2024年11月21日木曜日

トランプは反グローバリストの英雄ではないだろう

トランプをグローバリストと対決する英雄と考えている人が日本に多い。大統領選挙でトランプが大勝したので、今後の世界政治の明るい展開を信じていたと思う。そして、早速発表されたイーロン・マスクやロバートケネディJr.に対する人事に喝采を送っていただろう。

 

しかし、最近トランプが発表する人事には、戸惑っている人が多いのではないだろうか。その点について少し考えてみる。(以下は、素人の夢想を含みます。そのつもりでお読みいただきたい)


 

)トランプによる次期政権国務長官人事などの怪


5日前のyoutube動画で及川幸久氏は、トランプがネオコンと見做されていたマルコ・ルビオを国務長官に指名したことに批判が集まっていると話す。マルコ・ルビオは対中国及び対イラン強硬派であ

 

 

 

及川氏は上記動画で、ランド・ポール上院議員の「外交においては、マルコ・ルビオとヒラリー・クリントンは同一人物だ」という言葉を引用している。https://theweek.com/speedreads/587721/rand-paul-thinks-marco-rubio-hillary-clinton-are-same-person-foreign-policy

 

確かに、マルコ・ルビオはロシアによるウクライナ侵攻直後は、ウクライナへの支持を熱烈に呼びかけていた。しかし、徐々に意見を修正し、現在ではウクライナ支援に消極的である。それでも、ランド・ポールの言う通り、グローバリストに違いないだろう。https://www.aljazeera.com/news/2024/11/12/how-marco-rubio-has-shapeshifted-to-embrace-trumps-foreign-policy

 

彼は2016年の大統領候補として立候補し、トランプに負けて以来トランプと仲良くなったと言われるが、ウクライナ支援に消極的になったのはトランプの影響なのだろうか?独自の思想変化なのか?それとも何らかの力が外部から働いたのか? 

 

119日の本ブログサイトでトランプが非常に早い時期から次期政権の人事を決めている理由として、米国民の注目を維持するためと書いた。しかしもう一つの可能性として、今回の国務長官人事のようなグローバリストが歓迎する人事を妥協のために見せつけるためかも知れない。

 

トランプを反グローバリストの英雄などと言うのは、現在の民主党グローバリストの展開する世界政治に反対の人たちがトランプ本人の考えを無視して作り上げた話なのかも知れない。

 

イーロンマスクとロバートケネディJrが本物の反グローバリストだとしても、彼らが十分な働きが出来るかどうかは分からない。彼らが重用されるのは、大統領選挙において功績があったからであり、思想的にトランプと共鳴した結果ではないのかも知れない


 

2)トランプは反グローバリストの騎手ではない

 

トランプは、世界各国に出向いて金を使う米国の覇権主義外交が米国民の生活にプラスになっていないとし、その金を国民の方に回すべきだと主張して大衆の賛同を得、大統領に当選した。キャッチフレイズのMake America Great Again(MAGA;アメリカを再び偉大な国に)は、アメリカは覇権を狙って世界に干渉するよりも、一主権国家として自国の利益を追求すべきだという主張である。

 

ただ、世界覇権よりもMAGAだと言ってみても、米国が世界覇権を失ったらGreat(偉大)な国ではなくなるだろう。多民族国家である米国の各民族が、タガの外れた桶のようにバラバラとなり、国家が崩壊する可能性すら存在するだろう。トランプは、もし米国が世界覇権を失ったらどうなるかなどは、そもそも考えていないのではないのか。

 

つまり、米国のエリートたちは、主権国家体制の国際社会(ウエストファリア体制)を破壊し世界帝国を作らなければ自分たちは何れ世界覇権を失う(補足1)と考えているのだろう。しかしトランプは、それに対し反論を展開することなく、単に一般国民の不満を吸い上げることで大統領に当選したのではないだろうか。

 

トランプに大口寄付をする人物に、カジノ王アデルソンなどユダヤ系が多いという。イスラエルロビーの人たちや親イスラエルのアデルソンのようなユダヤ人たちは、元々イスラエルと緊密な関係にあるトランプ(補足2)を応援し、パレスチナ問題をイスラエルに有利に治めるためにトランプ政権を利用したいのだろう。 https://toyokeizai.net/articles/-/775835

 

トランプは、国際金融を支配するディアスポラのユダヤ人とイスラエルを支援するユダヤ人(イスラエルロビーなど)の間にあって、後者の側に立って前者の目指す政治を批判して当選した。マルコ・ルビオが国務長官に指名されたのは、トランプのこの賢明さに共鳴したからだろう。

 

トランプもマルコ・ルビオもユダヤ系の資本力と政治力の中にどっぷりとつかって、背後から支援を受けて米国を運営しようと考えているのだと思う。トランプとグローバリストの総本山と考えられる国際金融資本とは、供にイスラエルを大切にするという姿勢を共有しているのである。

 

したがって、トランプを反グローバリズムの騎手とみるのは間違いだろう。単にグローバリズムの提唱者とは仲のあまり良くない兄弟のような存在だと考えるべきだろう。ブルームバーグは、それを示唆する以下のような文章を記事の中に書いている:

 

トランプは億万長者のユダヤ系米国人ミリアム・アデルソン(Miriam Adelson)氏が主催する会合(大統領選前)で、自分がイスラエルを支持していることを根拠に、ユダヤ系米国人からもっと政治的な支援を受けても良いはずだという主旨の発言を繰り返し、ユダヤ系米国人とイスラエルという国家を混同しているhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-20/SK4J6YT0G1KW00

 

411日の本ブログサイトに「イスラエルはトランプを次期大統領として支持する可能性が大きい」という記事を書いた。その中に「325日に行われたイスラエルの新聞イスラエル・ハヨムが トランプに対するインタビューを、インタビューと言うよりも面接試験ではないかと思ってしまう」と書いている。トランプはシオニストと言うべきだろう。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12847903412.html

 

以上をまとめると、トランプには反グローバリズムという政治思想など持っていない。彼は単にユダヤ系資本家たちとイスラエル系米国人の間に陣取って、大統領という地位を手にいれたのだろう。トランプをイスラエルロビーに雇われた大統領と考えれば、今後の米国政治が分かりやすくなるのではないだろうか。

 

 

補足:

 

1)GDPの世界ランキングでは米国は一位だが、そのシェアは年々下がっている。経済産業省の計算では、米国のGDP世界シェアは2020年には24.7%だが、2050年には14.7%に落ちる。従って、米国は今後、国際的地位を低下させる一方だろう。経済的シェアが小さくなれば、米国は何れ世界覇権を失う。米国に取って代るのはおそらく中国だろう。ユダヤの資本家たちは、英国から米国に移ったように中国に入り込めないのなら、彼らは世界の金融を支配する地位を失い、世界史も何れ書き換えられるだろう。何故なら、歴史は覇権を握る者たちを正統化するために書かれるからである。その時、アヘン戦争をはじめ植民地戦争などが過去の悪行とされ、ユダヤ系欧米人はその時点で主導的地位を失うだろう。

 

2)トランプの娘は、ユダヤ教に改宗してホロコーストから逃れ米国に来たユダヤ人ジャレッド・クシュナーと結婚した。娘夫婦はイスラエルの首相ネタニヤフとは家族ぐるみの付き合いだという。

--- 15時 編集 ---

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