2024年11月21日木曜日

トランプは反グローバリストの英雄ではないだろう

トランプをグローバリストと対決する英雄と考えている人が日本に多い。大統領選挙でトランプが大勝したので、今後の世界政治の明るい展開を信じていたと思う。そして、早速発表されたイーロン・マスクやロバートケネディJr.に対する人事に喝采を送っていただろう。

 

しかし、最近トランプが発表する人事には、戸惑っている人が多いのではないだろうか。その点について少し考えてみる。(以下は、素人の夢想を含みます。そのつもりでお読みいただきたい)


 

)トランプによる次期政権国務長官人事などの怪


5日前のyoutube動画で及川幸久氏は、トランプがネオコンと見做されていたマルコ・ルビオを国務長官に指名したことに批判が集まっていると話す。マルコ・ルビオは対中国及び対イラン強硬派であ

 

 

 

及川氏は上記動画で、ランド・ポール上院議員の「外交においては、マルコ・ルビオとヒラリー・クリントンは同一人物だ」という言葉を引用している。https://theweek.com/speedreads/587721/rand-paul-thinks-marco-rubio-hillary-clinton-are-same-person-foreign-policy

 

確かに、マルコ・ルビオはロシアによるウクライナ侵攻直後は、ウクライナへの支持を熱烈に呼びかけていた。しかし、徐々に意見を修正し、現在ではウクライナ支援に消極的である。それでも、ランド・ポールの言う通り、グローバリストに違いないだろう。https://www.aljazeera.com/news/2024/11/12/how-marco-rubio-has-shapeshifted-to-embrace-trumps-foreign-policy

 

彼は2016年の大統領候補として立候補し、トランプに負けて以来トランプと仲良くなったと言われるが、ウクライナ支援に消極的になったのはトランプの影響なのだろうか?独自の思想変化なのか?それとも何らかの力が外部から働いたのか? 

 

119日の本ブログサイトでトランプが非常に早い時期から次期政権の人事を決めている理由として、米国民の注目を維持するためと書いた。しかしもう一つの可能性として、今回の国務長官人事のようなグローバリストが歓迎する人事を妥協のために見せつけるためかも知れない。

 

トランプを反グローバリストの英雄などと言うのは、現在の民主党グローバリストの展開する世界政治に反対の人たちがトランプ本人の考えを無視して作り上げた話なのかも知れない。

 

イーロンマスクとロバートケネディJrが本物の反グローバリストだとしても、彼らが十分な働きが出来るかどうかは分からない。彼らが重用されるのは、大統領選挙において功績があったからであり、思想的にトランプと共鳴した結果ではないのかも知れない


 

2)トランプは反グローバリストの騎手ではない

 

トランプは、世界各国に出向いて金を使う米国の覇権主義外交が米国民の生活にプラスになっていないとし、その金を国民の方に回すべきだと主張して大衆の賛同を得、大統領に当選した。キャッチフレイズのMake America Great Again(MAGA;アメリカを再び偉大な国に)は、アメリカは覇権を狙って世界に干渉するよりも、一主権国家として自国の利益を追求すべきだという主張である。

 

ただ、世界覇権よりもMAGAだと言ってみても、米国が世界覇権を失ったらGreat(偉大)な国ではなくなるだろう。多民族国家である米国の各民族が、タガの外れた桶のようにバラバラとなり、国家が崩壊する可能性すら存在するだろう。トランプは、もし米国が世界覇権を失ったらどうなるかなどは、そもそも考えていないのではないのか。

 

つまり、米国のエリートたちは、主権国家体制の国際社会(ウエストファリア体制)を破壊し世界帝国を作らなければ自分たちは何れ世界覇権を失う(補足1)と考えているのだろう。しかしトランプは、それに対し反論を展開することなく、単に一般国民の不満を吸い上げることで大統領に当選したのではないだろうか。

 

トランプに大口寄付をする人物に、カジノ王アデルソンなどユダヤ系が多いという。イスラエルロビーの人たちや親イスラエルのアデルソンのようなユダヤ人たちは、元々イスラエルと緊密な関係にあるトランプ(補足2)を応援し、パレスチナ問題をイスラエルに有利に治めるためにトランプ政権を利用したいのだろう。 https://toyokeizai.net/articles/-/775835

 

トランプは、国際金融を支配するディアスポラのユダヤ人とイスラエルを支援するユダヤ人(イスラエルロビーなど)の間にあって、後者の側に立って前者の目指す政治を批判して当選した。マルコ・ルビオが国務長官に指名されたのは、トランプのこの賢明さに共鳴したからだろう。

 

トランプもマルコ・ルビオもユダヤ系の資本力と政治力の中にどっぷりとつかって、背後から支援を受けて米国を運営しようと考えているのだと思う。トランプとグローバリストの総本山と考えられる国際金融資本とは、供にイスラエルを大切にするという姿勢を共有しているのである。

 

したがって、トランプを反グローバリズムの騎手とみるのは間違いだろう。単にグローバリズムの提唱者とは仲のあまり良くない兄弟のような存在だと考えるべきだろう。ブルームバーグは、それを示唆する以下のような文章を記事の中に書いている:

 

トランプは億万長者のユダヤ系米国人ミリアム・アデルソン(Miriam Adelson)氏が主催する会合(大統領選前)で、自分がイスラエルを支持していることを根拠に、ユダヤ系米国人からもっと政治的な支援を受けても良いはずだという主旨の発言を繰り返し、ユダヤ系米国人とイスラエルという国家を混同しているhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-20/SK4J6YT0G1KW00

 

411日の本ブログサイトに「イスラエルはトランプを次期大統領として支持する可能性が大きい」という記事を書いた。その中に「325日に行われたイスラエルの新聞イスラエル・ハヨムが トランプに対するインタビューを、インタビューと言うよりも面接試験ではないかと思ってしまう」と書いている。トランプはシオニストと言うべきだろう。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12847903412.html

 

以上をまとめると、トランプには反グローバリズムという政治思想など持っていない。彼は単にユダヤ系資本家たちとイスラエル系米国人の間に陣取って、大統領という地位を手にいれたのだろう。トランプをイスラエルロビーに雇われた大統領と考えれば、今後の米国政治が分かりやすくなるのではないだろうか。

 

 

補足:

 

1)GDPの世界ランキングでは米国は一位だが、そのシェアは年々下がっている。経済産業省の計算では、米国のGDP世界シェアは2020年には24.7%だが、2050年には14.7%に落ちる。従って、米国は今後、国際的地位を低下させる一方だろう。経済的シェアが小さくなれば、米国は何れ世界覇権を失う。米国に取って代るのはおそらく中国だろう。ユダヤの資本家たちは、英国から米国に移ったように中国に入り込めないのなら、彼らは世界の金融を支配する地位を失い、世界史も何れ書き換えられるだろう。何故なら、歴史は覇権を握る者たちを正統化するために書かれるからである。その時、アヘン戦争をはじめ植民地戦争などが過去の悪行とされ、ユダヤ系欧米人はその時点で主導的地位を失うだろう。

 

2)トランプの娘は、ユダヤ教に改宗してホロコーストから逃れ米国に来たユダヤ人ジャレッド・クシュナーと結婚した。娘夫婦はイスラエルの首相ネタニヤフとは家族ぐるみの付き合いだという。

--- 15時 編集 ---

2024年11月15日金曜日

石破政権の経済政策について: 企業への直接支援よりも減税と規制緩和を行うべき

石破茂首相は、11日夜の記者会見で半導体や人工知能(AI)分野に複数年度で10兆円以上の公的支援をする方針を明らかにした。自民党政治家の典型的な積極財政政策であり、人気取りと幾らかの実質的キックバックを狙ったものだろう。

 

このことについて少し独自の考えを書いてみたい。素人こそが自由に述べることができると思う。コメントを期待します。

 

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA115JH0R11C24A1000000/ 

 

先ず指摘したいのは、日本がAI分野への進出が遅れ、且つ半導体分野でのシェアが小さいからと言って、政府が大規模にそれらの分野に資金援助するというのは、社会主義経済の国が行うことである。

 

日本は自由主義経済の国であるから、私企業の競争力は本来は独自に付けるべきであり、政府が直接支援することではない。石破首相ら自民党の政治屋たちは、社会主義国の経済が自由主義国のそれに太刀打ちできなかったという歴史をどのように考えているのだろうか?(補足1)

 

AI分野は、今後成長が期待される分野であることは確かだろうが、世界には既にトップも二番手もおり、それらの中で追いついて勝ち残るのは非常に困難だろう。それらと互角に勝負するには、資金力だけでなく人(技術)と組織(情報の上下双方向の流れ)と伝統(知的技術的蓄積)など本当の意味での実力が必要である。政府による資金支援は、それら「実力の充当」にはならないと思う。

 

そもそも半導体王国だった日本が、経済低迷の30年とともに没落したのは、それら企業が国際競争力を失ってきたからではないのか?政府が何か貢献するのなら、その原因を分析しその結果を企業の活動環境の整備に活かすことである。それは一分野ではなく、もっと多くの分野にプラスになる筈。 

 

政治は、人や法人への直接投資は出来るだけ避けるべきだ。つまり、日本社会の中からオリジナルな技術や産業が生まれるような土壌(補足2)を作るのが政府の役割であると思う。経済低迷の30年は政府が経済発展のステップアップ(補足3)に応じて、経済環境の整備をこの30年間やらなかったということである。

 

既存分野に政府が多額の金を支援するには、例えばその技術が安全保障に強く関わるなどの別の説明が必要である。


 

2)古い日本の人事文化と解雇規制の緩和について

 

人も企業も生き物である。生き物には生命力がなければならない。半導体やAIの分野に限らず、生命力ある法人を創るにはどうすればよいのかを、全体的視点に立って考えるべきだ。 
 

西欧型の企業では、個人の専門家的能力がその法人でのポジションおよび報酬を決めるだろう。専門家的能力は、専門的知識を有する上にそれを法人組織の中で活かす能力である。西欧の経済的文化は、法人がそのような人事で成り立ち、それを機能させる伝統である。

 

日本型の企業では、従業員には共同体の一員としての意思が要求される。その結果、報酬は労働の対価の他、共同体の一員としての支給(給与)の意味が強い。つまり法人組織が、封建領主と旗本や御家人との関係に近い。このような組織の場合、上下間の意思と情報の伝達は上意下達が自然であり、従って双方向には円滑ではない。(再度補足3を読んでもらいたい)

 

何年も前から書いてきたことだが、この組織における差が、日本の労働の流動性を小さくし、企業内での適材適所の実現を阻害し、最終的に日本が先端分野において遅れを取る主要な原因の一つだろう。(補足4)
 

したがって政府がやるべきは、この労働市場に封建文化を醸成している法的根拠を取り除く工夫ではないだろうか。例えば、解雇規制の緩和は労働の流動性を否が応でも高めるだろうし、日本の封建的な人事関係を破壊することになるだろう。
 

くどいようだが繰り返す。近代的法人における上司と部下の関係は、役割分担でありそれ以上の関係はない筈である。(補足5)それにも拘わらず、日本の場合は封建社会のような上下関係となっている。それが法人における上下の情報の流れにおいて抵抗となっている。西欧型の経済をまねるなら、人間関係もある程度江戸時代の形から脱却する必要があると思う。

 

小泉進次郎が10月の自民党総裁選の時に解雇規制の緩和或いは撤廃を言い出した時、小泉氏をバカにしながらその副作用ばかりを強調する人物が多かった。それが過ぎ去っても、相変わらず労働の流動性確保が大事だと平気でいうのが日本の評論家と自民党議員たちである。

 

日本の政界にはお経文化が存在する。労働市場に関しては、労働の流動化を「色即是空」のようにお経として唱えるのである。北朝鮮との関係においては、「拉致被害者救出」というお経を唱えて青いバッジを胸につけるだけである。具体性も科学性も何もない。それで政治の世界は通用するのだ。


 

3)日本の低い輸出依存度について

 

日本の経済界は、未だ世界経済の発展に取り残されていない立派な企業がたくさん存在している。しかし、それら企業は外国に工場を建てて、そこから第三国へ輸出することで利益を得ているようだ。それが日本経済の輸出依存度が小さい主要原因である。下に各国の輸出依存度を示す。

ここで東南アジア諸国の輸出依存度が大きいのは、それらの国のGDPにおいて、比較的安い労働賃金を目指して進出した外国企業が生産物を海外に輸出することで稼ぎだした分の割合が大きいからである。一方オランダの大きい輸出依存度は、農業国としてヨーロッパ圏への食糧輸出が大きいからだろう。

 

オランダに限らずヨーロッパでの高い輸出依存度は、国際的分業体制が進んでいることによる。一方、日本の輸出依存度が小さいのは、一つにはほとんどの工業生産物を自国で賄う体制が出来ているからと考えられる。この点は米国と似ている。

 

この日本の何でも国内で調達できるというのは便利だろうが、前のセクションで見てきたような全体として国際競争力の低下と無関係ではないだろう。得意なところに人材とエネルギーを集中して、21世紀に生き残る製造業とすべきではないのか? https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/pdf/10p03032_1.pdf 

 

もう一つの原因としては、最初に少し書いたように、日本の優良企業は海外での収益を海外に投資する傾向が強い。優良企業にとって日本が活動しにくい国なら、その原因を前セクションにおいて書いたことを含めて明らかにし、企業が活動しやすいように環境を整えるべきである。それが政府の仕事だと思う。

 

日本は米国やロシアなどの覇権国家と違って食料とエネルギーの輸入が必須である。それらの確保のために、外交での国際協調関係に気を配るだけでなく、国際競争力のある産業(担当する企業)を育て維持することが大切である。しかし最近ではそれが怪しくなってきている。

 

それは円安の進行し、それが海外からの旅行者への恩恵となり、京都などの観光地は外国人観光客であふれている。それは日本の製造業が世界との競争力をなくしつつある証拠である。

 

貿易赤字の状況は常態化し、そして経常赤字になれば、日本経済は先進国としては末期となり、途上国型に転落することになる。政府はほとんど意味のない積極財政という麻薬を止めて、この状況を重く考えるべきである。

 

政府の積極財政は、政府の財政収支を悪化させて国債金利の上昇を招き、それが物価高と円安につながる。それは既に経験していることである。政府は庶民の数少ない頼りとしている僅かばかりの金融資産が紙くず同然となるまで、日銀に国債の市中からの買い上げを強要するだろう。

 

何故、このような外国の言うことばかり聞く政権を維持させるのか? 日本人はバカなのか? せめて新ニーサは国内株のみとするという改革(円安防止に役立つ)を政府にさせたらどうか? 国民民主や民主党は本当に野党なのか?
 

