2024年10月31日木曜日

日本国を救う英雄の出現を願う:日本国民の殆どが目覚めれば英雄は必ず生まれる

1)原点から国際関係の現状を考える

 

強いものが弱い他者を排除して生き残る原始時代、人類は大家族的な社会を作っていた。そこから道具が発達し行動範囲が広くなると、民族と民族が生存競争を展開する時代となり、その民族或いは国家と法は、統治者とその意思であった。中世までの人類の姿である。

その後、人類が平和で豊かな生活が可能になったのは、国家と国民すべてに適用される法による統治を達成することで、分散した個人の能力を社会の多方面に生かすことになったからである。武力がなくても、尊厳と権利が保障される社会になったのである。

その国家と法による統治の領域は、現在この地球上に200余り存在し、夫々の土地で有利なように国家を運営しており、世界国家として統一することは不可能である。つまり、それぞれの国家に尊厳と権利を相互に保障するような形で世界統一を成し遂げるには人類には未だ何かが足りない。

現在の国家をメンバーとする社会、つまり国際社会は、強い国家が他を排除して生き残るという状態から未だにほんの一歩進んだ状態である。国際関係が世界統一に相応しく成熟するまでは、各国が自国のことを第一にして、他国との利害調整を個別にしていく以外に方法はない。つまり国際法は、現状「法」としての権威を持たないのである。

世界の政治を考える場合、この国際法の限界を知ることが非常に大切である。日本では、国際法を国内法と同様に「法」として考える政治家やマスコミ人が多い。それは彼らが現在強引に武力と策略で世界を支配しようとする特定の人たち、グローバリスト、の教育或いは調教を受けた結果である。

2)グローバリストの企みとトランプの出現


例えばロシアは、グローバリストの諸国及びウクライナを支配する彼らの手先と国家の生き残りを懸けて戦っている。日本のマスコミ報道や政治は、そのロシアを絶対悪としている。それはロシア側の国際法違反と同時に、日本では国際法を権威ある「法」と誤解しているからである。(補足1)

国際法は現状、世界中の国家が参加する国際社会においての行儀作法のようなものであり、その作法を強引に法律に格上げすることを米国の支配層を筆頭にするグローバリストたちが企んでいる。ここでグローバリストとは、世界帝国の建設を目指す人たちのことを指す。

それに対してそれは時期尚早であると「待った!」を掛けているのが、米国のトランプ、イーロンマスク、ロバートケネディJr(RKJ)、そしてタッカーカールソンたちである。トランプのアメリカファーストは、米国民に彼らを第一とする政治を約束するとともに、自国ファーストで付き合おうではないかと世界各国に向けての提案である。

米国を支配するグローバリストたちは、国境から不法であれ何であれ移民を歓迎し、彼らに選挙権を与えて米国を今少し支配下に置こうとしている。それでは米国は米国でなくなるとして、トランプらは命を懸けて、米国民のための米国を護ろうしているのである。

アメリカファーストは国内と国民を第一に考え、世界帝国など時期尚早であるという反グローバリストとしての意思表明である。それは国際法は世界を統治する権力の下に存在する「法」ではないという現実に沿っている。日本の支配層は米国グローバリストの配下にあるので、そのトランプらの姿勢に関する報道を完全にシャットアウトしている。(補足2)

3)日本は米国グローバリストの支配下から独立すべきである


現在youtubeなどで多くのひとが、日本の政治も日本国民を主人公とすべきであり、早く米国から独立をして、友好国の一つとして米国と付き合うべきだと言っている。それを妨害して、既得権益保持のために政権を悪用しているのが現在の与党である。

日本がこのような国になったのは、やはり戦後米国により行われた日本の骨抜きプログラムが第一の原因だろう。戦後80年になろうとしている今、日本国民の全てがそのことに気づくべきである。それが日本の21世紀の生き残りには必須だと思う。

日本国民が日本の主人公であると自覚するということは、自分の命と生活が日本国により守られていること、その様な日本国を維持するためには日本国政府が日本国民の政府であり、日本国民を第一に考える組織であるべきこと、そしてそのような日本国家を維持(或いは再興)するために自分も可能な範囲でその戦いに加わるという気持を持つことである。

その為には新たに日本国民の歴史を編纂し、それを国民全てが学ぶべきである。この国民の歴史は、国民の代表が国家を担う為には必須である。天皇制も、太古から現在までの日本国民の歴史を学び直してから、現代の天皇制の在り方を再度考察すべきだと思う。

天皇は日本神道のトップであり、日本国民の中心的存在であった。その元々の天皇の姿に復帰していただくことが、日本国民のために最善だと思う。明治以降昭和までの戦争の旗頭としての天皇の姿は、江戸時代までの姿と大きく異なる上に、本当の意味で日本国民の中心ではなかったと思う。

現在学校などで教えられている歴史は、現在日本を統治するが本当は国民の代表ではない者の為の歴史であって、決して日本国民の為の歴史ではない。(補足3)日本国民の為の歴史は、日本を中心とした世界の客観的事実に基づく日本国民視点の歴史であるべきである。

戦後米国は、日本にスパイを大勢置いて、日本に「戦争は罪である」という浅薄な政治思想を植え付けた。(補足4)その代表的な担い手は、日本の首相をはじめとする重要な政治家、日本の報道と文化を担う新聞社やTV放送局等のトップの人物などであった。(補足5)そのことを知るだけでも、日本国民の為の歴史を学ぶことの重要性がわかるだろう。

現在、これらの事実を知るにはネットなどで各自が勉強する以外に方法は無いだろう。インターネットはその為の強力なツールだが、言論や報道の規制にも非常に便利である。もしグローバリストたちによる政治が続けば、国民に割り当てられた番号(マイナンバー)と信用スコア(個人の信用を数値化した数値)を用い、中国で使われている様に国民を監視し束縛するだろう。

その時までに日本の政治を根本的に変えて、米国民主党やネオコンたちの下僕であるグローバリスト政治家から日本の政治を取り返さなければならない。この民族を救う英雄の出現が望まれる。(補足6)

