2024年12月30日月曜日

パナマ運河とグリーンランドの米国支配を考えるトランプ次期大統領

 

パナマ運河及び北極海航路に対する中国の影響力が増大しつつある。それらに対する米国の優位性を守るべく、トランプ次期大統領が早々と動き出している。この件、国際政治解説のカナダ人ニュース(youtuber のやまたつさん)がまとめているが、その内容も含めて以下紹介する。https://www.youtube.com/watch?v=VPT67bjIJRE

 

 

1)トランプさんが目指すパナマ運河の支配奪還

 

パナマ運河が海運の要衝であることは地図を見れば明らかである。そこで運河建設を考えた米国のS.ルーズベルト政権(共和党)は、コロンビアの一部だったパナマ地域を独立させ、19031118日に運河地帯の主権をアメリカに譲渡する条約:パナマ運河条約を締結した。(補足1)建設までに多くの犠牲者(35000人とも言われる)を出したものの、運河は1914年に完成した。

 

第二次大戦後にパナマでも民族自決の意識が高まり、民主党カーター政権の1977年に運河を1999年迄にパナマに移譲する条約(新パナマ運河条約)が締結された。その後、共和党ブッシュ(父)政権は運河の権益喪失を恐れてパナマに侵攻し、当時のノリエガ政権を倒した。このアメリカの軍事介入は国際的批判を浴びた。

 

しかし民主党のクリントン政権の時、新パナマ運河条約の規定どおり運河はパナマに移譲され、2000年からパナマ領有となった。

 

トランプ大統領が就任前にも拘わらずパナマ運河の領有を目指すとSNSへ投稿したのは、その要衝に中国の支配の手が伸びていることを警戒し、その排除の方向に一歩を踏み出す切っ掛けとするためと考えられる。(補足2)
 

トランプ大統領の声明が単なる領土欲を背景にしたものではない上、全く法的根拠に欠けることでもないようだ。新パナマ運河条約には、パナマ運河の中立性に対する脅威に対して米国が軍事力を行使する権利を留保するという条項があるからである。

https://www.csis.org/analysis/key-decision-point-coming-panama-canal

 

パナマ運河は世界貿易の6%に関係している。パナマ運河を通過する船の23かそれ以上は、米国から又は米国への船であり、中国から又は中国への船も13%を占める。この運河の通行料は年々値上げされており、インフレを抑えるというトランプの公約も、パナマ政府と交渉を持ちたいもう一つの動機だろう。(補足3)

 

尚、中国は既にパナマ運河の重要性から、この地域への権益拡大を戦略としている。その結果、パナマは20176月には台湾は中国の一部であるとして台湾と断交し(https://gendai.media/articles/-/64400?page=2)、同年11月にはラテンアメリカで最初に一帯一路構想への参加を表明している。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7800_1.php

 

元々パナマ地域を領有していたコロンビアは、できるならパナマを取り返したい。コロンビアは、その目的でコロンビアとパナマとの間のダリエン地峡と呼ばれるジャングルに道路を建設している。そのコロンビアを中国は支援していると、沖縄出身のジャーナリスト我那覇真子さんと米国ジャーナリストのマイケル・ヨン氏が語っている。

 

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この道路建設は、我那覇さんが発見したと上の動画で語られている。パナマ運河の中立性に対する脅威は増しているのだ。

 

 

2)グローバルな航路の支配を考える中国

 

中国習近平政権の看板は一帯一路戦略であった。ユーラシア大陸の東西を横断する陸のシルクロードと海のシルクロード(差し当たりベネチアからスエズ運河とインド洋経由で中国東岸に至るルート)を想定して、人と品物の流通を促進して富を中国に運ぶ戦略である。

 

 

これらの”シルクロード”は経済的ルートのようだが、当然政治的権力を運ぶルートでもある。しかし、そのシルクロード構想の看板に偽りありのようだ。中国の戦略は、グローバル覇権を目指す構想だったようである。

 

大西洋を西に向かって北極海を臨むアイスランドからグリーンランド経由で南北アメリカを縦断南下するルートの獲得もその一つの構想のようだ。その重要な要衝が最初に言及したパナマ運河であり、次に簡単に触れるアイスランドやグリーンランドである。この中華秩序のグローバル化戦略をトランプは警戒しているのである。

 

2008年の金融危機の際、アイスランドはIMFEUに金融支援を仰いだが十分な協力が得られなかった。その要請を聞きつけた中国は、アイスランドと素早く通貨スワップ協定と自由貿易協定(FTA)を結ぶことになった。

 

その後、中国はアイスランドを北極海航路の主要な海運センターとすべく、北部の湾に深海港を建造するなどの計画を同国と交渉しているようだ更に中国企業は、アイスランドに広大なリゾートを建設する計画を立てて、土地買収をしようとした。しかし後者については、アイスランド政府は安全保障上の問題と考えてそれを不認可とする賢明な判断を行った。

 

これらの戦略は、パキスタンやスリランカへの支援同様、グローバル化構想の拠点つくりの一環であると思われる。https://president.jp/articles/-/71516

 

中国は同様の戦略に基づいてグリーンランドにも投資を試みている。現在グリーンランドには先住民を中心に57000人程度が居住し、自治政府をつくっている。しかし、経済的にはデンマークに強く依存し、GDP20%(自治政府予算の50%)に当たる資金を、デンマークからの援助に頼っている。

 

上のPresident Onlineの記事によると、2016年にも中国企業がグリーンランドにある旧米海軍基地施設を買収する案を持ちかけたことがあったようだ。その際、デンマーク政府が米政府の希望に配慮してこれを阻止したようだ。

 

グリーンランド議会の議長は「米国とデンマークは傲慢ごうまんだ。中国が私たちに投資したいなら、今後も排除しない」と、中国に対する期待を示した。この姿勢は今も変わっていないようだ。
 

トランプ次期米大統領のグリーンランドを買い取りたいという声明は、このような情勢を背景に出されたのである。


 

3)中国牽制の背景

 

米国の民主党政権の時に、中国はグローバル版一帯一路構想で堂々と米国を取り囲むように、南北アメリカに支配の拠点をつくろうとしてきたようだ。

 

その中国の姿勢は、世界の覇権国家である米国を脅かすものであり、習近平の言葉「広大な地球には、中国と米国の各自の発展、そして共同繁栄を受け入れるだけの完全な包容力がある」という東西二分割の論理とは矛盾する。(補足4)注意すべきは、米国民主党政権はそのような中国に融和的であったことである。

 

そこで思い出すのは、米国民主党や米国ネオコン政権とその背後の世界の金融資本家たちは、中国共産党政権に以前から融和的だったことである。それは、蒋介石を日本と対決させ、日本が敗れたあとは蒋介石への支援を止めて毛沢東の中国支配を見守った戦後史とも整合的である。

 

欧米のグローバリストたちは中国を統一世界の完成に向けた重要なプレイヤーと考えていると思う。そして、それは主権国家体制下の米国をも最終的には破壊する予定だと思われる。中国は、常にグローバリストのシナリオに沿って動いてきたようには見えなかったが、それはフェイントだったかもしれない。

 

米国トランプ次期大統領(予定)の米国第一政策(MAGA)は、主権国家体制の国際社会を前提としているので、このグローバリストの戦略と真正面から対立する。それらの間の最終戦争が2025年に顕在化するだろう。グリーンランドの買収やパナマ運河領有の発言は、その宣言の一つである。
 

兎に角トランプ大統領が2025年1月20日に無事就任式を迎えることを神に祈る。

 

 

補足:

 

1)コロンビアの内政に介入し、米国の下で動く勢力を育ててパナマ国として独立させたのだから、当然国際法違反である。勿論、日本の真珠湾攻撃も国際法違反である。しかし、ベトナム戦争もイラク戦争も、勿論ウクライナ戦争も宣戦布告などされていない。国際法とはその程度の”紳士協定”でしかない。

 

2)トランプ次期大統領(予定)が、次々と政策の準備を始めているのは、国民に出来るだけ早期にトランプ政権の方針を見せるためである。もし万が一バイデン政権が緊急事態で戒厳令を発布し、政権移譲が行われなかったとしても、その米国を第一に考える政策が国民の記憶に残るようにしたいと思っているのだろう。

 

3)運河通行料をやまたつさんの動画からコピーして、チャットGPTに単位などについて尋ねた結果を図にしたので、下に示す。

4)習近平政権の地球を東西に分けて米国と棲み分けるという案は、新モンロー主義的なトランプの構想と根本的なところでは衝突しない。しかし、その東西棲み分けの構想はまやかしであって、トランプが訪中した際にそれで胡麻化したのではないだろうか。トランプの「習近平は友達だ」という発言を思い出す。

 

 

==10:30編集あり==

2024年12月24日火曜日

日本政府はこれ以上の積極財政をとる訳にはいかないだろう

日本政府の放漫財政が続けば、それが原因となって日本の通貨は崩壊する可能性が高くなる。それにも拘わらず、日本の与野党の政治家は積極財政を主張して財務省と対立している。その先棒を担いでいるのが怪しげな経済学者や経済評論家である。 