終わりに:

 

個別の事業に多額の援助を考えるのは、社会主義的政策に堕する可能性が高いので、注意が必要である。積極財政を考えるのなら、消費税の廃止或いは軽減を第一に考えるべきだろう。

 


補足:

 

1)子供が一流大学に入る実力がないのなら、親が札束を持って米国のアイビーリーグと直接交渉するというのは日本の与党政治家なら考える事かもしれない。それは政治家を実力よりも氏素性と学歴で選ぶ社会なら投資になるかもしれないが、まともな民主国家では結局金の無駄遣いになるだだけだ。特定分野の企業に多額の支援をすることは、それと同じ愚に見える。

 

2)このオリジナルな技術や産業が生まれるような土壌として重要なのが教育改革である。これまでの記憶重視の教育から思考力をつける教育、社会や自然にたいする探求心を持つような教育をすべきである。

 

3)日本経済は最初安い人件費を武器に途上国型の発展を遂げた。そこから成熟型の経済に移行するにあたって、労働時間の短縮や労働環境の改善などの他に、企業の組織を軍隊型からCompany (仲間)型にステップアップするための環境整備が不可欠なのだろう。儒教的な人間関係から解放され紳士的関係に移行することで労働の流動化も進むのである。

 

4)何度も引用してしまうのだが、ここでもカルロス・ゴーンの言葉を引用したい。フランスでは社長が何かを決めれば部下の間で議論が生じるが、日本では同じ状況で部下は黙ると言った。上意下達では、大勢の意見を吸い上げて法人としての優れた決定など期待出来ないだろう。

 

5)人間の臓器である頭や胃腸や手足を考えた場合、頭が偉く胃腸や手足が卑しいわけではない。それぞれの役割を果たしてこそ、生命力が維持できるのである。会社の上司と部下の関係も同じでなくてはならない。日本のように儒教的上下関係を持ち込むことは、企業の活力を削ぐことになる。

2024年11月9日土曜日

トランプは未だ大統領選挙の戦いを継続している:彼の歩む道は非常に険しい

11月5日(米国時間)の大統領選挙でトランプが当選したと報じられているが、彼が大統領に就任するまでの道は未だ平坦ではない。 

 

追補 ジェイソン・モーガン氏は以下の動画の26分あたりから、トランプが1月の大統領就任まで生き残ることができるか心配だと言っている。トランプは、それほど巨大な敵と戦っているのである。https://www.youtube.com/watch?v=vBQyUbRU7KU


これからのスケジュールは以下のようになっている。11月5日に全米で538人選ばれた選挙人が、12月17日に開かれる各州の州議会で承認された場合、彼らにより投票が行われる。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12647034993.html

そして翌年1月6日に上院で大統領選挙結果の承認と選挙人による選挙の結果の集計が行われる。そこで次期大統領が決定される。次期大統領の選定作業はこの時点まで継続する。ここで再度指摘したいのは、今回の選挙で選ばれたのは大統領ではなく、大統領を選ぶ各党が登録した選挙人だということである。

今回、ペンシルバニアで共和党が19人の推薦人を獲得したのだが、原理的には彼らが19人ともトランプに投票するとは限らない。共和党の選挙人がハリスに投票することもあり得る。前回選挙では、最終的には全て承認されたものの、この州でも選挙に異議を申し立てる議員が出た。今回の大統領選挙が歴史的なものなら、選挙人による選挙でも歴史的なことが起こり得る。

繰り返しになるが、今回特に心配されるのは12月の州議会で不誠実な大統領選挙人、つまり自党以外に投票する選挙人が多数出る可能性である。過去不誠実な選挙人は散発的(2016年の選挙では7人)に出たのだが、今回もし組織的に出たならハリスの当選もあり得るのである。https://www.bbc.com/japanese/articles/cy0g8gyqzv2o 

日本のSNSでは、もうトランプ政権が始まったかのような動画配信が目立つ(例えば下の動画;補足1)。上述の不確実性を非現実的な話(つまりそんなことを考えるのは現実的でない)として軽視している。このように、原理に戻って考える文化が無いのが日本の弱点の一つである。(補足2)

 

https://www.youtube.com/watch?v=Yxo_llDrXjI

 

一方米国では当然ながら、前回の大統領選挙の時も選挙人による選挙が注目された。ブルー州として代表的なカリフォルニアで不誠実な選挙人が大量に出た可能性までも考えて、心配した人も居たようだ。https://wired.jp/series/super-election-returns/super-election-returns-31/

米国がこのような制度を採用したのは、国民の熱狂がそのまま大統領選挙に反映しないようにするためだろう。それは、国内の殆どが国民のためを考えることに疑いが無いなら賢明な制度だが、もし国家組織が異邦人に乗っ取られていた場合、国民の多数が冷静な判断として選挙に臨んでもその結果を捻じ曲げる装置となりうるのである。(補足3)

何故そんなことまで心配するのか? それはトランプは伝統的な共和党代表とはかなり異なるからである。共和党員のなかに大勢ネオコン(neo-conservative、新しい保守)が居る。ブッシュ政権は将にネオコン政権であった。選挙人として選ばれた人の多くがネオコンだとしたら、そのようなことが起こり得るのである。

 

ネオコンたちはグローバリストであり、地球上に唯一の権力組織として自分たちの体制建設を目指している。(補足4)トランプの敵は経済で世界を支配する人たちであり、彼は途轍もない強敵と戦っているのである。


トランプは早速次期政権のための人事を行っている。早すぎると考える人がほとんどだろうが、おそらく選挙人による12月中旬の選挙に対し無言の圧力をかける為だろう。つまり、国民の意識を選挙人選挙の日までつなぎ止め、できるなら自分たちの味方を更に増やしつつ選挙人がこっそりと裏切らないように監視するためである。

 

つまりトランプは未だ選挙戦を戦っているのである。新しい体制を発表して今後の政策を述べることは、これまでのグローバリストの支配が如何に米国民の為にはなっていなかったことを強調するためである。

その後様々な困難が予想される。最も心配されるのが、暗殺である。この選挙戦中に起こったことが1月20日の就任式までに起これば、大統領就任に至らない可能性もある。大統領就任後、実際にネオコンの手足を縛る政策を実行する段階になると、尚一層その危険性が高まるだろう。


 

補足:

 

1)トランプらは既に人事を進める一方、”Deep State”撲滅計画を発表しているようだ。まるで革命前夜のような話である。そのようになることに期待しているが、不安も大きい。その不安部分を示すのが、本稿である。

 

2)ここでも原点からの全プロセスを念頭に考える文化が日本に欠けている。それが本ブログで数年間書き続けたことである。日本には哲学がないので、原理的なところから思考するという文化或いは習慣がない。原理的思考の文化があれば、現在の自民党政権は50年前に潰れていたと考えられる。米国の傀儡政権として吉田茂とマッカーサーの間で作られたのだから。


3)日本も異なった形だが間接民主制の国である。この回りくどい政治制度も、国家を乗っ取った人たちに利用されているように思う。例えば何故、1票の格差が2倍以内なら合法なのか? そんな判断をする裁判所は日本国民のための裁判所ではない。1票の格差が可能な限り1.0に近づけることなど当然の筈だ。(これも補足2に書いたことの一例である)

 

4)ロシア革命でレーニンやトロツキーなどのボルシェビキが実権を握ったのだが、レーニンの死後の政争でトロツキー(世界同時革命を目指す派)がスターリン(国内で共産党体制を確立する派)に敗ける。その時、大勢のトロツキー派が米国に逃れた。彼らは、新自由主義を掲げるグローバリストとして、共和党内に進出して新しい保守(neo-conservative)を自称した。(ウイキベディアの新保守主義参照)

(2024/OCT10/20:30に冒頭に追補を入れた)

 


 

2024年11月3日日曜日

 米国は大統領選で混乱し内戦に向かう可能性がある

11月5日(米国時間)に米国大統領選の投票が行われる。日本人や日系人が発信するyoutube動画を見る限り、政治家としての実力はトランプがカマラ・ハリスを圧倒しているようだ。最近の世論調査でも、激戦州を含めてトランプ元大統領が有利だとメディアは報道している。https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/11/6a2b5890591ccceb.html

 

民主党&ネオコン勢力は、選挙に敗れても新大統領としてトランプを受け入れないだろう。(補足1)逆に、カマラ・ハリスが当選となった場合、大規模選挙不正が勝因だろう。その結果に、トランプとその支持者たちが激しく反発するだろう。4年前に比べて対立のエネルギーは何倍にもなっており、1-2ヶ月で平穏な米国に戻るとは思えない。

 

米国は選挙当日から大混乱になる可能性が高いと思う。そのように母国アメリカを心配する動画が元米海軍情報官のマックス・フォン・シューラーさんによりアップされている。

 

https://www.youtube.com/watch?v=NWtKXlgQB7

 

恐らく、4年前と同様、民主党&ネオコン側で不正選挙が行われるだろう。バイデンによるメキシコ国境に建設された国境の壁の破壊と不法移民を多数受け入れる政策が将来の民主党票の増加をねらったものなら、実際の寄与の有無に関らず大規模な不正選挙があったことの状況証拠だろう。

 

不法移民を大量に入国させる理由は他にあるか? あるとしたら、米国の治安悪化が目的だろう。(補足2)そんな政権を米国民は支持する筈がない。

 

 

2)選挙後に考えられること

 

4年前の12月、”選挙不正”でバイデンにトランプが敗けたことになった時、トランプ政権による戒厳令発布の可能性が一部で議論された。その時のブログ記事を引用しておく。トランプが戒厳令を布く瞬間が近づいている? 

 

選挙不正を示す報告書が国家情報長官より大統領に提出されれば、それを切っ掛けに戒厳令が出せたかもしれない。しかしCIAやFBI、そしてその上の情報長官等の協力が得られなかったようで、期日までにラトクリフ情報長官は報告をしなかった。

 

更に、戒厳令を布けば軍の協力が無ければならないが、マーク・ミリー統合参謀本部議長などの協力も得られそうになかった。


今回は4年前とは全く異なる。戒厳令発布は大統領バイデンの特権であり、米軍の協力も得られるだろう。もし民主党側が不正選挙を積み重ねてでもトランプ勝利と出たなら、バイデン政権は戒厳令を発布して一時軍政を布く可能性がある。

 

その時、トランプ側も黙ってはいない。あちこちで暴動が発生するだろう。バイデン政権はこの混乱に備えているように思う。9月24日に、2001年の9.11の後に出され2019年に修正された対テロ非常事態宣言が、この一年間継続されるという声明がだされた。

 

 

 

そして更に、国防総省が9月27日に配布した連邦軍に対する指示書の中に、テロ対策や調査に対し抵抗する市民に銃などの使用が許可されるとする文章がある。DOD DIRECTIVE 5240.01 DOD INTELLIGENCE AND INTELLIGENCE-RELATED ACTIVITIES AND DEFENSE INTELLIGENCE COMPONENT ASSISTANCE TO LAW ENFORCEMENT AGENCIES AND OTHER CIVIL AUTHORITIES


この大統領の告知(Notice)や国防総省の軍への指示は、選挙に絡んだ混乱を想定した準備だろう。少なくともそのように警戒感を持つ人がトランプ支持者に多い。

 

この異常なホワイトハウスの方針に対して不安を露わにする動画が、「警察官ゆりのアメリカ生活」というyoutubeチャンネルにアップロードされた。https://www.youtube.com/live/2N0OFuP1Nbc

 


 

ただ、政権側はその疑いを否定している。そして政権側に近いと思われるMilitary.comというウエブサイトは以下の題の記事を掲載している。
Far-Right Suggests Military Just Authorized Lethal Force Against Americans Ahead of the Election. It Didn’t. 