日本国民が正しい歴史認識を得て、日本国と日本国民の地位を守るという気概を持ては、米国のトランプ、イーロンマスク、タッカーカールソンなどの英雄に匹敵する日本の英雄が直ぐに生まれる筈である。

今回の選挙では、そのような国民の動きの芽がみられた。参政党と日本保守党である。私は後者の主催者には殆ど期待していないが、直前に加わった共同代表には若干の期待はある。前者参政党には期待している。ぜひとも、政権与党になるまで頑張ってもらいたい。



補足:

1)これは世界支配において最大の障害であるロシアを崩壊させ無力化させる100年ほどの計画の一環である。ロシアの共産革命やソ連崩壊後の国有資産の分捕りは、グローバリストの中心に位置する世界の金融を支配する者たちによる企みであると言われている。そして、一昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、その最後の作戦に対するプーチン・ロシアの反撃である。この第三次世界大戦につながりそうな危険な企みは、ウクライナ侵攻の10日ほど前の記事に言及した。

2)米国には、移民国家であるものの南北戦争を乗り越えただけあって、愛国者がいる。トランプもイーロンマスクもRKJも命を懸けてアメリカ国民の国を再興すべく頑張っている。トランプが大統領になり、その後継者が2029年以降も政権をとれば、日本は真の独立が可能となるが、それは日本の試練でもあるだろう。自民党のように米軍の支配下を棲み処とする政治家は、早々に辞めさせなければならない。今がその時である。
ウクライナ危機について:米国はNATOの東方非拡大を約束すべき

3)例えば史記や日本書記などの歴史書は、それらが編纂されたときの支配者の正当性と正統性を主張するために書かれたので、必ずしも日本国民の歴史書ではない。国民の歴史は、日本国民が主権者であることを実証できる政治体制が築けたとき、時の歴史学者が書くだろう。

4)クラウゼヴィッツの戦争論では、戦争は外交の最終的手段である。因みに、米国は日本を弱体化するために、大日本帝国の支配者の一部をそのまま日本の管理者として置いた。それが吉田茂であり、岸信介など薩長土佐の人物である。彼らは、大日本帝国と戦争の真実を国民から隠す。それは同時に、米国と日本の敵対関係も隠すので、これから日本を更に利用することを考えている米国にも都合がよかったのである。それは、日本国民から戦争遂行者を批判することで先の大戦を乗り越える機会を奪った。そして、日本国民には「戦争は絶対やってはいけない」という戦争絶対悪の思想が蔓延ることになり、それが日本の骨抜きのための下準備となった。

5)米国のスパイ組織であるCIAの下で働いた日本人政治家として、岸信介がいる。彼のほか、CIAの下で日本の骨抜きの為にマスコミを牛耳ったのが、読売新聞や日本テレビの創業者であった正力松太郎である。日本の3S政策:screen(スクリーン=映像鑑賞)、sport(スポーツ=プロスポーツ観戦)、sex(セックス=性欲)を用いて大衆の関心を政治以外に向けることを担当した。

6)昨年7月8日の安倍元首相の暗殺は山上ひとりの仕業ではない。それは救急治療にあたった奈良県立医大教授の記者会見で明らかであるにもかかわらず、奈良県警も奈良県を地盤とする先の自民党総裁選の有力候補者も全く動かなかった。そのことが何を意味するか知るべきである。

(18:30編集あり;翌日早朝再度編集の後最終稿)


2024年10月20日日曜日

主体性のない日本国の起源とその軍事増強

1)戦争ができる国家への変質

自民党を中心に構成される日本政府は、憲法無視の実質的改憲を繰り返した結果、日本を戦争のできる国家に改造した。予想される戦争は主体的なものではなく、米国との軍事同盟により、米国の戦略に基づいての戦争である。そして現在恐れられているのは、中国が何らかの軍事行動に出る可能性である。

安倍政権は憲法の解釈を変えたのち、集団的自衛権行使を可能とした安保関連二法案を制定(2015年)した。その後岸田政権は、国家安全保障戦略(2013、安倍政権)において敵基地攻撃能力を保有すると明記する改定(2022年12月)を行い、自衛隊が完全な軍隊として機能する体制に整えた。

岸田政権は更に、2023年度から5年間の防衛費を1.5倍以上(43兆円)に増額するなどの国家防衛戦略や防衛力整備計画を決定した。これら一連の法整備に対する国内の関心はそれほど大きくなく、マスコミも関心を反らすように報道内容を工夫したように思える。

森友問題と加計問題、安倍元総理が暗殺されると、その事件の詳細よりも統一教会問題などの報道を熱心に行い、国民に法改正や解釈改憲の意味を考えさせる報道は避けた。(補足1)

この戦争ができる国家への改造は、韓国系のネット記事に分かりやすく纏められている。https://japan.hani.co.kr/arti/international/50465.html

そのハンギョレ新聞の記事は朝日新聞の報道を引用して、「日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして米国の外圧を利用し、『戦後安保のタブー』(元外務省幹部)破りを進めてきた感が否めない」と指摘している。

その記事は、ことの経緯はわかりやすく書いているが、この国家の主体性に関する記述(国家改造の力の源泉についての解釈)は間違っている。戦争が出来る国への改造の最後の段階は、エマヌエル大使(2021/12/22~現在)が日本に乗り込んで岸田首相を操り強引に仕上げたのだから、失う主体性など元々日本国には無かったというべきだろう。(補足2)

憲法に反し自衛隊を軍隊へ格上げした目的は、米国の世界戦略の中で米軍の下請けで戦う日本軍を作り上げることだろう。既に、戦時においては自衛隊の指揮権は米国が持つという密約があり、集団的自衛権行使という言葉すら相応しくないだろう。集団的自衛権というのは、複数の独立国に想定されているからである。

自衛隊という名の世界屈指の軍隊は、米軍の戦争に日本が参加するための軍として創り上げられ、改造された。

尚、日本が独立国でない証拠に、横田空域の存在がある。そこは、日本国内とされているが、日本の飛行機が自由に飛べない広い空域である。(補足3)これを見れば、日本が独立国でないことは明らかである。米兵が私人として町で犯罪を犯しても、日本に裁判権が実質的にないなど、他にも例が多い。