日本の与野党政治家たちは完全にポピュリストであり、どちらが政権をとってもこれ迄通り効率の悪い政府運営により多額の財政赤字を積み重ねるだろう。現在でも政府の負債はGDPの約2.5倍であり、国際比較ではダントツ一位である。財務省の役人によるレクチャーを無視する剛腕首相が現れたら、日本円は崩壊する可能性がある。その根拠を示す。

下に示したのは財務省が発表している2022年度の政府の貸借対照表(以下BS;補足1)であり、この負債の額の1442.7兆円が2022年度の政府の負債である。この年のGDPは約548兆円であるので、政府の負債総額はGDPの2.63倍と計算される。

それに対応する資産だが、合計しても740.7兆円しかなく、その差は702兆円となっている。元財務官僚の経済評論家の高橋洋一氏は、徴税権を無形資産として組み込めばこのBSでも健全だと主張している。2022年の税収は65兆円を少し超えた位であるので、例えば800兆円程と)勝手に査定し資産に計上すればよいというのである。

 しかしそれは、貸借対照表を作成するそもそもの目的に反するので、どの主要国もやっていない。また、日本は会計的に他の先進諸国と全く異なった骨組みを持つわけではないので、正統な議論とは言えないだろう。それは、例えば天皇制も資産だという程度の議論である。(補足2)

諸外国も似たような貸借対照表を作っているらしいが、徴税権を資産に計上している国はない。この日本の状況について何語でも理解できるチャットGPTに調査してもらった。その結果、以下のような答えが返ってきた。 

 

日本の政府純債務残高(金融資産を差し引いた負債)は、2023年時点でGDPの154.15%と高い水準にあります。 これは、レバノンに次いで世界で2番目に高い比率です。一方、総債務残高(金融資産を差し引く前の負債)はGDPの249.67%で、スーダンに次いで世界で2番目の高さとなっています。

 このような財務状況でも、現在以上の積極財政を与野党議員は主張している。日本の政治家のほぼ100%が大衆迎合主義(ポピュリスト)である。薬を飲むべきだと言う代わりに、フェンタニルを与えて日本国を世界のゾンビにしたいのだろうか? 

 

 

2)日本の病的財政は、日銀が独自に金融政策が実行出来ないことで証明されている 

日本の財政は病的である。その証拠の一つに以下の事実がある。2022年春に115円程度だったドル/円レートは、米国の利上げ(補足3)に伴って円安に大きく振れ、日銀がマイナス金利からプラス0.1%に改めた2024年2月には150円以上になった。それにも拘わらず、日銀は何もできなかったことである。

原因は、上の表にある様に公債発行額が対GDP比200%にも達していること、そしてその半分を中央銀行である日本銀行に押し付けたことにある。日本銀行は他国の中央銀行のように独自に金利操作できないのである。

日銀を一私企業とすれば、日銀自身を守るために国債を買わなければ良い。しかし、日銀は政府の子会社であり、日本国債の信用を棄損してはならない。仮に日銀が保有する国債を市場に放出すれば、ただちに日本国債の価格は暴落して、日本国の財政は破綻してしまうだろう。

令和6年の日銀政策金利は0.25%だったが、それでも国債の償還や利払いにあてる「国債費」は27兆90億円と過去最大となった。https://www3.nhk.or.jp/news/special/yosan2024/revenue/ 

従って、例えば政策金利5%だと税収は国債費で消滅してしまうだろう。そのような状況になる前に、諸外国のファンドによる空売り攻勢などで日本円は潰されてしまうかもしれない。勿論、政策金利を5%にすれば、日銀の資産である日本国債の価値が大きく減少し、日銀の信用が低下して日本円はいずれ紙屑となる。 

そのような事情から日銀は金利操作など独自の金融政策を取れなくなっているのである。この状況に陥る前に日本政府は何をやるべきだったのかについては、以前の投稿で議論したので引用するだけにとどめる。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12870307815.html

 

 

日本は共産主義国ではないので、政府は直接的な投資或いは会社への資金援助はできるだけ避けるべきであって、インフラ整備や法による規制の設定や解除などで企業活動を助けることに重点を置くべきである。 
 

3)ザイム真理教という言葉で緊縮財政を批判する評論家 

経済評論家の森永卓郎氏は、「安倍政権のときに毎年80兆円の国債を発行して、それを日銀に買わせた。日銀がその額の国債を買った瞬間に財政負担は無くなる。」と下のyoutube動画で言っている。https://www.youtube.com/shorts/NuUwMa6u-58 ;

日銀は日本政府の子会社であるから、政府の債務である国債はそのまま日銀の資産に計上されており、連結すれば打ち消すと言っているのである。この考え方は、唯一共産主義国家だけで成立する。この無責任な経済評論家の言葉は、日本を共産化すべきだと言っているのに等しい。 

彼は、新たに発行された80兆円の貨幣を無視している。80兆円は、日銀当座預金として金融機関等から回収しているというだろうが、その理屈はそのまま成立しない。何故なら、市中銀行は日本政府の子会社ではないからである。それを利用しようという人物は日本国内には現れていないかもしれないが、海外には存在する。 

金利を上げられない日本銀行の弱点を利用して外国資本は円キャリートレードという方法で大儲けしている。日本円で金を借りてドルに交換し、それで米国債などに投資するのである。その大きな金利差で稼ぐのである。日銀は簡単には金利を上げられず円安傾向は今後も続くので、円キャリートレードは外国資本にとっては打ち出の小づちなのだ。 

円安からインフレになり、いずれ日本円の価値は益々低下する。そうなれば外国資本の円建て借金は目減りして、二重の儲けとなるだろう。それは実質的に国民の預貯金を国家が接収した図式に等しい。日本国民は気が付いて居ないから良いではないかと言うのだろう。 

その考え方は、老いた頭のせいではない。彼はもっと若い時から持っていた考え方である。それは以下の動画を見ればわかる。https://www.youtube.com/shorts/aTImQtYaqcA 

 

 

それは米国の左翼が言い出した近代貨幣理論に酷似している。日本は基軸通貨発行国ではないので、厳密にはMMT理論は成立しない。それでもその理論を無理やり適用しようというのである。日本の一部経済評論家やその取り巻きがその理論の提唱者であるステファニー・ケルトン教授を招待して、講演を日本国内で行った。(補足4)彼らは”隠れ共産主義者”である。 
 

 

4)受給ギャップ(デフレギャップ)の問題 


受給ギャップとは、総供給可能量と総需要量の差である。デフレギャップが大きいというのは、要するに物を作っても売れないという供給側から見て不景気状況にあると言うことである。この日本の状況を一人財務省と日銀の所為にしてしまおうというのが、日本のyoutubeなどでも多く見る意見である。

この現象を売れない物を作り続ける企業の責任としないで、国が公共事業などをドシドシ実施することによって国民に金を十分配らないことが原因だというのが、上記(及び補足4の中の)評論家たちの言い分である。彼らは、日本国民が一人当たり1千万円以上の預貯金を銀行や郵貯に積み立てていること等、全く気にしていない。 

老後が心配であるので、必要な物は外国品を買って余ったお金は貯金をしておこうというのが日本国民の平均像である。現状にイライラがあり、将来に不安があるから金を貯めるのである。それらの為のデフレギャップを財務省のせいにするのは虐めに等しいと思う。 

パソコンでもスマホでも、そのためのソフトでも殆どが外国品である。安くて良いものは外国品である。高くてもどうしても買いたいものは(自動車以外は)外国品である。老後の不安とか、まともな仕事に就職できないイライラ、自分が失業してしまうかもしれない不安、失業しているが仕事が見つからないというイライラなどを政府がしっかりと対策を立てておれば、日本人も多少は贅沢をするだろう。 

日本企業は労働生産性の向上に熱心ではない。更に、新規産業を立ち上げる程の元気がない。そのような全体的な経済界の活気は、財務省にはどうしようもない。それは日本文化全体の問題であり、労使の関係の改善による労働流動性の改善や、小さいころから暗記ではなく原点から自分で考える思考力を重視した教育など、根っこの部分からの改善が必要である。 

自分で考えて生きる人が殆どになれば、金を手に入れたらどのように使うかを幅広く考えるだろう。それが企業の体質にまで影響する筈である。以下は、日本の会社が利益を蓄積しても設備投資にあまり使わないという現状を表している。これでは日本経済は衰退するのは目に見えている。 

 

補足 

1)これは日本国政府の貸借対照表である。独立法人等との関係は貸付金や出資金の名目で計上されている。独法などを含めた連結貸借対照表は以下のサイトに発表されている。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2022/renketu.gaiyou20240326.htm

2)天皇制は日本人の精神構造にまで影響しているので非常に重要な資産とも言えるかもしれない。しかしそれは財政の書類に入れる訳にはいかない。もっとふさわしい例を思いつかなかっただけである。会社の会計書類に詳しい人を対象としているなら、「のれん」がよりふさわしい例だろう。

3)米国連銀は、2年間0.25%だった政策金利を2022年3月から2023年8月の間に5.5%まで上げた。日本以外の先進国は為替レートの安定のために利上げに付き合ったが、日本は利上げできなかったのは、この多額の国債残高とその半分ほどを日銀が保有していたからである。勿論、日本の景気悪化を防止するという理由もあるが、2023年の企業収益は非常に好調であった。