 

この表題を日本語に訳すと「極右は、選挙を前に軍が米国民に対する致死的な武力行使を承認したと主張している。しかし、それは事実ではない。」となる。繰り返すが、これはあくまでもバイデン政権側の記事である。トランプとその支持者に対する「極右」と言う表現は、強い反感を表わしており、客観的な報道ではないことを証明している。

 

何十年に亘って米国を支配下に置くことに成功した米国の支配層の多くはユダヤ系金融資本家が中心だろう。かれらは所謂グローバリストと呼ばれ、世界の単一覇権の完成を目標に活動してきたと考えられる。

 

彼らグローバリストたちは、有限の地球には有限の人間しか住めないので、地球環境問題や資源枯渇の問題を解決するには、世界を独裁下に置く以外に方法がないと考えていると思う。それが米国における非常に粗暴な戦略の中心的動機であると考えられる。近代の価値基準など彼らは持ち合わせていない。

 

 

補足:

 

1)トランプは当選した場合、国内では健全財政を目指すだろう。イーロン・マスクを政府の無駄な行政システムの整理を行う担当に据えると言っており、民主党幹部の人たちの多くは既得権益を失うだろう。更に、トランプはあのエプスタイン裁判関連の資料を公開すると言われている。ジェフリー・エプスタインと背徳の行為を行った人物に民主党を支持するエリートが多いと言われている。その他、グローバリスト政権が作った多くの秘密(ケネディ暗殺など)が暴かれるだろう。

対外政策では、グローバリストたちが企んだウクライナを傭兵にしてロシアを潰す作戦を中止し、ウクライナは東部を失うが平和が訪れるだろう。

 

2)大変革の時には治安を悪化させた上で、その喧噪状態の中で秘密作戦を実施する場合が多い。例として適当かどうかわからないが、明治維新(クーデター)の時には、薩摩は江戸で、長州は京都で夫々大規模なテロを行った。そのように考えると今月からの米国が本当に心配になる。もちろん、その混乱は日本にもおよぶ可能性が高い。

 

(翌日早朝誤字等の軽微な編集の後最終稿)

 

2024年10月31日木曜日

日本国を救う英雄の出現を願う:日本国民の殆どが目覚めれば英雄は必ず生まれる

1)原点から国際関係の現状を考える

 

強いものが弱い他者を排除して生き残る原始時代、人類は大家族的な社会を作っていた。そこから道具が発達し行動範囲が広くなると、民族と民族が生存競争を展開する時代となり、その民族或いは国家と法は、統治者とその意思であった。中世までの人類の姿である。

その後、人類が平和で豊かな生活が可能になったのは、国家と国民すべてに適用される法による統治を達成することで、分散した個人の能力を社会の多方面に生かすことになったからである。武力がなくても、尊厳と権利が保障される社会になったのである。

その国家と法による統治の領域は、現在この地球上に200余り存在し、夫々の土地で有利なように国家を運営しており、世界国家として統一することは不可能である。つまり、それぞれの国家に尊厳と権利を相互に保障するような形で世界統一を成し遂げるには人類には未だ何かが足りない。

現在の国家をメンバーとする社会、つまり国際社会は、強い国家が他を排除して生き残るという状態から未だにほんの一歩進んだ状態である。国際関係が世界統一に相応しく成熟するまでは、各国が自国のことを第一にして、他国との利害調整を個別にしていく以外に方法はない。つまり国際法は、現状「法」としての権威を持たないのである。

世界の政治を考える場合、この国際法の限界を知ることが非常に大切である。日本では、国際法を国内法と同様に「法」として考える政治家やマスコミ人が多い。それは彼らが現在強引に武力と策略で世界を支配しようとする特定の人たち、グローバリスト、の教育或いは調教を受けた結果である。

2)グローバリストの企みとトランプの出現


例えばロシアは、グローバリストの諸国及びウクライナを支配する彼らの手先と国家の生き残りを懸けて戦っている。日本のマスコミ報道や政治は、そのロシアを絶対悪としている。それはロシア側の国際法違反と同時に、日本では国際法を権威ある「法」と誤解しているからである。(補足1)

国際法は現状、世界中の国家が参加する国際社会においての行儀作法のようなものであり、その作法を強引に法律に格上げすることを米国の支配層を筆頭にするグローバリストたちが企んでいる。ここでグローバリストとは、世界帝国の建設を目指す人たちのことを指す。

それに対してそれは時期尚早であると「待った!」を掛けているのが、米国のトランプ、イーロンマスク、ロバートケネディJr(RKJ)、そしてタッカーカールソンたちである。トランプのアメリカファーストは、米国民に彼らを第一とする政治を約束するとともに、自国ファーストで付き合おうではないかと世界各国に向けての提案である。

米国を支配するグローバリストたちは、国境から不法であれ何であれ移民を歓迎し、彼らに選挙権を与えて米国を今少し支配下に置こうとしている。それでは米国は米国でなくなるとして、トランプらは命を懸けて、米国民のための米国を護ろうしているのである。

アメリカファーストは国内と国民を第一に考え、世界帝国など時期尚早であるという反グローバリストとしての意思表明である。それは国際法は世界を統治する権力の下に存在する「法」ではないという現実に沿っている。日本の支配層は米国グローバリストの配下にあるので、そのトランプらの姿勢に関する報道を完全にシャットアウトしている。(補足2)

3)日本は米国グローバリストの支配下から独立すべきである


現在youtubeなどで多くのひとが、日本の政治も日本国民を主人公とすべきであり、早く米国から独立をして、友好国の一つとして米国と付き合うべきだと言っている。それを妨害して、既得権益保持のために政権を悪用しているのが現在の与党である。

日本がこのような国になったのは、やはり戦後米国により行われた日本の骨抜きプログラムが第一の原因だろう。戦後80年になろうとしている今、日本国民の全てがそのことに気づくべきである。それが日本の21世紀の生き残りには必須だと思う。

日本国民が日本の主人公であると自覚するということは、自分の命と生活が日本国により守られていること、その様な日本国を維持するためには日本国政府が日本国民の政府であり、日本国民を第一に考える組織であるべきこと、そしてそのような日本国家を維持(或いは再興)するために自分も可能な範囲でその戦いに加わるという気持を持つことである。

その為には新たに日本国民の歴史を編纂し、それを国民全てが学ぶべきである。この国民の歴史は、国民の代表が国家を担う為には必須である。天皇制も、太古から現在までの日本国民の歴史を学び直してから、現代の天皇制の在り方を再度考察すべきだと思う。

天皇は日本神道のトップであり、日本国民の中心的存在であった。その元々の天皇の姿に復帰していただくことが、日本国民のために最善だと思う。明治以降昭和までの戦争の旗頭としての天皇の姿は、江戸時代までの姿と大きく異なる上に、本当の意味で日本国民の中心ではなかったと思う。

現在学校などで教えられている歴史は、現在日本を統治するが本当は国民の代表ではない者の為の歴史であって、決して日本国民の為の歴史ではない。(補足3)日本国民の為の歴史は、日本を中心とした世界の客観的事実に基づく日本国民視点の歴史であるべきである。

戦後米国は、日本にスパイを大勢置いて、日本に「戦争は罪である」という浅薄な政治思想を植え付けた。(補足4)その代表的な担い手は、日本の首相をはじめとする重要な政治家、日本の報道と文化を担う新聞社やTV放送局等のトップの人物などであった。(補足5)そのことを知るだけでも、日本国民の為の歴史を学ぶことの重要性がわかるだろう。

現在、これらの事実を知るにはネットなどで各自が勉強する以外に方法は無いだろう。インターネットはその為の強力なツールだが、言論や報道の規制にも非常に便利である。もしグローバリストたちによる政治が続けば、国民に割り当てられた番号(マイナンバー)と信用スコア(個人の信用を数値化した数値)を用い、中国で使われている様に国民を監視し束縛するだろう。

その時までに日本の政治を根本的に変えて、米国民主党やネオコンたちの下僕であるグローバリスト政治家から日本の政治を取り返さなければならない。この民族を救う英雄の出現が望まれる。(補足6)

日本国民が正しい歴史認識を得て、日本国と日本国民の地位を守るという気概を持ては、米国のトランプ、イーロンマスク、タッカーカールソンなどの英雄に匹敵する日本の英雄が直ぐに生まれる筈である。

今回の選挙では、そのような国民の動きの芽がみられた。参政党と日本保守党である。私は後者の主催者には殆ど期待していないが、直前に加わった共同代表には若干の期待はある。前者参政党には期待している。ぜひとも、政権与党になるまで頑張ってもらいたい。



補足:

1)これは世界支配において最大の障害であるロシアを崩壊させ無力化させる100年ほどの計画の一環である。ロシアの共産革命やソ連崩壊後の国有資産の分捕りは、グローバリストの中心に位置する世界の金融を支配する者たちによる企みであると言われている。そして、一昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、その最後の作戦に対するプーチン・ロシアの反撃である。この第三次世界大戦につながりそうな危険な企みは、ウクライナ侵攻の10日ほど前の記事に言及した。

2)米国には、移民国家であるものの南北戦争を乗り越えただけあって、愛国者がいる。トランプもイーロンマスクもRKJも命を懸けてアメリカ国民の国を再興すべく頑張っている。トランプが大統領になり、その後継者が2029年以降も政権をとれば、日本は真の独立が可能となるが、それは日本の試練でもあるだろう。自民党のように米軍の支配下を棲み処とする政治家は、早々に辞めさせなければならない。今がその時である。
ウクライナ危機について:米国はNATOの東方非拡大を約束すべき

3)例えば史記や日本書記などの歴史書は、それらが編纂されたときの支配者の正当性と正統性を主張するために書かれたので、必ずしも日本国民の歴史書ではない。国民の歴史は、日本国民が主権者であることを実証できる政治体制が築けたとき、時の歴史学者が書くだろう。

4)クラウゼヴィッツの戦争論では、戦争は外交の最終的手段である。因みに、米国は日本を弱体化するために、大日本帝国の支配者の一部をそのまま日本の管理者として置いた。それが吉田茂であり、岸信介など薩長土佐の人物である。彼らは、大日本帝国と戦争の真実を国民から隠す。それは同時に、米国と日本の敵対関係も隠すので、これから日本を更に利用することを考えている米国にも都合がよかったのである。それは、日本国民から戦争遂行者を批判することで先の大戦を乗り越える機会を奪った。そして、日本国民には「戦争は絶対やってはいけない」という戦争絶対悪の思想が蔓延ることになり、それが日本の骨抜きのための下準備となった。

5)米国のスパイ組織であるCIAの下で働いた日本人政治家として、岸信介がいる。彼のほか、CIAの下で日本の骨抜きの為にマスコミを牛耳ったのが、読売新聞や日本テレビの創業者であった正力松太郎である。日本の3S政策:screen(スクリーン=映像鑑賞)、sport(スポーツ=プロスポーツ観戦)、sex(セックス=性欲)を用いて大衆の関心を政治以外に向けることを担当した。

6)昨年7月8日の安倍元首相の暗殺は山上ひとりの仕業ではない。それは救急治療にあたった奈良県立医大教授の記者会見で明らかであるにもかかわらず、奈良県警も奈良県を地盤とする先の自民党総裁選の有力候補者も全く動かなかった。そのことが何を意味するか知るべきである。

(18:30編集あり;翌日早朝再度編集の後最終稿)


2024年10月20日日曜日

主体性のない日本国の起源とその軍事増強

1)戦争ができる国家への変質

自民党を中心に構成される日本政府は、憲法無視の実質的改憲を繰り返した結果、日本を戦争のできる国家に改造した。予想される戦争は主体的なものではなく、米国との軍事同盟により、米国の戦略に基づいての戦争である。そして現在恐れられているのは、中国が何らかの軍事行動に出る可能性である。

安倍政権は憲法の解釈を変えたのち、集団的自衛権行使を可能とした安保関連二法案を制定(2015年)した。その後岸田政権は、国家安全保障戦略(2013、安倍政権)において敵基地攻撃能力を保有すると明記する改定(2022年12月)を行い、自衛隊が完全な軍隊として機能する体制に整えた。

岸田政権は更に、2023年度から5年間の防衛費を1.5倍以上(43兆円)に増額するなどの国家防衛戦略や防衛力整備計画を決定した。これら一連の法整備に対する国内の関心はそれほど大きくなく、マスコミも関心を反らすように報道内容を工夫したように思える。

森友問題と加計問題、安倍元総理が暗殺されると、その事件の詳細よりも統一教会問題などの報道を熱心に行い、国民に法改正や解釈改憲の意味を考えさせる報道は避けた。(補足1)