上の図で六本木ヘリポートとあるのは赤坂プレスセンターとも呼ばれ、横田空域の東端に存在する在日米軍基地である。米国人は、必要があればヘリコプターをこのヘリポートに着陸させ、入出国管理なしに街に出ることが可能である。米国と日本の国境を跨ぐトンネルの日本側出口である。

 

 


2)有事の際には米軍が自衛隊を指揮するという密約

上記の日米密約に関する日米会談は、米国の公文書に記述されているようだ。それは、吉田茂が口頭で交わした約束であり、限られた官僚により継承されてきた。この日本国民にとって非常に腹立たしい密約締結について以下の記事から要約で示す。https://gendai.media/articles/-/118982?imp=0

この密約はマーク・クラーク大将と吉田茂首相との間で口頭によりなされた。クラーク大将が、本国の統合参謀本部へ送った機密報告書には、「自宅に駐日大使、吉田茂と外務大臣(岡崎勝男)を呼んで夕食を摂った後、有事の際の軍隊の指揮権統一については、日本政府の明確な了解が必要であると説明し、同意を求めた」と書かれている。

吉田首相はすぐに、有事の際に単一の司令官は不可欠であり、現状ではその司令官は合衆国によって任命されるべきであるということに同意した。そして、この合意が日本国民に与える政治的衝撃を考えると、当分のあいだ秘密にされるべきであるとの考えを示した。

これが密約締結の場面に関する記述である。米軍の大将が、日本の首相と外務大臣を呼びつけて自宅で夕食をとったあと、日本の首相に申し渡したのである。同じようなことが、例えば駐日大使と官房副長官の間で、最近までなされていただろうと想像する。日米関係はこの75年間変わっていない。

こんな口約束なんて無視したら良いという考えを持つ人が多いかもしれない。ただ、片方が明確に記憶或いは記録している約束は、破棄したときに反作用が発生するという意味において有効である。つまり、条約でも密約でも破棄することは、その反作用を覚悟の上なら可能である。


3.参政党に頑張ってもらいたい

この歴史の流れを纏めると、敗戦とその後の米国統治により日本国はその全てを失った様に見える。北海道、本州、四国、九州とその周辺の小島は残されたが、日本は歴史も伝統もその記憶を含めて米国に消された様に見える。しかし、国の歴史や伝統とはその程度のものだろうか?つまり、マッカーサーが日本のすべてを変更したというのは本当だろうか? 

ここで大事な点は、米国は戦後の日本統治を再教育した大日本帝国の残党を用いたことである。その方が今後日本を利用しやすくなると考えたからだろう。その代表的なのが、土佐藩士の庶子でジャーディン・マセソン商会横浜支店長(吉田健三)の継嗣である吉田茂と満州に詳しい長州出身の岸信介等だろう。

上述のように、その吉田茂が有事の際には自衛隊を米軍が指揮するという密約を結んだのである。そして岸信介が日米関係の根幹をなす日米安保条約の改定を行った。そうしなければ、10年の期限を満了して自然消滅するからである。彼らは、諸外国の命をかけて国を守る姿勢のトップと比較して、あまりにも日本国民のことを軽視してきたように見える。

繰り返して疑問点を書く。極東軍事裁判で報復的に戦争に関与した主要なる人物を処刑し、米国占領軍が日本を約6年半統治したが、それでこれほどまでに日本は主体性を無くすだろうか? 

米国をはじめ連合国は、日本の本来の姿を軍国主義国家と考え、その骨抜きに完璧を期し、その結果100%成功した。そしてその計画通り、日本は完全に主体性を無くしたというのは本当だろうか? 

これらの答えは何れも「否」だろう。日本は敗戦と米軍統治により大きく傷ついた。しかし、日本国と国民の本体が目覚めたときにはこの戦争の為に改質された大日本帝国の日本でなく、元々の日本、つまり天皇と将軍が居た江戸時代の日本だったのだろう。(補足4を是非お読みください)

大日本帝国の生き残りがこの元々の日本を、封印されていた80年間に進んだ世界の中のあるべき日本へ上手く接続できないのは当然と言えるだろう。また、江戸時代の日本が目覚めたとしても何を何からやるべきかわからない茫然とした状態だろう。つまり、日本は明治で乗っ取られ、昭和で破壊されたのだ。 

「戦後安保のタブー」と元外務省幹部が語ったというのは「平和憲法」だが、近代日本の最大のタブーは「日本は独力で明治維新で近代国家を建設した」という誤った歴史解釈である。英国などとの強い干渉で薩長土佐がクーデターで日本の権力を奪いとったというのが事実である。

元々の日本が変質したのは、明治維新においてである。侍が頭の髪を切り、大名たちが領地を返還し、士農工商の別が消し去られ、その後富国強兵の下で大陸へ進出した。そんな政治体制の変革が10年ほどで出来ることではない。勿論偉大な成果と言えるだろうが、それを日本民族独自の視点で再評価しなければ誰にとって偉大なのかは分からない。

日本の支配層が完全に入れ替わったのは明治であり、昭和の敗戦時ではない。内閣の大部分は平和に対する罪で処刑されたが、その後日本を率いたのは、同じ体制下にいた処刑を免れた人物であったし、その後現在までの国家の首脳もほとんど同じ地方の似た家系のものたちである。天皇も、そのままであった。

従って、日本国を再度完全な独立国として再興する場合、江戸末期に戻ってそこから現在の日本への道を引き直す必要がある。つまり、日本再興には江戸以前に始まる日本の歴史の総括をやり直す必要がある。それを言明しているのは参政党のみである。自由民主党は、日本を米国の下で役立てるための政党だったことを忘れてはならない。


終わりに:

このままでは実質的改憲により世界第三位の軍事力となった日本は、米国民主党政権或いは米国ネオコン政権が計画する世界戦争に参加するだろう。自衛隊の指揮権がない日本は、米国の指揮で戦う羽目になるのである。何か変だと思っても、自民党政権は嘘と捏造で誤魔化すことになるだろう。

現在の自民党政府は、古くはベトナム戦争でのゴ・ジン・ジェム政権、最近では、ウクライナのゼレンスキー政権とよく似ている。こんな自民党政権を未だに日本国民は支持するのか? 

