原因を調査すべきである。

 

それも言い訳のための調査ではなく、真実を明らかにすることを最優先すべきである。軍事事故であり政治的な配慮の必要性はわかる。しかし、それは事実を明らかにした後のことである。日本は、対外配慮をして結果的に国民を犠牲にする傾向があると、国民の一人として憂慮する。

安倍元総理の暗殺事件では、政府は捜索から外国機関などの関与を除外し、事件の真相をもみ消している。銃弾は山上の方向からは考えられない方向から入り、心臓に穴をあけていたにも関わらず、安倍元総理の救命に当たった奈良県立医大の教授の記者会見の内容を完全無視し、全く考えられない山上単独犯行説で事件を処理した。

重ねて言うが、真実の追及を最優先すべきである。マスコミや政府は、碌に調査もしないのなら、少なくともフライトレコーダーなどの引き上げ調査の結果が出るまでは、ネットでの素人の意見を封じたり、バカにするような報道や発表をすべきではない。事実解明を最優先するなら、事故の当事者だけに調査させるべきではない。
(11:10編集あり)

補足:

1)過去 10 年間で、陸軍のブラック ホーク ヘリコプターは 40 件のいわゆるクラス A の事故に巻き込まれ、44 人の職員が死亡した。Probe of Deadly Black Hawk Crash Begins as Army IDs Victims | Time

 

2)The Black Hawk’s horizontal stabilator failed multiple times during a two-hour flight and was being controlled manually when the accident occurred, according to the investigation’s field report, which was compiled by the U.S. Army Combat Readiness Center, out of Fort Rucker, Alabama.
アラバマ州フォートラッカーの外にある米陸軍戦闘準備センターによって編集された調査のフィールド レポートによると、ブラック ホークの水平尾翼は 2 時間の飛行中に複数回故障し、事故が発生したときは手動で制御されていた。

Black Hawk’s stabilizing device failed before deadly crash in the Sinai (armytimes.com)

 

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