この戦争ができる国家への改造は、韓国系のネット記事に分かりやすく纏められている。https://japan.hani.co.kr/arti/international/50465.html

そのハンギョレ新聞の記事は朝日新聞の報道を引用して、「日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして米国の外圧を利用し、『戦後安保のタブー』(元外務省幹部)破りを進めてきた感が否めない」と指摘している。

その記事は、ことの経緯はわかりやすく書いているが、この国家の主体性に関する記述(国家改造の力の源泉についての解釈)は間違っている。戦争が出来る国への改造の最後の段階は、エマヌエル大使(2021/12/22~現在)が日本に乗り込んで岸田首相を操り強引に仕上げたのだから、失う主体性など元々日本国には無かったというべきだろう。(補足2)

憲法に反し自衛隊を軍隊へ格上げした目的は、米国の世界戦略の中で米軍の下請けで戦う日本軍を作り上げることだろう。既に、戦時においては自衛隊の指揮権は米国が持つという密約があり、集団的自衛権行使という言葉すら相応しくないだろう。集団的自衛権というのは、複数の独立国に想定されているからである。

自衛隊という名の世界屈指の軍隊は、米軍の戦争に日本が参加するための軍として創り上げられ、改造された。

尚、日本が独立国でない証拠に、横田空域の存在がある。そこは、日本国内とされているが、日本の飛行機が自由に飛べない広い空域である。(補足3)これを見れば、日本が独立国でないことは明らかである。米兵が私人として町で犯罪を犯しても、日本に裁判権が実質的にないなど、他にも例が多い。


上の図で六本木ヘリポートとあるのは赤坂プレスセンターとも呼ばれ、横田空域の東端に存在する在日米軍基地である。米国人は、必要があればヘリコプターをこのヘリポートに着陸させ、入出国管理なしに街に出ることが可能である。米国と日本の国境を跨ぐトンネルの日本側出口である。

 

 


2)有事の際には米軍が自衛隊を指揮するという密約

上記の日米密約に関する日米会談は、米国の公文書に記述されているようだ。それは、吉田茂が口頭で交わした約束であり、限られた官僚により継承されてきた。この日本国民にとって非常に腹立たしい密約締結について以下の記事から要約で示す。https://gendai.media/articles/-/118982?imp=0

この密約はマーク・クラーク大将と吉田茂首相との間で口頭によりなされた。クラーク大将が、本国の統合参謀本部へ送った機密報告書には、「自宅に駐日大使、吉田茂と外務大臣(岡崎勝男)を呼んで夕食を摂った後、有事の際の軍隊の指揮権統一については、日本政府の明確な了解が必要であると説明し、同意を求めた」と書かれている。

吉田首相はすぐに、有事の際に単一の司令官は不可欠であり、現状ではその司令官は合衆国によって任命されるべきであるということに同意した。そして、この合意が日本国民に与える政治的衝撃を考えると、当分のあいだ秘密にされるべきであるとの考えを示した。

これが密約締結の場面に関する記述である。米軍の大将が、日本の首相と外務大臣を呼びつけて自宅で夕食をとったあと、日本の首相に申し渡したのである。同じようなことが、例えば駐日大使と官房副長官の間で、最近までなされていただろうと想像する。日米関係はこの75年間変わっていない。

こんな口約束なんて無視したら良いという考えを持つ人が多いかもしれない。ただ、片方が明確に記憶或いは記録している約束は、破棄したときに反作用が発生するという意味において有効である。つまり、条約でも密約でも破棄することは、その反作用を覚悟の上なら可能である。


3.参政党に頑張ってもらいたい

この歴史の流れを纏めると、敗戦とその後の米国統治により日本国はその全てを失った様に見える。北海道、本州、四国、九州とその周辺の小島は残されたが、日本は歴史も伝統もその記憶を含めて米国に消された様に見える。しかし、国の歴史や伝統とはその程度のものだろうか?つまり、マッカーサーが日本のすべてを変更したというのは本当だろうか? 

ここで大事な点は、米国は戦後の日本統治を再教育した大日本帝国の残党を用いたことである。その方が今後日本を利用しやすくなると考えたからだろう。その代表的なのが、土佐藩士の庶子でジャーディン・マセソン商会横浜支店長(吉田健三)の継嗣である吉田茂と満州に詳しい長州出身の岸信介等だろう。

上述のように、その吉田茂が有事の際には自衛隊を米軍が指揮するという密約を結んだのである。そして岸信介が日米関係の根幹をなす日米安保条約の改定を行った。そうしなければ、10年の期限を満了して自然消滅するからである。彼らは、諸外国の命をかけて国を守る姿勢のトップと比較して、あまりにも日本国民のことを軽視してきたように見える。

繰り返して疑問点を書く。極東軍事裁判で報復的に戦争に関与した主要なる人物を処刑し、米国占領軍が日本を約6年半統治したが、それでこれほどまでに日本は主体性を無くすだろうか? 

米国をはじめ連合国は、日本の本来の姿を軍国主義国家と考え、その骨抜きに完璧を期し、その結果100%成功した。そしてその計画通り、日本は完全に主体性を無くしたというのは本当だろうか? 

これらの答えは何れも「否」だろう。日本は敗戦と米軍統治により大きく傷ついた。しかし、日本国と国民の本体が目覚めたときにはこの戦争の為に改質された大日本帝国の日本でなく、元々の日本、つまり天皇と将軍が居た江戸時代の日本だったのだろう。(補足4を是非お読みください)

大日本帝国の生き残りがこの元々の日本を、封印されていた80年間に進んだ世界の中のあるべき日本へ上手く接続できないのは当然と言えるだろう。また、江戸時代の日本が目覚めたとしても何を何からやるべきかわからない茫然とした状態だろう。つまり、日本は明治で乗っ取られ、昭和で破壊されたのだ。 

「戦後安保のタブー」と元外務省幹部が語ったというのは「平和憲法」だが、近代日本の最大のタブーは「日本は独力で明治維新で近代国家を建設した」という誤った歴史解釈である。英国などとの強い干渉で薩長土佐がクーデターで日本の権力を奪いとったというのが事実である。

元々の日本が変質したのは、明治維新においてである。侍が頭の髪を切り、大名たちが領地を返還し、士農工商の別が消し去られ、その後富国強兵の下で大陸へ進出した。そんな政治体制の変革が10年ほどで出来ることではない。勿論偉大な成果と言えるだろうが、それを日本民族独自の視点で再評価しなければ誰にとって偉大なのかは分からない。

日本の支配層が完全に入れ替わったのは明治であり、昭和の敗戦時ではない。内閣の大部分は平和に対する罪で処刑されたが、その後日本を率いたのは、同じ体制下にいた処刑を免れた人物であったし、その後現在までの国家の首脳もほとんど同じ地方の似た家系のものたちである。天皇も、そのままであった。

従って、日本国を再度完全な独立国として再興する場合、江戸末期に戻ってそこから現在の日本への道を引き直す必要がある。つまり、日本再興には江戸以前に始まる日本の歴史の総括をやり直す必要がある。それを言明しているのは参政党のみである。自由民主党は、日本を米国の下で役立てるための政党だったことを忘れてはならない。


終わりに:

このままでは実質的改憲により世界第三位の軍事力となった日本は、米国民主党政権或いは米国ネオコン政権が計画する世界戦争に参加するだろう。自衛隊の指揮権がない日本は、米国の指揮で戦う羽目になるのである。何か変だと思っても、自民党政権は嘘と捏造で誤魔化すことになるだろう。

現在の自民党政府は、古くはベトナム戦争でのゴ・ジン・ジェム政権、最近では、ウクライナのゼレンスキー政権とよく似ている。こんな自民党政権を未だに日本国民は支持するのか? 

世界中が戦争に揺れている現在、国の方向を決定する選挙が日米で行われようとしている。日本人はこの自民党の本質を知って投票すべきである。米国の現政権はグローバリスト政権、つまり変形されたシオニスト政権である。彼らは世界統一独裁国家を築くべく各地で戦争を展開しているのだ。

 


補足

1)安倍元総理が山上という人物の単独犯だというのは、山上の位置と直後に手当にあたった奈良県立医大教授の方の記者会見の内容(入射痕と致命傷)からあり得ない。

 

 

2)「日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして米国の外圧を利用し」の部分、特に後半の “振りをして” 以下は、日本を警戒する気持ちから来ている。それが元々国内(朝日新聞)から出た言葉であることは、国民も政府を信用していないことを意味している。

3)横田空域の存在により、羽田空港へは海側から離着陸するなど制約が多い。もし横田空域が日本に返還されていたら、日航機123便の事故も無かった可能性がある。この事故も、米国隷属下の日本を示す一事例だろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12836247903.html

 

4)ここで言いたいことは、日本国民の殆どが奴隷のように戦争に送り込まれたが、敗戦の後も自分たちの意思で戦争遂行者を日本の政治から排除することが許されなかった。米国は、自国の都合で戦争遂行者の一部を利用し日本統治させることで、意のままに日本を操ることが出来る体制を作り上げたということである。そのようにすれば、日本の政治担当者は自分たちの立場を守るために、米国に逆らえないからである。

2024年10月14日月曜日

今年のノーベル平和賞は日本人一般には有難迷惑

今年もノーベル賞のシーズンになった。その中で平和賞ほど、受賞者がその栄誉にふさわしいかどうかの議論が多い部門はない。その理由は、世界政治は自然科学ほど単純ではないからである。今年のノーベル平和賞の授賞者を知って、再びそのように感じることになった。

 

BBCの報道によると、ノルウェー・ノーベル委員会のヨルゲン ・ヴァトネ・フリドネス委員長は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の受賞理由を、「核兵器のない世界実現を目指して努力し、核兵器は二度と使われてはならないのだと目撃者の証言から示したこと」と語ったようだ。https://www.bbc.com/japanese/articles/ckgnp02v5r0o

 

今回はこのノーベル平和賞受賞について、ノーベル賞の原点から日本への影響まで考えてみることにした。

 

1)ノーベル賞というラベル

 

ノーベル賞は、ダイナマイトの発明で巨万の富を築いたアルフレッド・ノーベル(1833-1896)による「自分の遺産を最も人類に貢献した人物に授与してほしい」という遺言に従って1901年に創設された。

 

その遺言の切っ掛けは、ノーベルが、或る新聞社が兄の死を自分の死と勘違いして「死の商人死す」と新聞に掲載したことだったという説がある。ノーベルが発明したダイナマイトが土木工事などの他、武器弾薬として多用されたことが、このような新聞紙上の評価につながったのである。

 

その記事にショックを受けたノーベルが、莫大な遺産を用いて永遠に自分の名を美化しようとして創設したのがノーベル賞だというのである。

 

ダイナマイトは、包丁や拳銃などの歴史上の偉大な発明と同様に、人々を豊かにする場合もあるが、人を傷つけ死に至らしめる場合もある。評価は、誰が何の為にするのか何を物差しに用いるかなどと、人と立場により大きく揺らぐ。このノーベル賞誕生秘話はその教訓を示している。

 

ノーベル賞は非常に権威が高く、科学や文学における業績を超優秀なものとそれ以外のものとに切り分ける。(補足1)そして、専門的な成果に対して専門外のものが安易に評価を下す際の「ラベル」として働く。意地悪く言えば、ノーベル賞は本来真実と向かい合う学問の世界で、名誉とそれに伴うメリットに対する人間的争いを助長する。

 

平和賞の場合は同様に、時として大きな力となって大衆世論を動かし、辛うじて機能している世界の民主政治に衆愚政治の種をまき散らすと言えなくもない。

 

例えば、ノーベル財団が明らかにした佐藤栄作氏のノーベル平和賞受賞理由の中で、佐藤氏が表明した非核三原則について「アジアの平和にとってこの姿勢は非常に重要だ」と評価している。それ以降、日本では非核三原則を批判すれば政治家は選挙において票を減らすことになった。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240105/k10014309481000.html

 

これが日本が非核政策を長く維持させる一つの力となったと言える。その一方,中国と北朝鮮が核兵器を開発し保有することになり、非核三原則とそれに対するノーベル賞の権威付けは、アジア全域ではなく核保有国の中国と北朝鮮の平和に貢献したと言えるだろう。

 

 

 

2) 日本被団協のノーベル平和賞受賞理由

 

日本被団協の活動は、核廃絶(核兵器禁止条約に全世界の国を加入させる)という理想を掲げて努力するという“草の根運動”である。その目標は、「理想」と「努力」という尊い概念から構成されており、彼らの運動を通常の論理で否定するのは困難である。

 

また、核兵器禁止条約への非核保有国の参加は、既に述べた様に、イザというときに仮想敵国かもしれない核保有国を利する効果しかない。非常に流動的な現在の世界政治において、中国の核兵器と対峙する日本国の政治的選択を狭める役割をしてきた。

 