世界中が戦争に揺れている現在、国の方向を決定する選挙が日米で行われようとしている。日本人はこの自民党の本質を知って投票すべきである。米国の現政権はグローバリスト政権、つまり変形されたシオニスト政権である。彼らは世界統一独裁国家を築くべく各地で戦争を展開しているのだ。

 


補足

1)安倍元総理が山上という人物の単独犯だというのは、山上の位置と直後に手当にあたった奈良県立医大教授の方の記者会見の内容(入射痕と致命傷)からあり得ない。

 

 

2)「日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして米国の外圧を利用し」の部分、特に後半の “振りをして” 以下は、日本を警戒する気持ちから来ている。それが元々国内(朝日新聞)から出た言葉であることは、国民も政府を信用していないことを意味している。

3)横田空域の存在により、羽田空港へは海側から離着陸するなど制約が多い。もし横田空域が日本に返還されていたら、日航機123便の事故も無かった可能性がある。この事故も、米国隷属下の日本を示す一事例だろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12836247903.html

 

4)ここで言いたいことは、日本国民の殆どが奴隷のように戦争に送り込まれたが、敗戦の後も自分たちの意思で戦争遂行者を日本の政治から排除することが許されなかった。米国は、自国の都合で戦争遂行者の一部を利用し日本統治させることで、意のままに日本を操ることが出来る体制を作り上げたということである。そのようにすれば、日本の政治担当者は自分たちの立場を守るために、米国に逆らえないからである。

2024年10月14日月曜日

今年のノーベル平和賞は日本人一般には有難迷惑

今年もノーベル賞のシーズンになった。その中で平和賞ほど、受賞者がその栄誉にふさわしいかどうかの議論が多い部門はない。その理由は、世界政治は自然科学ほど単純ではないからである。今年のノーベル平和賞の授賞者を知って、再びそのように感じることになった。

 

BBCの報道によると、ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン ・ヴァトネ・フリドネス委員長は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の受賞理由を、「核兵器のない世界実現を目指して努力し、核兵器は二度と使われてはならないのだと目撃者の証言から示したこと」と語ったようだ。https://www.bbc.com/japanese/articles/ckgnp02v5r0o

 

今回はこのノーベル平和賞受賞について、ノーベル賞の原点から日本への影響まで考えてみることにした。

 

1)ノーベル賞というラベル

 

ノーベル賞は、ダイナマイトの発明で巨万の富を築いたアルフレッド・ノーベル(1833-1896)による「自分の遺産を最も人類に貢献した人物に授与してほしい」という遺言に従って1901年に創設された。

 

その遺言の切っ掛けは、ノーベルが、或る新聞社が兄の死を自分の死と勘違いして「死の商人死す」と新聞に掲載したことだったという説がある。ノーベルが発明したダイナマイトが土木工事などの他、武器弾薬として多用されたことが、このような新聞紙上の評価につながったのである。

 

その記事にショックを受けたノーベルが、莫大な遺産を用いて永遠に自分の名を美化しようとして創設したのがノーベル賞だというのである。

 

ダイナマイトは、包丁や拳銃などの歴史上の偉大な発明と同様に、人々を豊かにする場合もあるが、人を傷つけ死に至らしめる場合もある。評価は、誰が何の為にするのか何を物差しに用いるかなどと、人と立場により大きく揺らぐ。このノーベル賞誕生秘話はその教訓を示している。

 

ノーベル賞は非常に権威が高く、科学や文学における業績を超優秀なものとそれ以外のものとに切り分ける。(補足1)そして、専門的な成果に対して専門外のものが安易に評価を下す際の「ラベル」として働く。意地悪く言えば、ノーベル賞は本来真実と向かい合う学問の世界で、名誉とそれに伴うメリットに対する人間的争いを助長する。

 

平和賞の場合は同様に、時として大きな力となって大衆世論を動かし、辛うじて機能している世界の民主政治に衆愚政治の種をまき散らすと言えなくもない。

 

例えば、ノーベル財団が明らかにした佐藤栄作氏のノーベル平和賞受賞理由の中で、佐藤氏が表明した非核三原則について「アジアの平和にとってこの姿勢は非常に重要だ」と評価している。それ以降、日本では非核三原則を批判すれば政治家は選挙において票を減らすことになった。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240105/k10014309481000.html

 

これが日本が非核政策を長く維持させる一つの力となったと言える。その一方,中国と北朝鮮が核兵器を開発し保有することになり、非核三原則とそれに対するノーベル賞の権威付けは、アジア全域ではなく核保有国の中国と北朝鮮の平和に貢献したと言えるだろう。

 

 

 

2) 日本被団協のノーベル平和賞受賞理由

 

日本被団協の活動は、核廃絶(核兵器禁止条約に全世界の国を加入させる)という理想を掲げて努力するという“草の根運動”である。その目標は、「理想」と「努力」という尊い概念から構成されており、彼らの運動を通常の論理で否定するのは困難である。

 

また、核兵器禁止条約への非核保有国の参加は、既に述べた様に、イザというときに仮想敵国かもしれない核保有国を利する効果しかない。非常に流動的な現在の世界政治において、中国の核兵器と対峙する日本国の政治的選択を狭める役割をしてきた。

 

広島サミットで岸田首相が明言したように、自民党政権は核兵器禁止条約を対外戦略の柱にしている。それは、自国に足枷をはめ込む愚かな戦略である。

 

世界中にたくさんの核廃絶を訴える人たちが居るが、ノーベル財団が特に日本被団協を授賞対象に選んだのは、自民党政権とそれを支持してきた日本国民に対し、今後もその核廃絶を目指す姿勢を堅持してもらいたいというメッセージを送る為だろう。

 

世界が第三次大戦を予想するようになり、日本でもボツボツと核武装の議論が出てくるようになった。そして、国家の防衛を原点から考える石破元防衛庁長官が首相になり、核共有までを考え言及するようになった。その日本の雰囲気の変化にノーベル財団が反応したのだろう。

 