4)米国の共産主義者であるオカシオ・カルテス議員は、MMT理論で政府の積極財政を主張している。彼女は、ニューヨーク州立大学、ストーニーブルック校のステファニー・ケルトン教授が主唱するMMT理論に傾倒しているのだが、それは共和党では支持されていない。ケルトン教授は、経済評論家の三橋貴之氏や京大土木の藤井教授らの招待で来日し講演している。彼らは安倍内閣の時、内閣参与(藤井氏)として積極財政策を提案している。 

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12739282063.html

 

(20:45 編集あり;翌早朝2か所に軽編集)

 

2024年12月16日月曜日

混乱の韓国: その歴史的背景と将来

 

ユン・ソニョル(尹錫悦)大統領は12月3日夜に戒厳令を発布し、国会を閉鎖すべく軍をを派遣したものの、その特殊部隊が大統領の意思に反して国会を閉鎖しなかった。翌日開かれた国会で戒厳令解除の議決が出され、ユン大統領もそれを受け入れた。

 

このことにより、野党「共に民主党」(以下民主党)が過半数を占める国会は、一度与党の欠席で可決出来なかった大統領の弾劾案を14日に可決しユン大統領の職務が停止された。弾劾案は最高裁判所で審理されることになった。もし可決された場合にはユン大統領は罷免され、その後大統領選挙が行われることになる。また、近日中にユン大統領が内乱罪で告発される可能性が高くなっているという。

 

この件について数日前に文章をアップしたが、不十分な内容だったので一度取り消した。今回、再度修正版をアップすることにした。

 

1)戒厳令を発布した理由

 

今年4月15日に国政選挙が行われ、野党である共に民主党(以下民主党)が多数当選し、ユン大統領の国政をことごとく妨害することになった。大統領の活動がまともに出来ないように必要な予算をゼロにしたり、重要な政府高官や検察官弾劾するなどの妨害を行った。

 

この件は或る勇気ある韓国のyoutuberによって解説されているので、それを引用する。https://www.youtube.com/watch?v=jGyRdNLnlSQ

 

 

 

民主党は、米軍撤収、国家保安法撤廃、ユンソンヨル大統領弾劾などを掲げ、全国民主労働組合総連盟(民労総)と共同で活動している。最早妥協はなく、半年後に出されるであろう韓国最高裁の弾劾が否決される公算が大きいようだが、遅くともその時点から韓国は新たな段階に入るだろう。

今回の混乱は4月の国政選挙で野党の民主党が多数党になった時点に始まる。ユン大統領側は、この選挙に不正があったと考えており、今回の戒厳令は選挙管理委員会の強権的捜索が重要な目的の一つだったようである。

 

BBCの取材を受けた韓国外国語学院の准教授は、「ユン(尹)氏はおそらく逮捕され、尋問され、最終的には内乱罪で起訴されるだろう。ただ、状況はまだ流動的だ」と話した。当時国防部長官(国防大臣)だったキム・ヨンヒョン(金龍顕)氏は、大統領に戒厳令発布を進言したとして内乱罪で既に逮捕・拘禁されている。https://www.bbc.com/japanese/articles/cd9x25xzg85o

 

米国国務長官のブリンケン氏は、この大統領弾劾の動きに関して、「韓国は民主主義の強靭さを示した」と述べた上で、大統領代行となった ハン・ドクス (韓悳洙)首相と協力する姿勢を強調し、米韓同盟に対する「強い支持」も表明したという。https://www.yomiuri.co.jp/world/20241215-OYT1T50017/

 

韓国警察は内乱罪による野党の告発を受けて捜索しているが、これは法的に正しくないと思う。何故なら、戒厳令発布は大統領の職権の範囲内であるからである。ただ、韓国憲法は戒厳令を布いたのち、国会への報告を義務づけている。更に、国会が戒厳令を解除を決議した場合、大統領はそれに従わなければならないとしている。

 

この憲法上の矛盾が今回の混乱の大きな直接的原因のようだ。(この憲法上の矛盾をそのまま指摘できなかったのが、前回投稿を一度取り下げた原因である。)この件について、及び上記の勇気ある韓国人の若者と同じ話が昨日の李相哲さんにより説明されている。https://www.youtube.com/watch?v=m7wI2LBGjGI

 

 

2)韓国政界における深い左右分断 

 

「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表は、ユン大統領弾劾が成立した場合、その後の大統領選挙における最有力候補である。しかしイ氏は公職選挙法違反で有罪判決(第一審)を受けており、野党は有罪が確定しない内に大統領選挙に持ち込みたいのだろう。https://www.youtube.com/watch?v=Tk7TfWnWbBo

 

竜谷大学教授の李相哲氏は、早くて来年5月に有罪確定の可能性があると話す。

 

その一方、ユン・ソニョル大統領は弾劾裁判で戦う意思を示しており(補足2)、かなり長引く可能性が高い。裁判の中で、韓国が北朝鮮のスパイ天国となっているとのユン大統領の主張が国民に伝われば、韓国民(特に左翼系)の熱気が冷める可能性がある。

 

イ・ジェミョン 氏と並んで弾劾運動を主導してきた第三党「祖国革新党」のチョ・グク(曹国)氏も娘の不正入試の件で告発されており、12日に有罪が確定し収監された。(補足3)その他には有力な候補を欠いている様で、仮に6ヶ月後にユン大統領弾劾が成立するとしても待てないのである。

 

韓国の検察は、ユン大統領が元検察のトップだったにも拘わらず、戒厳令発布を進めたとされる国防部長官を早急に内乱罪で逮捕した。ユン大統領の出身母体である検察も、左右に深く分断されているのではないだろうか。実際、パク・クネ政権時、保守政治家を選挙で落選させるために、検察は左翼の国家情報院職員が選挙介入した件をもみ消している。https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/23972.html

 

現在韓国は、政治も司法も左右に深く分断された勢力により運営されている。韓国は、米国ブリンケン国務長官の期待?に反してか沿ってか今一つわからないが、左側に急旋回する可能性が高い。米国務長官のブリンケン氏は、何も知らない筈が無いので、上記コメントは異常である。


 

3)背景と今後

 

朝鮮半島は中国など他国に支配されてきた歴史を持ち、その最後の支配国が日本である。それもあって、韓国民衆の愛国心は反日によって成立している。反日が反共と交錯しているのが、韓国分断の原因だろう。(追補1) https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516806.html 

 

数年前に韓国の京畿道(補足1)議会で、一部日本企業を「戦犯企業」と規定し、学校が保有している製品に「本製品は日本の戦犯企業が生産した製品である」と記したステッカーを貼り付ける反日教育を義務付ける条例案が可決された。反日を国是とする韓国を雄弁に語る出来事である。

https://www.youtube.com/watch?v=jOgP1p9gkuA

 

 

 

従って、韓国の20世紀後半からの政治は、反日とその揺り戻しの繰り返しである。今回も野党の目論見通り「共に民主党」のトップが大統領になれば、反日政策である慰安婦問題と徴用工問題等をぶり返すだろう。(補足4)左翼の政党には、日韓基本条約など眼中にないのである。

 

韓国は自由主義経済の恩恵を受けながら、この反日遺伝子が自由主義経済圏への反感を誘起し、隣接する共産主義独裁にすら親近感を持つようになる理由だろう。その混乱のままに今日まで来られたのだが、今回はそのような中途半端なことで終わらないかもしれない。

 

桜井よしこ氏は、「共に民主党」の李在明代表が仮に大統領になった場合、北朝鮮に急接近する政策をとるだろうと話している。ただ、北朝鮮は既に南北国境をまたぐ道路を破壊し送電線を撤収するなどして、韓国を敵国と定めており、行き詰った李在明政権は中国に方向を切り替えて接近するだろう。その結果、韓国が中国共産党政権の勢力圏になる可能性があり、それを心配している。https://www.youtube.com/watch?v=KMgeljL8ZQc

 

或いは、そんなことになる前に韓国は内乱或いは内戦のようになり、北朝鮮がそのすきに乗じて韓国侵略を試みる可能性もある。その場合、朝鮮戦争の再開であり、米国と日本はそれと戦うことになる。最近の3代の首相による法と法解釈の変更により、日本は戦争ができる国として米国の同盟国になっている。米国は当然のように日本を朝鮮戦争の米国代理とし、日本はウクライナ化する可能性が高くなり、存亡の危機を迎えることになる。それは以前から書いているように、グローバリストの極東戦略の中心の一つである。

 

なるべく穏便に、一審で選挙違反の件で有罪判決が出ている李在明氏の有罪が確定し、ユン大統領の弾劾が最高裁で否決されることに期待したい。


 

4)この件の本質:米国民主党政権の戦略

 

韓国のアイデンティティは反日であると書いてきた。韓国元ソウル大学教授の李栄薫氏らが書いた本「反日種族主義」は、この事実を韓国側から書いたものである。韓国に反日種族という遺伝子がある限り、日本との真の意味での融和はあり得ない。

 