広島サミットで岸田首相が明言したように、自民党政権は核兵器禁止条約を対外戦略の柱にしている。それは、自国に足枷をはめ込む愚かな戦略である。

 

世界中にたくさんの核廃絶を訴える人たちが居るが、ノーベル財団が特に日本被団協を授賞対象に選んだのは、自民党政権とそれを支持してきた日本国民に対し、今後もその核廃絶を目指す姿勢を堅持してもらいたいというメッセージを送る為だろう。

 

世界が第三次大戦を予想するようになり、日本でもボツボツと核武装の議論が出てくるようになった。そして、国家の防衛を原点から考える石破元防衛庁長官が首相になり、核共有までを考え言及するようになった。その日本の雰囲気の変化にノーベル財団が反応したのだろう。

 

繰り返すが、彼らの草の根運動が世界平和に貢献するほど、世界政治(での登場人物)は純情さを持たない。しかし(或いは案の定)、マスコミ各社は今回の日本被団協の受賞に触れる形で日本の核戦略を批判的に報じている。https://www.tokyo-np.co.jp/article/359921

 

例えば東京新聞は、石破茂首相は北大西洋条約機構(NATO)のアジア版創設を持論とし、その中で「核の共有や持ち込み」を具体的に検討すべきだと主張しているとして批判をしている。戦後の日本には、核兵器の共有を具体的に言及する首相はこれまで居なかったのである。

 

第三次世界大戦直前か或いは既に第三次世界大戦は始まっていると言われるぐらいに緊張する世界にあって、しかも3つの核保有国に囲まれている日本の首相が、米国の核兵器の共有に期待する発言をするのは常識的である。

 

この時期を狙って日本の被爆地に存在する日本被団協にノーベル平和賞を与えることは、日本に石破氏の核兵器対策を批判する世論を惹起する目的があったのではと考えられる。

 

ノーベル財団、そしてそれを支配する人たちは、この世界情勢が不透明になっている今、“日本が将来核保有国になる危険性”を危惧しているのだろう。(補足2)

 

 

おわりに

 

核兵器が廃絶されるのは、核兵器と同等或いはそれを超える威力のより安価(製造及び管理上)な兵器が発明された時である。或いは、独裁的な世界政府が出来、そこが核兵器狩り(秀吉の刀狩りから)をしない限り廃絶されることはないと考えるのが普通である。そんな時は当分来ない。

 

有史以来、民族と民族或いは国家と国家が生存をかけて戦争してきた。その状況では、国際法や国際条約などは無意味であり、全ての民族はより殺傷力の強い新型兵器の開発に努力してきた。その冷厳な事実は、ユダヤ人とアラブ人のパレスチナでの戦争を見れば分かる筈である。

 

また、ウクライナはソ連崩壊の時にブダペスト合意への英米露の署名と引き換えに、多数の核兵器のロシアへの移送に合意した。その合意は、国際条約に準ずるものだが、ロシアの侵攻を防ぐ力はなかった。このケースは、核兵器の戦争抑止効果を学ぶ教材と言える。

 

日本人はノーベル平和賞からよりも、現実に東欧や中東で発生していることから教訓を得るべきである。

 

 

補足:

 

1)この切り分けるという表現は、ノーベル賞の対象となった研究は単にその分野の一里塚として示されただけであるにも関わらず、特別な標識(ノーベル賞という)が付けられることを意味している。専門分野を持ち、そこで研究生活を体験すると、その分野の大きさ深さを実感することになる。その中でノーベル賞の栄誉に輝いた研究を見ると、上記表現の正しさが理解できるはずである。以下の文章を読んでもらいたい。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12536939371.html

 

2)現状では日本は核武装できない。例えば馬渕睦夫元ウクライナ大使は、日本が核兵器保有に踏み込めば、中国は国連憲章の敵国条項を理由に日本攻撃を開始するだろうと言っている。長年の政治の付けは長い年月をかけて支払う必要がある。

 

2024年10月10日木曜日

官房機密費は廃止すべき

政治と金の問題は常にそして古くから存在する。もし日本が本当に民主主義政治の国なら、政治献金は如何なる形でも廃止すべきだ。選挙活動の全てを行政が担当すればよい。テレビやインターネット、選挙公報などでその政治家の考え方と覚悟、そして資質が判断出来る筈である。

 

今回も、政治と金の問題で首相辞任と解散総選挙となった。そんな愚かなことはもう止めてもらいたい。票と金が間接的にでも結びつくような可能性は、完全に排除すべきである。

 

政治と金の問題で、マスコミで頻繁に言及されたのがパーティー券などでの政治資金集めとその分配であった。しかし、日本の場合、それ以上に問題にすべきは、官房機密費とその使い方である。マスコミでは重要な話としてあまり深く言及されて来なかったが、その理由は後の方で分かる筈。

 

官房機密費は毎月1億円、1年間12億円が内閣官房長官室の金庫に入れられ、官房長官が何処かに分配する。元は税金である。毎年使い切りで使い道は一切問題にされないし領収書は取らない。余って国庫に返されたという話も全く無いようだ。

 

官房機密費は、複雑な国際関係のなかで諜報活動とか、日本国の為急いで処理しなければならない案件に、専ら使われていると信じてきた。しかし日本のようにスパイ活動も反スパイ活動もほとんどしない国では、現政権の為の政治活動に使われていたことが、政界を引退した野中広務元官房長官により暴露された。野中氏は、官房機密費は廃止した方がよいと言ったという。

それに言及した動画を見つけたので以下に引用する。米国スタンフォード大フーバー研究所でフェローとして長年活動してこられた西鋭夫氏の「Hoover Report」(西氏のyoutube動画シリーズ)の一つである。明治以降の日本とアヘンの関係にも触れている必見の動画である。

 

満州支配とアヘンの話は実に面白く且つ重要なのだが、此処では文章としない。視聴してもらいたい。https://www.youtube.com/watch?v=XFtrh10RnpE

 

 

この動画の後半に、官房機密費に関する話が出てくる。自民党政権の安定確保のためにマスコミにばら撒いたり、政治家としての人脈づくりのためにバラまいていることが、野中広務氏の告白で明らかになったというのである。

西氏は、官房長官になった人は高い確率で総理大臣になれると言っている。安倍晋三氏や菅義偉氏も、総理大臣になる上で、その金の力が大きかっただろうという趣旨の解説をしている。

民主主義の前提は言論の自由や報道の自由である。この報道の自由を、官房機密費が破壊しているという話は本当に腹立たしい。

 

 

野中広務氏の告白によると、官房機密費から金を持って行って返却したマスコミ人は、田原総一朗氏ただ一人だったという話はショッキングである。

首相の部屋にも毎月1000万円配るそうである。官房機密費は領収書が要らないので、勿論税金も支払われない。年間1億2,000万円は個人のレベルでは大金である。使いようによっては、大きく日本の政治をゆがめることになるだろう。

 

この話は毎日新聞の記事にもある。有料記事なので全文は読めなかったが、大事な部分はネットでも読める。野中広務氏が語る官房機密費の使い道


===おわり===

2024年10月7日月曜日

日本経済の立て直しには何が必要か

この30年間、欧米G7グループ各国のGDPが増加し続ける一方、日本のGDPのみが殆ど増加していないのは、政府の財政政策の失敗だと考える人がかなり居る。具体例を上げると、参政党から次回の総選挙に立候補を宣言している安藤裕氏は、下図(図1とする)を見せながら、財務省がプライマリーバランスの方向を優先し、財政拡大にブレーキをかけたことが原因だと言っている。(補足1)
ttps://www.youtube.com/watch?v=RFVncpWe2BI (part 1)

https://www.youtube.com/watch?v=2e8ThrUPPpE   part 2

ネット上でそのような財務省批判を積極的に発信している人に、自民党総裁選で高市早苗氏を応援してきた西田昌司議員、立憲民主党の江田憲司議員、民間人では三橋貴明氏や藤井聡元内閣官房参与(安倍内閣)などが居る。

 

その他、年収〇〇万円時代という庶民の味方風の著書で有名な森永卓郎氏は、財政赤字を懸念して積極財政に賛成しない人たちをザイム真理教の信者と呼んでいる。(補足2)このザイム真理教という言葉は、「これまでの緊縮財政」を批判する人たちにとっての便利な用語となっている。

 

政府は、税収以上の予算を組むことも時として必要だが、財政法4条(補足3)が規定するように、単なる赤字補填の国債発行は禁止されている。慢性的に財政赤字を継続すれば、いつか途上国によくある様な通貨安やインフレに苦しむことになるからである。

 

安藤氏らは、緊縮財政で景気浮揚策が取れないことが原因だと言っているが、積極財政で経済が上向くのなら、社会主義国家が貧しくなる筈がない。また、現状でも日本政府は放漫財政と言われるほど国債を発行し続けて来ているので、低迷の30年間の原因は他に求めるべきだ。

 

下の図(図2)に示すように、G7の日本以外の国では国債残高が年々増加するものの、GDPの1.5倍以下に収まる。財政規律をある程度守りながら成長を遂げているのである。右側に1975年以降の一般会計歳出、税収、国債発行額を示している。このような放漫財政を継続すれば、円安とインフレが進行し、将来国民の安定した生活を破壊する可能性が高い。

 

日本は、“構造的不況”に苦しむ間、その「構造」への対処をせず、ひたすら財政という栄養補給で耐えてきた結果、G7でダントツ最大の債務残高を積み上げたのである。それは厚生労働省や経済産業省など内閣全体の責任であり、それを財務省にのみ押し付けるのは非常に奇異である。

 

この”低迷の30年”は、米国と日本の経済外交関係の変化(プラザ合意など)が引き金となったが、日本の特異な労使関係を生む文化と西欧から来た近代経済システムとの不適合を修正する等の工夫があれば、新しい日米経済関係の中で一定の成長があった筈である。

 

そのことは、政権内部でも議論されて来たようで、先の自民党総裁選の時の会見で小泉進次郎氏が発した「30年間議論してきた」という言葉で明らかになった。自民党議員たちは、改革の痛みで発生する国民の声により失職する危険性を恐れ、この改革を放棄してきたのである。

 

安藤氏らは、これらの事実と歴史を意図的に看過している。そして彼らは、財政法は完全無視し、政府は自国通貨建てで国債を発行する限り、財政破綻などする筈はないとか、政府の借金は国民の財産になるなど一面の真理を用いてごまかしているのである。

 

勿論、自国通貨建ての中長期国債が一定以下の想定金利で継続的に売れるのなら、この考えは成立するだろうが、それは基軸通貨発行国の米国以外では全く無理な相談である。何れ日本も、戦前のように外貨建ての国債しか売れなくなるだろう。

 

安藤氏の上記動画サイトには@rcspinopのハンドル名でコメントを書いて批判した。ある意味当然だが、多くの意味のない反論をもらった。

 

 

1)先進国での経済成長

 

経済成長を需要面から見ると、それは一般国民の購買欲の拡大 とそれによる消費増加である。購買欲の拡大には①個人の収入が増加し、且つ、②将来に経済的不安がないという条件が必要である。その収入増には、会社等の利益増加やその配分が必要で、その為には通常、労働生産性向上が必要である。(補足4)

 

つまり、需要側から見た購買意欲の増加が、供給側で見た労働生産性向上によって裏書されることで経済は発展する。

 

この図式が可能となるには、企業側ではオリジナルな技術の開発や製造ラインへのロボットの導入などの研究開発や設備投資が必要であるし、労働者側ではその企業側の要求にふさわしい労働力を供給しなければならない。教育側は、そのような人材を育てる必要がある。

 

これら全てが揃うことで、経済成長が継続する。政府の積極財政や地方創生などは、田中角栄の「日本列島改造」の段階での主題だと思う。それ以上の役割を政府の財政に期待するのは無理だろう。

 

日本は、資源がなく食料もエネルギー源も国外に依存するハンディを持った国である。その弱みを国民や諸機関・法人ともに意識し、自らの役割を意識して果たすことが、国全体の経済力となって表れる。国民には、ふさわしいポジションを得る努力、移動する勇気等が不可欠である。

 

政府は、それらの経済主体(人や会社)が過度に心配することなく行動できるように、規制を緩和したり諸制度を改めたりするような改革をすべきである。枠にはまった教育システムで22歳で大学を卒業し、揃って恭しく入社式で会社に迎えられ、定年で退社するという昭和のパターンは過去に送り去るべきである。

 

また、同一労働同一賃金なんて、当たり前のことが未だ実現していない。技能実習生としてごまかして安価な外国人労働者を雇うとか、そのほか様々な不公平と既得権益を改めないで経済成長なんか達成できるはずがない。

 

豊かな経済の復活維持には、国民全員の能力と勤勉さが有効に滞ることなく発揮される日本でなければならない。それらが報われる国でなくてはならない。積極財政一本槍で、国民を一様に豊かにするという類のマクロ経済政策を唱えるのは、本当に無責任である。

 

安藤裕氏の話の中には、上記のような内容は一切なかった。と言うよりも、無知なる者をごまかすような類のレベルの低い話だった。

 