繰り返すが、彼らの草の根運動が世界平和に貢献するほど、世界政治(での登場人物)は純情さを持たない。しかし(或いは案の定)、マスコミ各社は今回の日本被団協の受賞に触れる形で日本の核戦略を批判的に報じている。https://www.tokyo-np.co.jp/article/359921

 

例えば東京新聞は、石破茂首相は北大西洋条約機構(NATO)のアジア版創設を持論とし、その中で「核の共有や持ち込み」を具体的に検討すべきだと主張しているとして批判をしている。戦後の日本には、核兵器の共有を具体的に言及する首相はこれまで居なかったのである。

 

第三次世界大戦直前か或いは既に第三次世界大戦は始まっていると言われるぐらいに緊張する世界にあって、しかも3つの核保有国に囲まれている日本の首相が、米国の核兵器の共有に期待する発言をするのは常識的である。

 

この時期を狙って日本の被爆地に存在する日本被団協にノーベル平和賞を与えることは、日本に石破氏の核兵器対策を批判する世論を惹起する目的があったのではと考えられる。

 

ノーベル財団、そしてそれを支配する人たちは、この世界情勢が不透明になっている今、“日本が将来核保有国になる危険性”を危惧しているのだろう。(補足2)

 

 

おわりに

 

核兵器が廃絶されるのは、核兵器と同等或いはそれを超える威力のより安価(製造及び管理上)な兵器が発明された時である。或いは、独裁的な世界政府が出来、そこが核兵器狩り(秀吉の刀狩りから)をしない限り廃絶されることはないと考えるのが普通である。そんな時は当分来ない。

 

有史以来、民族と民族或いは国家と国家が生存をかけて戦争してきた。その状況では、国際法や国際条約などは無意味であり、全ての民族はより殺傷力の強い新型兵器の開発に努力してきた。その冷厳な事実は、ユダヤ人とアラブ人のパレスチナでの戦争を見れば分かる筈である。

 

また、ウクライナはソ連崩壊の時にブダペスト合意への英米露の署名と引き換えに、多数の核兵器のロシアへの移送に合意した。その合意は、国際条約に準ずるものだが、ロシアの侵攻を防ぐ力はなかった。このケースは、核兵器の戦争抑止効果を学ぶ教材と言える。

 

日本人はノーベル平和賞からよりも、現実に東欧や中東で発生していることから教訓を得るべきである。

 

 

補足:

 

1)この切り分けるという表現は、ノーベル賞の対象となった研究は単にその分野の一里塚として示されただけであるにも関わらず、特別な標識(ノーベル賞という)が付けられることを意味している。専門分野を持ち、そこで研究生活を体験すると、その分野の大きさ深さを実感することになる。その中でノーベル賞の栄誉に輝いた研究を見ると、上記表現の正しさが理解できるはずである。以下の文章を読んでもらいたい。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12536939371.html

 

2)現状では日本は核武装できない。例えば馬渕睦夫元ウクライナ大使は、日本が核兵器保有に踏み込めば、中国は国連憲章の敵国条項を理由に日本攻撃を開始するだろうと言っている。長年の政治の付けは長い年月をかけて支払う必要がある。

 

2024年10月10日木曜日

官房機密費は廃止すべき

政治と金の問題は常にそして古くから存在する。もし日本が本当に民主主義政治の国なら、政治献金は如何なる形でも廃止すべきだ。選挙活動の全てを行政が担当すればよい。テレビやインターネット、選挙公報などでその政治家の考え方と覚悟、そして資質が判断出来る筈である。

 

今回も、政治と金の問題で首相辞任と解散総選挙となった。そんな愚かなことはもう止めてもらいたい。票と金が間接的にでも結びつくような可能性は、完全に排除すべきである。

 

政治と金の問題で、マスコミで頻繁に言及されたのがパーティー券などでの政治資金集めとその分配であった。しかし、日本の場合、それ以上に問題にすべきは、官房機密費とその使い方である。マスコミでは重要な話としてあまり深く言及されて来なかったが、その理由は後の方で分かる筈。

 

官房機密費は毎月1億円、1年間12億円が内閣官房長官室の金庫に入れられ、官房長官が何処かに分配する。元は税金である。毎年使い切りで使い道は一切問題にされないし領収書は取らない。余って国庫に返されたという話も全く無いようだ。

 

官房機密費は、複雑な国際関係のなかで諜報活動とか、日本国の為急いで処理しなければならない案件に、専ら使われていると信じてきた。しかし日本のようにスパイ活動も反スパイ活動もほとんどしない国では、現政権の為の政治活動に使われていたことが、政界を引退した野中広務元官房長官により暴露された。野中氏は、官房機密費は廃止した方がよいと言ったという。

それに言及した動画を見つけたので以下に引用する。米国スタンフォード大フーバー研究所でフェローとして長年活動してこられた西鋭夫氏の「Hoover Report」(西氏のyoutube動画シリーズ)の一つである。明治以降の日本とアヘンの関係にも触れている必見の動画である。

 

満州支配とアヘンの話は実に面白く且つ重要なのだが、此処では文章としない。視聴してもらいたい。https://www.youtube.com/watch?v=XFtrh10RnpE

 

 

この動画の後半に、官房機密費に関する話が出てくる。自民党政権の安定確保のためにマスコミにばら撒いたり、政治家としての人脈づくりのためにバラまいていることが、野中広務氏の告白で明らかになったというのである。

西氏は、官房長官になった人は高い確率で総理大臣になれると言っている。安倍晋三氏や菅義偉氏も、総理大臣になる上で、その金の力が大きかっただろうという趣旨の解説をしている。

民主主義の前提は言論の自由や報道の自由である。この報道の自由を、官房機密費が破壊しているという話は本当に腹立たしい。

 

 

野中広務氏の告白によると、官房機密費から金を持って行って返却したマスコミ人は、田原総一朗氏ただ一人だったという話はショッキングである。

首相の部屋にも毎月1000万円配るそうである。官房機密費は領収書が要らないので、勿論税金も支払われない。年間1億2,000万円は個人のレベルでは大金である。使いようによっては、大きく日本の政治をゆがめることになるだろう。

 

