米国ハドソン研究所のHPに9月25日の日付で「Shigeru Ishiba on Japan’s New Security Era: The Future of Japan’s Foreign Policy(日本の新しい安全保障の時代についての石破茂が語る:日本外交の将来)」という論説論説(Commentary)が掲載されている。
記事は、最初にこの文章がハドソン研究所に送られた由来を紹介する文章で始まる:
Shigeru Ishiba, the next prime minister of Japan, exclusively shared his views on the future of Japan’s foreign policy in response to a request from Hudson Institute’s Japan Chair. The following is an unofficial translation of his response, which was published before Ishiba was elected and reflects his personal opinion.
日本の次期首相である石破茂氏が、ハドソン研究所日本担当主席の求めに応じて、将来の日本の外交に関する彼の見方を独占的に返答した。以下は彼の返答の非公式な翻訳文であり、選出前に出した私的な考えである。
本文には、①アジア版NATOの創設、②国家安全保障基本法の制定、及び③米英同盟なみに日米同盟を強化することが、それぞれ必要だと書かれている。
①のアジア版NATO創設については、以下のように書かれている。ウクライナがロシアの侵攻を受けたが、NATOに加盟していないウクライナは、安全保障理事会で国連軍派遣が決定されるまでの間の国連憲章51条に謳う集団的自衛権の行使が出来なかった。もし、日本が中国に侵攻されたとして、ウクライナと同様の運命に陥らない為には、アジア版NATOが創生され、日本が加盟しなければならない。
この考えは、安倍内閣の時の集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定があっても、日米安全保障条約第5条による米国の軍事協力に不安があることに因る。つまり、5条の中にある「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という条件が、米軍が日本防衛に参加しない根拠となる可能性を石破氏は考えているのだろう。
これらの不安材料をなくすために、国内法の整備である②国家安全保障基本法の制定と、③日米同盟の米英同盟なみの深化・強化が必要だと考えられる。日米安保条約にある米国の言い訳「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」が事実上無効となり、迅速且つ無条件に米国の軍事協力が得られるようにしたいのだろう。
短い文章であり、日本語訳もついているので、簡単に読める。ここでは私の理解のエッセンスを書いた。
2)何故米国のシンクタンクは25日に既に石破氏が新首相になることを知っていたのか?
この記事の存在を知ったのは、ヤフーニュースが韓国ハンギョレ新聞の記事を報じたからである。同新聞は、このアジア版NATO構想が本格的に推進されれば、韓国もその集団安保体制に参加する構図になり、波紋は避けられなくなる。ただし、実現の可能性については疑問の声が多いと書いている。
ハンギョレ新聞は韓国の民主化に深く関係し、市民を株主として誕生した新聞だという。韓国が中国と日本の間にあることを考えると、上記の波紋の意味が分かるような気がする。
ハンギョレ新聞には、ハドソン研究所のHPに石破氏の上記考え方が現地時間の27日に掲載されと書いている。それは、ハドソン研究所日本担当主席が25日に石破氏から得た返答ではなく、27日にアップロードされた石破構想に関するIku Tsujihiro & Riley Waltersの解説記事だと思われる。
ハドソン研究所のHPで検索すると、commentaryの目次は以下のようになっている。
一番上に上記Iku Tsujihiro & Riley Waltersの署名で、次期首相としての石破茂の方針という記事があり、その4つ下に最初に紹介したハドソン研究所日本班のトップが受け取った石破茂氏の将来の日本外交についての返答が9月25日の日付で紹介されている。
既に上に書いたように、その25日に公表された文章中には明確に次期首相と書かれている。上の目次にみられるように、ハドソン研究所のHPが日付を間違える筈がない。この日付の矛盾として二つの可能性が考えられる。
一つ目は、27日の総裁選の結果が出る前に、ハドソン研究所は石破氏が次期総裁となる可能性が大きいと考えて、石破氏に今後の日本の安全保障外交についての考えを聴き、それを25日のHPにアップした。その後、実際に新総裁となったので、文頭の記事の由来を書き換えた可能性である。
二つ目は、党員党友の投票(26日に締め切り)の25日までの分の結果を知っていて、自民党議員の投票結果も合わせた最終結果に完全な自信をもって予知できる人物が存在し、それをハドソン研究所に知らせたというシナリオである。
この日時の矛盾は何を意味するのかはさっぱり分からない。自民党は選挙を捏造し、日本国民よりも米国のシンクタンクとより親密なのかもしれないとか疑ってしまう。或いは、そのように思わせる諜報活動かもしれない。どなたかこの日付と内容の矛盾がどうして生じたのかわかる人はコメントでお教えくだされば幸いです。
追加: なお、石破氏の自民党総裁への当選は意外であった。そのことは何よりも当選が決まった瞬間の為替と先物株価の急変が示している。(19時記入;同時に本文の編集少々)
=== おわり ===
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