2)政府が借金をしても国民に購買意欲は発生しない

 

日本政府や日銀の貸借対照表(BS)は、2013年頃に始まる異次元の金融緩和で非常に大きく且つ不健全になっている。下に示すのは日銀のHPからとった日銀当座預金残高の推移である(図3)。金融機関がこれだけ多量の預金を日銀に持っているのだから、貨幣に対する需要があれば幾らでも信用のある企業は借金ができる。

 

 

これだけ日銀当座預金が積みあがっているのは、民間にお金に対する需要がないか、銀行がまともに機能していないかである。財務省はお金をばらまいても、日銀当座に積み上げるだけであり、日銀は大きな国債残高故に独立して金利を動かすことが出来ない状況にある。

 

今、この時期に積極財政を言い出す人の考えがわからない。政府に積極的に金を使って正面から日本の経済を浮揚させる能力など無い。(補足5)政府は、環境づくりと規制緩和や既得権益廃止など法の整備など、側面或いは裏からの寄与に徹すべきである。

 

 

このグラフ一枚で、上に引用した安藤氏の動画の内容がインチキであることが、分かる人には分かるだろう。順調な経済は、政府が債務を拡大し、それと同額の大きい資産(ストック)を政府以外が持つだけで達成できる訳ではない。国民の購買欲を上げることが出来ないので、財政政策でインフレを誘起することなど、意味がない。

 

上図(図4)で、財政赤字が企業の黒字として吸い込まれているが、労働者にはわたっていない。企業がため込むだけで投資する意欲がないのは、国民に購買意欲がないからである。財政拡大よりも、セクション1)で述べたような改革が必要である。

 

追補: 日本が成長できない理由をNewsweekが記事にしています。それを紹介し、自分の考えを追加した記事を5年前に書いていましたので、以下に引用します。日本社会では評論家や国会議員のレベルが低いことも同じ理由で説明可能です。所謂日本病です。

 

(10月12日追加)

 

補足:

 

1)安藤裕氏は慶応大経済の卒業している。2012年から2021年まで自民党衆議院議員(安倍派か?)。2022年から新党くにもりから参議院選挙に立候補するが落選、20249月次期衆議院議員選挙に参政党から立候補すると表明している。これらの動画は、参政党の神谷党首との対談の形で発表されている。この記事を書き始めた動機は、これら動画が神谷党首の経済音痴を暴露し、自民党ら日本の支配層にとっての脅威の一つを亡くす戦略の一環として発表されたと思ったことである。ただ、今では安藤氏が経済について深い理解がないだけだと思っている。

私も元理系研究者であり経済が専門でないので、以下の解説が十分だとは思っていない。コメントなどいただけるならありがたい。

 

2)森永卓郎は、「ザイム真理教――それは信者8000万人の巨大カルト 」という本を出版している。

 

3)財政法第四条: 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。財政法4条は、通貨発行は日本銀行の専権事項としている。

 

4)労働生産性向上には、例えば既存製造業においてはロボットの導入や諸業務のデジタル化などが代表的だが、新規産業の創出も大きな役割を果たす。新しい収益性の高い事業を作り出せば、それは全社員の給与を上げること(つまり労働生産性向上)につながる。

 

5)ここではトップセールスなど特別なケースは除外している。

 

参考:安藤氏は、図4に相当する米国のグラフも引用して、米国政府の方がより継続的に財政支出をおこなっていて、それが米国の経済成長につながっていると言っている。

=== おわり ===   (翌日早朝、補足1に文章を追加、数か所の編集の後最終稿)

 

 

2024年10月2日水曜日

高市早苗氏が自民党総裁選に負けた原因

自民党総裁選が9月27日行われ、第一回目の投票で高市早苗氏が1位、石破茂氏2位、小泉進次郎氏が3位となった。過半数の票を獲得した候補が居なかったので、上位2位までの決戦投票の結果、1位と2位が逆転して石破茂氏が勝利した。

全部で9人の立候補者があったので、最初から混戦が予想されていた。そんな状況なので、1回目の投票は各候補への期待が票数に現れ、第2回目の投票では2人の候補へのマイナスの評価が対立候補側の票となったと思われる。つまり、高市氏を忌避する自民党議員が石破氏を忌避する議員よりもかなり多かったということになる。

高市氏を忌避する理由は、彼女の大日本帝国が遂行した戦争を肯定すると誤解されそうな歴史観にあるだろう。高市新首相の日本が、最悪の外交関係の中で戦争大敗と国民の大量犠牲を招くという恐怖である。

 

石破氏を忌避する理由は、口先だけで自民党の党内野党として活動してきたこれまでの政治姿勢だろう。要するに、高市氏は何かをやりそうだから怖いが、石破氏は口先だけで何もやらないから選んだということになる。

ここまでを大胆に抽象化すると、自民党議員たちは、何かを積極的に訴え且つ実際に実行しそうな人物よりも、言葉だけで実際は何もしないと思われる人物を安全の為に選んだということになったのである。実際、早々に解散総選挙を実施して最初の任期では何もしないようだ。

 

普通に考えれば、高市氏一人よりも自民党全ての決定の方が正しいだろう。それは、何もしない人物が安全だということが正しいということになる。候補者一人ひとりの能力が低すぎて、自民党からは国家のために何かをする人を期待できないことを意味する。

 

政治家全体の質を向上させない限り日本の政治に改善はないことになる。

 

https://www.youtube.com/watch?v=5L9H6JbeXng


1)首相の靖国参拝に拘り総裁選に敗れた高市早苗氏

上に言及した最悪の外交とは、長期的には世界の中で日本が孤立すること、短期的には対中関係の危機的状況を招きかねないことだろう。

 

深圳での日本人学童の刺殺は、日中関係の悪化が危機的状況に近いことを示している。そんな状況下で、秋の例大祭に高市首相が靖国参拝した場合、経済的危機の中国でかなり多くの日本人駐在員とその家族の命が狙われかねない。日本国内でもテロ等が多発する可能性がある。更にその責任の擦り付け合いから、日中の軍事衝突にまで発展するかもしれない。(補足1)

上に引用したyoutube動画で朝香豊氏も、高市氏が首相になっても靖国参拝は実行すると言って全く妥協の姿勢を示さないので、自民党内の左の方の票が逃げたといっている。

私も、日本の将来を考えると今回の総裁選の選択は正しかったと思う。何故なら、政府代表である首相が靖国参拝を強行すれば、日本政府はサンフランシスコ講和条約での約束「東京裁判を受け入れる」を敢えて無視したことになるからである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12837289399.html

東京裁判を受け入れるということは、A級戦犯として断罪された戦争時の日本の指導者たちが世界の平和を破壊する行為として戦争を遂行したという理解、つまり戦争の原因が日本の軍国主義によるシナ大陸侵略にあったという理解を受け入れることである。

東京裁判が正しいとか間違っているとかいう問題ではない。(補足2)第二次大戦を含め近代の世界における戦争の最大の責任は、英米など西欧各国にあり、日本がその流れに乗った或いは巻き込まれてしまったことの責任は、それよりかなり小さいかもしれない。

 

しかし日本は、戦勝国の論理を受け入れて戦後再出発したのである。何故なら、國際関係は本質的に野生のルールで動いているからである。正しい方が勝つのではなく、強い方が勝つのである。戦後80年を経過して、今更第二次大戦の終結を否定し、再び米中英仏蘭の敵国になるという選択をするべきではない。

 

もし日本が強大な軍事力を持ち、世界を席巻しているのなら東京裁判を否定することも一つの外交上の選択である。しかし、日本は自衛軍すら真面に保有しない国である。

勿論、私人なら靖国に参拝することは信教の自由の範囲に入るとの主張は可能である。しかし、首相にはそれが出来ない。何故なら、日本の首相は日本国そのものであり、その中心だからである。

何故こんな単純な論理が高市氏には理解できないのだろう。日本の国会議員たちは派閥抗争や人事の問題で明け暮れ、勉強不足なのだと思う。石破氏は確かに職業的政治家に見える場合もあるだろうが、そのあたりの知識はあると思う。その差が、総裁選の結果を分けたのだろう。


2)憲法改正案への自衛隊明記する場合の問題点

また朝香豊氏は、石破茂氏の自民党の憲法改正案に対する態度を批判している。安倍内閣の時に決めた自民党案では、憲法92項を残したまま第3項に自衛隊を明記するが、それでは改正にならないというのが石破氏の意見である。

朝香氏は以下のように話す: 憲法改正には公明党の数が必要であり、その連携を維持するために9条2項を残し自衛隊を明記する草案を作ったのである。石破氏は評論家的発言をして、その努力の結果である自民党案に反対し、結局憲法改正が出来なくしてきた。自分の案に拘るなら、それで公明党を説得する努力をすべきであった。しかし、石破氏は汗をかくタイプの人ではない。

また朝香氏は、政治は多数派を握った方が勝ちであり、従って純粋を求めてはいけない。理想論を語ることは良いが、政治は理想論だけでは動かないとも語っている。高市氏が今回の総裁選では、多数派工作として自分の靖国参拝への熱意を一時的に曖昧にすることだったと語る。

しかし、現実政治が妥協の産物だとしても、守るべき一線が存在する筈である。そのレッドラインの認識において、朝香氏は間違っている。現在の自民党案で憲法改正をすることは、日本を世界の笑いものにすることである。そこに自民党を導くことは、反日国家の工作かもしれないと考えるべきだ。

石破新首相がすべきなのは、元々意見の異なる公明党の説得ではなく、そのような考え方の異なる政党との間違った連立を解消して、本来の考えに従って草案を作り国民に理解を求めることである。


終わりに:

日本の政治の貧困は目を覆うほどである。その大きな原因は国会議員の質が低いということだと思う。その一つの原因は、国会議員の殆どが職業として永田町(国会)に勤務しており、終身雇用に近い職の安定を求めて活動していることである。

 

二世議員が多いのが原因であるという人が多いがそれは結果であり原因ではない。タレント議員も元官僚の政治家も、次の代は代議士を目標に人生を歩むだろう。従って、日本の政治改革の近道は、国会議員を職業とはなり得ない制度を取り入れることである。

 

例えば、国会議員をボランティアとする。そのうえで、一生涯で5年間を政治家としての最長活動期間とする。待遇だが、実費と自分の本来の職業の中で、5年間の政治家としてのサービスによる不利益を帳消しにするレベルの給与を支給する。 

国会議員の定数は、野党を含めて内閣を構成する人数の3~5倍程度として、定数を半分以下にすべきである。選挙活動は、候補者数人毎の討論を唯一とし、選挙期間を3か月以上とる。選挙区は道州制として、国会議員の地方での政治活動へのかかわりは禁止する。

 

 

補足:

 

1)今回の総裁選で、中国及び米国から自民党議員たちに対して強い干渉があった可能性を指摘する人もかなりいる。伊藤實氏はある動画の中でその可能性を示唆している。https://www.youtube.com/watch?v=-yLv4OQ2rY8 (動画の13分あたりから)

 

中国の場合、高市氏が選ばれ首相として靖国参拝をすれば、日本人が大変なことになるかもしれないというタイプの脅し或いは干渉があった場合、その効果は大きいだろう。何故なら、自民党議員たちはその可能性を既に考えているからである。

 

2)東条以下の平和に対する罪での断罪は、①事後法での裁きであるので法理論的に本来無効だという考え方がある。それはかなり説得力を持つ。また、平和を乱した責任など日本になく、②日本にとっては防衛戦争であったなどの論理も、歴史を詳細に見ればその通りだったということになるかもしれない。しかし、それらを現在世界を牛耳る勢力は決して認めない。そして、日本政府が①や②の論理を用いることを放棄したことで、サンフランシスコ講和条約が成立したのである。同じ“力の論理(歴史は勝者が書く)”で、原爆投下も正しいとされてきた。

 

(編集歴: 10月3日早朝、本文最後の文を修正、そのほか助詞修正レベルの編集の後最終稿)

2024年9月30日月曜日

石破新首相が考える安保政策を25日付で発表した米国のシンクタンク

米国ハドソン研究所のHPに9月25日の日付で「Shigeru Ishiba on Japan’s New Security Era: The Future of Japan’s Foreign Policy(日本の新しい安全保障の時代についての石破茂が語る:日本外交の将来)」という論説論説(Commentary)が掲載されている。

https://www.hudson.org/politics-government/shigeru-ishiba-japans-new-security-era-future-japans-foreign-policy

 

記事は、最初にこの文章がハドソン研究所に送られた由来を紹介する文章で始まる: 

 

Shigeru Ishiba, the next prime minister of Japan, exclusively shared his views on the future of Japan’s foreign policy in response to a request from Hudson Institute’s Japan Chair. The following is an unofficial translation of his response, which was published before Ishiba was elected and reflects his personal opinion.