ユン大統領が目指したのは、この反日種族主義の返上だったが、それが左翼野党との対立の中心にある。この危機をユン大統領が乗り越えれば、極東の同じ自由主義圏の国としての絆を取り戻すことが出来るだろう。逆にユン大統領が弾劾され、共に民主党が政権を再び掌握すれば、韓国は元の反日国にもどる。

 

上に米国ブリンケンしの言葉を紹介したが、この筋書きは米国ネオコンの極東戦略の中にあるので、ブリンケン氏は冷静に見ているのである。更に、韓国に反日であってほしい国は、北朝鮮だけでなく西欧諸国のほとんども含まれる。

 

 

ブリンケン米国務長官の韓国の民主主義を賛美する言葉には、米韓関係が破壊されるかもしれないという心配が感じられない。それは、今回の混乱は、彼らの思った通りの出来事であり、この極東の二国に仕組んだ仕掛けが正常に働いただけだからである。

 

もし、朝鮮戦争が再開され、極東の4ヶ国;中国、北朝鮮、韓国、日本が消耗戦に入り、人口が激減したとすれば、米国ネオコン民主党の理想のシナリオかもしれない。英国の国営放送のBBCが、この件の報道を日本のマスコミとは比較にならないほど勢力的に行っているのも印象的である。

 

追補:

 

1)分断の原因として、北朝鮮と中国による工作が重要である。反日には欠かせない慰安婦問題も、その背後にこれらの国があると考えられている。そこからの工作が韓国の団体である挺対協とともに、問題を作り出し政治的に利用したのだ。

 

 

 

補足:

 

1)第三勢力「祖国革新党」は、文在寅政権時の法務部長官だったチョ・グク(曹国)氏が代表の左翼政党である。2024年の韓国国会総選挙に向け結成された。
 

2)パク・クネ(朴槿恵)元大統領の弾劾裁判の時には、朴氏は裁判に出席しなかった。

 

3)韓国大法院(最高裁)は12日、 子どもの不正入学に関わったとして業務妨害や職権乱用の罪に問われた「祖国革新党」代表のチョ・グク氏に対し、一、二審の判決を支持し、懲役2年と追徴金600万ウォンを言い渡した。実刑が確定し、チョ・グク氏は国会議員を失職する。https://www.asahi.com/articles/ASSDD2JPZSDDUHBI01TM.html

これら政治家の刑事事件の頻発は、「司法の武器化」だと野党側は批判しているが、大統領と法務大臣を今回内乱罪で告発することも同じ様に見える。

 

4)日本と中韓の間に楔を打ち込むのは、竹島・尖閣諸島問題も含めて英米グローバリストの企みである。(2025/1/17,この文章編集)慰安婦問題もその例外ではないのかもしれない。その本質について書いたことがあるので、それをいかに引用する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515859.html

 

(12月21日早朝編集、表題の変更と追補1の追加をして最終稿とする)


 

2024年12月12日木曜日

Deep State:金融資本による独裁政治のシステム

 

米国の政治はDeep Stateが動かしているという理解が、ネット社会ではほぼ定着している。ここでDeep State(以下DS)とは、SESSenior Executive Service)と呼ばれる高級官僚たちとSESと関係の深い有力政治家、更に世界の金融と経済を支配する人たちや有力シンクタンクなどとの政治的ネットワークと考えられる。https://www.youtube.com/watch?v=EHeuNIQ9i68

 

 

つまり、米国の政治は政策を考えて作り出すシンクタンク、政界の活動家であるロビィスト、それを議会に諮って法律化する政治家たち、そしてそれを実行する大統領府と各部門の高級官僚たちで動かされている。この中で力があるのは民主党が作り上げた高級官僚組織SESであるとするのが上の動画である。議員の役割として期待されるのは、極論すれば背後が作り上げた脚本に従って法律作りを演じることに過ぎない場合もあるだろう。(補足1)
 

最近数年間の世界政治をみれば、新世界秩序やグレートリセットという言葉にあるような世界史的改変を目指す一部の人々の明確な意思に従って世界の政治が動いているように感じられる。米国民主党による政治は、この世界史的な地球規模の動きと連携している。しかし、このDSモデルには、そのような特定の主体性あるグループやそのイデオロギーが反映していないように思う。

 

米国人の心中には、未だに建国の意思が教育等で存在しており、米国政治が特定の金融資本に乗っ取られている米国政治の現状に対し、十分な考察がなされていないと思う。以下にそれらの点についてなるべく原点から考察を行う。


 

2)Deep State DS)の歴史

 

近代資本主義社会は、産業と金融の連携で発展する経済構造を特徴とする。その経済の主体である株式会社等が、政治に参加し政治を自分たちに有利に動かしたいのは当然である。

 

これら企業を取りまとめる金融資本家或いは「金融資本」(補足2)に、政治を動かすという意思が存在した場合、個人や個別企業に比べてはるかに大きな力があるので、大きな政治的力となる。DSとは、そのような動機で始まり長期間に亘って成長した政治組織だと考えられる。

 

因みに、金融資本は現在では自由主義経済の構造中最上部に位置する。その下に株式会社等があり、個人はその下の最下層に位置する。この経済構造にも拘わらず、政治において最高権力者として個人を置くのが民主主義政治である。 この政治における個人が金融資本に完全に抑えられているというのが、表題の金融資本による独裁政治の意味である。

 

れは、資本主義社会において自然な姿であり、近現代の歴史の流れだろう。金融資本の中で、最も大きく成長したのが産業革命を主導した英国における「金融資本」であった。米国に移住したのち現在のDSをつくりあげたと考える。米国の広い国土と豊かな資源環境の下で、資本主義の経済構造を自らの成長を助ける形に仕上げ、現在、米国の殻を破って世界の政治・経済の支配に乗り出したように見える。

 

この資本主義社会におけるDSの誕生のメカニズムは、普遍的でありその結果世界各地に類似のDSが現れる。それらはよく似た意思をもつので、主として米国の金融資本が米国政府を使って作り上げた経済のグローバル化策を用いて連携して動くように支配している。そして最も強大な米国のDSが中心となり、この経済構造が成立している先進国を支配下に収めている。これが現在までのDSの歴史のように思う。


 

3)DSに支配される側からのDSの発生メカニズム

 

政治家になる動機は何だろうか? 政治家という職業に、社会的地位や名誉に一身をなげ打つだけの意味があるのだろうか? それを考えることも政治学の重要な項目であるべきだが、そのようなアプローチが大学等では研究・教育されているだろうか。
 

中世の絶対君主制や封建制の中では、だれもが政治を支配することの意味が理解できた。食うや食わずの世の中にあって、栄華を極めた王室の建造物や封建時代から残る名城を見るだけでも分かるだろう。近代資本主義社会を引き継ぎ、民主主義を成立さえたと考えられている現代、個人が政治家となり、表の世界で政治を支配するメリットは何だろうか?

 

民主主義国家では、選挙で当選すれば誰でも政治家になれる。選挙のたびに平身低頭する政治家を、民衆は身近な存在として感じるだろう。政治家も一応名誉ある地位と考えられても、大会社のCEOや一流の芸術家や小説家など、多くのより高い名誉ある地位がこの世界に存在する。そのような大衆の認識が、政治家に対する報酬が少ない原因であると思う。

 

この大衆の感覚と政治家の本来のあるべき地位とのギャップが、民主主義国家では非常に優秀な政治家を生まない原因である。例えば、youtube動画の世界では、世界を救うほどの政治的成果でもノーベル賞(補足3)狙いだろうという解釈がまかり通っていると前回記事でも批判した。(補足4)

 

金融資本家たちは、政治へ関与する取っ掛かりとして、政治家という地位の重要性と報酬との間の大きなギャップを利用する。それほど優秀でない政治家候補はその企みに従順に乗る。それは自然の成り行きであり、代替案を熟考しないで単に厳しく禁止すれば、政治家の質が益々低下するのみである。それが現在の政治家(特に左翼政治家)の姿である。これが私が考えたDSの誕生メカニズムのエッセンスである。

 

国政選挙に参加するには、選挙活動に勝ち残らなければならない。政治家候補には十分な資金を持たない場合が多い。(補足5)そこで選挙活動等の資金を補おうとして設立されたのが政治活動委員会(political action comittee; PAC)という制度である。更にその活動資金を無制限にする為に名目上独立の機関としたのがSuperPACである。
 

この制度で多額の政治資金を政治家に供給し、自らの野望をそれら政治家を使って達成しようとするのが、米国の金融資本家たちとそのネットワークが作るDSである。スーパーPACはこのDSが政治支配の能力拡大のために作り上げた制度だろう。https://cigs.canon/about/management/37840b9264f1c1229ac9c84ae44c943d73bdc364/20240221_7930.html

 

因みに、現在日本で進行している企業・団体献金の廃止を含む政治資金規正の動きの中で、民主党が政治団体を除外しようとしているのは、米国の上記制度に倣っているのだろう。つまり、民主党も自民党も政治資金に関しては同じ考えであり、多額の政治資金を念頭に例外を設けようとしているのである。https://news.yahoo.co.jp/articles/6f293a9d37279987b3d3d79e8a61c1836057b968

