2014年2月20日木曜日

国民国家という基盤構造と日本国に組み込まれたウイルス

1) 国民国家はNationStateの翻訳だという。そして、その定義についていろいろウイキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/国民国家)に書いてあるが、要するに主権が国民にある国家だと思う。
 ただ、主権在民というが、国民は主権の存在をそれほど実感できないと思う。何故なら、被選挙権は国民が25−30歳に達すれば誰にでもあるというが、実際には意味のある立候補が可能なのは、上級官僚や外交官、政治家二世、マスコミ人など非常に狭い範囲に限られている。また、投票したとしてもそれは大海にコップの水を加えるに等しい。そして、与党になりうる既存政党にはかなりの歴史があり、それが政党に特有の遺伝子のようなものを持っている。その政党から選ばれた者が、内閣を形成する。内閣の政策は、殆どの場合、それぞれの政策に詳しい専門家集団である官僚機構により企画される。官僚機構にも当然のことながら、その歴史と独自の欲望とに由来する官僚組織の“遺伝子”が存在し、提出される企画案はそれに支配されている。それらの遺伝子が形成されたのは、戦後新しい日本が米国占領軍により作られた数年の間だろう。一方、国民の大多数は、第三の権力と言われるマスコミにより操縦される知的家畜に過ぎない。マスコミは政府及び一部の支配階級により操縦されている。この政治のいったい何処に、国民主権の反映を見るのか。
 どこかに相当の国民の声が生じたとしても、既成の内閣と官僚組織の中に、結局は細分化され雲散霧消してしまう。例えば、大阪に生じた声とそれによる成果が目に見えるものだったが、結局所謂”民意”はマスコミにより雑音の中に誘導され、喧噪の中に消えてしまうだろう。そして、米国の意志により作られた日本国政府に埋め込まれた、これらの“遺伝子”は日本国が滅亡するまで継承されて行くことになるだろう。それは、理解不能なアジアの先進国日本を、二度と戦争の出来ない(西欧に逆らわない)国にするというウイルス的なものであり、“国民国家”という元々粗雑なDNAの中に埋め込まれたのだろう。
 ここで一寸話が飛ぶが、岡田英弘さんの「歴史とは何か」から引用したい。この本は、橘玲氏の括弧日本人という本の引用で知った。歴史を高校の授業以来勉強してこなかったこともあるが、読後目から鱗が落ちるような想いがした。この本の最終章は、国民国家の歴史とその欠陥などについて書かれている。そこには、「米国が最初の国民国家であり、世界中に類例を見ない特殊な国家である」(文庫版177頁)と書かれている。また、「アメリカ人は、先ず憲法が出来て、それを中核にして国民国家が出来るのが当たり前だと思っている。それは非常に変わった考え方だ。」(同、178頁)そして、「言うまでもなく、民主主義は理想的な制度でもなんでもない。欠陥だらけの制度だ。その欠陥の最たるものは、この考え方が明白な虚構に基づいているということだ。」(同、179頁)ここで、虚構というのは、「人間は、神の前に皆平等に創られていて、それぞれが自由な意思で決断し、自律的に振る舞う能力を持っているということ」である。また、「国民国家という形態が普及した主な原因は、軍事だ。国民軍は、ほとんど無限に多数の兵士を徴兵でき、短期間で大軍を動員できる。国民軍が戦争に強いもう一つの理由は、国民の財産である国土を、外国人の侵略から防衛するのだからである。君主制の軍隊の兵士が、給料を稼ぐ為にたたかうのとはえらいちがいだ。」(同173頁の記述を短縮)
 兎に角、国民主権が直接国政に反映してこそ、本当の国民国家と言える。しかし、岡田教授の指摘のように、日本のそして世界の国々の基本にある、国民国家と言う体制の遺伝子は、容易にウイルスが組み込まれる粗雑なものだろう。日本国が、現在の国民の方向を向いていない内閣と官僚機構により運営されているとしたら、そして、どうにもならない時には、国民の命を消耗品のように扱うのなら、国家の遺伝子が国民国家という名称が成立しないレベルまでに、そのウイルスにより書き換えられていることになる。  或いは国民国家という名称は、もともといろんな国家のあり方を載せるためのプラットホーム(パソコン用語の)に付けられた、美しい商標名であると考えることも可能である。そうすると、いろんな国家体制が上に載ることで、初めて国家として機能するようになる。日本は、「闇の権力機構」なる本に書かれている米国により創られた、キメラ的なソフトが載っているだけの国家であり、常に周りの大人の顔色を伺う肥満児という歪な姿で存在している。
 
2)これから日本はどうしたら良いか?
 現在の遺伝子を徐々に入れ替えるためには、道州制を採用し、その政府と官僚組織をその地方の住人で作ると良いと思う。地方に蒔いた種の中には、強い苗に育つものもでてくるだろう。その日本国に自然に育った苗を大切に育てることが良いと思う。中央政府でしか出来ない事以外は地方に委譲して、中央を大幅にスリム化する。安倍首相は憲法改正して独自軍を持つことを考えているだろう。しかし、政治家と官僚組織の遺伝子がそのままでは、益々危険な国になる可能性大である。憲法改正して独自軍を持つには、隣国との友好関係を演出できる指導者の下でないと無理である。それまでは、内部から国を変えるべきだと思う。
(2/20投稿、2/21/12:50最終稿)

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