 

日本の次期首相である石破茂氏が、ハドソン研究所日本担当主席の求めに応じて、将来の日本の外交に関する彼の見方を独占的に返答した。以下は彼の返答の非公式な翻訳文であり、選出前に出した私的な考えである。

 

本文には、①アジア版NATOの創設、②国家安全保障基本法の制定、及び③米英同盟なみに日米同盟を強化することが、それぞれ必要だと書かれている。

 

①のアジア版NATO創設については、以下のように書かれている。ウクライナがロシアの侵攻を受けたが、NATOに加盟していないウクライナは、安全保障理事会で国連軍派遣が決定されるまでの間の国連憲章51条に謳う集団的自衛権の行使が出来なかった。もし、日本が中国に侵攻されたとして、ウクライナと同様の運命に陥らない為には、アジア版NATOが創生され、日本が加盟しなければならない。

 

この考えは、安倍内閣の時の集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定があっても、日米安全保障条約第5条による米国の軍事協力に不安があることに因る。つまり、5条の中にある「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」という条件が、米軍が日本防衛に参加しない根拠となる可能性を石破氏は考えているのだろう。

 

これらの不安材料をなくすために、国内法の整備である②国家安全保障基本法の制定と、③日米同盟の米英同盟なみの深化・強化が必要だと考えられる。日米安保条約にある米国の言い訳「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」が事実上無効となり、迅速且つ無条件に米国の軍事協力が得られるようにしたいのだろう。

 

短い文章であり、日本語訳もついているので、簡単に読める。ここでは私の理解のエッセンスを書いた。

 

2)何故米国のシンクタンクは25日に既に石破氏が新首相になることを知っていたのか?

 

この記事の存在を知ったのは、ヤフーニュースが韓国ハンギョレ新聞の記事を報じたからである。同新聞は、このアジア版NATO構想が本格的に推進されれば、韓国もその集団安保体制に参加する構図になり、波紋は避けられなくなる。ただし、実現の可能性については疑問の声が多いと書いている。

 

ハンギョレ新聞は韓国の民主化に深く関係し、市民を株主として誕生した新聞だという。韓国が中国と日本の間にあることを考えると、上記の波紋の意味が分かるような気がする。

 

ハンギョレ新聞には、ハドソン研究所のHPに石破氏の上記考え方が現地時間の27日に掲載されと書いている。それは、ハドソン研究所日本担当主席が25日に石破氏から得た返答ではなく、27日にアップロードされた石破構想に関するIku Tsujihiro & Riley Waltersの解説記事だと思われる。

 

ハドソン研究所のHPで検索すると、commentaryの目次は以下のようになっている。

 

一番上に上記Iku Tsujihiro & Riley Waltersの署名で、次期首相としての石破茂の方針という記事があり、その4つ下に最初に紹介したハドソン研究所日本班のトップが受け取った石破茂氏の将来の日本外交についての返答が9月25日の日付で紹介されている。

 

既に上に書いたように、その25日に公表された文章中には明確に次期首相と書かれている。上の目次にみられるように、ハドソン研究所のHPが日付を間違える筈がない。この日付の矛盾として二つの可能性が考えられる。

 

一つ目は、27日の総裁選の結果が出る前に、ハドソン研究所は石破氏が次期総裁となる可能性が大きいと考えて、石破氏に今後の日本の安全保障外交についての考えを聴き、それを25日のHPにアップした。その後、実際に新総裁となったので、文頭の記事の由来を書き換えた可能性である。

 

二つ目は、党員党友の投票(26日に締め切り)の25日までの分の結果を知っていて、自民党議員の投票結果も合わせた最終結果に完全な自信をもって予知できる人物が存在し、それをハドソン研究所に知らせたというシナリオである。

 

この日時の矛盾は何を意味するのかはさっぱり分からない。自民党は選挙を捏造し、日本国民よりも米国のシンクタンクとより親密なのかもしれないとか疑ってしまう。或いは、そのように思わせる諜報活動かもしれない。どなたかこの日付と内容の矛盾がどうして生じたのかわかる人はコメントでお教えくだされば幸いです。

 

追加: なお、石破氏の自民党総裁への当選は意外であった。そのことは何よりも当選が決まった瞬間の為替と先物株価の急変が示している。(19時記入;同時に本文の編集少々)

 

=== おわり ===

2024年9月28日土曜日

石破新総裁で対中関係の危機は多少先送りか?

石破茂氏が27日の自民党総裁選の決戦で思わぬ票の動きで勝利した。第一回目の投票で党員票でも国会議員票でも高市氏に負けていた石破氏だったが、1位と2位の間で行われる決戦投票で、一回目で別候補に投じられた票がかなり纏まって石破氏に流れたと考えられる。

 https://www.youtube.com/watch?v=fdRADLbafak

 

 

恐らく前回の総裁選で出来ていた小石河(小泉、石破、河野)連合関係の票がかなり石破氏に流れたのだろう。また、第一回投票後の5分間演説 (動画2:16:00~) の最初に、石破氏がこれまで不快な気持ちにさせてきた議員たちに、自分の能力の無さの結果であったとして謝罪したこと等が、大きかったという評論家もいる。(補足1)

 

確かに石破氏の演説は良くまとまっていた。政治の原点を持っている人物のように思える演説だった。自民党をルールを守る公正な政党にするという言葉に共感した若手がかなりいた可能性もある。最後まで手を抜かなかった石破氏の姿勢が、思わぬ形で勝利に結びついたのだろう。
 

更に、高市氏の対中国強硬姿勢が不必要に中国を刺激することとなり、不測の事態を招きかねないと感じる人たちが、安心感を石破氏に求めた可能性もあると思う。また、石破氏がこれまでの演説で、日米地位協定の見直しや東アジア版のNATO創設という具体的な改革に言及したことに、若い世代の国会議員には賛同した人もいたと思う。

 

石破氏の経済政策には大きな不安を感じるが、経験と知識のある石破氏が当選したことは、安全保障、特に対中国外交の面で一安心だと言える。

 

その経済政策だが、大企業の利益の積み上げや配当金の増加を悪のように言及する発言、法人税や金融所得課税の強化への言及など、経済を疲弊させるような発言があった。その一方、海外進出率の高い大企業に国内回帰させたいという発言など、互いに矛盾し且つ自由主義経済の原則に反するような話をしている。(補足2)

 

決選投票前後の演説でも、岸田政権の「新しい資本主義政策」を進めるという類の発言をしていた。岸田氏が最初に言った新しい資本主義は、クラウス・シュワブの「株主の為の資本主義から全関与者の為の資本主義への転換」という考え方であり、突き詰めれば新世界秩序或いは世界共産主義帝国を築くという発想である。“論理的に話ができる”人だと思っていた石破氏から、新しい資本主義という言葉が出れば、経済界は警戒するのは必定である。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0201_2

 

もし石破新首相となり、そのような左翼的経済政策を実行すれば、日本経済は不況に落ち込むだろう。小泉氏の解雇規制を徐々に緩和するという話よりも遥かに強い打撃を与える上に、何の利益も結局生まないだろう。実際、石破氏が当選した瞬間から日経先物が2000円ほど急降下している。

 

自民党の総裁候補9名とも、クラウス・シュワブの「新しい資本主義」が世界共産主義革命の現代版であることなど知らないのかもしれない。また、彼ら全員がウクライナ戦争とはロシアが領土拡大欲求を満たすために国際法に違反してウクライナ侵攻したことが殆どすべてであり、国際秩序が守るためにはロシアを懲罰し、ウクライナを全力で支援しなければならないという理解に留まっていることと符合し、将来の日本外交に不安を感じる。
 

以上、石破氏は新しい風を一時期日本政界に吹き込むかもしれないが、現在のままでは日本のリーダーとしては能力不足であり長期政権にはならないだろう。それでも今回先頭グループを形成していた石破、高市、小泉の三人の中では一番安定感のある人物だと思う。今後、いろんな人から話を聞いて、徐々に立派なリーダーに変身(補足3)していってもらいたい。


 

補足:
 

1)自民党議員の中にも、中国に対して強硬姿勢を見せる高市氏に不安を感じる人が多いかもしれない。首相になっても靖国参拝を継続するという発言もあり、高市首相が誕生した場合には中国に駐在する日本人に更に大きな被害が発生する可能性があった。そのような議員たちが石破氏の方に流れやすくする効果が、この謙虚な姿勢と言葉にあったと考えられる。

 

2)石破氏は選挙戦の演説の中で次のように言っている:ドイツや韓国の輸出額の対GDP比が夫々47%と44%であり、日本のそれは18%に過ぎない。その低い値は日本の製造業がより多く海外に出ている結果なので、それらの国内回帰を目指す。

ただ、企業でも人でも、日本を出るのは日本が棲みにくいからである。その改善をしないならそれら企業が日本に回帰する理由はない。企業の剰余金に課税したり、配当金などの金融所得に新たに課税するという石破氏の方針とは矛盾している。

そんなことはしないで、小泉氏が言ったような日本にダイナミズムを採り入れる改革を徐々に採り入れるのなら、海外進出した工場も日本回帰が可能になってくるだろう。

 

3)ソ連のゴルバチョフ書記長の例もあるので、まったくあり得ないことではない。自民党を換骨奪胎するのである。

 

(14:00修正;翌日早朝編集後最終版)

2024年9月23日月曜日

対中国防衛には核武装が必須である:深圳日本人児童刺殺事件で考えた

中国の脅威が米国の強める対中強硬姿勢により大きくなり、それに応じて中国は戦争準備を進める一方、日本も米国による対中国作戦への協力体制が着々と準備&整備している。http://www.world-economic-review.jp/impact/article1842.html 

 

それらを列挙すると: 1.憲法改正; 2.中露朝との緊張増幅; 3.NATO諸国の軍と共同演習; 4.防衛予算の拡大; 5.財政法無視の常態化; 6.人気の落ちた岸田総理から、女性初でグローバリストの総理大臣へのバトンタッチ?

 

6.の総理大臣の交代だが、自民党総裁選は9人の立候補を得て、27日の投票を待っている。その中で有力な議員が多くいるが、もう従米反中路線の高市候補にほぼ内定しているのではないかと14日の本ブログサイトで書いた。小泉進次郎氏は、大衆への人気と立候補会見での政策ともに抜き出ているが、落選するだろう。(補足1)

 

ほとんどの候補が掲げる中心的課題は経済振興であるが、河野氏と小泉氏以外は結局財政法(の精神)を無視して国債を大量発行する(日銀に半強制的に引き受けさせる)ことに頼るようだ。生産性向上に関して具体的且つ本質的な対策を述べているのは小泉候補のみである。(前回記事参照)そこで、いわゆる右派系を動員して大々的に小泉おろしキャンペーンがなされている。

 

中国及び米国の脅威に話を戻す。
 

今年6月頃だったと思うが最近の政治の動向を見て、ジェイソンモーガン氏は以下のように話している: 米国は戦争に先に黒人を送り込み、彼らが死んでから白人を送るという方法を、ベトナム戦争などで用いてきた。これから日本人が先に前線に送られ死ぬことになるだろう。 https://www.youtube.com/shorts/4IRBSSrCytI

 

これも少し古いが、今年625日の東京新聞のネット記事を引用する。“「自衛隊と他国との訓練」がこんなに増えている 対中防衛の最前線を「日本に任せたい」アメリカの思惑?” と題する東京新聞の記事がある。https://www.tokyo-np.co.jp/article/335733

 

上記 対中国政策の3NATO諸国の軍と共同演習について書いた記事である。ここでは対中防衛と書いているが、それは対中戦争とも読める。石破氏を除いて、残りの候補はほぼすべてこの米国の意思を尊重しているようだ。

 

ただ、対中国防衛として進めている自衛隊装備と他国との軍事協力の増強が、日本の防衛というよりも集団的自衛権行使を可能にした安保法制に則り、米国の対中国戦争へ向けた日本にとっては捨て身の協力体制のように見える。

 

日本国と日本国民の生命と財産の防衛を論理的且つ真剣に考えれば、対中国防衛には全く異なった体制が必要である。NATO諸国の軍と共同演習をやるより、日本国内での核ミサイル迎撃システムや核シェルターの設置が必須である。そして、何よりも核抑止力としての核武装である。

 

米国との集団安保など日本国防衛には無意味である。米国は日本防衛に対して米国自体が核攻撃される危険性を顧みないで日本の敵を核迎撃する筈がない。核の傘は幻であり、敵は米国の核反撃を恐れて日本への核攻撃を踏みとどまる可能性は小さい。(第3節の朱成虎少将の言葉参照)


 

2.対中国防衛
 

中国の大量の核兵器が、仮想敵国に投下されるシナリオは多くあるだろうが、その中で非常に確率が高いのは、集団的自衛権の発動として対中戦争に参加する日本への核攻撃である。

 

日本国民は戦後平和国家として再出発を誓った。日本には通常兵器での武装さえ、戦争につながる可能性を考えて反対する人が多い。従って、日本人の純粋な意思によって政権が選ばれる限り、日本側の責任で他の国との間に戦争の種が発生することはない筈である。

 