 

金融資本家たちは、企業と政治の両方を支配することで、巨万の富と自分の欲望を実現しようとする。(補足6)彼らは、SuperPACに制限なく多大の資金を供給し、特定の議員を支援する。そして議員たちは政治という演劇の中での役者を務めるため、主要メディアの宣伝(プロパガンダ)に従って最後の儀式である選挙によって選任される。

 

提供した金は、違った形で増額の上回収するという目論見あっての資金提供である。それが政治を民主国家にあるべき姿から変形するというのも至極当然である。このような政治環境では、大衆が選挙によって政治を動かすことなど不可能である。以上、これまでの米国の政治は金権が支配しており、その意味で一党独裁、金権党の独裁に近い。


 

Deep State (DS)と寡頭政治

 

米国では、ほとんどの国会議員(連邦議会議員)らは、議員を辞めたあとは膨大な政治資金の流れのなかに身を置いて現役時代よりも多額の報酬を得ることになる。議員としてのキャリアはそのロビィストになるための準備期間とも言えなくもない人も多いという。

 

この膨大な金融資本からロビー活動によって政治に流れるのはお金だけでなく、当然彼らが期待する政治の方向に関する情報も含まれる。その流れのなかに棲む住人は議員だけでなく、大統領までの行政官も含まれる。そのようにして金融資本と政治を結びつけるのである。その構造全体がDSである。

 

201911月に「崩壊する米国と道に迷う世界」という記事を書いた。この中にニューヨーク在住の国際政治研究家の伊藤貫氏の言葉から引用した文章があるので再録する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12544848302.html

 

経済学者のサイモン・ジョンソン(Simon Johnson)は、「IMFを経験して(chief economist20073月〜20088月)分かったことは、米国もロシアと同様に寡頭政治(Oligarchy)だということだ」と言ったという。それは、ウオール街の金融業者が、巨大な金融資産で、政治をコントロールしているという意味である。米国の政治は世界の政治であるので、その結果として現在のグローバル化政治経済となったのである。

 

米国には建国以来、民主主義の伝統がある。それに英国で育ったDSが乗り込みオリガルヒ的な政治と経済を作り上げた。この大きな長年かかって作り上げられた構造の巻き戻しが、不動産で財をなした異色の政治家トランプとSNSによる加勢で可能となったように見える。この両者、金融資本家オリガルヒとそれに対抗するトランプ一派との戦いの頂点を若干過ぎた位置が現在の米国政治だと思うが、未だ勝敗は明確ではない。


 

終わりに:

 

現金、預貯金、株式、債券、など実物資産でない換金性の資産を金融資産という。金融経済はこれらの間の取引からなり、お金を通して実物経済と関係を持つ。金融資産が巨大化すれば、その一部が偏在化し、現実社会に通常あり得ない影響を及ぼす可能性がある。
 

世界の金融経済は肥大化を続け、現在実物経済の4倍程度あると言われている。このように巨大化した金融経済の身震いにより、実物経済が風邪をひくというのが現状である。リーマンショックなどがその例である。

 

金融はあくまでも実体経済を助けるわき役でなくてはならない。それをまるで主役のようにしてしまったのが現在の金融経済である。それを積極的に企んだのが、ある一部の金融家である。そしてそれを助けたのがDS政府による巨額の政府債務とそれに呼応する形で増大した民間債務の増加である。
 

国際金融協会(IIF)によると、20249月時点で世界の債務残高は312兆ドルに達しているという。その約13が公的債務である。https://www.nira.or.jp/paper/opinion-paper/2022/63.html
 

米国の公的債務の多くは、自国のための財政支出の他、DSの要求に従って世界の政治経済を牛耳るための戦争の経費として積み上げられた。公的債務は、私的資産となって蓄積するので、巨大化した私的金融資産は幾つかのプールの中にため込むための工夫もされてきた。

 

例えばビットコインの総額は1210日現在、288兆円にも上る。仮想通貨全体ではこの倍程度になるようである。この何の裏付けもない仮想の世界にすら、金が流れて金融資産化しているのである。それが金融経済のバブル的構造の典型である。
 

仮想の世界にまで金融経済が進出するのだから、もっとも人間的な政治の世界に金融の力が影響を強めるのは当然の成り行きだろう。その馬鹿げた世界を作り上げたのが、金融を奇形的に発展させた現在の仕組みである。それを実行した者たちは、上記米ドルの地位を守る戦争などを含めて人類史的な悪の創造者である。
 

その元をたどれば、上述のように人類の中での生存競争である。人間の生存欲が他に及ぼす行為は通常悪であり、自然なことではある。優秀な頭脳の持ち主が悪となり、劣悪な頭脳しか持たない者たちを支配し淘汰するという自然現象と言えなくもない。


 

補足:
 

1)米国の政治家は日本の政治家と比較して優秀な人物が多い。それ故、DSの枠を超えて本来の民主政治を取り戻そうとする政治家も時として現れる。その場合には、暗殺されたりスキャンダルをファイルの中から取り出して、或いは捏造して失脚させられる可能性が高くなる。上記動画では、ヒラリークリントンに対するDSの工作活動が述べられている。

 

2)金融資本は、資本主義という経済構造の中で株式会社等を支配する最上部の組織である。個人は株式会社等法人に雇用される存在であり、構造的には最下層である。民主主義とは、その最下層がすべてを支配するという政治形態だとすると、生物界を人類を含めて自然淘汰の世界と考える限り、幼稚な理想論にすぎない。

 

3)自然科学研究に携わった経験では、ノーベル賞の対象となったかなりの数の研究には世間で騒がれるほどの価値はない。自然科学の発展は世界中の無数の研究者が作りあげたのであり、ノーベル賞は単に独断と偏見で発展の歴史を極めて荒く点描したにすぎない。

 

4)下に引用の読売TVnewsyoutubeチャンネルでは、世界を第三次世界大戦から救うことになるかもしれないトランプ次期米国大統領(予定)の最近の活動にたいして、ノーベル賞を狙ってその候補となる期限の1月末までにウクライナ戦争を停戦させるためだと、かなり著名な方が話している。勿論、本人の気持ちは知る由もないがマスコミ従事者は、そのような低い評価を口にすべきではない。https://www.youtube.com/watch?v=bQJtqXfioFE
 

5)大きな企業の経営者が政治家になれば、この穴埋めができる。それがドナルド・トランプだろう。ひょっとしてイーロン・マスクがその跡を継ぐかもしれない。政治資金を他に頼っていてはDSの廃止を政策として提出することは不可能である。


6)政治を支配し企業に富を誘導する時、上記方法がもっとも有効になる産業は軍需産業である。そのように考えると、J.F. Kennedyのやろうとしたこと、米国の軍事戦略を大量報復型から相互確証破壊型に変更し、それに伴う軍事予算を削減することは、軍産共同体の産業側にとってはなんとか妨害したかったようである。これはナオキマンの動画で日本保守連合(JCU)の饗庭浩明氏がロバートケネディJrから聞いたJFK暗殺者の話である。https://www.youtube.com/watch?v=0fGMEwQ-PSQ (28分頃から)

 

追補: 今回はこれまでとは違って特定の民族を表に出さない形でDSを議論しました。これまでの議論は当ブログサイトに山ほどアップしましたのでご覧ください。過去の文章からうまくピックアップできないのですが、一つだけ下に引用します。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12862389687.html

 

(18:00、2か所修正、12/13/5:30一部修正し追補を付けて最終稿とする。)

2024年12月7日土曜日

ウクライナ和平は来年1月20に達成されるかも

ウクライナの方の日本語Youtubeチャンネル:U-Timesで、ウクライナ和平が1月20日に実現する可能性が高いとの発信がなされているので紹介したい。(補足1)U-Timesの発信者であるBOGDANさんは、これまでウクライナ戦争の戦況や評価をウクライナ側に立って発信されてきた人である。

 

2016年の大統領候補時代、トランプ次期米国大統領の外交アドバイザーだった陸軍(退役)中将のJoseph Keith Kellog Jr. (以下ケロッグ氏) が特使(補足2)となって、ケロッグ氏らが取りまとめた和平案に沿って交渉が進められているという。https://www.youtube.com/watch?v=rRDqm7y3eDM

 


ウクライナのネット新聞であるKyiv Independentや、ドイツ国際公共放送のDWnews(Deutsche Welle)も、トランプ次期米大統領の任命したケロッグ氏はウクライナとロシアの間で中立的であり、その提案は受け入れ可能であると報じている。

 

Kellog氏がまとめたウクライナ和平案

以下のBOGDANさんの解説に於ける和平案は、4月に出されたケロッグ氏らによるオリジナル案を踏まえているが、裏で進行している交渉を踏まえた最新の和平案だと解釈される。


先ず、西側はプーチン政権を一方的な悪とする評価を改めて、ロシアの国際的孤立化策を中止する。そして、以下の条件を提示し、ウクライナとロシアを和平交渉の場につかせる。