この話は毎日新聞の記事にもある。有料記事なので全文は読めなかったが、大事な部分はネットでも読める。野中広務氏が語る官房機密費の使い道


===おわり===

2024年10月7日月曜日

日本経済の立て直しには何が必要か

この30年間、欧米G7グループ各国のGDPが増加し続ける一方、日本のGDPのみが殆ど増加していないのは、政府の財政政策の失敗だと考える人がかなり居る。具体例を上げると、参政党から次回の総選挙に立候補を宣言している安藤裕氏は、下図(図1とする)を見せながら、財務省がプライマリーバランスの方向を優先し、財政拡大にブレーキをかけたことが原因だと言っている。(補足1)
ttps://www.youtube.com/watch?v=RFVncpWe2BI (part 1)

https://www.youtube.com/watch?v=2e8ThrUPPpE   part 2

ネット上でそのような財務省批判を積極的に発信している人に、自民党総裁選で高市早苗氏を応援してきた西田昌司議員、立憲民主党の江田憲司議員、民間人では三橋貴明氏や藤井聡元内閣官房参与(安倍内閣)などが居る。

 

その他、年収〇〇万円時代という庶民の味方風の著書で有名な森永卓郎氏は、財政赤字を懸念して積極財政に賛成しない人たちをザイム真理教の信者と呼んでいる。(補足2)このザイム真理教という言葉は、「これまでの緊縮財政」を批判する人たちにとっての便利な用語となっている。

 

政府は、税収以上の予算を組むことも時として必要だが、財政法4条(補足3)が規定するように、単なる赤字補填の国債発行は禁止されている。慢性的に財政赤字を継続すれば、いつか途上国によくある様な通貨安やインフレに苦しむことになるからである。

 

安藤氏らは、緊縮財政で景気浮揚策が取れないことが原因だと言っているが、積極財政で経済が上向くのなら、社会主義国家が貧しくなる筈がない。また、現状でも日本政府は放漫財政と言われるほど国債を発行し続けて来ているので、低迷の30年間の原因は他に求めるべきだ。

 

下の図(図2)に示すように、G7の日本以外の国では国債残高が年々増加するものの、GDPの1.5倍以下に収まる。財政規律をある程度守りながら成長を遂げているのである。右側に1975年以降の一般会計歳出、税収、国債発行額を示している。このような放漫財政を継続すれば、円安とインフレが進行し、将来国民の安定した生活を破壊する可能性が高い。

 

日本は、“構造的不況”に苦しむ間、その「構造」への対処をせず、ひたすら財政という栄養補給で耐えてきた結果、G7でダントツ最大の債務残高を積み上げたのである。それは厚生労働省や経済産業省など内閣全体の責任であり、それを財務省にのみ押し付けるのは非常に奇異である。

 

この”低迷の30年”は、米国と日本の経済外交関係の変化(プラザ合意など)が引き金となったが、日本の特異な労使関係を生む文化と西欧から来た近代経済システムとの不適合を修正する等の工夫があれば、新しい日米経済関係の中で一定の成長があった筈である。

 

そのことは、政権内部でも議論されて来たようで、先の自民党総裁選の時の会見で小泉進次郎氏が発した「30年間議論してきた」という言葉で明らかになった。自民党議員たちは、改革の痛みで発生する国民の声により失職する危険性を恐れ、この改革を放棄してきたのである。

 

安藤氏らは、これらの事実と歴史を意図的に看過している。そして彼らは、財政法は完全無視し、政府は自国通貨建てで国債を発行する限り、財政破綻などする筈はないとか、政府の借金は国民の財産になるなど一面の真理を用いてごまかしているのである。

 

勿論、自国通貨建ての中長期国債が一定以下の想定金利で継続的に売れるのなら、この考えは成立するだろうが、それは基軸通貨発行国の米国以外では全く無理な相談である。何れ日本も、戦前のように外貨建ての国債しか売れなくなるだろう。

 

安藤氏の上記動画サイトには@rcspinopのハンドル名でコメントを書いて批判した。ある意味当然だが、多くの意味のない反論をもらった。

 

 

1)先進国での経済成長

 

経済成長を需要面から見ると、それは一般国民の購買欲の拡大 とそれによる消費増加である。購買欲の拡大には①個人の収入が増加し、且つ、②将来に経済的不安がないという条件が必要である。その収入増には、会社等の利益増加やその配分が必要で、その為には通常、労働生産性向上が必要である。(補足4)

 

つまり、需要側から見た購買意欲の増加が、供給側で見た労働生産性向上によって裏書されることで経済は発展する。

 

この図式が可能となるには、企業側ではオリジナルな技術の開発や製造ラインへのロボットの導入などの研究開発や設備投資が必要であるし、労働者側ではその企業側の要求にふさわしい労働力を供給しなければならない。教育側は、そのような人材を育てる必要がある。

 

これら全てが揃うことで、経済成長が継続する。政府の積極財政や地方創生などは、田中角栄の「日本列島改造」の段階での主題だと思う。それ以上の役割を政府の財政に期待するのは無理だろう。

 

日本は、資源がなく食料もエネルギー源も国外に依存するハンディを持った国である。その弱みを国民や諸機関・法人ともに意識し、自らの役割を意識して果たすことが、国全体の経済力となって表れる。国民には、ふさわしいポジションを得る努力、移動する勇気等が不可欠である。

 

政府は、それらの経済主体(人や会社)が過度に心配することなく行動できるように、規制を緩和したり諸制度を改めたりするような改革をすべきである。枠にはまった教育システムで22歳で大学を卒業し、揃って恭しく入社式で会社に迎えられ、定年で退社するという昭和のパターンは過去に送り去るべきである。

 

また、同一労働同一賃金なんて、当たり前のことが未だ実現していない。技能実習生としてごまかして安価な外国人労働者を雇うとか、そのほか様々な不公平と既得権益を改めないで経済成長なんか達成できるはずがない。

 

豊かな経済の復活維持には、国民全員の能力と勤勉さが有効に滞ることなく発揮される日本でなければならない。それらが報われる国でなくてはならない。積極財政一本槍で、国民を一様に豊かにするという類のマクロ経済政策を唱えるのは、本当に無責任である。