しかし、21世紀に入り。日米安全を集団的自衛権を日本も行使し得る軍事同盟に格上げしたのが、小泉(父)政権の時の有事法制と安倍政権の時の安保法制である。米軍への協力も含めて事態ごとに取りうる軍事行動を記述し、米国などとの集団的自衛権の行使を可能にする法律:「平和安全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」を制定した。

 

これらは明らかに憲法の想定範囲を飛び超えている。

 

米国が中国の弱体化を狙って日本やフィリピン、そしてANZUS(オーストラリア、ニュージーランド、米国)らを動員して戦闘になることを予期しながら、今後中国を刺激していくだろう。それは、ウクライナ戦争に至るまでに、カラー革命、NATOの東方拡大、ウクライナでのテロなどでロシアを20年間刺激してきたシナリオの中国版である。

 

現在中国経済はボロボロで、米国ネオコンたちは中国潰のチャンスとみているだろう。そこで中国を何かと刺激すると、経済がボロボロの中国、民衆の不満がたまっている中国は激しく反応する。その刺激する側に日本が入っていれば、歴史問題とその教育によって育成された彼らの敵意は一挙に日本に向かうだろう。
 

学校教育で日本は悪い国で日本人は悪人であると教えられてきた中国人には、現在既に日本人への憎しみが相当増幅されている。戦争となれば、まずは日本をターゲットにする筈。台湾統一は習近平の業績稼ぎにはなるが、同胞だと考えるので、あまり手荒なことはできないが、日本に対してはどんなことでも可能である。

 

中国人民解放軍少将の朱 成虎は、今後核兵器は日本やインドに用いる可能性を公に発言している。ウィキペディアに書かれているが、朱少将の20077月の西側メディアに対しての発言を下に引用する。


 

3.中国による対日核攻撃

 

「我々(中国)は核兵器の先制攻撃により中国以外の人口を減らすと共に自民族を温存させる事に力を注ぐべきで、この核戦争後に百年余りの屈辱に満ちた歴史を清算し未来永劫この地球を支配する様に成るだろう。世界の人口は無制限に迅速に増加している。今世紀中に爆発的増加の極限に到達するはずだ。しかし地球上の資源は有限なのだから、核戦争こそ人口問題を解決するもっとも有効で速い方法である。

 

中国政府は全力で核兵器の開発に取り組んでおり、10年以内には地球上の半数以上の人口を消滅させるだけの核兵器を装備することが可能である。中国は西安以東の全都市が焦土となる事を覚悟している。米国も数百の都市が破壊される事を覚悟しなければならない」
 

「もしアメリカが中国と台湾との軍事紛争に介入し、ミサイルや誘導兵器を中国領土内の標的に向けて発射すれば、中国は核兵器で反撃する。現在の軍事バランスでは中国はアメリカに対する通常兵器での戦争を戦い抜く能力はないからだ」
 

「アメリカが中国の本土以外で中国軍の航空機や艦艇を通常兵器で攻撃する場合でも、中国側からのアメリカ本土核攻撃は正当化される。(アメリカによる攻撃の結果)、中国側は西安以東のすべての都市の破壊を覚悟せねばならない。しかしアメリカも数百の都市の中国側による破壊を覚悟せねばならない」(以上、ウィキぺディアより)
 

朱成虎の西欧メディアに対する発言は、西欧諸国に対する警告であり、当時の感覚では実行はしない可能性の方が遥かに大きいだろうと考えられた。ただ、中国高官の視野の中にこの核攻撃による市街でのホロコーストも選択範囲に入っていることが明確になった。

 

全体としての文意は、中国による台湾併合の際に米国が過剰な干渉をした場合、中国は全面核戦争になっても米国と戦う意思があるという内容だが、相当編集されているように感じる。この言葉で重要なのは第一節である。

 

特に注目すべきは、赤字で示した部分である。中国が考える「百年余りの屈辱に満ちた歴史」とは、主として日本による中国侵略の歴史である。アヘン戦争から西欧各国の中国進出は200年前に始まるので、朱成虎の視野の中心にはないだろう。

 

以前、ウィキペディアには、地球上の人口は益々増加し、有限な資源の中で人類が永遠に生存するには、人口密集地である日本やインドに核を投下して人口削減を行うべきであるという類の文章が書いてあったと記憶している。インドがかなりの核ミサイルを持つ今、将来の核攻撃の的の中心にあるのは日本である。


 

4.中国の「国恥の日」の行事とその教育の的は日本である

 

中国人は世界で最も優れた民族であるとの思想は、西欧や日本の侵略により侵害された。特に東夷とか倭人(小さい人の意味)とか言って蔑視していた日本人に侵略され、中華思想が破壊された恨みは骨髄に至っているのかもしれない。

 

中華民国が定め今も中国人に刷り込まれているとおもわれる「国恥の日」は、その恥辱を雪ぐという民族の目標を失わない様に制定されたのだろう。
 

国恥の日は一年に8日選ばれており、その日には国民にたいしてその出来事の意味等を教える儀式がなされていたようである。その効果が表れたのが、上記朱成虎人民解放軍少将の「百年余りの屈辱に満ちた歴史を清算し未来永劫この地球を支配する様に成る」という言葉だろう。

 

国恥の日と関係する事件等は(補足2):

1月28日 (昭和7年=1932)(上海事件)   ;5月 3日 (昭和2=1927)(濟南事件)

5月 9日 (大正4年=1915)(21ヶ条問題) ;5月30日 (民国 4 =1915)(5 卅事件)

6月23日(民国 14 =1925)(沙基街事件) ;8月29日 (1842 年)(南京條約)

9月 7日(1901)、(辛丑條約)      ;9月18日 (昭和 6 -1931)(満州事変) 
 

である。それら各歴史的出来事に対する教育は、記念日における行事の中で行われるとともに、学校教育でも行われていた。(補足3)(山本 忠士著「中国の「国恥記念日」に関する一考察」日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 No. 2, 107-116 (2001))

 

上記山本氏の論文には、共産党中国になって国恥の日は継承されていないと書かれているが、現在の中国では復活していると思われる。学校教育で中華民国時代と変わらない或いはそれ以上の反日教育が行われていることは周知である。

 

1972年の日中共同宣言より前の1952年に設立された日中友好議連などで活動している国会議員は、果たしてこの事実を知っていたのだろうか? 知っていたなら、何故それを日本国民にも教え、本当の意味での日中友好関係の樹立に努力しなかったのだろうか?

 

日本の政治家は自分たちの利益と立身出世のためだけに日中友好を謳ってきたのだろう。国民と国会議員の間の垣根を取り壊す努力の跡等全くない。

そして国恥の日の918日、深圳の日本人学校の小学生が現地の中国人に刺殺されたのである。
 

これらの事実を知れば、朱成虎少将の「将来のある時期、世界の人口削減のため人口密集地であるインドや日本を核攻撃すべき」という言葉の背後に、この「国恥の日」の制定という中華民国の歴史があった筈である。この言葉に戦慄を覚えない日本人は居るだろうか? 
 

現在の反日教育の実態は、深圳での日本の児童刺殺事件との関連で朝香豊氏のyoutube動画が紹介している。https://www.youtube.com/watch?v=JMhBeT3XP1c

 

 

5.日本は核武装の上で、単独防衛を目指すべきである
 

核武装は一番安上がりで効果の高い防衛法である。伊藤實氏は一貫して日本の防衛には核武装が必須であると訴えておられる。

https://www.youtube.com/embed/YAmRfo2vL7c
 

実は、その必要性は米国もとっくに気付いていた。何故なら、ニクソンが大統領だった時、彼とキッシンジャー補佐官は、佐藤内閣の時に日本に核武装を進めたからである。その経緯を少し書く。日本の政治の貧困が分かるだろう。

 

佐藤が総理になったときに、沖縄返還を実現した。その実現のために彼は米国に対して一世一代の芝居を行った。それは、「沖縄を返せ、米軍は沖縄から出ていけ」といったのである。それでニクソンとキッシンジャーは驚き、佐藤は独自防衛を考えているらしいとして、日本に核武装を進めたのであった。
 

つまり、日本のような小さい国が、中国とロシアという巨大国家に囲まれて独自防衛するには、核武装しか無かったのである。そのうえで、今後東アジアでの自由主義陣営の極となることを期待したのだった。しかし、佐藤と会ってみて、彼はそんな世界戦略を考える人物ではなく、単に沖縄返還というメダルが欲しかっただけだと分かったのである。

 

佐藤は愚かにも沖縄米軍がいつでも核ミサイルを運び込む可能性があることを承知の上で、「日本は非核三原則を国是とする」と言い放ったのであった。彼は国民に詐欺を働いたも同然であった。

(元スタンフォード大フーバー研究所上席研究員 片岡鉄哉著「核武装なき改憲は国を滅ぼす」を参照)

 

国際政治学者でもある伊藤實氏がキッシンジャーは一流の政治学者であったと言っている。彼がニクソン大統領の補佐官として日本に核武装を勧めたのだから、中国と日本の歴史的経緯も十分承知の上で、日本の独自防衛には核武装が必須であると考えたのだろう。
 

これも何度も引用したことだが、キッシンジャーは「アメリカの敵になることは危険かもしれないが、友人になることは致命的である」と国際政治学者としての本音を述べている。これほど今の日本に当てはまる言葉はない。

 

 

追補1: 深圳日本人児童刺殺事件を日本は非常に深刻に受け取るべきであると、中国から帰化された石 平 氏により解説されています。それを追補として引用します。(9月24日早朝追加)

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=re9NjVxu0WY

 

追補2: 四川省カンゼ・チベット族自治州新竜県の副県長である黄如一という人物が、ウィチャットのやり取りの中で、日本人男児殺害に関して「そんなに大ごとか?」とか、(中国人にとって)「紀律とは日本人殺すこと」と発言したことが話題になっている。

 

 

黄如一は自治州の副県長なので地方政府要人である。上に自治体幹部とあるがそれは間違いで、正しくは自治政府幹部である。(9月24日18:30追加)

 

 

補足:

 

1)ネットでは小泉おろしが盛んだが、その一方、日本の民間の知性の一人と思われる堀江貴文氏との会見で最も話が深部に及び且つ意見の一致を見ているのが、小泉候補であった。https://www.youtube.com/watch?v=xlSOFIAnZt4https://www.youtube.com/watch?v=2dpZ17hjwCE

堀江氏はほかに河野太郎氏、石破茂氏と討論しているが、どうも深くまで議論は及ばなかった。

https://www.youtube.com/watch?v=1IVPaKENzFM

https://www.youtube.com/watch?v=VtchFkWBbpE
 

2)沙基事件は、六二三事件とも呼ばれ、1925623日に中華民国広東省広州市の沙基(サーケイ)という通りで反英デモ隊にイギリス軍が発砲して多くの死傷者を出した事件である。

南京条約(ナンキンじょうやく)とは、1842年にアヘン戦争(第一次アヘン戦争)を終結させるため、清とイギリスの間で結ばれた講和条約。

北京議定書/辛丑和約. 1901年、義和団事件後に清朝政府が列強と締結した取り決め。

これら以外は中国進出を進める日本との衝突事件である。

 

3)「中国の「国恥記念日」に関する一考察」に以下のように書かれている。

 

戦前、日本側がまとめた資料によって、当時の中国での学校教育の一部を窺い知ることができる。1963年に国立教育研究所所長になった平塚益徳は、「国恥教育」が取り入れられた経緯について、中華民国第 1 次全国教育会議(1928 5 月)で次のような方針が定められたことを報告している。

1. 国恥教材を十分に教科書中に編入すること。

2. 学校は機会ある毎に国恥事実を教育し、中国第一の仇敵は、何国なるかを知らしめ、これを反復熟知せしめること。

3. 国恥図書を設備し、学生をして機会ある毎に之を見せしめ、注意を喚起せしむること。

4. 第一仇国を妥当する方法を教師、学生が共同して研究すること。
 

当時の中国の小学校、中学校の教科書について調査した財団法人東亜経済調査局編訳『支那国定排日読本』(昭和 6 (1931)8 月刊)の序文によると、「中国における排日運動が、当初の感情的、無頼的雷同より、暫時理知的、組識的運動となり、国家的背景をさえ有するに至りし事は、吾人の深甚なる注意を要する所」とし、この当時の中国対日政策の根幹を成すものが「排日」であると指摘している。

 

また、政府当局は、排日思想の普及に手段を選ばず、努力しつつあると述べ、具体的に国定教科書に排日記事が羅列されており、これが「純真なる児童に排日の「毒酒」を盛りつつある行為である」と日本側としての危機感を募らせている。 

 

今日でも、歴史認識、教科諸問題に見られるように、日本関係の歴史問題になると、感情を露にした厳しい姿勢が見受けられるが、そこに「国恥」をあえて記念日とした思いが、政権は変っても中国の戦前・戦後を一貫した対日観が感じられるのである。

(16:30、編集あり; 9/25/朝、追補1、追補2を本文下に移動させで最終稿とします