  ウクライナのNATO加盟を10年間延期する。

  現在ロシアが占領する領域をロシアの管理のままに保存する。
  停戦後に残存しているロシア制裁を段階的に解除する。

  ウクライナはこの地域のロシアによる併合を認めなくて良い。

  ウクライナはロシア支配域を奪還する為の軍事行動はしない。

  ウクライナへの軍事支援と安全保障を継続するが、交渉を拒否するなら軍事援助は打ち切る。
 

停戦後にウクライナへの監視団として英国とフランスが軍隊を派遣するように交渉が進んでいる。場合によってはドイツも監視団に参加する可能性があるという。(補足3)


この案にプーチン露大統領は既に同意しており、この案で国民を納得させる準備を配下に指示したと報道されているという。なかなか納得しない過激派がロシアに多くいるとBOGDANさんは話す。

なお、ロシア制裁の解除は現在苦境のロシア経済を救うことになるが、ロシアがこの案を受け入れない場合には、現在進行中のシリア内戦をアサド政権側の全面的敗北となると圧力をかけていると話している。

BOGDANさんは、今回のシリアのアサド政権側への反政府派の攻撃は、トランプ次期米大統領とトルコのエルドアン大統領との連携でなされ、ロシアをこの和平案へ同意させる為の圧力として利用する目論見があったと解釈しているようである。(補足4)

またBOGDANさんは、エルドアンとトランプの両氏は、ウクライナ戦争の停戦実現により歴史に名を残し、ノーベル平和賞の獲得を考えていると推測している。(補足5)

 

因みに、Kyivインディペンデント誌は、ドナルド・トランプ次期米大統領が11月27日にキース・ケロッグ氏をウクライナとロシア担当の特使に任命したことは、キエフにとっては(ケロッグ氏の和平案は)理想的ではないが、受け入れ可能で妥当な選択だとアナリストらは言うと書いている。

 

 

 

補足:

 

1)1月20日はバイデン政権が終わる日であり、且つトランプ政権の始まる日である。この日をBOGDANさんがどのように導いたのか、或いは知ったのかは分からない。しかし、もしこの日にウクライナとロシアの和平が実現すれば、バイデン政権も一部この和平実現を助けたということになり、政権移譲の障害となりにくいと考えたのかもしれない。

 

2)トランプ氏は1月6日の上院で次期大統領に決定される予定であり、正式には次期大統領ではない。従ってケロッグ氏は私人トランプ氏が政権を担ったときに予定する特使であり、バイデン政権の特使ではない。従って、このような和平案とそれに基づく話し合いに公的な権威は全くない。

なお、民間人がアメリカ政府の公式な外交政策を妨げたり、取引を行ったりすることを禁止する法律としてローガン法があるので、それに触れないように注意が必要だろう。

 

3)ウクライナへの監視団としてNATO加盟国が参加すれば、それは継続的なウクライナ支援とも考えられ、ウクライナのゼレンスキー政権にも受け入れやすい。これにロシアが同意するとすれば、それはプーチン露大統領がトランプ次期政権に対して信頼感を持っているからだろう。

 

4) この作戦は、レバノンのヒズボラに兵器を送るシリアを攻撃するという目的があったようだ。この辺りについては、以下のブログが詳細に解説しています。

 

 

5)政治家なら歴史に名をのこすと言う野望はあるだろうが、ノーベル賞はそのような活動の目的とはなり得ないと思う。BOGDANさんはノーベル賞を過大評価し過ぎであると私は思う。

(14時、編集)

 

2024年11月29日金曜日

地球温暖化とグローバリストたちの企み

地球温暖化が進むことで地球に人が住めなくなるとマスコミ等で言われている。そしてその原因としてリストされているのが、化石燃料を用いることで発生する二酸化炭素(CO2)、農業によって発生するメタン(CH4)やN2O(笑気ガス、一酸化二窒素)、エアコンなどに熱媒体として用いられる代替フロンガスなどである。最近の温暖化は、それらのガスが地表から宇宙への熱放散を妨げることが原因だとされている。

この地球温暖化の事実について、そして、その原因をどう評価し、どのような対策をとるか、更に一般市民にどのように伝達するかなどに関して、国により或いは人により意見が異なる。現在その問題は、科学的な解明を中途半端にして、国際政治の道具として使われているように感じる。この様子は、2020年に始まった新型コロナ肺炎とそれに対する国際社会の反応と良く似ている。

なお、温室効果による地球温暖化という現象については過去に何度も議論している。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516508.html

 

 

今回は、地球温暖化問題を国際政治を含めたもっと大きな枠組みで考えてみる。


§1 地球温暖化についての概略と温暖化に対する政治的対立

産業革命後、科学と技術の発展は人類の暮らしを豊かにし、指数関数的な人口増加をもたらした。それに付随して、CO2CH4N2O、フロンガスなどの大気中濃度が増加し、温室効果による気温上昇を引き起こしている。政府の関係機関がそれらのガスの温暖化寄与率をグラフにしたのが下図である。https://www.ene100.jp/zumen/2-1-2


我々すべての地球上の生物は、太陽エネルギーの恩恵を様々な形で受けて生きている。ただ、大気中のCO2等の温室効果ガスが無ければ、地球は極寒の惑星となって生物は棲めなかった筈である。CO2等の温室効果ガスは、地表を“生物の園”に変えたのである。

これらの温室効果ガスが近年急激に増加していることは広く知られているが、それをどの程度深刻に考えて対策すべきかは、人や国によって異なる:

英米を中心に世界の金融と経済を牛耳るグローバルエリートたちは、近年の地球温暖化は人類にとって緊急事態であり、短期間の内に止めなければ人類は生きていけなくなるとして、化石燃料消費を実質ほぼゼロ(カーボンニュートラルという)にしなければならないとしている。この人達は、他の政治課題でもグローバルな視点で考え主張するのが特徴的で、グローバリストと呼ばれている。

グローバリストたちは、地球温暖化問題に関連して、この地球を守るために温暖化ガスを発生するガソリン車を廃止すべきであるとか、N2Oの原因となるアンモニア系肥料の使用を制限すべきであるとか、CH4を発生する牧畜を制限し、人民は肉の代わりにコオロギを食べるべきだと主張するのである。(補足1)

コオロギ食という馬鹿げた案を提唱する人物としてマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが代表的である。https://gendai.media/articles/-/124289?imp=0 優秀な頭脳の人の馬鹿げた提案は、恐ろしいと考えるべきである。

 

因みに、日本でいち早くコオロギ食で起業した会社は最近倒産したようだ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024112200782&g=eco

 

 

一方、グローバリストを批判する人たちは、仮に大量のCO2CH4が排出されていても、地球はそれらの殆どを処理する能力を持っていると考える。そして、多少の温暖化に過剰に反応してエネルギーや食料不足によって、現在の人類を非常事態に陥れることは馬鹿げていると考える。

例えばロシアのプーチン大統領は、多少の温暖化は農産物の収穫を増すので良いでないかという考えのようである。また、米国のトランプ次期大統領も化石燃料を使わないなんて馬鹿げていると話す。トランプやプーチンは一般には反グローバリストの中心人物として知られる。https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2020/0326_07.html

 
大気中のCO2CH4の濃度増加による温室効果が、大気の温度上昇の原因となっていることは事実であるが、牧畜を控えて昆虫を食べなければならない程ではない。それに現在観測されている温度上昇のどれだけをそのメカニズムが担っているか未だ明確ではない。

彼らグローバリストらは、”グレートリセット”という美しく聞こえる経済社会改革の一環として、上記温暖化対策なども強行するつもりだろう。私は、グローバリストたちの本音はジョージアガイドストーン(下の写真)に記されているように地球人口を削減したいのであり、彼らを含む一部の人たちの楽園として地球を独占したいのだと思う。

 


 

この地球独占の思想は、太古の時代からある人類の生存競争と全く同じ図式で理解できる。関係する地域が、国レベルから地球全体になっただけの違いである。この人類の生存競争が地球規模になったという感覚は、20世紀初めころに既にあったようだ。

付録1:共産主義やグローバリズムとの関連:

共産主義という概念をカール・マルクスなどが創出し、その思想を具現化するためにレーニンなどのユダヤ系運動家がロシアで共産主義革命をおこし、強大な帝政ロシアを崩壊させた。ソ連の誕生である。(補足2)そして彼らはそこから共産主義革命を世界に広げようとしたのである。

レーニンの死後、そのようなグローバルな帝国建設を目指したトロツキーらは、ソ連一国のみを強力な帝国とするスターリンと対立した。その対立でスターリンに敗れたトロツキー派の人たちが、米国に渡って米国の政界に入ったのが、現在米国の政治で支配的なグローバリストの一角を占めるネオコンたちである。トランプはそれに逆らう存在として暗殺の危機を何度も経験し、今後も経験する可能性が高い。(補足3)

このグローバリストたちが彼らの運動のグラウンドの一つとして選んだのが地球温暖化問題である。

 

現在進行しているウクライナ戦争も、今月始めにあった米国の大統領選挙も、更には2020年に始まったパンデミックやワクチン騒動も、このグローバリスト対反グローバリストの戦いの図式で理解される。現在、第二次大戦後最大のグローバルな緊張はこの図式で理解できるのである。