 

安藤裕氏の話の中には、上記のような内容は一切なかった。と言うよりも、無知なる者をごまかすような類のレベルの低い話だった。

 

2)政府が借金をしても国民に購買意欲は発生しない

 

日本政府や日銀の貸借対照表(BS)は、2013年頃に始まる異次元の金融緩和で非常に大きく且つ不健全になっている。下に示すのは日銀のHPからとった日銀当座預金残高の推移である(図3)。金融機関がこれだけ多量の預金を日銀に持っているのだから、貨幣に対する需要があれば幾らでも信用のある企業は借金ができる。

 

 

これだけ日銀当座預金が積みあがっているのは、民間にお金に対する需要がないか、銀行がまともに機能していないかである。財務省はお金をばらまいても、日銀当座に積み上げるだけであり、日銀は大きな国債残高故に独立して金利を動かすことが出来ない状況にある。

 

今、この時期に積極財政を言い出す人の考えがわからない。政府に積極的に金を使って正面から日本の経済を浮揚させる能力など無い。(補足5)政府は、環境づくりと規制緩和や既得権益廃止など法の整備など、側面或いは裏からの寄与に徹すべきである。

 

 

このグラフ一枚で、上に引用した安藤氏の動画の内容がインチキであることが、分かる人には分かるだろう。順調な経済は、政府が債務を拡大し、それと同額の大きい資産(ストック)を政府以外が持つだけで達成できる訳ではない。国民の購買欲を上げることが出来ないので、財政政策でインフレを誘起することなど、意味がない。

 

上図(図4)で、財政赤字が企業の黒字として吸い込まれているが、労働者にはわたっていない。企業がため込むだけで投資する意欲がないのは、国民に購買意欲がないからである。財政拡大よりも、セクション1)で述べたような改革が必要である。

 

追補: 日本が成長できない理由をNewsweekが記事にしています。それを紹介し、自分の考えを追加した記事を5年前に書いていましたので、以下に引用します。日本社会では評論家や国会議員のレベルが低いことも同じ理由で説明可能です。所謂日本病です。

 

(10月12日追加)

 

補足:

 

1)安藤裕氏は慶応大経済の卒業している。2012年から2021年まで自民党衆議院議員(安倍派か?)。2022年から新党くにもりから参議院選挙に立候補するが落選、20249月次期衆議院議員選挙に参政党から立候補すると表明している。これらの動画は、参政党の神谷党首との対談の形で発表されている。この記事を書き始めた動機は、これら動画が神谷党首の経済音痴を暴露し、自民党ら日本の支配層にとっての脅威の一つを亡くす戦略の一環として発表されたと思ったことである。ただ、今では安藤氏が経済について深い理解がないだけだと思っている。

私も元理系研究者であり経済が専門でないので、以下の解説が十分だとは思っていない。コメントなどいただけるならありがたい。

 

2)森永卓郎は、「ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト 」という本を出版している。

 

3)財政法第四条: 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。財政法4条は、通貨発行は日本銀行の専権事項としている。

 

4)労働生産性向上には、例えば既存製造業においてはロボットの導入や諸業務のデジタル化などが代表的だが、新規産業の創出も大きな役割を果たす。新しい収益性の高い事業を作り出せば、それは全社員の給与を上げること(つまり労働生産性向上)につながる。

 

5)ここではトップセールスなど特別なケースは除外している。

 

参考:安藤氏は、図4に相当する米国のグラフも引用して、米国政府の方がより継続的に財政支出をおこなっていて、それが米国の経済成長につながっていると言っている。

=== おわり ===   (翌日早朝、補足1に文章を追加、数か所の編集の後最終稿)

 

 

2024年10月2日水曜日

高市早苗氏が自民党総裁選に負けた原因

自民党総裁選が9月27日行われ、第一回目の投票で高市早苗氏が1位、石破茂氏2位、小泉進次郎氏が3位となった。過半数の票を獲得した候補が居なかったので、上位2位までの決戦投票の結果、1位と2位が逆転して石破茂氏が勝利した。

全部で9人の立候補者があったので、最初から混戦が予想されていた。そんな状況なので、1回目の投票は各候補への期待が票数に現れ、第2回目の投票では2人の候補へのマイナスの評価が対立候補側の票となったと思われる。つまり、高市氏を忌避する自民党議員が石破氏を忌避する議員よりもかなり多かったということになる。

高市氏を忌避する理由は、彼女の大日本帝国が遂行した戦争を肯定すると誤解されそうな歴史観にあるだろう。高市新首相の日本が、最悪の外交関係の中で戦争大敗と国民の大量犠牲を招くという恐怖である。

 

石破氏を忌避する理由は、口先だけで自民党の党内野党として活動してきたこれまでの政治姿勢だろう。要するに、高市氏は何かをやりそうだから怖いが、石破氏は口先だけで何もやらないから選んだということになる。

ここまでを大胆に抽象化すると、自民党議員たちは、何かを積極的に訴え且つ実際に実行しそうな人物よりも、言葉だけで実際は何もしないと思われる人物を安全の為に選んだということになったのである。実際、早々に解散総選挙を実施して最初の任期では何もしないようだ。

 

普通に考えれば、高市氏一人よりも自民党全ての決定の方が正しいだろう。それは、何もしない人物が安全だということが正しいということになる。候補者一人ひとりの能力が低すぎて、自民党からは国家のために何かをする人を期待できないことを意味する。

 

政治家全体の質を向上させない限り日本の政治に改善はないことになる。

 

https://www.youtube.com/watch?v=5L9H6JbeXng


1)首相の靖国参拝に拘り総裁選に敗れた高市早苗氏

上に言及した最悪の外交とは、長期的には世界の中で日本が孤立すること、短期的には対中関係の危機的状況を招きかねないことだろう。

 

深圳での日本人学童の刺殺は、日中関係の悪化が危機的状況に近いことを示している。そんな状況下で、秋の例大祭に高市首相が靖国参拝した場合、経済的危機の中国でかなり多くの日本人駐在員とその家族の命が狙われかねない。日本国内でもテロ等が多発する可能性がある。更にその責任の擦り付け合いから、日中の軍事衝突にまで発展するかもしれない。(補足1)

上に引用したyoutube動画で朝香豊氏も、高市氏が首相になっても靖国参拝は実行すると言って全く妥協の姿勢を示さないので、自民党内の左の方の票が逃げたといっている。

私も、日本の将来を考えると今回の総裁選の選択は正しかったと思う。何故なら、政府代表である首相が靖国参拝を強行すれば、日本政府はサンフランシスコ講和条約での約束「東京裁判を受け入れる」を敢えて無視したことになるからである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12837289399.html

東京裁判を受け入れるということは、A級戦犯として断罪された戦争時の日本の指導者たちが世界の平和を破壊する行為として戦争を遂行したという理解、つまり戦争の原因が日本の軍国主義によるシナ大陸侵略にあったという理解を受け入れることである。

東京裁判が正しいとか間違っているとかいう問題ではない。(補足2)第二次大戦を含め近代の世界における戦争の最大の責任は、英米など西欧各国にあり、日本がその流れに乗った或いは巻き込まれてしまったことの責任は、それよりかなり小さいかもしれない。

 

しかし日本は、戦勝国の論理を受け入れて戦後再出発したのである。何故なら、國際関係は本質的に野生のルールで動いているからである。正しい方が勝つのではなく、強い方が勝つのである。戦後80年を経過して、今更第二次大戦の終結を否定し、再び米中英仏蘭の敵国になるという選択をするべきではない。

 

もし日本が強大な軍事力を持ち、世界を席巻しているのなら東京裁判を否定することも一つの外交上の選択である。しかし、日本は自衛軍すら真面に保有しない国である。

勿論、私人なら靖国に参拝することは信教の自由の範囲に入るとの主張は可能である。しかし、首相にはそれが出来ない。何故なら、日本の首相は日本国そのものであり、その中心だからである。

何故こんな単純な論理が高市氏には理解できないのだろう。日本の国会議員たちは派閥抗争や人事の問題で明け暮れ、勉強不足なのだと思う。石破氏は確かに職業的政治家に見える場合もあるだろうが、そのあたりの知識はあると思う。その差が、総裁選の結果を分けたのだろう。


2)憲法改正案への自衛隊明記する場合の問題点

また朝香豊氏は、石破茂氏の自民党の憲法改正案に対する態度を批判している。安倍内閣の時に決めた自民党案では、憲法92項を残したまま第3項に自衛隊を明記するが、それでは改正にならないというのが石破氏の意見である。

朝香氏は以下のように話す: 憲法改正には公明党の数が必要であり、その連携を維持するために9条2項を残し自衛隊を明記する草案を作ったのである。石破氏は評論家的発言をして、その努力の結果である自民党案に反対し、結局憲法改正が出来なくしてきた。自分の案に拘るなら、それで公明党を説得する努力をすべきであった。しかし、石破氏は汗をかくタイプの人ではない。

また朝香氏は、政治は多数派を握った方が勝ちであり、従って純粋を求めてはいけない。理想論を語ることは良いが、政治は理想論だけでは動かないとも語っている。高市氏が今回の総裁選では、多数派工作として自分の靖国参拝への熱意を一時的に曖昧にすることだったと語る。

しかし、現実政治が妥協の産物だとしても、守るべき一線が存在する筈である。そのレッドラインの認識において、朝香氏は間違っている。現在の自民党案で憲法改正をすることは、日本を世界の笑いものにすることである。そこに自民党を導くことは、反日国家の工作かもしれないと考えるべきだ。

石破新首相がすべきなのは、元々意見の異なる公明党の説得ではなく、そのような考え方の異なる政党との間違った連立を解消して、本来の考えに従って草案を作り国民に理解を求めることである。


終わりに:

日本の政治の貧困は目を覆うほどである。その大きな原因は国会議員の質が低いということだと思う。その一つの原因は、国会議員の殆どが職業として永田町(国会)に勤務しており、終身雇用に近い職の安定を求めて活動していることである。

 

二世議員が多いのが原因であるという人が多いがそれは結果であり原因ではない。タレント議員も元官僚の政治家も、次の代は代議士を目標に人生を歩むだろう。従って、日本の政治改革の近道は、国会議員を職業とはなり得ない制度を取り入れることである。

 

例えば、国会議員をボランティアとする。そのうえで、一生涯で5年間を政治家としての最長活動期間とする。待遇だが、実費と自分の本来の職業の中で、5年間の政治家としてのサービスによる不利益を帳消しにするレベルの給与を支給する。 

国会議員の定数は、野党を含めて内閣を構成する人数の3~5倍程度として、定数を半分以下にすべきである。選挙活動は、候補者数人毎の討論を唯一とし、選挙期間を3か月以上とる。選挙区は道州制として、国会議員の地方での政治活動へのかかわりは禁止する。

 

 

補足:

 

1)今回の総裁選で、中国及び米国から自民党議員たちに対して強い干渉があった可能性を指摘する人もかなりいる。伊藤實氏はある動画の中でその可能性を示唆している。https://www.youtube.com/watch?v=-yLv4OQ2rY8 (動画の13分あたりから)

 

中国の場合、高市氏が選ばれ首相として靖国参拝をすれば、日本人が大変なことになるかもしれないというタイプの脅し或いは干渉があった場合、その効果は大きいだろう。何故なら、自民党議員たちはその可能性を既に考えているからである。

 

2)東条以下の平和に対する罪での断罪は、①事後法での裁きであるので法理論的に本来無効だという考え方がある。それはかなり説得力を持つ。また、平和を乱した責任など日本になく、②日本にとっては防衛戦争であったなどの論理も、歴史を詳細に見ればその通りだったということになるかもしれない。しかし、それらを現在世界を牛耳る勢力は決して認めない。そして、日本政府が①や②の論理を用いることを放棄したことで、サンフランシスコ講和条約が成立したのである。同じ“力の論理(歴史は勝者が書く)”で、原爆投下も正しいとされてきた。

 

(編集歴: 10月3日早朝、本文最後の文を修正、そのほか助詞修正レベルの編集の後最終稿)