地球温暖化問題では、温室効果ガスを発生させない理想的な地球を実現するとして大改革を提案するグローバリストと、それは緊急な問題ではなく現在生きる一般市民の生活が大切であるとする反グローバリストとの戦いとして現れたと理解できる。

 

そのように理想を持ち出して大改革を主張する世界的経済エリートを中心とした人たちであるグローバリストの世界規模の連携と彼らの隠された野望を仮定しなければ、現在の世界史上最大と言える国際政治の大きなうねりが理解できないのだ。

 

このような考え方を、グローバリストたちは陰謀論として攻撃するが、通常より大きな枠組みで思考した結果見えてくる図式、真実であり陰謀論ではない。ただ反グローバリストにとっては、地球温暖化現象を理由に化石燃料の消費削減を強引に進める運動は、科学的に正しい部分を含むので対応が非常に厄介である。一般市民の大きな加勢を必要としているのだ。

付録2:新型コロナ肺炎とグローバリズム

2020年からの新型コロナ肺炎(Covid-19)パンデミックもグローバリストとその反対勢力との闘いの一環として理解すべきである。

 

グローバリストたちは、将来起こりうる未知のパンデミックから世界を救うという理想論を掲げて、コロナウイルスと対応するワクチンの開発及びそれらの使用で、世界中の人たちにどのようなたんぱく質でも体内に作り出すことが可能な遺伝子導入型ワクチンを接種する体制作りに半ば成功したのである。

 

それに疑問を抱いた人たち(反グローバリスト)は、そのジョージアガイドストンに書かれたことの実現にも使えそうな危険なその体制に、今も反対の運動を行っている。例えば:

 

 


現在ではCovid-19ウイルスが武漢研究所から漏れ出たのは疑う余地がない。(補足4)それにもかかわらず武漢での疫病発生直後、グローバリスト配下の27人の医学者たちが、連名で新型コロナ肺炎は自然発生したとする論文を一流医学誌であるLancet2020・3・07発行)に発表したのである。彼らは真実を捻じ曲げ、科学を破壊してまで、自分たちの主張を押し付ける人たちとその協力者(補足5)であることを忘れるべきではない。


§2 グローバリストたちに歪曲された地球温暖化現象

地球温暖化は世界中で蓄積された観測結果を見れば明らかに事実である。気温がこの100年程の期間において平均して約1度Cほど上昇している。海水温の上昇も同様に起こっており、この現象そのものについては疑う余地はない。

ただ、地球温暖化が一挙に世界で注目される切っ掛けを作ったのは、Nature誌に掲載された気温変化の図、所謂ホッケースティック図だろう。しかし後になって、この図は20世紀後半の大気温度の急上昇を印象付ける様に捏造されていたことが明らかになった。https://ieei.or.jp/2020/08/expl200821/  https://cigs.canon/article/20211020_6282.html

その他、マスコミなどでは、人類は重大な決断をしてこれら温暖化ガスの発生削減をしなければならないというグローバリストたちの論理に誘導するような報道がなされている。例として前のセクションに示した図において誤解を誘導する工夫を指摘しておく。

上図キャプションには、「産業革命以降人為的に排出された温室効果ガスによる地球温暖化への寄与度」と書かれている。この文章は、温室効果ガスが産業革命の時から大気圏に蓄積する一方のような誤解を与える。一般市民にそのように思い込ませるように工夫されているのである。(補足6)

科学に一定の基礎的知識と思考力がある人なら、産業革命以降の例えば100年間に人為的に排出されたCO2等の大部分は、現在ではほぼ大気圏から取り除かれていることに気づくだろう。大気圏に排出された自然平衡値以上の温室効果ガスの大部分は物理的化学的に取り除かれるのだ。

CO2は少量だが水にとけるので、海に流れ込むだろうし、メタンは太陽光で発生したOHラジカルと反応し、CO2よりも早く大気圏から取り除かれる。繰り返しになるが:現在発表されている多くの情報は、温暖化ガスをこれ以上発生させれば、近い将来人類は窒息状態になって死滅するかの印象を与える様につくられている。

笑気ガスN2Oも、酸素と窒素に分解したりNO2に酸化されたりして、大気中から取り除かれるだろう。つまり、温暖化ガスを大量に放出したとしても、時間がたてば消失するのである。

まとめると、温暖化ガス放出による地球温暖化は重大であり、今人類が立ち上がらなければ将来に禍根を残すとして、捏造データも用いてまで主張するのがグローバリストたちである。

 

それに対して、現象を十分科学的に解明せず、経済への深刻な影響をも顧みないで極端な方向に舵を切るのは現在生きる人たちの生活を無視していることになると反対するのが反グローバリストである。

 

グローバリストたちは、一部の人たちを除いて現在生きる地球上の人の命と生活を軽視している。反グローバリストはそれに気づいて大きくなりつつある新興勢力である。それにはSNSの発達が大きく貢献している。

尚、IPCC6次報告書の解説は以下のサイトにある。https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00003/102600025/



§3 CO2の収支について

CO2濃度増加を政治的に大きく取り上げる人たちは、CO2の化石燃料燃焼による排出ばかりに注目を集めることで、一般市民から科学的思考を奪っているように見える。地球温暖化防止の運動を科学的且つ健全に展開するのなら、一般市民に地球上でのCO2の生成と消失、更に大気圏、地上、海洋での循環などについて定量的に情報伝達すべきである。

そこで、CO2が何処にどれだけどういう形で存在するか、そしてどの様なプロセスで発生或いは吸収されるかを調べてみた。


CO2は大気中に約2.2兆トン(2.2 x 10^12 ton)存在する。海水中には大量のCO2が溶け込んでおり、総量は大気圏中の50倍ほどだと言われている。(気象庁HP)また、CO2の循環の中にある炭酸カルシウムなどの沈殿物が海の底に大量に存在する。ChatGPTによると、そのような海底に蓄積した炭酸塩としてのCO2は、26京トン(2.6 x 10^16 ton)程度存在するようだ。

化石燃料の消費により2020年1年間で314億トン(3.14 x 10^10 ton)のCO2が放出された。その他に、火山活動や枯れた植物の分解、山火事などからも放出される。大気圏、植物、炭酸塩鉱物、海水など水圏の間でのやり取りで夫々の濃度が決定されている。上の数値の10の乗数(指数という)を見れば、発生量や存在量の相対的な把握ができるだろう。

大気圏のCO2や海水など水圏のCO2は、植物(草木や海藻類)の光合成によって毎年大量に吸収される。その量は所説あるが3500億トン/年程度(誤差は相当大きい)であり、化石燃料の消費による発生量よりも遥かに多い。ウィキペディアの炭素循環の項参照(補足7)

 

 

 

その他に、CO2は陸地から海に運ばれたカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどアルカリ土類イオンと結合して炭酸カルシウムなどの鉱物を生じる。その様にして海底に堆積した量は膨大であると上に書いた。

このように具体的且つ定量的にデータを並べると、化石燃料の消費で発生するCO2 の問題はグローバリストの人たちが宣伝するほど緊急問題ではないと感じるだろう。恐竜が地上を闊歩していた中世代、大気中のCO210002000ppmだったと言われている。その濃度でも生物が地球上で存在したことは、CO2濃度増で温暖化が起こっても、生物が死滅する程ではないと言うことである。https://www.jstage.jst.go.jp/article/japt1933/56/4/56_4_300/_pdf

CO2は様々な方法で取り除くことが可能だろう。研究者は光合成系よりももっと効率の良いCO2の固定化を探している。https://www.embopress.org/doi/full/10.15252/embr.201847580 

カルシウムイオンとCO2を反応させて固定化する工業的プロセスを研究している企業も存在する。

https://www.aisin.com/jp/aithink/innovation/blog/005927.html


地球温暖化現象を政治ではなく科学の問題として研究すれば、解決法は必ず見つかるだろう。しかし、この問題は現在国際政治に利用されており、人類が持つエネルギーの大きな部分はその争いに費やされているのが現状である。


補足:


1)世界第二位の農産物輸出国のオランダで、政府の窒素肥料使用の制限策に対し、農民がトラクターで幹線道路に繰り出し抗議デモを行った。急進的な温暖化防止策に対する同様の抗議がフランスなどヨーロッパ各地で発生している。https://cigs.canon/article/20240408_8033.html


2)ロシアは史上一貫してユダヤ系グローバリストの敵である。ロシア帝国の崩壊もソ連の崩壊も、彼らグローバリストたちの策略の結果であると思われる。その大きな図の隅に日露戦争がある。この戦争で日本に融資したのはロスチャイルド系資本家である。日本の薩長土佐の下級武士を鼓舞して明治維新を達成させたのも、英国のユダヤ系資本である。

3)このような歴史的経緯があるので、プーチンはスターリンを評価するがレーニンやトロツキーを評価しない。従って、トランプもプーチンも反共産主義であり反グローバリストといえる。グローバリズムとは現代の共産主義思想である。

4) 彼らグローバリストが支配する米国政府は、新型コロナ肺炎(Covid-19)のウイルス開発と同時にワクチン開発も行うことで、有効に兵器として利用することを考えていた。Covid-19のウイルス開発は米国の発案で開始されたが、反対の声が大きくなったので中国武漢の研究所に資金とともに研究を継続させたのである。そのことに係わったのが米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)の所長ファウチ博士であった。

この経緯をCDC元所長のRedfield博士が最近明らかにした。https://www.carolinajournal.com/former-cdc-director-claims-that-covid-19-emanated-from-unc-chapel-hill/


このような高い伝染性を持つウイルスの開発研究から考えて、彼らグローバリストたちは自然界に発生したパンデミックを装って地球上の人口削減を計画していたと思われる。彼らは米国に英国からピューリタンたちが渡ったとき、現地のインディアンたちの多くが彼らが持ち込んだ疫病で死亡し、米国での支配地拡大が容易になったことに学んだのだろう。Redfield博士によるこの重大な秘密の暴露を、日本で一早くyoutube動画に乗せた金子良友氏の動画を参照されたい。https://www.youtube.com/watch?v=hPwA0grdnRM

 

 

5)協力者の協力は、多くは金や女性で協力せざるを得ない状態にすることで獲得されている。その一つがエプシュタイン疑惑(ウィキペディア参照)などである。世界経済のエリートたちは、一人で中小国のGDPに匹敵するほどの金融資産を保有する。それを用いれば、大抵のことはできるのだ。

 

6)強大な権力者でも恐れるのは一般大衆の蜂起である。それは歴史を遡っても、そして中国でも米国でも変わらない。大きな不満があれば、その意思表示をするのが政治を大衆の側に引き寄せる力となる。それが西欧諸国は分かっているので、オランダなどでの大規模なトラクターデモが発生するのである。日本人にはそのような理解が全くと言っていいほど欠けている。

 

7)ネット検索すると様々な数値が出てくる。グローバリストによるインチキ数値として非常に小さい値もあるが、注意が必要である。

ーーー 11/30早朝大幅編集、補足を追加し最終稿 ーーー

 

 

 

2024年11月21日木曜日

トランプは反グローバリストの英雄ではないだろう

トランプをグローバリストと対決する英雄と考えている人が日本に多い。大統領選挙でトランプが大勝したので、今後の世界政治の明るい展開を信じていたと思う。そして、早速発表されたイーロン・マスクやロバートケネディJr.に対する人事に喝采を送っていただろう。

 

しかし、最近トランプが発表する人事には、戸惑っている人が多いのではないだろうか。その点について少し考えてみる。(以下は、素人の夢想を含みます。そのつもりでお読みいただきたい)


 

)トランプによる次期政権国務長官人事などの怪


5日前のyoutube動画で及川幸久氏は、トランプがネオコンと見做されていたマルコ・ルビオを国務長官に指名したことに批判が集まっていると話す。マルコ・ルビオは対中国及び対イラン強硬派であ

 

 

 

及川氏は上記動画で、ランド・ポール上院議員の「外交においては、マルコ・ルビオとヒラリー・クリントンは同一人物だ」という言葉を引用している。https://theweek.com/speedreads/587721/rand-paul-thinks-marco-rubio-hillary-clinton-are-same-person-foreign-policy

 

確かに、マルコ・ルビオはロシアによるウクライナ侵攻直後は、ウクライナへの支持を熱烈に呼びかけていた。しかし、徐々に意見を修正し、現在ではウクライナ支援に消極的である。それでも、ランド・ポールの言う通り、グローバリストに違いないだろう。https://www.aljazeera.com/news/2024/11/12/how-marco-rubio-has-shapeshifted-to-embrace-trumps-foreign-policy

 

彼は2016年の大統領候補として立候補し、トランプに負けて以来トランプと仲良くなったと言われるが、ウクライナ支援に消極的になったのはトランプの影響なのだろうか?独自の思想変化なのか?それとも何らかの力が外部から働いたのか? 

 

119日の本ブログサイトでトランプが非常に早い時期から次期政権の人事を決めている理由として、米国民の注目を維持するためと書いた。しかしもう一つの可能性として、今回の国務長官人事のようなグローバリストが歓迎する人事を妥協のために見せつけるためかも知れない。

 

トランプを反グローバリストの英雄などと言うのは、現在の民主党グローバリストの展開する世界政治に反対の人たちがトランプ本人の考えを無視して作り上げた話なのかも知れない。

 

イーロンマスクとロバートケネディJrが本物の反グローバリストだとしても、彼らが十分な働きが出来るかどうかは分からない。彼らが重用されるのは、大統領選挙において功績があったからであり、思想的にトランプと共鳴した結果ではないのかも知れない


 

2)トランプは反グローバリストの騎手ではない

 

トランプは、世界各国に出向いて金を使う米国の覇権主義外交が米国民の生活にプラスになっていないとし、その金を国民の方に回すべきだと主張して大衆の賛同を得、大統領に当選した。キャッチフレイズのMake America Great Again(MAGA;アメリカを再び偉大な国に)は、アメリカは覇権を狙って世界に干渉するよりも、一主権国家として自国の利益を追求すべきだという主張である。

 

ただ、世界覇権よりもMAGAだと言ってみても、米国が世界覇権を失ったらGreat(偉大)な国ではなくなるだろう。多民族国家である米国の各民族が、タガの外れた桶のようにバラバラとなり、国家が崩壊する可能性すら存在するだろう。トランプは、もし米国が世界覇権を失ったらどうなるかなどは、そもそも考えていないのではないのか。

 

つまり、米国のエリートたちは、主権国家体制の国際社会(ウエストファリア体制)を破壊し世界帝国を作らなければ自分たちは何れ世界覇権を失う(補足1)と考えているのだろう。しかしトランプは、それに対し反論を展開することなく、単に一般国民の不満を吸い上げることで大統領に当選したのではないだろうか。

 

トランプに大口寄付をする人物に、カジノ王アデルソンなどユダヤ系が多いという。イスラエルロビーの人たちや親イスラエルのアデルソンのようなユダヤ人たちは、元々イスラエルと緊密な関係にあるトランプ(補足2)を応援し、パレスチナ問題をイスラエルに有利に治めるためにトランプ政権を利用したいのだろう。 https://toyokeizai.net/articles/-/775835

 

トランプは、国際金融を支配するディアスポラのユダヤ人とイスラエルを支援するユダヤ人(イスラエルロビーなど)の間にあって、後者の側に立って前者の目指す政治を批判して当選した。マルコ・ルビオが国務長官に指名されたのは、トランプのこの賢明さに共鳴したからだろう。

 

トランプもマルコ・ルビオもユダヤ系の資本力と政治力の中にどっぷりとつかって、背後から支援を受けて米国を運営しようと考えているのだと思う。トランプとグローバリストの総本山と考えられる国際金融資本とは、供にイスラエルを大切にするという姿勢を共有しているのである。

 

したがって、トランプを反グローバリズムの騎手とみるのは間違いだろう。単にグローバリズムの提唱者とは仲のあまり良くない兄弟のような存在だと考えるべきだろう。ブルームバーグは、それを示唆する以下のような文章を記事の中に書いている:

 

トランプは億万長者のユダヤ系米国人ミリアム・アデルソン(Miriam Adelson)氏が主催する会合(大統領選前)で、自分がイスラエルを支持していることを根拠に、ユダヤ系米国人からもっと政治的な支援を受けても良いはずだという主旨の発言を繰り返し、ユダヤ系米国人とイスラエルという国家を混同しているhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-20/SK4J6YT0G1KW00

 

411日の本ブログサイトに「イスラエルはトランプを次期大統領として支持する可能性が大きい」という記事を書いた。その中に「325日に行われたイスラエルの新聞イスラエル・ハヨムが トランプに対するインタビューを、インタビューと言うよりも面接試験ではないかと思ってしまう」と書いている。トランプはシオニストと言うべきだろう。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12847903412.html

 

以上をまとめると、トランプには反グローバリズムという政治思想など持っていない。彼は単にユダヤ系資本家たちとイスラエル系米国人の間に陣取って、大統領という地位を手にいれたのだろう。トランプをイスラエルロビーに雇われた大統領と考えれば、今後の米国政治が分かりやすくなるのではないだろうか。

 

 

補足:

 

1)GDPの世界ランキングでは米国は一位だが、そのシェアは年々下がっている。経済産業省の計算では、米国のGDP世界シェアは2020年には24.7%だが、2050年には14.7%に落ちる。従って、米国は今後、国際的地位を低下させる一方だろう。経済的シェアが小さくなれば、米国は何れ世界覇権を失う。米国に取って代るのはおそらく中国だろう。ユダヤの資本家たちは、英国から米国に移ったように中国に入り込めないのなら、彼らは世界の金融を支配する地位を失い、世界史も何れ書き換えられるだろう。何故なら、歴史は覇権を握る者たちを正統化するために書かれるからである。その時、アヘン戦争をはじめ植民地戦争などが過去の悪行とされ、ユダヤ系欧米人はその時点で主導的地位を失うだろう。

 

2)トランプの娘は、ユダヤ教に改宗してホロコーストから逃れ米国に来たユダヤ人ジャレッド・クシュナーと結婚した。娘夫婦はイスラエルの首相ネタニヤフとは家族ぐるみの付き合いだという。

--- 15時 編集 ---